【実話怪談】見つかっちゃったぁ(脚本)
〇住宅街の道
これは私の家族が体験した、
世にも奇妙な、こわ~い実話です。
家族を仮に【Kさん】としましょう。
こちらは友人の【Sさん】
KさんとSさんは、
ご近所に住んでいました。
Sさん「今度、授業参観があるそうね Kさんは行く?」
Kさん「私は仕事なので、行けそうにないわ」
Sさん「旦那さんは?」
Kさん「主人も仕事なので」
Sさん「あらぁ、私も仕事だけど、主人がかわりに行ってくれるそうよ」
Kさん(私の主人のことを責めているように聞こえるのは、気のせいかしら?)
〇レトロ喫茶
また別の日のこと。
Kさん「ステキなカフェね、Sさん。 今日は誘ってくれてありがとう」
Sさん「喜んでくれて良かったわ。 主人とよくここに来るのよ」
Kさん「ご主人と仲が良いのね、 うらやましいわ」
Sさん「Kさんはご主人と、 こういうところへ来たりしないの?」
Kさん「ううん、全く。 忙しくて時間がとれないの」
Sさん「そうだったの。 でも、どんなに忙しくても、 少しくらい時間をとってくれてもいいじゃない?」
Kさん「まぁ、それはそうだけど」
Sさん「私の主人は、休日に出かける時間くらいとってくれるわよ? ご主人もそのくらい、余裕をもってくれていいんじゃない?」
Kさん(これは助言なのかしら? なんだか自慢のように聞こえるのだけど)
Sさん「ところで、娘さん、新しい塾に通い始めたってほんと?」
Kさん(私、彼女に【娘の塾のこと】を話したかしら?)
Sさん「ねぇ、どこに通い始めたの? 教えて」
Kさん(教えていないはずだわ。 だって教えたら絶対・・・・・・)
Sさん「私の娘も、良いところを探していたのよ」
Kさん(同じ所に通わせようとするのだもの。 「送り迎えは交替で」とか言うのかしら)
Kさん「新しい塾は見学に行っただけ。 でも娘に合わなそうだったから、 行かないことにしたわ」
Sさん「あら、そうだったの。 それで、なんという塾?」
Kさん(根掘り葉掘り聞くの、止めて欲しいわ)
Kさん(主人のことや、娘のこと。そんなに他人の家の事情が気になるのかしら? あえて聞かないのもマナーだと思うけど)
Sさん「私の娘には合うかもしれないし。 今の塾じゃ満足していないみたい」
Kさん(対抗意識? この人と話していると、疲れるわ)
〇トラックの荷台
それから【Kさん】は、
急に引っ越しをすることになりました。
Kさん(Sさんには何も伝えないでおこう)
Kさん(子どものクラスも、塾も変わったし。 Sさんも新しい付き合いで忙しいだろうから)
Kさん(前から、付き合いを絶ちたいと思っていたし。縁を切るなら今だわ)
Kさん(本当は挨拶をするべきだけど、 いろいろ根掘り葉掘り聞いてきそう)
〇明るいリビング
Kさんが新居へやってきて
一ヶ月が経とうという頃でした。
Kさん(なんだか頭痛がする。 気圧のせいかしら?)
Kさん「あっという間の一ヶ月だったわ。 きっと疲れがたまっているのね」
Kさん(今日は早く休もうっと)
〇白い玄関
【Kさん】は夢の中で、
新居の廊下に立っていました。
Kさん(私、どうして夜中に廊下に? これは夢?)
カタン、コトッ
Kさん(ん? 今、物音が・・・・・・)
〇地下室への扉
コトンッ
Kさん(ここから音がしたような?)
【Kさん】が扉を開けると、そこには。
Kさん「え?」
〇店の事務室
なんとそこにいたのは【Sさん】でした
Kさん「Sさん、どうしてそこに?」
Sさん「ウフフ」
Kさん「どうやってうちに入ってきたの?」
Sさん「え~? フフッ」
Kさん(気味が悪い。 なんで笑っているの?)
Sさん「見つかっちゃったぁ」
Kさん「・・・・・・」
〇本棚のある部屋
Kさん「い、今のは夢?」
Kさん「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・ これ、ただの夢じゃ無い。 怖い」
Kさんの旦那「おい、どうした?」
Kさん「怖い夢を見たの。 Sさんが出て来て・・・・・・」
Kさんの旦那「ああ、あのやたらとしつこいママ友か。 でも最近は、付き合いが無かったって言ってたろ?」
Kさん「夢の中で、うちの中にいたの」
Kさんの旦那「な、なんだって? うちに? いや待て、夢だろ?」
Kさん「夢だけど、ただの夢じゃない」
Kさん「見つかっちゃったぁ、って言って 笑いながら消えていったのよ」
Kさんの旦那「ひえぇぇっ!! こえぇぇぇ!!」
Kさん「本当に目の前に立っていたの」
Kさんの旦那「それってもしかして、生霊じゃないのか」
Kさん「だと思う」
Kさんの旦那「引っ越しの挨拶をしなかったのを、怒っているのかな?」
Kさん「やっぱり、一言伝えてから、こっちに来た方が良かったかしら?」
Kさんの旦那「いや。 塾の送り迎えだ何だで、こっちは都合良く振り回されていたじゃないか」
Kさんの旦那「何も言わずに離れて正解だよ」
Kさん「こんな現れ方するなんて」
Kさんの旦那「生霊になっても、厄介だな」
Kさん「また来るのかしら?」
Kさんの旦那「御札か何か貼っておくか?」
Kさん「そうしましょう」
それから【Sさん】の幽霊が、
夢に現れることは無かったと言います。
異様に【他人の家庭】を気にして、
詮索するような友達
あなたのまわりにいませんか?
〇白い玄関
もしかすると
あなたの家のどこかに隠れて
聞き耳を立てているかもしれません。
〇地下室への扉
カタッ
質問されて答えていると、なんとなく会話が成立してる気がするし、そこはかとなく距離が縮まった感じになるんですよね~
けど『自慢かよ』『批判かよ』と心で突っ込みいれる展開になると、口をききたくなくなるという。なんかそういうの、ありました。
ていうのを思い出して、胸が少し痛いです。生霊は感じなかったけど夢に現れてまじ嫌悪で目覚めてすぐ、おこ。あったなあ。
たとえ生霊ではなくKさんの心が無意識で見せた幻覚だとしても、Sさんの与える恐怖感が本物であることには変わりないから、やっぱり怖い。明確な理由が不明な執着心ってお化けより怖いんだなあ、と実感しました。
まさか生きている人間を生霊にしてしまうとは!とても高度な皮肉表現で私は怖いというより笑わしてもらえました。Sさんにこのお話読んでもらって、反省してほしいですね!