悪人

神社巡り

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〇ビルの裏通り
涼子「はぁ~っ・・・ 今日の合コンも外れだったわぁ~」
涼子「探すと中々見つからないものね・・・」
西島「うっひひひひぃ・・・」
涼子「(何!この怪しいおっさん・・・)」
西島「お嬢さん!探し物かぁ~い・・・うっひひひひっ・・・」
涼子「(ヤバい!!これ!ぜったい痴漢だわ・・・)」
西島「探し物だったら一緒に探しますよ・・・ひっひっひひぃ・・・」
涼子「な、何も探してなんかいませんわ・・・結構です・・・」
西島「まぁそう言わずに・・・ひぃひぃひぃ・・・」
涼子「(ヤバい!!) きゃ~!!だれかぁ~!!」
西島「な、なぜに大声を・・・」
亜馬蘭「どうしました!?」
涼子「こ、この人痴漢です!!」
西島「な、何を馬鹿な・・・」
亜馬蘭「なんだって!とんでもない奴だ!!警察に突き出してやる!!」
西島「ち、違う・・・わしはただ探し物を手伝おうと・・・」
亜馬蘭「一緒に来い!!」
西島「ひぃっ・・・」
涼子「最悪だわぁ・・・」

〇街中の交番
  交番

〇交番の中
警官A「・・・ということは・・・人気のない路地に女性を引き込んで襲おうとしたと・・・」
西島「違いますよぉ・・・私はただ困っている女性を見かけたので声を掛けただけで・・・」
亜馬蘭「黙れ!嘘をつくな!!」
西島「信じて下さいよぉ・・・」
涼子「この人あきらかに私を襲おうとしていました!!」
西島「そんな・・・嘘じゃ・・・」
警官A「・・・証言がある以上、お爺さんをこのまま返す訳にはいきません!!」

〇刑務所の牢屋
西島「ぐすん・・・いつだってそうじゃ・・・わたしの人生はいつだって・・・ぐすん・・・」
西島「きっとこのまま損な役回りで孤独に最後を迎えるんだろうなぁ・・・」

〇刑務所の牢屋
西島「一晩考えたら腹が立ってきた!!なぜ私がこんな目に・・・」
警官A「家族が身元引受人になってくれましたよ」
西島「か、家族・・・」
警官A「息子さんとお孫さんがきてくれてます」
西島「息子!?・・・孫!?・・・」
息子「お父さん!探しましたよ!!」
西島「お、おとうさん・・・!?」
警官A「変わった息子さんですねぇ・・・」
孫「お爺ちゃん!!」
西島「お、おじいちゃん・・・!?」
警官A「お孫さんも少し変わってますねぇ シスターですか?」
孫「帰ろう・・・お爺ちゃん!」
警官A「お二人が身元引受人になってくれたので帰っていいですよ」

〇街中の交番
西島「これはいったいどういう事・・・?」
息子「探し出すのにこんなに時間が掛かってしまいました・・・」
西島「な、なんで泣いてるんじゃ・・・」
孫「こんなことになっていたなんて・・・」
西島「わぁ!こっちも泣いてる・・・!?」
息子「私たちの事がわかりますか・・・?」
西島「全くわからん・・・あんたがたは誰なんじゃ?」
孫「うぅっ・・・(シクシク・・・)」
息子「ずいぶん昔に生き別れになった息子と孫ですよ・・・」
西島「結婚もしとらんのに息子と孫って・・・」
西島「うひょひょひょ・・・」
息子「なんですか!?その不気味な笑いは!?やめてください!!」
西島「す、すまん・・・緊張するとつい笑ってしまうんじゃ・・・」
息子「とにかく!!お父さんには記憶を取り戻して貰わなきゃいけません!!」
孫「お爺ちゃん!!頑張って記憶を取り戻すの!!」
西島「そ、その前に詳しい事情を・・・説明・・・」
孫「しのごの言わない!!」
息子「記憶を取り戻す旅に出発です!!」

〇学校の校舎
西島「こ、ここは・・・?」
息子「学校です!!」
西島「そ、それはわかっているがのぉ・・・」
孫「お爺ちゃん!!何か思い出さない!?」
西島「まったく・・・ (自分とは全く関係ない学校だし・・・それよりいつ着替えたんじゃ?)」
息子「それじゃぁ・・・これではどうですか?」
西島「そ、そうじゃ・・・このあいだここらへんで・・・わしはバナナ皮ですべって転んで大けがを負ったんじゃ・・・!!」
西島「しかし・・・それがなんだと・・・」
孫「そのバナナの皮は私がトラップで仕掛けたものよ!!」
西島「な、なんで!!! ・・・私に恨みでもあるのかぁ・・・?」
孫「お爺ちゃんに仕掛けた訳じゃないわ!! 気づかないの!?」
息子「お父さんにはずっと以前から刺客が付いて回っていたのです!」
西島「し、刺客!? そんなもの見た事なんてないぞぃ!!」
孫「そこにいるじゃない!!」
西島「なんじゃこりゃ~今までこんなのが居たら気づかないはずないのにぃ・・・」
孫「私たちがそばに居るから見えるのよ」
刺客「グルルルル・・・」
西島「なんなんじゃ・・・この鹿は・・・」
孫「鹿じゃないわ!刺客よ! 今までの不運はすべてこいつのせいよ!!」
西島「なんじゃって!!今までわしは運に見放されていただけだと思っていた数々の不幸はこいつのせいだというのか・・・?」
西島「じゃあ直ぐに退治してくれ!!」
孫「そんな簡単にはいかないの・・・」
息子「お父さんは、まず記憶を取り戻さないといけません・・・」
息子「こいつをここで倒してしまうと不幸が溢れ出しお父さんは今まで以上の厄災に襲われます」
息子「そしてこいつの様な刺客がまた次々とやってきます・・・何とかするには元凶を倒すしかない・・・」
息子「そしてその元凶が誰なのかはお父さんの記憶にしかないのです・・・」
刺客「ごおおおおおー」
息子「やばい!!」
西島「なんじゃ・・・これは・・・」
息子「厄災です・・・お父さんに不幸が訪れます」
西島「倒してないのに溢れ出してるじゃないか!!」
息子「倒したらこんなもんじゃありませんよ!!」
涼子「きゃー!!昨日の痴漢!!」
息子「面倒な事になるので逃げますよ」
涼子「あっ!逃げたわ~!!」

〇華やかな広場
息子「ここまでくれば大丈夫でしょう・・・」
刺客「ぶっふぉふぉふぉ・・・」
西島「まだついて来とる・・・この鹿はずっといるのか・・・?」
息子「刺客ですからね!」
孫「早く記憶を取り戻して元凶を断つのよ」
孫「ここがどこだかわかるでしょ?」
西島「いいえ・・・まったくわかりません・・・」
孫「刺客は見えたというのにまだはっきりと見えていないのね? これならどお?」

〇戦場
西島「わっ!なんじゃここは!?」
息子「私たちの世界ですよ・・・ お父さんが居なくなってから争いが起こり荒れ果ててしまいました・・・」
西島「わしが居なくなってって・・・わしは何者なんだ・・・?」
孫「お爺ちゃんは平和を愛し、この世界に平穏を与えていた一般の老人よ・・・」
西島「(そんな力があるのに一般老人って・・・あっ!!また服が変わってる!!)」
西島「うひょひょひょ・・・いったいどういう事でしょうか・・・?」
息子「また!!そんな不気味な笑いを・・・!!」
西島「す、すまん・・・」
孫「お爺ちゃんには計り知れない力があったわ・・・世界を平和に導くというとんでもない力が・・・」
孫「でも、権力を嫌うお爺ちゃんは一般の老人としてここで暮らしていたのよ」
西島「(わしはそんな大層な人物かのぉ・・・何故だか人から無下にされる胡散臭い老人のはずだがのぉ・・・)」
西島「わぁ!なんじゃ!!」
息子「ここにいては争いに巻き込まれます! 直ぐに離れましょう!」
西島「ちょっと待ってくれ!! さっきわしには世界を平和に導く力があると言ってたがそれは使えないのか!?」
孫「記憶が戻らないと無理だと思うわ・・・私たちにはやり方もわからないし・・・」
西島「そうかぁ・・・だったら早く記憶を取り戻さなければ・・・!!」
刺客「ぶふぉ~ぶふぉ~」
西島「何だこの鹿まだいたのか? こいつの能力で何とかならないか?」
孫「無理よ・・・お爺ちゃんに災いをもたらす能力がある以外はただの鹿よ・・・」
刺客「ごぉごぉごぉ~」
孫「あっ!また厄災いを・・・」
西島「うわっ!少しだけど命中した・・・!! 痛っ痛たた!!」
孫「たいへん・・・早くここを離れないと・・・」
西島「うひょひょひょうひょひょひょうひょひょひょうひょひょひょうひょひょひょ・・・」
息子「お父さん!余りの痛みにおかしくなったのか・・・?」
西島「うひょひょひょうひょひょひょ・・・」
息子「こ、これは・・・」

〇戦場
息子「争いが収まってる・・・何事もなっかった様に・・・」
西島「・・・緊張のあまりついつい笑ってしまった・・・」
孫「お爺ちゃん!その不気味な笑いが能力を引き出すトリガーだったの!?」
西島「えっ!なんの話しじゃ・・・?」
息子「不気味な笑いと共に能力が発動したんですよ!!」
西島「ん・・・?」
西島「なんか・・・思い出してきた・・・」
西島「そうじゃ!!全ての元凶は魔術師のアバランじゃ!!」
息子「お父さん・・・」
孫「お爺ちゃん・・・思い出したのね・・・」
西島「直ぐに奴のところに向かうぞぃ!!」

〇皇后の御殿
亜馬蘭「ようやくたどり着きましたか・・・」
亜馬蘭「私がこの世界で覇権を握る為にはあなたは邪魔でしかなかった・・・」
亜馬蘭「争いの世界でこそ私の力は発揮される・・・混沌の世界にはあなたは不要なのです」
西島「争いの世界なんて空しいだけじゃがのぉ・・・」
西島「アバランよ・・・全ての争いを無くすなんて事はわしにもできん・・・」
西島「人はそれぞれ考え方が違うんじゃ・・・些細なことから争いは生まれてしまう」
西島「しかし争いを望んで進んで行うものなどいるかのぉ・・・意見がかみ合わずに間違った選択を迫られたものもいるんじゃないかのぉ~」
亜馬蘭「私は望んで争いを起こしている!!」
西島「手段としてじゃろう・・・しかし覇権を握る方法など他にいくらでもあるんじゃないか?」
亜馬蘭「・・・・・・・・・」
西島「おぬしの力は争いの中で発揮されると言ったが本当にそうじゃろうか・・・」
西島「おぬしの力は多くのものが認めてるが攻撃的な魔法を使えるからではないぞ」
西島「多くのものを思いやる気持ちじゃよ・・・」
西島「その思いやりに皆がお前には感謝の気持ちや敬意を払っている」
西島「しかし平和や平穏があってこその感謝じゃ」
西島「殺伐とした心の中に余裕は生まれるかのぉ」
西島「皆が平和や平穏を望むのは心にゆとりを持ちたいからじゃと思う・・・」
西島「そしてそのゆとりは他のものを思いやる気持ちに繋がると思う・・・」
西島「多くの事を望むのは悪いと言わんが自分を見失ってはいないか・・・アバランよ・・・」
亜馬蘭「・・・・・・・・・」
亜馬蘭「う、うるさい!! 全てを知られてしまった以上、私はもう後戻りはできないんだ!」
亜馬蘭「え~い!!」
西島「うわぁ!仕方ないのぅ・・・この能力を身近なものには使いたくなかったんじゃが・・・」
西島「うひょひょひょうひょひょひょうひょひょひょうひょひょひょうひょひょひょ・・・」
亜馬蘭「うあぁ~っ・・・心が~心が洗われていくぅ・・・」
亜馬蘭「なんて清々しい気持ちなんだ・・・今までのどんよりと重くのしかかった気持ちが嘘のようだ・・・」
息子「お父さん・・・決着がついたようですね」
西島「ああ・・・アバランも迷走していたんじゃろう・・・」
息子「この物の今後の処遇はどうされますか?」
西島「べつに・・・今までと一緒じゃよ・・・もう迷走することも無いじゃろうて・・・」
亜馬蘭「うぅ・・・うぅぅ・・・」
息子「ご立派な判断です・・・おっしゃる通りにいたします・・・」
孫「見事に解決ね・・・」

〇渋谷のスクランブル交差点
息子「本当に・・・お戻りになられるのですか?」
西島「ああ、わしはこの世界が向いておるよ・・・」
孫「あんなにひどい目にあったのにぃ・・・」
西島「確かに争いが止まないひどい世界ではあるが・・・それでこそやりがいもある・・・」
西島「わし一人の力でどこまでできるかはわからんが少しづつでも変えていくよ・・・」
息子「わかりました・・・何かありましたら、いつでも戻ってきてください・・・」
孫「元気でいてね!お爺ちゃん・・・」
西島「お前たちも頑張るのじゃぞ・・・」

〇ビルの裏通り
西島「長いようであっという間の出来事じゃったのぅ・・・」
西島「帰って一杯ひっかけるか・・・」
西島「うぉ!!まだいたのか!!この鹿・・・」
刺客「ぶふぉぶふぉぶふぉ!!」
西島「あ~っ!やばい・・・」
西島「どんな災いが起こるんじゃ・・・!?」
涼子「きゃー!またあの時の痴漢だわぁ~」
西島「うわぁ~!!」
  西島の災難はいつまでつづくのだろうか・・・

コメント

  • 思いもかけない展開というのはこういうストーリーのことをいうんだろうなあ。シカクのシカがもたらす厄災がいつも涼子さんの痴漢騒動なのがゆるくていいですね。

  • 西島さんの言う、ゆとりがあれば…現代でも通用するように思う。
    ゆとりがあれば、優しくなれるし、けんかにもならない。争う必要もない世の中になりそう。

  • 濃ゆいキャラと驚きの設定に振り回される、ジェットコースターのような物語ですね。そんな目まぐるしい展開の中、堂々と我を貫いた西島さんに幸いが訪れてほしいものですね。

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