〇けもの道
シノ・イリヤ「このオークが、少女だというのか──」
？？？「そうよ、可愛いでしょ？」
シノ・イリヤ「いいや、可愛くない」
？？？「やだ、ひどい」
シノ・イリヤ「お前にそっくりだ」
？？？「は!?」
ニール「ププッ」
？？？「ああ、なんかすごい腹立った」
？？？「もういいや、アンタ死んでくれる？」
「はい、残念！」
？？？「魔法師!?」
ニール「今のは、猫殺しの魔法」
ニール「私は人間だから効かないわよ？」
シノ・イリヤ「──この国は恨まれて然るべきことをした」
シノ・イリヤ「罪のない魔法師も沢山死んだ──」
シノ・イリヤ「その憎しみ、分からなくない」
？？？「なら!!」
シノ・イリヤ「──だが、この少女は無関係だ」
？？？「それは──」
ニール「私も・・・あなたと同じ」
？？？「同じ？」
ニール「かつて、この国から追放された魔法師よ」
ニール「尤も、追放されたのはあなたのおばあちゃんの話でしょ？」
ニール（今は訳あって、魔法は使えないんだけどね）
シノ・イリヤ「私は密かに力の強い魔法師を集めている」
シノ・イリヤ「お前が、この子にした魔法を解き──」
シノ・イリヤ「自らの行動を省みるようであれば、」
シノ・イリヤ「仲間にしてやってもいい」
？？？「は!?」
？？？「あり得ない、どうしてこんな国に──」
？？？「今さら帰りたいなんて──」
？？？「思うわけないじゃない!!!!」
シノ・イリヤ「祖国を追われた魔法師が、」
シノ・イリヤ「他国で酷い扱いを受ける光景を目にした」
？？？「そうよ、よく知ってるじゃないの」
シノ・イリヤ「なら、少女を元の姿に戻せ」
？？？「それは──ムリ・・・・・・」
ニール「そんなはずないでしょ!?」
？？？「だって、知らないんだもん──」
？？？「治し方・・・・・・」
ニール（そっか・・・・・・）
ニール（魔法師は、もう十分に学ぶこともできないものね・・・・・・）
シノ・イリヤ「それは──」
シノ・イリヤ「困ったねえ」
ニール「どうする？」
ニール「私が治してもいいけど、」
ニール「魔法師だってことウィルに勘づかれるかも」
シノ・イリヤ「それだけは避けたい」
「うっかり口を滑らせかねない」
？？？「えっ、そんな理由!?」
　　──シノォオオオオ!!!
？？？「え!?　私の結界を突っ切って!?」
ニール「って、話してたら来ちゃったわね」
？？？「何なのよ、この国!?」