見習いリリカの悪魔契約

三雲ユウリ

11話 見習い悪魔、悩む(脚本)

見習いリリカの悪魔契約

三雲ユウリ

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見習いリリカの悪魔契約
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〇おしゃれなリビングダイニング
リリカ「んん・・・」
リリカ「はっ」
リリカ(ここ、ソファ?さっき見えてたテレビ前の・・・私寝てた?)
リリカ「トウマは?!」
リリカ(電気消えてる・・・今何時?)
トウマ「リリカ」
リリカ「うひゃあっ」
リリカ「いいいいい、いたの?」
トウマ「そりゃまぁ」
リリカ「トウマのお母さんは・・・?!」
トウマ「まだ起きない」
リリカ(そういえばトウマのお母さん、まだ同じとこで寝てる?息は、ありそう・・・)
リリカ「こ、殺してないの?」
リリカ「良かった・・・」
トウマ「・・・刺されてるのに、他人の心配する余裕あるの?」
リリカ「別に、これくらいじゃ死なないし・・・」
リリカ「ていうか、それ言うならあんただって 昼間暴走したあたしの魔法当たったでしょ?」
リリカ「だからおあいこだし・・・あたしと違って人間な分あんたの方が心配よ」
トウマ「だから、かすり傷だって言ってる」
トウマ「それに俺と違ってお前倒れただろ。 今日2回目」
リリカ「でも、もう多分傷もないわよ 悪魔は治癒力そこそこ高いから」
リリカ(てか多分、覚醒に使ってる魔力を一斉に治癒に回すために気絶したって感じだろうし)
リリカ(って言っても、ちょっと体怠いわね 昼間暴走もしたし、魔力使いすぎかも・・・)
トウマ「危なっかしいんだよ!なんでそんな・・・」
トウマ(違うな そんなこと言いたいわけじゃ・・・)
トウマ「・・・ごめん とりあえず、何も言わずに帰って」
リリカ「えちょ、なんで」
トウマ「今もう深夜二時なんだよ 包丁とか血の処理しないとだし・・・」
トウマ「お前も人ん家の寝づらいソファで寝るくらいなら自分の家帰れって」
リリカ(いやまぁ体力的に正直そうした方がいいんだろうけど・・・)
リリカ「私が帰った後、トウマのお母さん達殺したりしない?」
トウマ「そんなのお前に関係な・・・」
リリカ「トウマが親を殺すつもりなら、私は絶対帰らない」
トウマ「なんでお前そんな・・・」
トウマ(てか、顔面蒼白で言うセリフか、それ?)
トウマ「・・・分かったよ。 だからとりあえずさっさと帰って」
リリカ「ほんとのほんとに大丈夫?」
トウマ「大丈夫だって」
リリカ「約束だから」
リリカ「・・・また明日」
トウマ「・・・っはぁ〜〜」
トウマ「なんか、ほんと、なんで・・・」

〇綺麗なキッチン
トウマ(そろそろ血、取れたか)
トウマ(あとは母さんだけど・・・あれどうすっかな)
トウマ(リリカがかけた魔法の効果か、ずっと起きないけど)
トウマ(目を覚ましたとき、色々覚えられてたらまずいことになる)
トウマ「やっぱ殺すか」
  約束だから
トウマ「・・・・・・」
トウマ「あいつ悪魔のくせに口約束とか・・・」
トウマ(つか、やっぱ改めて考えると頭に血が上りすぎてんな)
トウマ(衝動的すぎる。家の中で親だけ家の包丁で刺殺されてるとか、どう考えても疑われるだろ)
トウマ(ちゃんと計画するために延期、そうしよう)
トウマ(いや、もっと考えるべきことはある)
トウマ(でもなんも考えたくねぇな・・・)
トウマ(昼間あんなことあったやつに暴言吐いて刺して、とりあえず延期って・・・)
トウマ「情けな・・・」
トウマ(もう、どうしたらいいのかわからない)

〇女の子の一人部屋
リリカ「とりあえず、帰ってきたはいいものの・・・」
  本当はずっとさ、俺の願いはわかってた。
  めんどくさい、全部消えろって
  俺は殺したいほどもう会いたくない
リリカ「あーー!もーー、難しい!わかんない!」
リリカ「トウマは、やっぱり親に言われてたことで無理してて」
リリカ「それで殺したいほど恨みを持ってて・・・それが隠してた願い」
リリカ「なんで、止めちゃったんだろうあたし・・・」
  なぁ、契約する?
リリカ「あっち側から持ちかけてきてたのに・・・絶好のチャンスなのに」
リリカ「いや、でも!死んじゃうんだよ? 人間二人の命なんて、叶えた途端魂取れちゃうって」
リリカ「死んでほしくないもん・・・」
リリカ「・・・あたしが代わりに殺せばいいのかな」
リリカ「でも、そうしたらトウマの願いは叶って、あたしがそばにいる理由はなくなる?」
リリカ「トウマが殺すのを止めなければ・・・ってそれも結局一緒だし・・・」
リリカ「と言うかセンセーが言ってたけど、人間が自分で殺人とかしたら、捕まるらしいし」
リリカ「・・・ってそうだセンセーだ!」
リリカ「センセーに連絡してみよう」
リリカ「・・・・・・」
リリカ「・・・・・・」
リリカ「・・・出ない」
リリカ「この前も、忙しいって言ってたもんね」
リリカ「・・・はぁ、どうしよ」
リリカ「トウマと一緒にいたい、だけなのになぁ」
リリカ「って、え?」
リリカ「そっか、私、トウマと一緒にいたい・・・?から死んでほしくなくて、?」
リリカ「いや、いやいやいや、私悪魔、トウマは契約者候補、人間・・・」
リリカ「っあぁ〜・・・どうしよ・・・ ねぇ、センセー」

〇大広間
  数時間前、魔界──
レイラ「はぁっはぁ・・・」
レイラ(わたくしの考えが甘かった。まさか本気で殺しに来るなんて)
レイラ(昼間のリリカ・・・バイタルをチェックしている機器が異常数値を叩き出してた)
レイラ(きっと暴走してたはず。こんなことしてる場合じゃないのに・・・!)
ギーリ「鬼ごっこは終わりか?」
レイラ「ギーリ・・・!」
ギーリ「お前の『親友』とやらの残した発明には驚かされるよ」
ギーリ「重力に抗って高速で移動できるシューズ・・・。チビの魔力なしの癖にちょこまか逃げやがって」
レイラ「・・・っ」
レイラ「ギーリあなた、リリカの位置が掴めたからわたくしは用無しって・・・正気なの?」
レイラ「本気でわたくしを殺してリリカを喰うつもり?」
ギーリ「ふん、当然だ。 あれが暴走したおかげでだいたいの位置は把握できた」
ギーリ「お前なんぞをいちいち呼び出す無駄も終わりということだ」
レイラ(魔力魔力。もうそれしか頭にないのね。リリカを殺すことになんの躊躇いもない)
ギーリ「それに、長谷川トウマだったか。面白い人間がいるようじゃないか」
ギーリ「あの量の『願望度』 娘なんかに利用させるには惜しい」
レイラ(確か、リリカが契約候補にした人間!そうか、彼もギーリからしたら狙い目の素材)
レイラ(覚悟を、決めなければ)
レイラ(もし彼が死ねば、リリカはきっと悲しむ。 あの子にわたくしと同じ苦しみを味わせるわけにはいかない)
レイラ「あなた、魔力を蓄えて強くなったつもりでしょけど、臆病で卑怯で調子乗りなところはそのままね」
ギーリ「・・・なんだと?」
レイラ「弱小魔族と侮っているわたくしを、わざわざ殺しに来ているのがその証拠」
レイラ「あの子の魔力を喰うに当たって、不安材料は消したいんでしょ?愚かね」
ギーリ「貴様・・・この俺を侮るのか!無能のくせに」
レイラ「あら、ごめんあそばせ」
レイラ(よし、挑発したら狙いが分かりやすくなったわね)
レイラ(まぁ、当たったら即死モノなんだけど・・・)
レイラ(ごめんなさいね、リリカ。 わたくしはおそらく死ぬでしょうし・・・こいつはあなたの元へ行く)
レイラ(けれど。ただでは終わらせない)
ギーリ「それは・・・ドローン、とやらか!」
レイラ「えぇ。わたくしが愛していた・・・マナが作ったものよ」
ギーリ「なんだ、この数は・・・!」
レイラ「こんなモノもあるわ」
レイラ「弾は魔法で補充設定。貴方達、プライド高すぎて機械・・・人間界の文化に弱いでしょ?」
レイラ「ただでは死なないから。致命傷、与えてあげる」
レイラ(マナの仇をとって、リリカを守って。わたくしがそう出来たらよいのだけど・・・)
ギーリ「はっ。多少当たってもどうってことないな。これくらいすぐ治る」
レイラ(こいつ、化け物なのよね〜。 はぁ・・・でも、やるしかない)

コメント

  • 未読分一気読みさせていただきました!
    トウマの闇がなかなか深くて、動き始めたリリカの想いと矛盾と葛藤……胸に刺さりました。悪魔なのに、優しいんだなぁ。人の想いって、単純にそれだけじゃダメな時もあるんだよなぁと、ふと考えてしまいました。
    そしてここで先生のピンチ!リリカはどうなってしまうのか……続き気になります!

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