魔法使いの条件!

さんまる

第二話(脚本)

魔法使いの条件!

さんまる

今すぐ読む

魔法使いの条件!
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇荷馬車の中
リア(わたしが魔法使いに?)
リア(それに ネリアお嬢さまの代わりだなんて)
リア(わたしが持っているものなんて 何もないのに・・・)
リア(いまのわたしが満たす『条件』って 一体なんだろう・・・)
リア(──魔法使いにも、 お嬢さまの代わりにも、なれるわけないよ)
リア(公爵さまのお考えが、全然分からないなぁ)
リア(だけど──)
リア(それでも!)
リア(ママのために、 やれることをやらなきゃ!)
リア(まずは──)
リア「────お答えする前に、 お聞きしたいことがあります」
リア「ママを弔うと、おっしゃっていましたよね」
リア「どこで、どんな風に・・・」
リア「わたし、 ママとお別れだなんて考えられなくて」
リア「考えたくなくて」
リア「たぶんきっと、すぐに会いたくなります」
リア「だから、どうか、 会いにいけるところに・・・!」
キナルス・ユオン「すまない」
キナルス・ユオン「そのことを一番に、君に話すべきだった」
キナルス・ユオン(逸るばかりで 私はまた、 他人の気持ちを置きざりにしていた・・・)
キナルス・ユオン「リアが眠るのは、公爵家本邸の敷地内だ」
キナルス・ユオン「3つある庭園の1つ、シュラフガルテン」
キナルス・ユオン「先々代の当主の頃に作られた、比較的新しい場所だが──」
キナルス・ユオン「死者の眠りを見守ることができる、 特別な場所だ」
リア(眠りを見守る・・・?)
キナルス・ユオン「──先々代の当主 カイル・ユオンは 超の付く愛妻家だったそうだ」
キナルス・ユオン「だが 彼の妻、私の祖母は 病気で早くに亡くなってね」
キナルス・ユオン「妻の好きだった庭園で、 妻の死を悲しみ嘆いていたところに」
キナルス・ユオン「ティネルゼード様が現れた」
リア「ティネルゼードさま・・・」
キナルス・ユオン(名前までは知らないようだな)
キナルス・ユオン「ティネルゼード様は、 この国の始まりの魔法使いだ」
リア「でも、 始まりの魔法使いさまはもうずっと───」
キナルス・ユオン「そう、かなり昔から お姿をお見せにならなかった」
キナルス・ユオン(それには理由があったが──)
キナルス・ユオン「ティネルゼード様は子細を聞き、 そのお力で庭園に霊廟を建ててくださった」
キナルス・ユオン「とても美しい建物だよ」
キナルス・ユオン「リア、もし君が気に入らなければ、 私と一緒に別の場所を探そう」
キナルス・ユオン「本邸に着いたら、すぐに案内する」
リア「・・・ありがとうございます」
リア(新しい場所と言っても、 ユオン公爵家の皆さまが眠る場所・・・)
リア(そんな特別なところに、 ママの居場所も用意してもらえるなんて)
リア(公爵さまは本当に ママとわたしのことを考えてくれているんだ・・・)
リア(・・・・・・・・・)
リア「公爵さまは、 わたしにできると思いますか?」
リア「数時間前に母を亡くしたひとりぼっちの平民で」
リア「だれかに連れ去られるような危険や、 まただれかを巻き込むかもしれないことを」
リア「本当はとてもこわがっている、ただの子供に?」
キナルス・ユオン「・・・やってもらわねばならないだろう」
リア「・・・公爵家の庇護を受けられるとあれば」
リア「そのご恩は大きすぎるほどです」
キナルス・ユオン「・・・・・・・・・」
キナルス・ユオン(そんな風に考えてほしい訳ではないが)
キナルス・ユオン(そう仕向けているとしか言えない状況だ)
キナルス・ユオン「・・・君以外には、務まらないだろう」
リア「それなら──」
リア「やるしかありません!」
キナルス・ユオン「・・・ありがとう これから、よろしく頼む」

〇西洋の城
キナルス・ユオン「────リア」
キナルス・ユオン「長い時間馬車の中にいて疲れただろう」
キナルス・ユオン「ここがユオン公爵家の本邸だ」
リア「うわあ・・・・・・」
リア「こんな・・・お城・・・? うわあ・・・・・・」
「お待ちしておりました キナルス様、ネリアお嬢様」
リア「こ、公爵さま・・・?」
キナルス・ユオン「すまないが、少し合わせてくれ」
キナルス・ユオン「──ネリアの部屋は整えてあるな?」
ルイーア・ヘスタ「つつがなく」
キナルス・ユオン「療養が終わったばかりだ」
キナルス・ユオン「格別に気を配るように」
ルイーア・ヘスタ「かしこまりました」
キナルス・ユオン「ロイスト」
ロイスト・ヘスタ「はい、ご主人様」
キナルス・ユオン「ネリアとシュラフガルテンに向かう」
キナルス・ユオン「お前達は中で待機していろ」
ロイスト・ヘスタ「かしこまりました」
キナルス・ユオン「・・・・・・・・・」
リア(男の子・・・ あの子もお手伝いさんなのかな?)
キナルス・ユオン「──リア もう少し待ってから向かおう」
キナルス・ユオン「リリアンは私が運ぶ」
リア「分かりました!よろしくお願いします!」

〇教会
キナルス・ユオン「────リア、どうだろうか」
キナルス・ユオン「ここなら、すぐに会いに来られる」
リア「とっても、きれいな建物です」
リア(なんだか空気がふしぎな感じ・・・ 特別な場所だからかな)
キナルス・ユオン(悪くないようだ)
キナルス・ユオン「リア」
キナルス・ユオン「中に入ると 周囲を囲むように たくさんの扉が並んでいて、」
キナルス・ユオン「閉まっている扉は すでに誰かの部屋になっている」
キナルス・ユオン「空いている部屋は 扉も開いているから、 その中から好きなところを選ぶといい」
リア(扉が開いている部屋──)
リア「分かりました!」

〇教会
リア「お待たせしました、公爵さま!」
リア「こちらまでお願いします!」
キナルス・ユオン「ああ 今行く」

〇要塞の廊下
リア「──ここの空気は、 他と少し違う気がします」
キナルス・ユオン「そうだな この建物にも 建物の中の空間にも、」
キナルス・ユオン「魔法が使われているからだろう」
キナルス・ユオン「どんな魔法かは──」
リア「眠りを見守る魔法、ですか?」
キナルス・ユオン「──ああ」
キナルス・ユオン「目にすれば分かるだろう」
リア「あっ、公爵さま、あちらです」

〇貴族の部屋
キナルス・ユオン「────リリアン」
キナルス・ユオン「君の眠りを、リアと二人で見守ろう」
リア(ママ・・・)
リア「わっ!?」
キナルス・ユオン「無事に、ティネルゼード様の庇護を 受けられているようだな」
リア「いまのが、そうなんですか?」
キナルス・ユオン「ああ これでこの先──」
キナルス・ユオン「リリアンの体は朽ちることなく、 ここで眠るように私達を待っているだろう」
リア「えっ・・・」
リア「ずっと、ですか?」
キナルス・ユオン「そうだ」
キナルス・ユオン「ティネルゼード様の庇護が続く限りずっと」
リア(眠りを見守るっていうのは、 こういうことだったんだ・・・)
リア(魔法って、 こんなことまでできてしまうの?)
リア(でも)
リア(もうママに触れることを こわがらなくてもいいってことだよね)
リア(──わたしはもっと、 魔法使いになる意味をしっかり考えなくちゃ)
キナルス・ユオン「・・・・・・・・・」
キナルス・ユオン「リア」
キナルス・ユオン「建物の外観だけでなく、このお力も含めて 気に入らなければ言ってくれ」
リア「気に入らないだなんて、 そんなことありません! ただ──」
リア「わたしの想像の及ばないことも 可能にしてしまうほどのお力に」
リア「驚いてしまって」
リア「・・・・・・・・・」
リア「公爵さま」
リア「わたしにもっと、魔法使いのことを 教えて下さいませんか?」
リア「それから──」
リア「ネリアお嬢さまのこと、 魔法使いになれなかったときのこと、」
リア「わたしがこれからどう生きるべきなのか たくさん、お話させてください!!」

ページTOPへ