カント君は嘘をつかない

エル・コギト

エピソード2 白い百合の花(脚本)

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〇古いアパート
完戸「え?これがプチ・トリアノンっていうアパート?」

〇女性の部屋
  ガチャ
優香「だ、誰??」
優香「ああ?大家さん?」
大家(鳥野)「な、なんだ、いたんですか?無事なんですね?」
完戸「どうかしましたか?」
大家(鳥野)「いえね、この人のお姉さんという人から電話があってね」
大家(鳥野)「妹と全然連絡がつかない、部屋の電気はつけっ放しで心配だから、とにかく中を見てきてくれって」
優香「ええ?私にはお姉さんなんていないし」
大家(鳥野)「異臭もするから、って言われたんだが」
完戸「確かに何か臭いますね」
大家(鳥野)「お部屋、きれいに使ってくださいよ~」
完戸「ちょっと気になって近くまで来たのですが。こんな嫌がらせ、何か心当たりはありませんか?」
優香「ないです。この住所を知っている人もほとんどいません」
優香「あ、そういえば!彩から電話が、それも非通知で」

〇黒背景
彩「もしもし、彩だけど。優香、ごめんね、私・・・ ツーツーツー」

〇警察署の入口

〇オフィスのフロア
仏坂「で、その彩さんには連絡がつかないのか」
完戸「ええ。スマホの電源は入ってないし、会社も有給をとっていて来ていないそうです」
仏坂「優香さん、あの部屋を引き払うんだって?」
完戸「プチ・トリアノン、って名前は豪華ですけど。彼女、あの部屋に誰も呼んだことはないようです」
仏坂「見栄っ張りそうだもんな。でも、彩さんからの電話が、非通知だったのは気になるな」

〇小さい会議室
優香「彩の行方は、まだ分からないんですか?」
仏坂「ええ、まあ、有給休暇を取って旅行に出ているということですから」
完戸「調査は続けています。ところで、最後に彩さんと会ったのはいつですか?」
優香「ええと・・・あ、一週間前に二人で飲み会に参加したときです」
仏坂「その時、何か変わった様子などありませんでしたか」
優香「特に、何も・・・」
完戸「何か思い出すことはないですか?何でもいいんですけど。飲み会の前後のことでも」
優香「あ、ユリの花」
「ユリの花?」
優香「あ、いえ、何でもないです」
完戸「何でもないってことはないですよね。ユリの花、どうしたんですか?」
仏坂「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花~なんてね」
完戸「あ、先輩、まさか」
仏坂「いいから、完戸、お前は何も言うな」
優香「落ちてたんです、ユリの花が一輪・・・」

〇ゆるやかな坂道

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