【読み切り】 夏の少女とぼっちの僕

猫目 ひとつも

夏の少女とぼっちの僕(脚本)

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猫目 ひとつも

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〇空
  ミーン
  ミンミンミン
  ミーン・・・

〇公園の入り口

〇公園の砂場
ソラ「~♪」
カナカナ「なにしてるの?」
ソラ「・・・ゲーム」
カナカナ「楽しい?」
ソラ「だれ?」
カナカナ「楽しい?」
ソラ「楽しいよ」
カナカナ「もしかして友達いない子?」
カナカナ「ぼっちの子?」
カナカナ「だからゲーム?」
ソラ「はぁっ?」
ソラ「ったく 失礼な子だな」

〇広い公園
ソラ「なんだよ」
ソラ「ついてくんなよ」
カナカナ「あのね」
カナカナ「私ね」
カナカナ「君と友達になりたいの」
ソラ「ふーん・・・」
ソラ「やだ」
ソラ「友達なんていらないし」
ソラ「それにおまえ 女子だし」
カナカナ「いいじゃん」
カナカナ「なろうよ、友達」
ソラ「なんで?」
カナカナ「うーん・・・なんで?」
カナカナ「そうだなー」
カナカナ「夏だから?」
カナカナ「友達になって」
カナカナ「一緒に夏をおもいっきり楽しもうよ」
カナカナ「ねっ?」
ソラ「どんなふうに?」
カナカナ「えーっとねー・・・」
カナカナ「こんなふうに」

〇広い公園

〇広い公園
ソラ「やったなーっ!」
カナカナ「へへへっ!」

〇空

〇広い公園
  遊びつかれた 僕たちは
  芝生の上で 横になっていた
  気づいたときには
  ぼくと カナカナは
  手をつないでいた
  それはとても
  自然なことの ように思った

〇公園の砂場
ソラ「楽しかったね」
カナカナ「ねーっ」
カナカナ「いいでしょ 友達って」
ソラ「・・・まあね」
  そしてカナカナは
  ちょっとだけ 深刻な感じで
  こう言ったんだ・・・
カナカナ「ごめんね ソラくん」
ソラ「どしたの、急に」
カナカナ「私ね もうすぐ死んじゃうんだ」
ソラ「ウソだね」
カナカナ「・・・」
カナカナ「ウソだよ」
ソラ「ウソつきはダメなんだよ」
カナカナ「・・・そうだよね」
カナカナ「でも・・・」
カナカナ「私が死んでも 他の子と友達になってあげてね」
ソラ「ぼく・・・」
ソラ「友達はカナカナだけでいいよ」
カナカナ「ふふっ ありがとっ」

〇公園の入り口

〇公園の砂場
ソラ「あっ、ママだ!」

〇広い公園
ソラ「ママーっ!」

〇公園の入り口
  ぼくたちは
  手をつないだまま
  ママのところへ 走っていった
ソラ「ママーっ!」
ママ「ソラ、帰るわよ」
ソラ「ママあのねっ!」
ソラ「友達できたっ!」
ママ「そう よかったわね」
ソラ「この子 カナカナちゃんって・・・」
ソラ「・・・あれ? いない」
  手を
  つないでいたはずの
  カナカナは
  いつの間にか
  いなくなっていた・・・
ソラ「いたんだよ」
ソラ「手、繋いでて・・・」
ママ「そう?  暑いからね」
ソラ「・・・」
ソラ「・・・っ!」
  さっきまで
  カナカナと つないでいた手を
  そっと開く・・・
  ぼくの
  手の中に いたのは
  いっぴきの
  カナカナゼミだった
  ビョッ!
  ぼくに向かって
  おしっこを ひっかけると
  カナカナゼミは
  夏の大空に
  飛びたって いったんだ
ソラ「やったなーっ!」
  ぼくは
  いつまでも いつまでも
  カナカナゼミが
  飛んでいった空を
  見ていた・・・

〇空
  ミーン
  ミンミン
  ミーン・・・

コメント

  • ひと夏の不思議で素敵な体験でしたね。こういう話を読むと、何か懐かしいというほっとした気持ちになります。

  • いつも、心を掴まれて、ぎゅっとされます。子供の頃の夏休みを思い出しました。あ、私の大好きな麦焼酎二階堂のCMも。感謝。

  • 猫目先輩こんにちは。夏らしい短編読ませていただきました🌻

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