読切(脚本)
〇雪山の山荘
ザンザロス「我は怪人だから 寒くないけど 夏子は寒くないのか?」
夏子「ん? 少し寒いかな」
叔父さんの所有する山荘に泊まることにした私たち
ザンザロス「夏子ちゃんと冬まで関係が続くとは思わなかったからうれしい」
夏子「私もだよ♡♡」
ザンザロス「じゃあ山荘の中でゆっくりしよう」
冬子「さみしいの 私をかまって」
夏子「どなたですか?」
冬子「フィンデルト・ユリア・コーデリア、 略して冬子よ」
夏子「冬子っていうんですね 私は夏子です 奇遇ですね、季節をテーマにした 名前同士なの」
冬子「私を探してほしいから あなたの付けてるネックレス もらうね」
冬子「ステキなネックレス・・・・・・ 返してほしくば冬の森を探す事ね」
ザンザロス「待て、待つんだ! それは我が夏子ちゃんの 誕生日記念に買った記念の品だ!」
しかし冬子は話を聞かずに目にも止まらぬ速さでどこかへ消えていった。
夏子「まいったことになったね」
ザンザロス「我が取り戻してみせる」
夏子「森を探せばいいんだよね 2人で行こう」
〇雪山の森の中
ザンザロス「早く歩きすぎてすまない。 少し待とうか」
夏子「ザンザっち歩行スピード早すぎる」
夏子「それにしても冬子どこにいるんだろうね」
ザンザロス「手分けでもして探すか」
夏子「そうしよ」
夏子「この木の影とか怪しい」
冬子「見つかってしまいましたわ」
夏子「ようやく見つけた ネックレス返して」
冬子「私と一緒に色々トークしてくれたら 返すわ」
夏子「なんだ、そんなことか」
冬子「ザンザロスとはどんな関係なの?」
夏子「恋人同士な関係かな?」
冬子「怪人と人間のカップルなんて 初めて見た」
夏子「キスする時とかどこにキスすればいいか 怪人の体の構造的にわかりづらいのよね」
冬子「お熱いわね」
夏子「冬子さんは精霊なんですか? それとも雪女?」
冬子「雪女みたいなものかしら」
夏子「やっぱりそうだったんだ どんなことができるの?」
冬子「一瞬でこんなものを出すことができちゃうの」
夏子「うわ〜、かわいい雪だるまだ」
冬子「友だちほしいな 私ぼっちだもん」
夏子「それじゃ私が友だちになろっか」
冬子「いいの? ネックレス奪うイジワルとかしたのに」
夏子「素直にネックレス返してくれたし もういいよ」
冬子「やったぁ!」
長い髪をうれしそうに揺らしながら
冬子は喜びを隠せないでいる
夏子「冬子ちゃんの趣味は?」
冬子「生み出した氷を削ってかき氷を作ったり 雪だるまを10体くらい作って それぞれに名前を付けたりかな」
夏子「かわいい犬だ〜」
冬子「スノー、私にも友だちできたよ」
スノー「ワンワワン(それはよかったな)」
冬子「スノーも私に友だちできたの 喜んでくれるんだね」
スノー「ワンワンワンワン(人見知りで冬の山の僻地に住んでる冬子がなぁ。赤飯炊かないと)」
冬子「そんな大げさな」
夏子「犬ちゃんと会話できるの?」
冬子「うん。なかなかザンザロス戻ってこないね」
夏子「どこをほっつき歩いてるんだかね。 犬と話できるなんてスゴイ」
冬子「私の魔法でスノーと会話できるようにして あげるよ。 友達記念に」
夏子「あっ、まぶしっ」
スノー「夏子と言ったな、人間の女が冬子と仲良く するのは初めてだからよろしくな」
夏子「本当にしゃべってる!?」
スノー「冬子の魔法により人語を解するように なったのだ」
夏子「なるほど(わかってない)」
冬子「外は寒いからあなたたちの山荘におじゃましていいかしら? 私は寒くないけど夏子ちゃんが寒いと思って」
夏子「そうしよっか」
ザンザロスがどこにいるかわからないけれど
山荘にいずれ戻ってくるだろうしと
冬子の提案をOKしたのだった
〇ホテルのレストラン
夏子「元ペンションだったからか内装豪華だね」
冬子「結婚式にでも来た気分ですわ ザンザロスとの結婚考えたことは ある?」
夏子「えっ それは考えたことない」
冬子「何でですの?」
夏子「怪人との子どもって生まれるのかな?って」
冬子「やってみなければわかりませんわ」
夏子「わ、私処女だし そういうのわかんないよ」
スノー「愛さえあれば子どもがいても いなくても大丈夫だろう」
夏子「私は女の子の子どもほしいな」
冬子「春子か秋子って名付けるつもり?」
夏子「よくわかったね」
冬子「スノー、しばらく休んでなさい」
冬子「まだザンザロス戻ってこないみたいね」
夏子「どうしたんだろう? 道に迷ってるのかな」
ザンザロス「はあはあ・・・・・・ 1時間ほど2人を探したけれど 見つからないし」
冬子「雪が身体中に付いて見るからに寒そうね」
夏子「ザンザロス、 タオルあるから体拭いて」
ザンザロス「1枚だけだとグショグショになっちまう 2枚でどうにかなったけど」
夏子「ほうじ茶入れようか?」
「頼むっ」
夏子「はい、ほうじ茶」
冬子「ありがとう、夏子ちゃんって 優しいんだね」
ザンザロス「RPGやりたくなってきたから2人でゆっくりしてて」
冬子「2人きりになってしまいましたわね 夏子ちゃんの髪触っていいかしら?」
夏子「いいよ、恥ずかしいけど」
私の髪をひんやりした彼女の手が滑る
ひんやりして気持ちいい
冬子「いい髪質してる 私の髪に触れると凍傷起こすから やめといてね」
夏子「おへそ丸出しで寒くないの うらやましい」
冬子「我ながら露出度の高さに ビビりましってよ」
夏子「もう時刻は22:22だ。 課題やるから来客用の部屋で ゆっくり過ごして冬子ちゃん」
現代語と英語の課題をやっつけねば。
〇可愛い部屋
夏子(英語の課題、いちいち慣れないアルファベットを書かないといけない時点でやんなる)
冬子「うええ〜ん」
夏子「どうしたの!?」
冬子「1人はさみしいよぉ スノーも寝てるし 私1人が世界に1人だけな気分」
夏子「頭なでてあげるからこっち来な」
冬子「う、うん」
私は冬子に近づき頭をなでた
凍傷防止の軍手を付けながら
冬子「ありがとう」
夏子「冬子ちゃんはだいぶ長い間 1人だったから さみしがり屋なのかもね」
冬子「はい」
夏子「でもこれからは私もいるからさ」
ギュッと抱きしめてあげたかったけど
凍傷になるから
それはできなかった
結局課題を放置して
冬子が泣き止むまで
一緒に時を過ごした
〇雪に覆われた田舎駅
冬子「それじゃまた1ヶ月後の第3週の日曜日ね」
夏子「うん。冬子ちゃんとは部屋でザンザロスとのデート話したよね」
ザンザロス「そんな話をしていたのか。 詳細が気になる」
夏子「ヒミツ」
冬子「そうですね。 また恋バナしましょう」
山なしオチ無し意味なしの話はこれでおしまいにする。
今回は「ザンザロスと夏子」じゃなくて「夏子と冬子、ときどきスノー」でしたね。友達のできた冬子に赤飯を炊こうとするスノーとほうじ茶をすするザンザロスが面白すぎる。このシリーズはどんなに世界観が奇妙奇天烈でも、どこかのんびりとした時間が流れているような独特の空気感があって、クセになります。
ザンザロスと夏子ちゃんが仲良さそうでお付き合いが続いていてよかったです。
冬子ちゃん、夏子ちゃんみたいな友達ができてよかったですね!
夏子ちゃんすごく男前です!
こんな優しい子が友達とかいいなぁ。
冬子ちゃんもいい友達が出来てよかったですね!
たしかにキスする時は、どこにすればいいのかわからないかも。笑