銭湯中!(脚本)
〇昔ながらの銭湯
──銭湯
それは日本文化の伝統文化である。
『今昔物語』に記載が見られることから
平安期にはすでに存在していたとされる。
江戸時代になると、日常的に
庶民が利用するようになった。
いわば、日本を代表する「庶民文化」だ!
〇浴場
俺「そんな小難しい話は知らんけど、 とにかく銭湯サイコー!」
俺「広い湯舟で手足を伸ばして 熱っついお湯に浸かっていると、 疲れも悩みも全部出ていく感じだよな~!」
俺「その前にっと、 まずは洗い場で体をキレイにしないと」
俺「椅子に腰かけてっと、 シャワーの蛇口はどれだ・・・」
俺「うわっぷ、 隣のシャワーか・・・」
バルネア「これは失礼を・・・ 誠に申し訳ない!」
俺「えっ、怪人!?」
バルネア「左様、バルネアと申す。 以後お見知りおきを」
俺「お見知りおきって言われても、 そんな会う機会なんてあるんスか!?」
バルネア「我は週6でこの銭湯に通っておる。 貴殿も近所にお住まいなら、 またこの場で見えることもあろう」
俺「って言うことは、バルネアさんも ご近所にお住まいっスか?」
俺「てか、怪人が銭湯に入っても 大丈夫なんスかね?」
バルネア「問題はない」
バルネア「「公衆浴場法」(昭和23年法律第139号) および各都道府県の定める条例には、 怪人の入浴を禁止する規定は存在しない」
俺「それって、単に怪人が入浴するのを 想定してないだけのような気が・・・」
俺「てか、「公衆浴場法」とか 法律めっちゃ詳しいんスね!」
バルネア「無論だ! この世界を征服するまでは、 我も日本に住まうイチ怪人!」
バルネア「日本に住む以上は、日本の法令を 遵守せねばならないだろう!」
俺「はー、やっぱ世界征服が目標なんスねー」
バルネア「無論だ! 今日も戦いをしてきたところだ!」
バルネア「そして、ここに来る前に、 戦いによる泥汚れを簡易シャワーで ちゃんと落としてきている!」
俺「ここでも身体を洗えるから わざわざシャワーとか不要じゃないスか?」
バルネア「何ということを言っているのだ!」
バルネア「受付や脱衣場も含め、 銭湯には公共スペースが多々存在する!」
バルネア「そこに泥だらけの我が現れたら、 そのスペースが汚れてしまうではないか!」
バルネア「銭湯への礼儀を持つ限り、 そんな無礼は断じてできないものだ!」
俺「何かスゴイっスねー 俺も気を付けます・・・」
俺「・・・・・・・・・」
俺「・・・・・・んっ?」
〇浴場
〇浴場
バルネア「何を呆けておる!? あの者がどうかしたのか?」
俺「だって、ここ男湯っスよ! あの人、どう見ても女じゃないっスか!?」
バルネア「ほう、かの者の性別が気になるのか・・・」
バルネア「では、確認してみるとするか・・・」
バルネア「かの者は、生物学的は男である!」
俺「えっ!! それマジっスか!!」
バルネア「ああ、マジである! 身体は多少改造されているがな・・・」
バルネア「所謂「竿あり玉なし」というものだ!」
俺「何でそんな表現を知ってるんスか・・・」
俺「ていうか、たった一瞬で、 そんなことまでワカるのスゲーっス!」
バルネア「この能力は博士に付与されたのだか、 敵がどんな武器を隠し持っているのか、 戦いでは重宝している!」
バルネア「ちなみに、先程の者は、 下向きで200mlペットボトルサイズの 「武器」を持っている!」
バルネア「戦闘時には、500mlサイズまで 膨張することであろう!」
俺「そんなの聞きたくないっスよ!」
俺「話を戻して、あの人は男湯に入っていて OKなんスかね?」
バルネア「かの者の入浴については、 法令で細かく規定されておらぬため、 銭湯側が判断すべき事項だ!」
俺(アンタの入浴についても、 銭湯側にちゃんと判断してもらわないと)
バルネア「で、貴殿の「武器」も見ておくか・・・」
バルネア「通常時はミミズのようで、 今はかの者を見たためか、 ミミズが元気に暴れておるな・・・」
俺「見るなー!!」
バルネア「しかも、そんなミミズが 皮の中に隠れてしまっているな・・・」
バルネア「我と共に、博士の「改造手術」を 受けようではないか!」
俺(それ「改造手術」じゃないだろ・・・ ていうか、その博士って一体・・・)
〇浴場
俺「ていうか、バルネアさんは世界征服して、 この世をどうしたいんスか?」
バルネア「ほう、我の作る世か・・・」
バルネア「まずは、銭湯の浴槽の中で 小便したる者は死罪!」
俺「・・・厳しすぎっス!」
バルネア「脱衣場の体重計に、濡れたままの足で 乗っている者は、100万円以下の罰金刑!」
俺「・・・気持ちはわかりますけど。。」
バルネア「脱衣場の扇風機の前で、 「あ゛~~~~!」と叫ぶ者は、 幼子であろうと島流し!」
俺「・・・メチャクチャっス!」
バルネア「重要政策として、風呂上がりの コーヒー牛乳とフルーツ牛乳は 全額国費負担で無料とする!」
俺「それサイコー!!」
バルネア「そして、風呂上がりには 「タオルで股間をパーン!」を義務化だ! この動作を組み込んだラジオ体操も作成!」
俺「無理無理っ、打ち所が悪かったら 激痛で悶絶するんスよ!」
バルネア「さあ、手始めに我々2人で 「股間パーン!」しようではないか!!」
俺「無理っス!! 俺もう出ますから・・・」
バルネア「仕方ない、では1人で・・・」
バルネア「くぅ~~!」
〇銭湯の脱衣所
俺「あー、ひどい目に遭った!」
俺「番台でフルーツ牛乳を買って、 さっさと帰ることにしよっと!」
〇旅館の受付
おばちゃん「はいよっ、フルーツ牛乳ねっ!」
俺「ありがとうございます!」
俺「ぷはー、風呂上がりにサイコー!!」
おばちゃん「どうだった、ウチの湯は?」
俺「すっげー気持ちよかったっスよ!」
おばちゃん「そりゃよかったよ!」
おばちゃん「ところで、アンタ、 バルネアとは仲よさそうだね!」
おばちゃん「よかったらウチで働いてみない?」
俺「えっ「ウチ」って・・・」
バルネア「ほう、貴殿はまだ寛ぎ中か!」
バルネア「博士といったい何の話をしているのか?」
俺「えっ、博士・・・!?」
バルネア「このご婦人こそ、 我を改造なされた博士であるぞ!」
俺「えーーっ!!」
バルネア「そして、この銭湯こそが、 我らの秘密組織の拠点である!」
俺「ええーーーっ!!」
バルネア「緊急時には、この銭湯ごと、 巨大ロボに変身して戦うのだ!」
俺「えええーーーーっ!!」
おばちゃん「今ちょうど、この子をスカウトしようと 話をしていたところなのよ!」
おばちゃん「どうだい、ウチで働けば、 銭湯いつでも無料にしてあげるよ!」
バルネア「頼めば、貴殿のその股間も 「改造手術」してもらえるぞ!」
「さー、一緒に働きませんか?」
俺「無理っす!! 俺帰りますーー!!!!」
小ネタの応酬に吹き出しましたw
怪人がやたら生活感のある日常を過ごしているシュールな絵面は、ジャンルとしてそこそこ定番化している印象ですが、その中でも今作には沢山笑わせてもらいました。世界征服が実現したら待っているのは、理想郷かディストピアか。分かりませんが、子供たちが黙ってないでしょうね。扇風機あ〜同盟結成待ったナシです。
私のと同じ、『コレジャナイ』感が…(褒めてますよ!)
銭湯のおばちゃん、何があってそういう活動をするに至ったのでしょうか…闇が深そう
銭湯が懐かしいです。風呂上がりのフルーツ牛乳は最高においしかったです。博士が銭湯のおばちゃんで世界征服を企んでいるのには驚いた。