log.4 道中(脚本)
〇断崖絶壁
〇海岸の岩場
〇岩山の中腹
〇火山のある島
アルミラ「・・・ずいぶん、時間がたったな」
吉里寂野「時間? いや、確かに、休憩が必要だな」
アルミラ「いや、そういう意味じゃなくてだな・・・」
アルミラからすれば、人生で一番長い旅だった。
それも徒歩でこれほど移動するなど、かつての彼女は想像もしなかっただろう。
しかし寂野にとっては気軽に頼まれたお使いの途中でしかない。
彼の時間感覚は、すでに人間のものとはかけ離れている。
吉里寂野「見晴らしもいい。ここで休む」
寂野は地面に手をかざす。短い草が揺れる野原に、小さな雷のような光が灯った。
出て来たのは小さなドーム。鏡のように周囲の景色を写している。
プレイヤー製の小型シェルターである。
アルミラ「おお、これ寝心地がいいので好きだぞ。しかしなんだ、一つだけというのはな、やはり慣れないというか・・・」
吉里寂野「睡眠はどんな状況でも重要だ。このシェルターは今のところ一つしかない」
アルミラ「いやほら、お前まだ持っているんだろう?造成機。あれで作れないのか?」
吉里寂野「俺の造成機は、身体の再構成と戦闘に特化して調整してある。別の用途に使おうとするなら引き千切るしかない。あの時のように」
アルミラ「んむ、それは、困るな。やっぱり無しだ。わがままを言ってすまん」
吉里寂野「・・・王宮の造成機を取り戻したら、作れるようにしておく」
アルミラ「──そうだな!ふふ、楽しみだ」
二人はシェルターに潜り込む。寂野はただちにか細い寝息を吐くだけになる。
アルミラが眠りにつくには、もうしばらくかかった。