トリアージ

ウゴ鈴木

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〇ゆるやかな坂道
母親「杏、晩ごはん何食べたい?」
子供「ん〜・・・」
子供「からあげ!」
母親「じゃあそれに決定」
子供(わぁ、ヒヨコだ!)
子供(カワイ・・・)
「マ・・・マ」
母親「ん?なーに・・・」

〇モヤモヤ
母親「か、顔・・・」
  エ?ワタシノ顔ガ何?
母親「キャ━━━━━ッ!」

〇黒背景
  ・・・大人を食べたら思考がクリアになってきた

〇ゆるやかな坂道
女性型怪人「なるほど、顔のパーツの向きが間違ってたのね」
サラリーマン「どうしました、叫び声をあげて!?」
女性型怪人「・・・失礼しました 虫が飛んできたのに驚いただけです」
サラリーマン「そうでしたか」
女性型怪人(今度は問題なさそうね)
女性型怪人「何!?頭に痛みが・・・」

〇モヤモヤ
  ・・・せよ
  繰り返す
  渋谷スクランブル交差点に集合せよ
女性型怪人「メッセージ!」

〇ゆるやかな坂道
サラリーマン「本当に大丈夫ですか? 体調が悪いのでは・・・」
女性型怪人「お気になさらず 日差しが強いせいですかね?」
女性型怪人「どこか日陰で休憩しますわ」
女性型怪人「・・・ところで、渋谷スクランブル交差点への道、ご存じかしら?」
サラリーマン「えぇ、この道をまっすぐ行って・・・」
女性型怪人「あ、話さなくても大丈夫です」
女性型怪人「脳を食べれば知れますから」

〇組織のアジト
ニワトリ怪人トリ・キング「全人類に告ぐ! ワレはニワトリの怪人、トリ・キングである」
ニワトリ怪人トリ・キング「君たちは”ヒナの雌雄(しゆう)鑑別”を知っているか?」
ニワトリ怪人トリ・キング「”白色レグホン”という、卵を得る目的で育てられる品種がある」
ニワトリ怪人トリ・キング「卵を産むのはメスなので選別する訳だが、では不要なオスはどうなるのか・・・」
ニワトリ怪人トリ・キング「”殺処分”だ」
ニワトリ怪人トリ・キング「数え切れないほどの殺されたヒナ達の、無念や人間に対する恨み」
ニワトリ怪人トリ・キング「そういった感情がワレに、知性と怪人の力をもたらした!」

〇組織のアジト
ニワトリ怪人トリ・キング「今こそ、その無念を晴らす時!!」
ニワトリ怪人トリ・キング「手始めにワレの分身を、渋谷スクランブル交差点へと集合させた」
ニワトリ怪人トリ・キング「さぁ分身共よ、行動に移せ!!」

〇渋谷駅前
女子高生「トリ・キングだってウケる〜」
買い物客「なんかのイベントの宣伝か?」
「何だ!?悲鳴がッ」

〇渋谷のスクランブル交差点
女性型怪人「始まってるわね」
女性型怪人「火の怪人は何を食べてあんな姿に? まぁいいわ、わたしも暴れて・・・」
犬型怪人「ハハッ 狩っても狩っても獲物が減らねえ!」
犬型怪人「おっと、ここにも・・・」
犬型怪人「喰ってやる!」
犬型怪人「オレにパンチを・・・ 見かけによらずやるじゃねえか」
犬型怪人「今度は本気で行くぜ!」
犬型怪人「ギャ━━━━━ッ!」
女性型怪人「アホ、わたしは仲間よ」
犬型怪人「ハァ?そんな言葉でだまされるかよ! 証拠は!?」
女性型怪人「見なさい、この腕を・・・」
女性型怪人「鳥肌が立ちっぱなしよ」
犬型怪人「そんなんで証拠になるか!」
女性型怪人「人間に似せすぎてしまったか 失敗した・・・」
犬型怪人「トリ・キング様の分身なら、体のどこかにマークがあるはずだ」
女性型怪人「マーク・・・」
犬型怪人「あぁ、メッセージを受信した時、どこに痛みを感じた?」
女性型怪人「頭が痛かったわね」
犬型怪人「じゃあ、デコとかに付いてそうだな」
女性型怪人「これね あなたにも付いてるのかしら?」
犬型怪人「そのはずなんだが、自分じゃ見れねえ位置にあってよ 確認してくんねえか?」
女性型怪人「背中かしら?」
犬型怪人「いや・・・」
犬型怪人「アッ━━━━━!」
女性型怪人「汚いもの見せるな!!」

〇SHIBUYA109
犬型怪人「イテテ・・・」
ヒヨコ「1、2・・・1、2・・・」
犬型怪人「ん、テメーも仲間か?」
ヒヨコ「オ、オウ!久しぶり!」
犬型怪人「ハァ? 生まれたてで全員初対面なのに、何が久しぶりだ」
ヒヨコ「ス、スマン! まだ日本語が不自由でな!」
犬型怪人「ってかオメーはヒヨコのままかよ」
犬型怪人「オレは犬だぜ! 鼻はきくし、走るの速いしで人間狩りに適してるぞ!」
ヒヨコ「いや〜慣れた体が一番かと思ったんだけど犬、良さそうだな! 探してくるよ!」
ヒヨコ「んじゃ!」
「1、2・・・1、2・・・」
犬型怪人「おう・・・」

〇街中の階段
  ハア、ハア・・・

〇学校脇の道
大場らいむ「なんとかごまかして逃げ切れましたね」
大場らいむ「ヒヨコの着ぐるみ、集客にはダメダメでしたけど、こんな時に役立つとは! ねぇ店長」
店長「そ、そうだね・・・」
  この人はからあげ専門店の店長
  接客業なのにコミュ障で困った人です
  そして、わたしはそのお店のアルバイト
  『からあげトリガー』の看板娘です

〇学校脇の道
大場らいむ「最初テレビを見てたときはポカーンでしたけど、あの電波ジャック本当だったんですね」
大場らいむ「とりあえず、もっと遠くに逃げ・・・」
犬型怪人「逃がすかよ!」
犬型怪人「オレは鼻がきくって言ったろ」
犬型怪人「テメーらからは人間の臭いがプンプンしてたからな 跡をつけてみたらビンゴだ」
大場らいむ「クッ、臭いでバレるとは!」
店長(着ぐるみの方ではバレないんだ・・・)
大場らいむ「店長! 男らしくボッコボコにしちゃってください!」
店長「む、無茶言わないでよ・・・」
犬型怪人「オレの相手がヒョロ野郎? 笑わせてくれるぜ!」
店長「た、戦うよりもっといい作戦がある・・・」
大場らいむ「それはいったい・・・」
店長「誰かさん、自転車借ります! 大場さん後ろに乗って!」
大場らいむ「作戦って逃げるんかい!」
犬型怪人「フン、その程度のスピード・・・」
「秒で追いつく!」

〇住宅地の坂道
大場らいむ「もう追いついてきてますよ! 自転車じゃ無理ですって!」
店長「い、いいから漕ぐの集中させて・・・」
犬型怪人「ハァ、ハァ・・・」
大場らいむ「あ、あれ?差が開いてきてる・・・ どうして?」
店長「”体温”だよ」
店長「人間は大量の汗をかき体を冷やすことで、長時間運動できる」
店長「だが他の動物は汗をあまりかかない ゆえにすぐ体温が上昇して、動けなくなってしまうんだ」
大場らいむ「へぇ・・・」
大場らいむ「って興味のある話題についてはじょうぜつだな! 普段もその位しゃべってくださいよ!」
犬型怪人「ゼハァ、ゼハァ なるほど体温か・・・」

〇街中の道路
犬型怪人「だったら直接、冷やせばいい」
犬型怪人「水はそこら中にある」
大場らいむ「アワワッ 店長の解説聞いて、回復を・・・」

〇広い公園
犬型怪人「ちょこまかと逃げやがって」
犬型怪人「走って空腹だ・・・」
犬型怪人「喰わせろ!!」
大場らいむ「さぁ店長、戦ってください!」
店長「ぼ、僕には無理だって〜・・・」
大場らいむ「いいえ大丈夫です 店長には隠れた二面性がありますから」
大場らいむ「受け取ってください!」

〇黒

〇モヤモヤ
犬型怪人「そんな貧弱な刃物で・・・」
犬型怪人「何ができる!」

〇血しぶき
犬型怪人「腕・・・誰の? ま、まさか・・・」
犬型怪人「オレの、オレのッ」
犬型怪人「オレの右腕が━━━ッ!?」

〇広い公園
大場らいむ「ワッ、切られた腕がトリ肉に戻った!」
犬型怪人「な、なぜいきなり強く・・・」
大場らいむ「フフフ、それはですね・・・」
「店長は包丁を持つと性格が変わるのです!」
店長「肉だァ!肉を切らせろオ!」
店長「この包丁は血に飢えている」
犬型怪人「危ねえ! なんちゅうヤツだ!」
大場らいむ「この状態の店長を相手に、勝ち目はありません 降参しなさい」
犬型怪人「いや、オマエは少々しゃべりすぎだ・・・」

〇広い公園
犬型怪人「オイ奇人! この女を殺されたくなければ、その包丁を捨てろ!」
大場らいむ「店長ダメです! こんな明白なウソ、全員殺す気です!」
犬型怪人「あぁそうだ! だが無駄な抵抗をしなければ、苦しませずに一瞬で喰ってやろう」
犬型怪人「逆に抵抗するのならば、コイツに最大限の苦痛を与える」
大場らいむ「アアッ!」
店長「やめろ!!」
店長「・・・・・・」
店長「ストレスを与えると肉質が硬くなるぞ」
大場らいむ「オイ店長! わたしのどこを心配している!」
店長「こ、これでいいんだな・・・」
犬型怪人(これでヤツはただの人間 難なく喰える・・・)
犬型怪人「いっただきま━━━す!!」

〇血しぶき
犬型怪人「も、もう一本持ってたのか・・・」
店長「そうだ」
店長「料理人にとって命と同等のマイ包丁を、他人に持たせるわけがないだろ」
店長「最初の包丁は、らいむが練習用として使ってるやつだ」

〇広い公園
大場らいむ「やりましたね店長!」
店長「オイ、らいむ〜ッ!」
店長「そのトリ、木にでも吊して血抜きしとけ!」
大場らいむ「そんなんする必要あるか! 怪人の肉を誰が食うんですか!」
女性型怪人「キャーッ 助けて怪人がすぐ近くに!」
店長「ん?アンタも怪人から逃げてきたのか?」
女性型怪人「はい、あなたの活躍、影から見ておりました その力でもう一体も退治、願えますか?」
女性型怪人「もちろんタダで、とは言いません」
店長「オレにまかせな! 報酬はアンタのムネ肉を揉み込むってことで」
大場らいむ「セクハラオヤジか、店長!」
店長「で、その怪人はどこに?」

〇モヤモヤ
店長「・・・・・・」
店長「エッ?」
大場らいむ「ちょっと何してるんですか! 店長が正気に戻ったじゃないですか!」
女性型怪人「これでいいのよ・・・」
大場らいむ「ハァ?言ってる意味が・・・」
女性型怪人「わたしがその”怪人”だから」

〇血しぶき

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コメント

  • これまた製作カロリー高めな傑作を…面白くて勢い良くポチポチしてしまいました!
    しかし、肛門を見せるという紳士的な挨拶をした彼が変態扱いされたのには理解が出来ません、犬の世界では礼儀正しい事なのに……

  • トリアージって鳥味じゃねーか!🤣
    スチルの魅せ方がタップノベル随一なんよ…もう漫画かアニメみてる気分です😂お話の方も、ホラーとバトルとコメディと3種類堪能出来る美味しさで大満足でした!ご馳走様です🙏

  • 不気味でエグイホラーだし、ゲラゲラ笑えるコメディーだし、ド迫力スチルましましバトルだし、三度美味しい傑作でした🤣
    シュールレアリスム的というかなんというか…クセになる作風です♥️

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