怪人No.12の人間研究。(脚本)
〇宇宙船の部屋
No.12「はぁ...」
No.8「No.12何かあったの?」
No.12「先輩!ごめんなさい ため息、聞こえちゃいましたよね?」
No.8「大丈夫よ。 わたしで良かったら相談してね..」
No.12「先輩♪ ありがとうございます♪ 実はですね.. 恋してしまって..」
No.8「えっ..!? 恋..!?」
No.8「ごめんね.. 少し驚いちゃった.. 私達、怪人の中で恋の前例を聞いたことなかったから」
No.12「そうなんですね! ほんとは、恋かどうかわからなくて、 たぶん、恋かもって思ってしまってます..」
No.8「そうねぇ.. 怪人は心が存在しないはずだから.. よくわからないわ.. でも、どういう経緯で恋しちゃったの?」
No.12「はいっ! 経緯を話すとですね..」
〇川沿いの公園
あれは..確か、15年程前のことです..
〇宇宙船の部屋
No.8「ちょっと待って!? 15年前!!?」
No.12「はい? そうですが?」
No.8「あのね 怪人と人間は、時間の感覚が違うの.. 私達はほんの少しの間と感じていても..」
No.8「人間からみれば、15年はとても長い時間だと思うの..」
No.12「そうなんですかぁ!? 私、お仕事してて、 気づいたら15年たっちゃってましたぁ..」
No.8「そう.. 15年ずっと悩んでたの?」
No.12「うぅ... 悩んでたというか、モヤモヤしてましたぁ お仕事終わってから真剣に考えようと思って..」
No.8「とにかく.. ごめんね..話の途中で.. もう一度、経緯をお話できるかしら..」
No.12「はぃ お話しますね..」
〇川沿いの公園
15年程前のことです。
お仕事で野生の怪人狩りを行っており、
複数の怪人に遭遇してしまいました。
何とか、全ての怪人を狩ることに成功しましたが、私は怪我をしてしまい休憩をしてたときのことです。
No.12「うぅ.. 痛い..しくじっちゃいましたぁ」
鈴木 ハルキ「怪人さん大丈夫ですか?」
No.12「わたしですかぁ? だっ..だいじょうぶですっ!」
鈴木 ハルキ「あっ!女性の方だったんですね! お声聞くまでわからなくて.. 怪人さんって呼んだの失礼でしたよね?? ごめんなさいっ」
No.12「いえっ! 全然失礼じゃないですよーっ! それに怪人に性別の概念は存在しませんので..」
鈴木 ハルキ「怪人さんは性別の概念が無いんですねー! 知らなかったなー お恥ずかしい..」
No.12「声や仕草などは、人間の女性なんですけどね。 おかしいですよねー♪」
鈴木 ハルキ「素敵な声ですよー♪ よかったら、ハンカチ使ってください♪ あっ!返却はいつでもいいので♪」
No.12「あっありがとうございますぅぅ」
鈴木 ハルキ「それではっ とても楽しかったです♪ またお会いしましょう♪」
No.12「はいっ! 私もとても楽しかったですっ! また、お会いしましょうね!」
No.12「かっこよかったなぁ.. あ...名前聞くの忘れてしまいました..」
〇宇宙船の部屋
No.12「以上が経緯となります」
No.8「そうね.. 思ったより普通にいい感じね..」
No.8「恋に関しては、私からアドバイスできることは無いのだけれど..」
No.8「この事はあまり話さない方がいいわ.. 特に D Dには.. 注意した方がいいわね..」
〇実験ルーム
DDの紹介
ドクターD
通称:DD
怪人No.1からNo.12を開発した
〇宇宙船の部屋
No.12「そうですね! D Dには、秘密にしますね!」
No.8「うん.. その方がいいわ.. あと、No.12は人間をもっと知った方がいいと思うの..」
No.12「なるほど! いいですねー♪ 私、人間研究しますっ♪」
No.8「No.12、応援してるわ.. それにこの組織の怪人はもう私達2人だけなのだから.. また、いつでも相談してね」
No.12「はいっ♪先輩♪ 素敵なアドバイスありがとうございます♪ また、相談しますね!」
No.8「ふふっ 喜んでくれてよかったわ.. それじゃあ、No.12またね..」
No.12「先輩はとても優しいです。 よーし!人間研究がんばります!」
〇川沿いの公園
No.12「人間の街に到着しましたー♪ 人間研究開始します!」
No.12「....」
No.12「....」
No.12「......」
No.12「人間はたくさんいますね!」
No.12「あっ!」
No.12「あの方は! 絶対あの人です♪」
鈴木 ナツキ「パパ! はやくいこーよー!」
鈴木 ハルキ「はは♪ ナツキ、あわてるなよー♪」
No.12「あ.. 子供..いますね..」
鈴木 ハルキ「あれ?? もしかして..怪人さん??」
No.12「あっ! おひさしぶりです♪ 申し遅れました..No.12と申します!」
鈴木 ハルキ「あっ! そういえば名前伝えてませんでしたね.. わたしは鈴木ハルキと申します♪ No.12さん、おひさしぶりです♪」
No.12「ハルキさんですね! あっ息子さんですよね?」
鈴木 ハルキ「はい♪ そうですよ♪ ほらナツキ、ごあいさつして!」
鈴木 ナツキ「鈴木ナツキ..4歳です」
No.12「ナツキくんって言うんですねー! わたしはNo.12です♪ よろしくね♪」
鈴木 ナツキ「...」
鈴木 ハルキ「ごめんなさい.. ナツキは照れ屋なんですよー♪」
No.12「あはは♪ かわいいですねー♪」
鈴木 ハルキ「あはは♪」
鈴木 ハルキ「それでは、またどこかで! ほら、ナツキもさよならしような!」
鈴木 ナツキ「バイバイ」
鈴木 ハルキ「ありがとうございました♪ それでは!」
No.12「はーいっ♪ さよならです♪」
No.12「... 15年って、長いんですね..」
No.12「あ.. ハンカチ返すの忘れちゃいました.. また、会えるかな..」
No.12「もっと、人間を知らないとですね!」
〇開けた交差点
それから、怪人No.12は人間と接し、人間を理解しようとした。
そして、15年の月日が経過した。
おばあさん「荷物運んでくれて、ありがとうね」
No.12「いえいえおばあさん、私達は人間のみなさんの為に生きていますから!」
おばあさん「ふふっ ありがとう 心が温まったよ」
No.12「心って温まるんですね 怪人は心を持ってませんので、知りませんでした♪」
おばあさん「ふふっ それじゃあね」
No.12「今日も人間研究が進みましたねー! そろそろ帰宅します! あっ!先輩にお土産買っていこー♪」
No.12「お土産何にしようかなー??」
速報ニュースです
現在、怪人保護団体施設が
何者かによって、襲撃されたとの情報が入りました。
No.12「え、 怪人保護団体施設って、この近くですね.. 行ってみましょう!」
〇渋谷フクラス
怪人保護団体施設
No.12「到着しました 建物が、ひどいっ!」
No.12「とりあえず 人間の救助を行います..」
「父さん! どうして... 死んじゃだめだ!」
No.12「え..? あれは、 ハルキさん? ナツキくん?」
No.12「大丈夫ですかー!? お助けしますっ!」
鈴木 ナツキ(青年)「怪人!! 何故なんだ! 何故父さんがこんな目に!!」
No.12「え..」
鈴木 ナツキ(青年)「あんた達、怪人は!!」
鈴木 ナツキ(青年)「父さんは、 怪人保護団体の一員だったのに、 何故、守ってきたはずの怪人に!!」
No.12「え.. 怪人が..やったんですか..」
鈴木 ナツキ(青年)「怪人が、襲撃してきたんだ どうして、くそっ!」
No.12「ほんとに..ごめんなさぃ.. ごめんなさい.. ごめんなさい... ハルキさん..ナツキくん..」
鈴木 ナツキ(青年)「え..? 俺のこと、知ってるのか?」
No.12「ぅぅ... はい..あなたが、まだ幼い頃に会ってます.. No.12です..」
鈴木 ナツキ(青年)「...」
鈴木 ハルキ(高齢)「ぅ... No.12さん..?」
鈴木 ナツキ(青年)「!? 父さん!!!」
No.12「ハルキさん..」
鈴木 ハルキ(高齢)「よかった..元気そうで... もし..可能なら.. 息子を..ナツキのこと..頼みます...」
鈴木 ナツキ(青年)「...」
鈴木 ハルキ(高齢)「私は..もう..だめ..みたいですので..」
鈴木 ナツキ(青年)「だめだ.. 父さん... やだよ..」
鈴木 ハルキ(高齢)「ナツキ..ごめんな.. 父さんのことは..いいから.. 無事でいてくれ.. No12さん..ナツキを..」
No.12「わかりました 私は全力で... ナツキくんをお守りします!」
鈴木 ハルキ(高齢)「ありがとう..」
鈴木 ナツキ(青年)「やだ.. どうして..」
鈴木 ナツキ(青年)「あぁあぁあぁっっ!!」
No.12「ナツキくん...」
No.12「...」
No.8「.. No.12..」
鈴木 ナツキ(青年)「お前は!!! 父さんをよくも!!!」
No.12「!?? えっ..えっ...? 先輩..?」
鈴木 ナツキ(青年)「こいつなんだ! 父さんを殺したのは!」
No.8「...」
No.12「あぁあぁ.. そんなの..先輩? ほんとなんですか??」
No.8「.. そうね.. 事実よ....」
No.12「あぁあぁ..」
No.12「ど..どうして..? 意味がわからないです.. 全然わからないです!」
No.8「No.12.. 私達の組織の目的は..?」
No.12「え..」
No.8「私達の組織の目的は.. 怪人の殲滅よ...」
No.12「...」
No.8「この..怪人保護団体とはね.. とても..長い年月の間..怪人保護について.. 私達の組織と意見が食い違ってたの..」
No.8「そして.. 私達の組織は.. 怪人保護団体も殲滅対象と決定し.. 私に殲滅の命令をしたの...」
No.8「私は.. 仕事をしてるだけ... お願い..No.12ここから離れて.. あなたをこれ以上、悲しませたくない..」
No.12「無理ですよ.. ハルキさんと約束したから、 ナツキくんを守るって..」
鈴木 ナツキ(青年)「...」
No.8「そう.. あの男が..そうだったのね.. ごめんなさい..No.12..」
No.8「それでね.. ナツキくんだったかしら.. あなたも怪人保護団体メンバーよね... 殲滅対象なの..」
鈴木 ナツキ(青年)「!!」
No.12「先輩.. ナツキくんは、守りますっ!」
No.8「そう.. 戦うしかないのね..」
No.12「!!」
No.12とNo.8は戦闘を開始した。
お互いボロボロになり、
そして、決着が着いた..
No.8「やっぱり.. 負けちゃった...」
No.12「先輩...」
No.8「No.12... さすがね..」
No.8「私ね.. あなたと2人きりで.. それだけで..よかったの..」
No.8「No.12.. 逃げてね..? 私達も..組織の殲滅対象だから.. 最後に消されるのは..私達なの..」
No.8「お願い..最後に.. 名前..呼んで..?」
No.12「先輩.. .... No.8..ぅぅ..私..どうすればぃいの..」
No.8「ありがとう.. ごめんね..No.12のスーツ壊しちゃったね.. あ..顔.. No.12の素顔..素敵だよ..」
No.12「どうすればいいの.. もう..わからない..」
No.8「大丈夫よ... 怪人は..心を持ってないから.. 悲しくなんて..ない..はずなのにね.. おかしいなぁ..」
No.12「うぅ... 悲しいですよ.. せっかく..心を持ってないのに.. 悲しいです..」
No.12「うわああぁぁんっ」
〇渋谷フクラス
鈴木 ナツキ(青年)「...」
No.12「ナツキくん、 終わりましたよ」
鈴木 ナツキ(青年)「え!? 誰?」
No.12「No.12です スーツ壊れちゃったので、捨ててきました」
鈴木 ナツキ(青年)「...」
No.12「やっぱり変ですか?」
鈴木 ナツキ(青年)「いや、変じゃないけど」
No.12「よかったー 私、組織を裏切ってしまったので、 そろそろ撤収しますね! さよなら♪」
鈴木 ナツキ(青年)「ちょっと待って!」
鈴木 ナツキ(青年)「ありがとう..」
No.12「はいっ♪ それでは♪」
鈴木 ナツキ(青年)「うん..」
鈴木 ナツキ(青年)「..」
鈴木 ナツキ(青年)「まって!」
No.12「えっ?」
鈴木 ナツキ(青年)「俺、一応怪人保護団体の一員だからさ No.12を保護してやるよ」
No.12「え.. 別に、いいです」
鈴木 ナツキ(青年)「いや! 危ないって!女の子なんだからさ! 保護します!保護させてください!」
No.12「あはは♪ 怪人に性別の概念はありませんよ でも、お言葉に甘えようかな、行くところありませんし..」
鈴木 ナツキ(青年)「マジっ!? よかったぁ ていうかさ、性別の概念ないんだ」
No.12「はい、 D Dがそう言ってました」
鈴木 ナツキ(青年)「そうなんだぁ ていうかさ、 D Dって誰だよ..」
No.12「あはは♪」
完
No.12のピュアな感情が伝わってきて胸を打たれました。その外見や能力と正反対の、繊細な心情描写が素敵なストーリーですね。
斬新な設定にびっくりしました!なるほど、恋愛かぁ...!面白かったです!
怪人と人間は時間の流れが違ってて、彼女には切ない恋になってしまいましたが…すごくよかったです。
彼女の恋心にキュンしました。
ラストの展開もすごく好きです。