読切(脚本)
〇池袋西口公園
A「最近、脳内変換がひどくてね」
B「どうした、いきなり? 脳内変換て何だよ?」
A「目にした文字とか言葉が、脳の中で勝手に変換されて違う言葉になっちゃうんだよ」
B「大丈夫か、それ? たとえば、どういうこと?」
A「『最近暑いんでエアコンガンガンにして寝る』って文章があるとするじゃん」
B「ああ。ブログとかツイッターでありそうだな。それが?」
A「それを見ると、頭の中で勝手に『エアガンコンコンして寝る』に変わっちまうんだよ」
B「何だよ、それ? 寝る前にエアガンをコンコンするって、どういうことだよ?」
A「知らねえよ。脳が勝手にやってんだよ」
B「気持ち悪いな。お前の脳」
A「うるせえよ。あとな、『スキマスイッチ』っているじゃん」
B「ああ。二人組の歌手な?」
A「デュオって言えよ。恥ずかしいな」
B「良いだろ、別に! 分かりやすくて」
A「『スキマスイッチ』が『スキマスイクチ』に見えちゃうんだよ」
B「何だよ、スキマ吸い口って。何を吸うんだよ?」
A「知らねえよ。掃除機のアタッチメントじゃねえのかよ?」
B「・・・・・・便利そうだな。違うだろ! 『スキマスイクチの全力少年』って何だよ?」
A「知らねえっつってんだろ! アルバイトでビル掃除してる学生じゃねえのかよ」
B「一所懸命掃除しそうだな! 他にも何かあるのかよ?」
A「『カンガルー便』てあるだろ?」
B「ああ。宅配便か」
A「あれを見ると、『カツカレー便(べん)』て脳内変換されちゃうんだよ」
B「だから、何なんだよカツカレー便て? 下ネタか?」
A「知らねえよ。カツカレーが入った弁当じゃねえか?」
B「・・・・・・そっちの弁? 書いてくんないとわかんねえよ!」
A「ラテ欄なんか、読むのが大変なんだよ」
B「たとえば?」
A「『もののけ姫』が『そこの毛ひげ』に見えちゃうんだ」
B「どういうシチュエーションなんだよ? とりあえず宮崎駿に謝れよ」
A「脳内変換だから仕方ないだろ! アシタカの顎に剃り残しがあったんじゃねえの」
B「あったかもしれねえけど! 言わなくていいよ、サンはそういうこと」
A「ユーミンの『恋人はサンタクロース』ってあるだろ?」
B「無限に出てくるな?」
A「あれが『冬眠の臭い豚は洗濯する』って変換されるんだよ」
B「そこまで行ったら無理やりだろ? 何だよ冬眠の臭い豚って」
A「知らねえよ。間違って半年も冬眠したら、豚だって臭くなるだろうが」
B「春になって匂いを落とすために洗濯しよう、じゃねえよ! そんな歌ねえだろ!」
A「脳が勝手に変換するんだよ。俺だって大変なんだから」
B「確かにそれだけ脳内変換が起きてたら生活しにくいだろ?」
A「いや、毎日ヨーグルト飲んでるから俺の腸内環境は最高だぜ」
B「そこも変換すんのかよ! 腸内環境じゃなくて、脳内変換!」
A「庄内平野? 山形に行く用事はないぜ?」
B「言ってねえよ! お前、脳じゃなくて耳が悪いんじゃねえのか?」
A「気味が悪い? いや、俺は気味が悪いんじゃなくて、意地が悪いだけだ」
B「わざとやってたのかよ? もういい! やめさせてもらうわ」
様々な言葉を脳内変換で言葉を変える遊びも面白そうですね。これをクイズにしたら流行りそうですね。ボケのボキャブラリーとツッコミのセンスが必要です。
脳内変換をたくさん集めてみると、たしかに!って思いました。笑
人間の脳って不思議で、自分が思ったように変換してしまいますよね。
脳内変換を私も日頃、ついやってしまうので、とってもリアルなストーリーだなと親近感を抱きながら読ませていただきました。落ちとなるツッコミとボケも見事でした!