わんこな後輩くんと不眠症の先輩ちゃん【フルボイス】

桜海(おうみ)とあ

わんこな後輩くんと不眠症の先輩ちゃん(脚本)

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〇女性の部屋
「お布団、温めてくれたんだ?」
「ありがと。 じゃあ、ベッドにゴロンしよっか」
「あなたの身体、あったかい・・・」
「なんか、いい香りする。 美容院、行った?」
「ヘアオイル? そうなんだ 好きだよ・・・この香り」
「ふふっ。ごめん・・・ 幸せすぎ・・・つい、笑っちゃった」
「じゃあ・・・ 今夜も、あなたの隣でお喋りするね」
「あなたのこと、撫で撫でしていい? というより・・・触れたい」
白川(KEYの撫で撫で、癒されるー)
  ──ベッドに横たわる
  私の耳へと流れ込んでくるのは
  男の囁き声・・・
  恋人に語りかけるような口調の
  KEYの声を聞きながら
  今夜も眠りにつく
KEY「おやすみ。 いい夢が観れますように・・・」
白川「おやすみ・・・KEY」
  ASMR配信者である
  『KEY』の添い寝囁きボイス配信を聞き始めて
  はや1年
白川(やっぱりKEYの声って、よく眠れる)
  配信を聴き始めたきっかけは、
  ハードワークで心のバランスを崩してしまい、
  不眠症になったからだ
  アロマや癒し動画、水音など・・・
  あらゆる不眠改善グッズを使ってみたものの、効果なし
  藁にもすがる思いで飛び込んだのが、
  『KEY』の添い寝囁き配信だった・・・
白川(隣にいるみたいに、リアルなんだよね)
  おかげで不眠症とも、おさらばできた

〇黒

〇オフィスビル前の道
  —— オフィス・夕方 ——

〇オフィスのフロア
金沢 健(カナザワ タケル)「白川先輩、もしかして、来月の進行表って営業部に流してくれました?」
白川「それなら、さっきメールしといたよ」
金沢 健(カナザワ タケル)「わぁー。すみません! つい、忘れちゃ・・・は・・・」
金沢 健(カナザワ タケル)「クシュ!!」
金沢 健(カナザワ タケル)「す、すみま・・・せん」
白川「調子・・・悪そうだね。 今日は早く帰ったほうがいいよ」
金沢 健(カナザワ タケル)「いえ、先輩を差し置いて、先に帰るなんて!」
白川「調子悪い時は、無理しないこと」
白川「その代わり、私が辛い時は助けてね?」
金沢 健(カナザワ タケル)「うう! ありがとうございます! では、お言葉に甘えます!」
白川(よし! 私も配信時間に間に合うように、終わらせないと!)

〇黒

〇女性の部屋
白川「配信、間に合ったー!」
KEY「今晩は。今夜もあなたの隣でお喋りするよ」
リスナー「あれ? 今日のKEYの声、いつもと違う?」
KEY「わかっちゃった? ちょっと風邪気味なんだ」
白川(声、辛そうだな。 無理して配信してないかな?)
白川(毎日配信って、負担大きそうだし・・・)
  その日の夜は、
  KEYの体調が気になりすぎて、珍しく眠れなかった──

〇黒

〇オフィスビル前の道

〇オフィスのフロア
山田(同僚)「金沢、病欠だってさ」
白川「最近、調子悪そうだったもんね」
山田(同僚)「あいつが休むなんて、珍しいからな。 独り身だから、死んでなければいいが・・・」
白川「ちょ! 冗談でもやめてください! きっと、ただの風邪ですよ」

〇黒

〇おしゃれな廊下
白川(──とは言ったものの、 気になって来てしまった)
金沢 健(カナザワ タケル)「は・・・い。 あれ? 白川先輩?」
白川「あの・・・お見舞いに。 これよかったら、食べてね」
金沢 健(カナザワ タケル)「わぁ。こんなに!」
金沢 健(カナザワ タケル)「ありがとうございます!」
白川(何、買っていいのか・・・ わからなかったから)
白川(ついKEYが配信で言っていた、風邪で食べたいやつを、買って来ちゃった・・・)
金沢 健(カナザワ タケル)「わぁー! どれも、僕の好きなやつだぁー!」
白川「ならよかった!」
金沢 健(カナザワ タケル)「!!」
金沢 健(カナザワ タケル)「お、お腹め! 昨日から、何も食べてなかったのでっ!」
白川「邪魔じゃなければ、何か作ろうか?」
金沢 健(カナザワ タケル)「いいんですか!?」

〇システムキッチン
白川(──って。 後輩のキッチンで、何やってるんだろう?)
白川(確か。 KEYが好きなのは卵粥だった)
白川(金沢くんも好きかな?)
白川「!!」
白川(男子の好みの参考が推し配信者とか、女として終わってない?)

〇黒

〇明るいリビング
金沢 健(カナザワ タケル)「わーい! いただきまーす!」
金沢 健(カナザワ タケル)「うあっ! あっちぃ!」
白川(ふふっ。猫舌とか、KEYみたい)
白川「その食欲っぷりなら、明日は出社できそうだね」
金沢 健(カナザワ タケル)「忙しい時なのに、お休み貰っちゃって、すみません・・・」
白川「いーの、いーの。 無理して体壊したら、元も子も無いもの」
白川(・・・そう)
白川(私みたいに不眠症なんかになったら、 大変よ)
白川(せめて、後輩たちには、負担ないようにしてあげたいな)
金沢 健(カナザワ タケル)「先輩だって、無理しちゃダメですからね?」
白川「あ、ありがとう」
白川(なんだろう? 風邪ひいているせいなのかな?)
白川(いつもと違って聞こえる)
白川(まるで、KEYみたい・・・)
白川(もうっ! 何考えてるの?)
白川「ほ、ほーら! 食べたらさっさと寝ること!」

〇黒

〇部屋の扉
白川「金沢くん? そろそろ、帰るね」
白川「・・・返事・・・ない?」
白川「金沢くん? ・・・入るよ?」

〇一人部屋
  部屋に入ると、
  PC机の上に
  真っ黒な人の生首があることに気づいた
「ヒィ!!!!!」
  よく見ると、
  ASMR配信で使われる
  人の頭部を模したマイクだった・・・
白川(な、なんだ、びっくりした・・・)
白川(でも、なんで金沢くんの部屋にあるの?)
白川(実は、金沢くんって配信者なの?)
白川(み、見なかったことにしよう)
  踵を返そうとした途端、
  鞄が机にぶつかり、背後のモニターが光った
  そこには、
  見知った『KEY』の配信画面が映っていた
白川(どういうこと? KEYが・・・金沢くん?)

〇黒

〇中規模マンション

〇女性の部屋
白川(そんなはずない。 気を取り直して、今夜の配信を聴こうっと)
KEY「今晩は、 今夜もあなたの隣でお喋りするよ」
リスナー「こんばんはー。 声の調子、戻った?」
KEY「そうなんだ。 お粥も食べられたし、もう全快だよ」
リスナー「お粥って、自分で作ったの?」
KEY「実は、職場の先輩が作ってくれて・・・」
白川「嘘でしょ? これって私のこと?」
白川(そんなはずない! あ、ありえないでしょ・・・)
白川(どうしよう・・・)
白川(金沢くんが、KEYかもって思ったら・・・)
白川「眠れない!!」
白川「せっかく見つけた安眠方法なのに!!」

〇黒

〇オフィスのフロア
白川(・・・ここは、安眠するためにも、 はっきりさせるべきだよね!)
白川「金沢くん。ちょっと・・・ 聞きたいことがあるんだけど」
金沢 健(カナザワ タケル)「はい♪  どうしました?」
白川「あー。えーっと・・・」
白川(実は・・・配信者のKEYですか?)
白川(あああー! ダメだぁー! やっぱり聞けない!)
白川(そんな質問したら、 私が、リスナーだってバレる!)
白川(知られたら、恥ずか死ぬ!!)
白川(バレるぐらいなら、 不眠でいるほうがよっぽどマシだわ!)
白川「げ・・・、元気になって良かったね」
金沢 健(カナザワ タケル)「はい! 先輩のおかげです! だから今度は僕が先輩を助けますからね」
白川(うーん。 まあ、いっか・・・)

〇黒

〇オフィスのフロア
  ── 一方、健
金沢 健(カナザワ タケル)(ごめんなさい、先輩)
金沢 健(カナザワ タケル)(僕の配信に来る先輩の足跡、 気づいてました)
金沢 健(カナザワ タケル)(いつまでも気づいてもらえないので、 ワザとバラしました)
金沢 健(カナザワ タケル)(きっと、 今は眠れないかもしれないけれど)
金沢 健(カナザワ タケル)(これからは眠る先輩の隣で、 ずっと囁いてあげますから)
金沢 健(カナザワ タケル)(もう少しだけ、待っててくださいね)
  ── fin ──

コメント

  • 大好きな配信者が、直属の後輩だっただなんて、すごく夢のある話ですねー。羨ましい!考えただけで胸キュンです。先輩が本当に気づいた時の後日談が気になります。

  • 男性の声に癒された経験ってないんですけど、このお話を読んでいるととても興味そそられますね。後輩君は姿もかっこいいみたいだけど、声と外観のギャップのある人もいますからね。先輩はラッキーですね!

  • ダミヘいいですよね。
    最近の乙女CDがほとんどこれで嬉しい限りです。
    気づいてくれないなら、自分でバラすしかないですよね。笑
    でも、そんなヤキモキしてる先輩を見て楽しんでる彼は、ちょっと小悪魔的ですね!

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