Ep.2 冒険者ギルド本部東京(脚本)
〇SNSの画面
『「レイヤード・シティ:東京」戦闘中に負傷?!』
出がけに開いた掲示板サイトのスレッドが目に入る。
関連スレッドもいくつかできている。
魔物に物理攻撃された、というのもある。
早宮海瑠(はやみやかいる)(なんだそりゃ)
早宮海瑠(はやみやかいる)(魔物は確かにリアルに見えるが、映像にすぎない)
ネタか煽りスレかなと思いつつも、早宮海瑠は気になったので投稿を見ることにする。
『知り合いから聞いたんだが、葛西臨海公園(かさいりんかいこうえん)で何とかっていう魔物と戦ってて怪我したらしい』
早宮海瑠(はやみやかいる)(場所は具体的だが、知り合いから聞いた話、怪我したらしい、という点で怪しいな)
早宮海瑠(はやみやかいる)(単にころんだってだけなんじゃないだろうか)
早宮海瑠(はやみやかいる)(あ、こんな時間か。 もう出かけないと)
〇立派な洋館
冒険者ギルド本部前。
「レイヤード・シティ:東京」はリアルワールドMMORPGなので、本部はリアルな建物だ。
場所は、このゲームの運営会社が借りている東京湾の最も新しい埋め立て地。
広さは東京ドーム約10個分と広大で、一般の街や公園ではできないようなプレイを楽しめるのだ。
土曜なので、レンタルゴーグルの受付に長い列ができている。
ここは一般の人にも公開されていて、アミューズメントパーク的なところでもあるのだ。
今日は、この前知り合ったユナと待ち合わせている。
僕も彼女もまだまだ初心者なので、一緒にチュートリアルエリアを利用するのだ。
レベルがある程度上がったら、ダンジョン東京に挑戦したい。
早宮海瑠(はやみやかいる)(あ、彼女が来たようだ)
ユナ「こんにちは」
早宮海瑠(はやみやかいる)「どうも」
簡単にあいさつを交わし、チュートリアルエリアに向かう。
〇巨大な城門
早宮海瑠(はやみやかいる)「ユナはどうして弓矢にしたの?」
早宮海瑠(はやみやかいる)(あまり得意なようには見えなかったが)
ユナ「最初は剣を使ってみたんだけど、ちょっと難しくて...」
早宮海瑠(はやみやかいる)「確かに、慣れるまでがちょっと大変なんだよね」
早宮海瑠(はやみやかいる)(バーチャルな剣は使うのにちょっとコツがいる)
早宮海瑠(はやみやかいる)(一方的に切ったり突いたりするのはいいのだが、防御の際の操作がちょっと難しい)
早宮海瑠(はやみやかいる)(ダメージメーターとコントローラの振動から、引くタイミングをはかるのに慣れが必要なのだ)
ユナ「それと、剣だと魔物とかに近づかないといけないのがちょっと怖くて...」
そういうとちょっと恥ずかしそうにほほ笑むユナ。
早宮海瑠(はやみやかいる)「弓矢だと遠くから攻撃できるからね」
ユナ「うん」
早宮海瑠(はやみやかいる)(結構リアルなので、目の前に迫られるとちょっと恐怖を感じることがあるのは確かだ)
チュートリアルエリアに到着。
〇武術の訓練場
ゴーグルをつけて武器を手にチュートリアルエリアに入る二人。
二人とも全くの初心者というわけではないので、弓と剣の練習は簡単に済ませ、複数プレイヤーで戦うところまで進む。
既に何組かのチームが大物の魔物と戦っている。
待機列に並ぶと、このゲームのイメージキャラクター、ニワトリがやってくる。
レイヤード・ドゥー「君たちは剣士と射手かな?」
「はい」
レイヤード・ドゥー「それじゃあ、魔法使いの君と僧侶の君も入って」
早宮海瑠(はやみやかいる)(近くいた男女に声をかける。似たような年齢の人を選んでいるようだ)
レイヤード・ドゥー「剣士と魔法使いが前衛、 射手と魔法使いは後衛」
チュートリアルなので、魔物はゆっくり動いたり一時停止したりする。
いろんなパターンの戦い方を一通り練習し、チュートリアルを終える二人。
早宮海瑠(はやみやかいる)「一休みしようか」
ユナ「そうですね。お茶でも飲みに行きますか」
〇テーブル席
ひでよし「あ、さっきはどうも」
ころね「こんにちは」
早宮海瑠(はやみやかいる)「こんにちは」
早宮海瑠(はやみやかいる)(チュートリアルの最後で組になった二人だ)
早宮海瑠(はやみやかいる)(確か二人とも魔法使いだったかな。タイプの違う)
ひでよし「そういえば、このゲームでけが人が出たって話、知ってます?」
早宮海瑠(はやみやかいる)「掲示板で見ましたけど、根拠のない噂話っていう印象だったけど...」
ころね「まあ、そうなんですけど、葛西臨海公園は近いし今度行ってみようって話してて」
ひでよし「一緒にどうです? 噂の現場の調査にいくのは」
早宮海瑠(はやみやかいる)「おもしろそうだね」
ユナ「私もちょっと興味がわいてきました」