第七話「出血多・・・量!?」(脚本)
〇結婚式場の廊下
ワガナカの住民「ガーベラ様おはようございます」
ガーベラ「おはようございます」
ガーベラ「お孫さんの怪我はその後どうですか?」
ワガナカの住民「はい! ガーベラ様の回復魔法のお陰で 傷も残らず・・・」
ワガナカの住民「本当にありがとうございました」
ガーベラ「私は私に出来ることをしたまでです」
ガーベラ「お孫さんにもよろしくお伝え下さい」
ガーベラ「お二人に太陽神様のご加護があらんことを」
ワガナカの住民「はい!ガーベラ様にも 太陽神様のご加護があらんことを」
ワガナカの住民「ガーベラ様!」
ワガナカの住民「この間頂いた薬草のお陰で 娘の調子が大分良くなりました!」
ワガナカの住民「本当にありがとうございます!」
ガーベラ「それは良かった!」
ガーベラ「他にも症状に効きそうな薬草を 幾つか見つけたのでまた後で持っていきますね」
ワガナカの住民「ありがとうございます! ガーベラ様に太陽神様のご加護があらんことを」
ガーベラ「はい お二人に太陽神様のご加護があらんことを」
ワガナカの住民の皆様は良い人達が多く
何年か生活している内に、いつの間にか
私の顔や名前を沢山の方が覚えてくれた
大教会にいる時も、町にいる時も
皆様は気さくに話し掛けてくれて
貴族専門の回復魔道士やっていた頃と比べると
沢山の方達と親しくなっていたように思う
気付けば私はこの町も、住民も
どちらも凄く好きになっていた
だから・・・
それに”選ばれた”時も
不思議と嫌な感じはなかった
むしろ間違いばかり犯してきた私が
やっと正しい事が出来るのだと・・・
内心喜んでいたのだ
〇中東の街
前回のあらすじ・・・
突如襲ってきた謎の人物を
何とか撃退した幽霊様
しかし、その裏では神官様が
命の危険にさらされてい・・・た?
???(アキラ)「とりあえずこいつが逃げないように 何処かに括り付けるか・・・」
???(アキラ)「こういうのも信仰騎士に任せればいいのかな?」
???(アキラ)「縄か、何か代わりに使えそうな物は・・・」
???(アキラ)「近くには無さそうだし 少し遠くまで探してみるか・・・」
???(アキラ)「・・・えっ?」
???(アキラ)「何かふらふらする・・・ぞ?」
???(アキラ)(やっぱりこいつにナイフで刺された傷が?)
???(アキラ)「・・・あれ?」
???(アキラ)「これ・・・」
???(アキラ)「ヤバくね?」
???「・・・」
〇牢獄
男「よし!」
男「じゃ、早速殺し~」
男「馬鹿野郎!」
男「アニキ!?」
男「お前今何しようとしてた?」
男「いやこの女を殺そうかと~」
男「大馬鹿野郎!」
男「アニキ!?」
男「お前信仰領で神官を殺すのが どんなにヤバい事か分かってるのか?」
男「そんなにヤバいんですか~?」
男「あのなぁ・・・」
男「神に仕える神官を殺す事は 神への冒涜そのものなんだよ」
男「信仰こそ第一のこの領地で」
男「太陽神が作った土地や町、文化で 育った住民が神官を殺す・・・」
男「そんな事が起きたらこの領地で 一番力を持った教会が黙ってねぇぞ」
男「でも、この女~ アニキを傷付けただけじゃなく」
男「俺らの商売まで見ちまったんすよ~?」
男「この大馬鹿野郎」
男「アニキ!?」
男「何回殴るんすか~」
男「それはスマン」
男「だけどそれぐらいヤバい事なんだよ・・・」
男「もしそんな事をしてバレでもしたら」
男「信仰領内全ての町で手配されて 信仰騎士に一生追い掛け回される事になるぞ」
男「それは嫌です~」
男「それで済んだらまだ良い方だ!」
男「下手したら中央の太陽騎士が出張って来るぞ」
男「太陽~?」
ガーベラ「ん・・・」
男「とりあえず殺しはどうにもならなくなった 最後の手段だ!」
男「何とかこの神官を説得するぞ!」
男「はい~」
〇黒背景
???(アキラ)(これは絶対に不味い・・・)
???(アキラ)(視界もほぼ真っ暗だし、もしかして この体このままだと死ぬんじゃ?)
???(アキラ)(あいつもまだ拘束出来てないし)
???(アキラ)(ガーベラさんとだって 合流しないといけないのに・・・)
???(アキラ)(これは本格的に・・・)
???(アキラ)(・・・)
???(アキラ)(・・・うん?誰かいる・・・?)
???「リペア」
???「・・・て」
???(アキラ)(何だ?)
???「ガーベラ様・・・て」
???(アキラ)(何か言ってる?ダメだ! 意識が朦朧として・・・)
???「・・・捕まって 地図に・・・印・・・」
???「・・・様を」
???「助けて!」
???(アキラ)(君は・・・)
???(アキラ)(誰だ・・・?)
???(アキラ)(・・・)
〇桜並木
???(アキラ)(・・・あれ?)
???(アキラ)(この光景って前にも?)
生きろ!絶対に死ぬな!
???(アキラ)(前より景色が鮮明な気が?)
中日奈央を・すまで!
???(アキラ)(えっ・・・?今のって?)
〇中東の街
???(アキラ)「うわぁ!」
???(アキラ)「あれ? 俺生きてる?」
???(アキラ)「・・・」
???(アキラ)「血が止まってる・・・」
???(アキラ)(動けないように 全身をぐるぐる巻きにされてるな)
???(アキラ)(さっきの人がやってくれたのか?)
???(アキラ)「でも何の目的があってここまで協力を?」
???(アキラ)「地図?」
???(アキラ)(ミカノチさんがくれたのとは別のみたいだ)
???(アキラ)「何か文字が書かれて・・・」
???(アキラ)「これは!?」
〇牢獄
男「なるほど・・・」
男「あんたはそこで伸びてる上玉ちゃんを たまたま拾って」
男「そいつが急に姿を消したのを心配して ここまで来たと・・・」
男「どうやってこの場所を突き止めたのか 聞きたい所ではあるが、それは置いといて」
男「あいつを見付けて保護してくれて 本当に助かったぜ」
ガーベラ「はい?」
男「あいつは俺らが町の外に 1人でいる所を捕まえてよぉ」
男「しっかり頑丈な牢屋に入れてたのに 何故か逃げ出したんだよな・・・」
ガーベラ(犬様は既に一度ここから逃げ出していた?)
男「それでだ・・・ ここからが、大事な話なんだが」
男「あんた俺らを見逃してくれねぇか?」
ガーベラ「は?」
男「そうだな・・・」
男「あの上玉ちゃんに お貴族様がどれくらい出すかは分からねぇが」
ガーベラ(貴族?騎士領の人間がわざわざこの町まで?)
男「2割、いや3割までなら売り上げを渡すぞ」
ガーベラ「あなたは何を言っているのですか?」
男「前に聞いた事あるが、神官だって 上級神官や神官長クラスじゃないと」
男「そこまで良い生活をしてる訳じゃないんだろ?」
ガーベラ「それとこの事がどう関係あると?」
男「だからよぉ!神がくれたお小遣いだとでも 思って受け取ってくれよ」
男「その代わりに今回の事は見逃してくれ!」
男「頼む!」
ガーベラ「・・・」
ガーベラ「あなた達は・・・」
ガーベラ「私がそんな話を呑むと 本気で思ってるんですか?」
ガーベラ「何を言われようが絶対にお断りです!」
ガーベラ「私の事はともかく 犬様は今すぐこの場所から解放して下さい!」
男「犬?あの上玉ちゃんが?」
男「アニキ~」
男「やっぱりこの女殺しちまいましょう!」
男「お前、俺のさっきの話ちゃんと聞いてた!?」
ガーベラ「そもそも・・・」
ガーベラ「小さな魔物や動物などを人が飼う為に 販売する仕事があるのは本で読みました」
ガーベラ「ですが、あなた達はこんな怪しい場所で まるで隠れるように作業をしていた」
ガーベラ「もしかして、あなた達は教会や信仰騎士に 許可も得ずにこんな事をしているのでは?」
男「そ、そんな訳ねぇだろ!」
男(既に気付かれてる!? これはマズイな・・・)
男「俺たちがどうこうは置いといて」
男「あんたはあの上玉ちゃんの幸せは 考えてるのか?」
ガーベラ「幸せ・・・?」
男「考えてもみろ」
男「このままあの上玉ちゃんを 連れて帰ってどうする?」
男「野生にでも返すのか?」
男「あんな小柄な奴が外で生きていけるとでも?」
ガーベラ「それは・・・」
男「それともあんたが飼うか?」
ガーベラ「私は・・・」
男「神官の仕事もしながら あいつの面倒も見るってか?」
男「そんなの無理に決まってんだろ」
ガーベラ「・・・」
男「もしお貴族様に気に入られれば」
男「あいつはこれから一生 住む場所にも、餌にも困らねぇ」
男「外で生きるより、あんたや他の誰かに 飼われるより」
男「ずっと幸せな生活を あの上玉ちゃんは送れるんだよ」
男「あんたは自分勝手な理屈で 上玉ちゃんの幸せを奪おうとしてんだ!」
ガーベラ「私・・・は・・・」
男「分かったなら 少し時間をやるから今の話を考えろ」
男(もしこれでも協力しないなら・・・)
男(俺らも信仰騎士に一生追い掛け回される 覚悟を決めるしかねぇな)
男「行くぞ」
男「はい!アニキ~」
ガーベラ「犬様・・・」
ガーベラ(幽霊様、私はどうすればいいのでしょうか?)
〇英国風の部屋
???(アキラ)「はぁ・・・はぁ・・・」
ミカノチ「オカエリネ!」
ミカノチ「アレ?」
ミカノチ「ナンデ1人ネ?」
ミカノチ「フタリは・・・犬と神官は何処ヨ?」
???(アキラ)「・・・」
???(アキラ)「逃げて来ました」
ミカノチ「ハ?」
続く・・・