ブレークタイム(脚本)
〇谷
神野ツカサ「ゼェ・・・ゼェ・・・」
神野ツカサ「ゼェ・・・ゼェ・・・フゥ・・・」
神野ツカサ(重くなったな・・・ リュックを背負うように肩にずっしりくる)
神野ツカサ(アヤトが幼い頃を思い出すな・・・)
神野ツカサ(泣いてばかりで、よく抱っこしてた)
神野アヤト「ん・・・うぅん・・・」
神野アヤト「とーちー・・・」
神野ツカサ「お!! 少しは眠れたか!?」
神野アヤト「わわっ!とーちー!? 俺・・・寝てたの?」
神野ツカサ「びっくりしたぞ!! いきなり倒れたから」
神野ツカサ「多分、緊張の糸が切れて 疲れが一気にでたんだろうな」
神野ツカサ「あの場所にいるのも危険な為 アヤトを担いで移動したんだ」
神野アヤト「わかった! わかったから降ろしてよ! もう大丈夫だから!」
神野ツカサ「はいはい、わかりました ヨイショっと!」
神野ツカサ「そこの少し小高い場所で休憩して 今後の行動を決めていこう」
〇荒地
神野ツカサ「ここならいいだろう 先ずは行動時間の確認しよう!」
神野アヤト「色々ありすぎるから整理しないとね」
神野ツカサ「シンクホールに落ちてコテージから カルサイトまで2時間歩いている」
神野ツカサ「カルサイトから 矢柄達がいた場所は3分ぐらいかな」
神野ツカサ「そして矢柄達の場所から現在地までで えーっとゴソゴソ・・・」
神野ツカサ「約、1時間かな!?」
神野アヤト「このガタガタな道を俺を背負って 1時間も俺を背負って歩いてたの?」
神野ツカサ「あぁ、流石に疲れたから休憩してる」
神野ツカサ「上手く行けば、 次のコテージに1時間以内に着くはずだ」
神野アヤト(とーちー・・・疲れてるだろうな・・・)
神野アヤト「これ食べて・・・」
神野ツカサ「──ありがとう・・・アヤト・・・」
神野ツカサ「ただ・・・あんまりお腹空いてないから アヤトが食べてくれ」
神野ツカサ「グ──!!」
神野アヤト「嘘だ・・・お腹鳴いてるじゃん!! 減ってるでしょ!!」
神野ツカサ「いや、これお腹が 俺に意地悪して恥かかせてるだけだから!」
神野アヤト「はぁ・・・いい大人が何言ってんだよ」
神野アヤト「飴玉貸して!」
神野アヤト「ガリっ!!パリっ!!」
神野アヤト「はいっ!袋のまま噛んで割ったよ!!」
神野アヤト「昔、『甘いもの食べないと力が出ない』 って、とーちー言ってただろ!!」
神野ツカサ「ア、アヤト・・・ そんな昔のことまで・・・」
神野アヤト「だから泣くなって・・・」
神野ツカサ「な、泣いてなんかないし! 汗が目に入っただけだし!!」
神野アヤト「ビリビリ!」
神野アヤト「はい、半分食べるから とーちーはこれ食べてよ」
神野アヤト「パクっ!・・・ん!?」
神野アヤト「う──んまい!!」
神野アヤト「コレ、普通の飴だよね!? 砂糖自体食べるより甘いよ!」
神野アヤト「口の中だけでなく 甘い匂いが体中を包んでゆく──」
神野ツカサ「え!?じゃあ俺も・・・パクっ!」
神野ツカサ「う・・・」
神野ツカサ「うぉー!!うますぎる──!!」
神野ツカサ「なんだコレ・・・!? 何十年も生きているが初めての美味しさだ」
神野ツカサ「働きアリが巣に持ち帰らず その場で食べてしまう程に甘いだろ・・・」
「幸せ・・・」
神野アヤト「飴って・・・ こんな甘い食べ物だったのか・・・」
神野ツカサ「『空腹は最高の調味料』って 誰かが言ってたな」
神野ツカサ「年をとるごとに新しい経験がなくなる中 こんな出会いがあるなんて・・・」
神野ツカサ「どんなに辛くても生きていることが 素晴らしいと感じる」
神野ツカサ「『生きてこそ』だな」
〇荒地
神野ツカサ「地震だ!!」
神野ツカサ「ふ──、一時的なもので良かった だが、のんびりしてられないな もう少ししたら進もう!!」
神野アヤト「今の地震で飴の余韻がなくなっちゃったよ 飴玉、あっという間に溶けちゃった・・・」
神野アヤト「あっ!そうだ!!溶けると言えば さっきの化物は何?なんで溶けたの!?」
神野ツカサ「あれは多分、 アメーバ・・・そうアメーバのような・・・」
神野ツカサ「いやまて、形だけで見れば両生類である 日本の固有種オオサンショウウオにも 似てるな・・・」
神野ツカサ「何千、何万、何億年かもわからないが 淡水で生きてきた 単細胞生物だろうことは確かだ」
神野アヤト「どっちにも似てるならモドキだね」
神野ツカサ「そうその淡水育ちのモドキに目掛け、 塩をぶっかけてやったわけだよ!!」
神野ツカサ「モドキは水分の塊の様に見えたから 塩を振りかけたら浸透圧で小さくなってくれるかなって思ったんだよ」
神野アヤト「えっ!?偶々上手くいっただけなの?」
神野ツカサ「そうそう、そうなの 塩という存在自体知らない モドキは、さぞ驚いただろうな」
神野ツカサ「ま、難しく考えないで ”ナメクジに塩をかけて” 水分を流れさせたみたいな事をしたんだ」
神野ツカサ「今回は連泊予定だったから 鼻うがいセットに 塩を沢山、用意してて良かったよ!!」
神野ツカサ「これから先、モドキの様な 化け物に遭遇する可能性や」
神野ツカサ「矢柄 鉄の様な変わった コテージ宿泊者に出会う恐れもある」
神野ツカサ「兎に角、気を付けないとな」
神野アヤト「うん、わかった あと聞きたいのは・・・ これから食べ物どうするの?」
神野ツカサ「今あるのはコレだけだ・・・」
神野アヤト「缶コーヒー1本・・・」
神野ツカサ「それなんだが、 琵琶湖から水が流れ落ちたってことは 魚も一緒に落ちている筈だから」
神野ツカサ「水が溜まっている方にいき 魚を捕まえるか」
神野ツカサ「新しいコテージの宿泊者に会い 少し分けてもらうかだな」
神野アヤト「魚は、捕まえられないかも知れないから 宿泊者に期待してコテージを目指す?」
神野ツカサ「そうだな、では山沿いの方に歩きながら 新しいコテージを探そう!!」
神野アヤト「わかった!! かーちーやマツリが待ってる、行こう!!」
神野ツカサ「お、元気がでてきたな!! じゃ、いこうか!」
〇雪山の山荘
神野ツカサ「ゼェ・・・ゼェ・・・」
神野アヤト「ふぅ・・・ふぅ・・・あ!?」
神野アヤト「とーちー、前にコテージがあるよ!!」
神野ツカサ「人の気配がないな・・・ アヤト、いつでも逃げられる 準備をしておけよ」
神野ツカサ(何が起こっても お前だけは守ってやるからな・・・)
〇ボロい家の玄関
トン!トン!トン!
神野ツカサ「すいませーん!誰かいますか──」
神野アヤト「返事がない・・・留守なのかな!? あれ!?ドア鍵かかってない!?」
神野ツカサ「アヤト後ろに・・・俺が見てみよう」
神野ツカサ「暗いな・・・」
神野ツカサ「な!?」
神野ツカサ「アヤト見るんじゃない!!」
神野ツカサ「ここで待っててくれ!!」
〇血まみれの部屋
神野ツカサ「なんて事だ・・・全員・・・死んでる!?」
前回、なんで塩持ってたんだろう…って思ってたんですが、まさか鼻うがい用だったとはw
サスペンス劇場が始まった……!
食糧も缶コーヒーだけってかなり追い込まれてますね。
コテージの人達を殺した犯人は『人』なのか、それとも『モドキ』みたいな化物なのか…。気になるので続き読みます
とーちーの優しさがひかりますね…本当に無事に帰ってほしいです。
休憩会ながらコテージの人は全員死んでいるのがシュール笑