⑦第4ステージ・質問役のフラグ質問(脚本)
〇おしゃれな教室
山里先生「じゃあ第4ステージの質問役は森に決定! フレーズを紹介する人を紹介役っていうように、フラグ質問を出す人を質問役と呼びます」
山里先生「そして各ステージで投票するみんなは投票役です。それぞれの役割でゲームを盛り上げていこう。 じゃあ森、フラグ質問よろしく!」
森「いま思いついたフラグ質問、これです!」
戸橋広太に歌わせたいフレーズは?
森「さっき戸橋の名前を出したので、フラグ質問にも使ってみました! せっかくだから、この場にいない人にも活躍してもらおうよ」
森「それにあいつ、意外と歌うまいんだよね。声もハスキーで味があるし。 あの声にどのフレーズが似合うか、想像してみてください!」
森さんはバンギャである。軽音楽部のバンドでベースとボーカルを務め、小柄な体からは想像のつかないパワフルな音を出すらしい。
それできっと、この場にいない戸橋くんをプロデュースするようなフラグ質問を考えついたのだろう。
森「あ、よかったら、みんなのイメージした歌が、どんな曲調かってのも教えてね♪」
また挙手の投票が行われた。
トーク投票でもいい人はパー、そうでない人はグーの手を挙げる。
めぐるはグーで(ウ)に投票した。
手をパーにしなかったのは、歌を歌うことになったら恥ずかしいなと思ったからだ。
(ウ)
トンカツの丸かじり
戸橋くんならきっと、豪快なシャウトでこのフレーズを歌ってくれることだろう。
そう考えたのはめぐるだけではなかったようだ。
山田「(ウ)の曲はパンクがいいよ! ボーカルの戸橋が「腹減った! 腹減った!」とかシャウトして、「トンカツの~!」って歌うんだ」
山田「そしたら、観客がみんなで声を合わせて、「丸かじり!」って絶叫! 盛り上がるぜ~♪」
辻村「私はパンク系だったら(イ)の方がいいと思う。 笑いをとりにいくんじゃなくて、応援ソングっていうか、励ます歌詞っぽくない?」
(イ)
やってもいないのに、無理って言うな
辻村「「やってみたら、できるかもしれない、頑張れ!」ってメッセージが隠れてる気がする。 私は個人的に、そういう歌の方が好きです」
山田「あー、なるほどー。 それは考えてなかったー」
山田「でもいいな、その展開。 ぜひ戸橋に歌ってもらおう!」
小板橋「励ます歌詞ってことなら、(エ)もいいんじゃない?」
(エ)
昨日から学び
今日に生き
明日に期待する
今日の午後は休もう
小板橋「掛井さんは漫画のセリフって言ってたけど、4行の詩みたいだから歌詞っぽいよね」
小板橋「3行目まではJ-POPにありがちな前向き歌詞って感じだけど、4行目で「今日の午後は休もう」って優しく励ましてるとこが好き」
辻村「そっか、言われてみると、優しく励まして、受け入れてるって感じかも。 「頑張らなくてもいいよ」って、楽にしてくれる感じ?」
辻村「だから、(イ)の「無理って言うな」とは正反対だよね。 「無理なら無理でいいよ、休もう。明日に期待しよう」・・・みたいな?」
小板橋「でしょー? 私は好きだな。そういうの」
山田「あー・・・なんか、もてそうだよな。 そういうセリフを言えちゃう男って」
辻村「うん。実際これ言ってるの、すっごいモテるキャラだよ。 世界一のモテキャラかも。 だって・・・」
山里先生「おっと、辻村はこのフレーズの出てくる本を知ってるのかな? でもまだネタバレは我慢してね。まずはフラグとフレーズを楽しもう」
山里先生「何はともあれ、投票の結果、第4ステージのステージは(ウ)に決定!」
山里先生「「戸橋広太に歌わせたいフレーズは?」ってフラグ質問には、「トンカツの丸かじり」ってフレーズで応えたいと思います!」
先生の宣言とみんなの拍手で第4ステージがしめくくられた。
先生は続けて声を上げる。
山里先生「こんな感じで、ゲームの段取りは分かったかなと思います。 それを踏まえて、次のステージで質問役をやってみたい人、いるかい?」
山里先生「森みたいに自分なりのフラグ質問を考えてくれてもいいし、思いつかないって人も大丈夫。過去のフラグ質問から選ぶだけでいいんだ」
先生がそこでポケットから取り出したのは、暗記の勉強に使うような単語帳だった。
山里先生「このカードの1枚1枚に、過去に出題されたフラグ質問が載ってます。 何十問もあるから、ここからクジ引きみたいに1枚引くんだ」
山里先生「先生が、手品師みたいにパラパラーっとめくるから、好きなタイミングで「ストップ!」って声掛けてくれればいいよ」
教室がざわめいた。
そんな風に言われたら、ちょっと試してみたくなる。
すぐに何人かの手が挙がった。