JUSTICE

ななミロ

俺の味方(脚本)

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ななミロ

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〇地球
  人間の世界に善人と悪人がいるように──
  怪人の世界にも善人と悪人がいる。
  ひとつ違うとすれば怪人の世界では”悪が善”で、”善が悪”ということ・・・

〇おしゃれな食堂
  ──怪人養護施設──
テラー「聞いたか?ジャス!」
ジャス「何だ?」
テラー「ジャーク様がまた戦いの為にこの施設から一人連れてったみたいだぞ」
ジャス「そうか」
テラー「そうかってお前相変わらず冷たい奴だなぁ?」
ジャス「この世界では悪いやつが偉い。なら良い子ぶるだけ無駄だ」
ジャス「現に”良い子ちゃん”にしていた弱虫がまた一人連れて行かれたんだ」
ジャス「しっかし、ジャーク様もなぜ大して役にも立たない奴を連れて行くんだろうな?」
テラー「怪人のくせに『悪いことは良くない!』って言ってる奴らへの見せしめだろ?」
テラー「人間を襲いに行ったってどうせすぐやられる」
テラー「それを分かっていながらあえて弱い奴を連れて行くからな」
テラー「この施設の怪人の事なんてどうせ家族がいない捨て駒だと思ってるんだろ?」
ジャス「まぁ、俺には関係ないことだがな」
テラー「まぁな」
テラー「俺ら悪とか善とか興味ないもんな(笑)」
  ──・・・
ジャス「あ〜腹いっぱいだ。じゃあまたなテラー」
テラー「おージャスまたな」

〇草原の道
ジャス「──・・・」
ジャス「ス──ッ」

〇大樹の下
「おかあさん!」
「おかあさん!ねぇ!いかないで!」
「ねぇ!おかあさん!!」
「なんで僕を置いていくの?」
「やだぁ!おかーさーーーん!!」

〇草原の道
「棒」
「おーい──」
「相棒ー」
ジャス「うっ──」
ジャス「夢か・・・」
テラー「おう!起きたか相棒!」
ジャス「テラー!?」
ジャス「いたのか」
テラー「さっきから呼んでただろ?相棒って」
ジャス「あの声はお前だったのか──・・・」
ジャス「その・・・なんだ?相棒って・・・」
テラー「何か寝てるお前見てたらちょっと言ってみたくてな〜」
ジャス「なんだそれは」
テラー「それより、うなされてたみたいだけど変な夢でも見たか?」
ジャス「・・・・・・」
ジャス「テラーはここに来たときのこと覚えてるか?」
テラー「おっ?あぁ・・・」
テラー「もうあんま覚えてないな──・・・ジャスは?」
ジャス「俺も幼すぎて何も覚えてない。覚えてないのにたまに夢を見るんだ・・・」
ジャス「『いかないで』ってすごくすがるような声で言ってる夢をな」
ジャス「何かその夢を見るとそれは怪人の世界にとって良い事だったのか悪い事だったのか・・・どっちなんだ?って考えたりな」
テラー「おセンチってわけか?」
ジャス「お・・・センチ・・・」
ジャス「やめろ!気持ち悪い!」
テラー「いやいやおセンチって言うんだよそういうのは!」
ジャス「ちっ違う!やめろ!」
テラー「まぁまぁ、俺はお前に会えたこと良いことだって思ってるぜ?」
ジャス「それは同感だ」
テラー「まぁこれからもよろしく頼むよ!おセンチ君♪」
ジャス「その呼び方はやめろっ!」
テラー「ほら相棒のおセンチ君!寝るなら部屋に入るぞ?」
ジャス「本当にその呼び方はやめてくれー!!」

〇山奥のトンネル
「キャー!やめてー!」
かいでぃん「へっへっへ 人間めこうしてくれるわ!」
魔法戦士サン「止めなさい!」
「サン!!?」
魔法戦士サン「もう大丈夫よ」
魔法戦士サン「この世に悪がある限り、私は戦い続ける」
魔法戦士サン「魔法戦士サン!参上!」
魔法戦士サン「雷槌よ私に力を!」
かいでぃん「うぁぁぁ・・・」
魔法戦士サン(最近怪人の量が前より増えてる気がする・・・)

〇秘密基地のモニタールーム
ジャーク「・・・」
ジャーク「またやられたか・・・」
マーニャ「ジャーク様。次はいかがなさいますか?」
ジャーク「うむ・・・」
ジャーク「またあの養護施設にいるものを連れて行くか・・・」
ジャーク「次はあの火の使いの者を──」
マーニャ「承知しました」

〇実験ルーム
ジャス「博士〜?いるか?」
博士「おーおー今日も来よったか」
ジャス「博士、さっきテラーから聞いた。また一人連れて行かれたらしい・・・」
博士「ほ〜そうか」
ジャス「ジャーク様・・・いや、ジャークは何で人間を襲うんだ?」
ジャス「俺には理解できない。怪人は怪人、人間は人間。わざわざ襲う必要なんてあるのか?」
博士「あやつは全てを自分の思い通りに動かしたいだけじゃ・・・」
博士「自分の思い通りになる世界がほしいんじゃろ」
博士「そんなイイコちゃんみたいなこと言ってるとお前さんもジャークに連れて行かれるぞ?」
博士「人間の味方がしたいのか?それとも連れて行かれた怪人の味方をしたいのか?」
ジャス「俺は自分の味方だ」
博士「自分の?じゃと?」
ジャス「俺は俺の信じる道を行く。俺が正しいと思った道に進みたいんだ。だから俺は俺の味方だ!」
博士「ふっ お前さんは相変わらずおもしろいのぉ」
博士「思い出した!いいもんを作ったんじゃ!」
ジャス「いいもの?」
博士「こっちじゃよ。ついておいで」

〇研究所の中枢
博士「これじゃこれ!」
ジャス「何だこれは・・・」
博士「つけてみれば分かる」
ジャス「おーーー!!!?」
ジャス「何だこれは!!?」
博士「ジャス お前は人間になれ」
博士「それで戦うんじゃ。お前が味方だと思うものを守るために」
ジャス「いやっ!人間の姿になったほうが弱くなるんだが・・・」
博士「そらそうじゃろ。だから人間のふりしておれ」
博士「戦うときに本来の姿に戻るんじゃよ。ジャス──」
博士「元に戻るには『カイ』そういえば解ける」
ジャス「人間になるには?」
博士「時計をつけたまま『変化』と唱えればまた人間になるぞ」
ジャス「さすが博士!おもしろいもん作ってくれたじゃねーか」
ジャス「じゃあ俺はさっそく人間界に行くぞ?」
博士「ちょっと待て・・・少し話し方だけ変えて行け。顔に似合わん」
ジャス「ん?あ・・・あぁ・・・気をつける!」
博士「テラーには挨拶していかなくていいのか?」
ジャス「あいつにはまたいつかどこかで会おうって伝えといてくれ!」
博士「ふっ お前さんらしいの」
博士「さて、どうなるかのぉ?」

〇林道
ジャス「人間界に来たって言っても別にやることないんだよなぁ──」
「キャー!やだぁぁあ!!」
ジャス「ん?」
ジャス(あれは・・・)
かな「やめて!」
カイディン「ふふっ」
かな「やだっ!お母さん!」
かな「お母さーん!!」
ジャス「──っ・・・」
ジャス「──・・・」
ジャス「ふぅ・・・」
ジャス「おい!」
「──・・・」
ジャス「その子を離せ」
カイディン「あなたは?」
ジャス「離せと言っている」
ジャス「お前なら俺との力の差くらい分かるだろ?」
カイディン「──・・・っ!」
ジャス「今すぐ消えろ」
ジャス「さもないと・・・」
カイディン「──・・っ!!」
ジャス「行ったか・・・」
ジャス「そこの娘!大丈夫か?」
かな「おじさんは・・・ヒーロー?」
ジャス「おっ・・・おじさん!?」
かな「おじさんじゃなくてお兄さん?」
ジャス「そ、そうだな・・・お兄さんのほうが俺は嬉し──」
「待ちなさーい!!」
魔法戦士サン「そんな幼い子に悪事を働くなんて許せない!」
「!?」
魔法戦士サン「この魔法戦士サンが来たからにはもう大丈夫だよ?」
魔法戦士サン「さぁその子を早く離し──」
魔法戦士サン「って、あれ?」
かな「サンお姉ちゃん!さっきのお兄さん怪人から私を助けてくれたんだよ!」
魔法戦士サン「え?!え!?あの人敵じゃないの!?」

〇山道
「きゃぁぁあ!!」
魔法戦士サン「待ちなさい──・・・っ」
ジャス「──・・・」
魔法戦士サン「──・・・」
魔法戦士サン「あの人──・・・」

〇田園風景
「やめてー!」
  ──・・・・・
魔法戦士サン「魔法戦士サン只今参上──」
魔法戦士サン「っ!!」
ジャス「──・・・」
魔法戦士サン「あなた最近よく見かけるけど、新しいヒーローの方?」
ジャス「いや・・・」
魔法戦士サン「あなた名前は?私は”サン”」
ジャス「・・・俺はジャスだ」
魔法戦士サン「ジャス?ジャスティスのジャスってこと?」
ジャス「──・・・」
魔法戦士サン「あっまた・・・」
魔法戦士サン「もぉ!なんなの?」

〇秘密基地のモニタールーム
マーニャ「ジャーク様。最近人間界に怪人たちを送り込むとサンとほぼ同時にこいつが現れる様になりました」
ジャーク「うむ・・・」
マーニャ「ジャーク様はこいつが誰か分かっているのですか!?」
マーニャ「ジャーク様がよく連れてくる怪人がいるあの施設にいた一人ですよ?」
ジャーク「ふっ あのジジイの仕業であろう」
ジャーク「まぁ、良い。そろそろあの火の使いを人間界に送り込む」
マーニャ「まぁいいってジャーク様っ──」
ジャーク「マーニャ」
マーニャ「承知しました」
ジャーク「さぁ、どうなるのか・・・見ものだな」

〇秘密基地の中枢
マーニャ「──・・・」
マーニャ「次はあなたの番です」
テラー「はぁ〜」
マーニャ「なにため息ついてるんですか!」
テラー「いーや?そんな怒らないでくれよ♪可愛い顔が台無しだぜ?」
マーニャ「かっ!!」
マーニャ「ふざけるのはよしなさい!貴方は明日人間界に行って仕事を真っ当してくるのです!」
テラー「あーあ・・・」
テラー「まさか俺にお呼びかかかるとはな〜・・・」
テラー「ジャスがいたら笑われちまうな」
テラー「──・・・」
テラー「ジャス・・・俺は人間なんか襲いたくねーよ・・・」
テラー「ったく・・・どこいっちまったんだあいつは・・・」

〇広い河川敷
  ──翌日
「きゃぁあ!!」
テラー「ほらほら、早く逃げないと俺の火の玉がぶつかっちゃうよ〜?」
「やめて!誰か助けてっ!」
魔法戦士サン「待ちなさい!!」
テラー「おっ?かわいいお嬢さんが登場ってか?」
  ──・・・
ジャス「・・・っ」
ジャス(何か騒がしいと思ったら──)
ジャス(テラーあいつ・・・送り込まれたのか!?)
テラー「おーっと、飛んで火に入る夏の虫?」
テラー「そこの男の子もいらっしゃーい♪」
ジャス(・・・俺か?)
テラー「ほら、ぼーっとしてんな」
テラー「おっ?怖くて声も出ねーか?」
魔法戦士サン「この卑怯者!その人を離しなさい!」
テラー「へっ やなこった」
ジャス(右の口角があがってる・・・)
ジャス(無理してる時のテラーの癖だ・・・)
ジャス「お前──」
テラー「あ?」
ジャス「無理してんじゃねーのか?」
テラー「は?何言ってんだテメーは」
ジャス「本当はこんな事したくないんじゃねーの?」
テラー「チッ」
テラー「うるせー奴だな・・・」
テラー「その口二度と聞けなくしてやるよ」
ジャス「──・・・」
テラー「何だその目は!」
魔法戦士サン「・・・」
魔法戦士サン「太陽よ!私に力を貸して!」
テラー「うっ──・・・」
テラー「やりやがったな?」
テラー「くらえ」
魔法戦士サン「きゃっ・・・」
魔法戦士サン「海よ!私に力を!」
テラー「うぁっ・・・」
魔法戦士サン「そこのあなた今のうちにこっちに!」
テラー「──・・・っっ」
テラー「いってぇ・・・」
テラー「くっそーこんな事になるなら・・・ 博士にあいつの居場所・・・聞いとけば良かったな──」
テラー「ジャス・・・っ」
魔法戦士サン「何してるの!?そこの人早くこっちに!!」
ジャス「・・・」

〇草原の道
テラー「俺の名前はテラー!これから仲良くしてくれよな!」
テラー「ジャス!またこんなとこで寝てたのか?風邪引くぞ〜?」
テラー「ジャスこっちこいよ!皆で遊ぼうぜ!」
テラー「俺は何があってもお前の味方だ」
テラー「相棒!」

〇広い河川敷
ジャス「・・・」
ジャス「テラー・・・」
テラー「──っ ・・・お前・・・何で俺の名前・・・」
テラー「・・・」
テラー「ジャス・・・?」
テラー「──っ!!」
ジャス「なーに泣いてんだテラー」
テラー「っっ!泣いてねーよ!」
ジャス「わりーな!サン!俺はこいつを傷つける奴は相手が誰であろうと許せねーんだ!」
魔法戦士サン「ジャス・・・あなた怪人を守る気なの?」
ジャス「いや、別に怪人を守る気はない」
魔法戦士サン「あなたは──っ・・・私の・・・人間の味方じゃないの?」
ジャス「はっ! 俺はそもそも人間じゃねぇ。生まれたときから怪人だ」
魔法戦士サン「今まで私をだましてたってこと!?」
ジャス「騙してはいない。俺は怪人だが人間を襲いたいわけではないからな」
ジャス「それより俺は今テラーを助けたい。それだけだ・・・」
ジャス「テラー行こう」
魔法戦士サン「待って!!」
魔法戦士サン「ジャス・・・あなたは結局味方なの?敵なの!?」
ジャス「俺はいつでも俺の味方だ!」
ジャス「だから俺は俺が信じてるものだけを守る!それが俺の正義だ」
ジャス「行くぞテラー」
テラー「ジャス・・・」
テラー「お前ってやつは本当にバカだな・・・」
ジャス「うるせー!やられたやつは黙っとけ!」
ジャス「行くぞ」
魔法戦士サン「──ジャス・・・」

〇空

〇綺麗なダイニング
ジャス「おいっ!テラーお前・・・」
テラー「え?」
ジャス「俺の目玉焼き食っただろ?」
テラー「さーて?何のことかな?」
ジャス「ったく元気になった途端これだよ・・・」
テラー「まぁまぁ!」
ジャス「でも良かったな?元気になって!」
ジャス「まさか博士がお前用の時計も作ってるとはな・・・」
テラー「で、今日も行くんだろ?」
ジャス「あぁ・・・」
ジャス「行くぞ!相棒!」
テラー「おうよ!相棒!」
ジャス「今日も貫くぞ!自分たちの正義!」
テラー「打倒ジャーク!」
ジャス「なんか言ったか?」
テラー「いーや?」
ジャス「打倒ジャークなっ!」
テラー「聞こえてんじゃねーか!」
ジャス「はっはっ」
テラー「ったく」
  ──俺たちはいつだって
  俺たちの味方だ──

コメント

  • 「俺は俺の味方だ」が一匹狼の主人公にふさわしいかっこいいセリフだなあ、と思っていたら、ラストで二人になってからさらに素敵なセリフがあってやられました。やっぱり相棒は一緒にいてこその相棒なんですね。いつの日かサンも仲間入りしてトリオになってたりして。

  • ジャスの「俺は俺の正義を守る」のフレーズが気に入りました。怪人でも中立的立場で生きていくのも悪くはないですね。頑張れジャス&テラー。

  • ジャスの正義論に大賛成です! 味方になるとは、響きはいいですが、誰しも他人の心の中には入ってはいけないので、自分軸でものの良し悪しを決めるのがいいと思います。

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