#最強料理少女ころん:餓えを殺す者

なし

#拮抗勝負 :亀の甲羅に・・・?(脚本)

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〇コンビニ
人「ねえー買ってよ最期の晩餐買ってよ」
チルダ「しつけ〜な買ってやるよ」
人「メタボリューム三段腹弁当じゃなきゃだめだよ こっちは一日一食なんだからね」
チルダ(ああ腹が減った)
チルダ「あっ高〜い」
チルダ「ほれ 長生きしろよ、今晩は寒いからな」

〇ビルの裏
人「寒いよ〜寒い、寒い・・・」
ブレイス「あっためてやるぜ」
人「あったか〜い、はは ありがとう、看取ってくれて」
ブレイス「逝ったか。59歳、早すぎるが背に腹は代えられねえ。背と腹がくっつく前に、いただくぜ」

〇ビルの裏
チルダ「俺の弁当返せ」
ブレイス「おいおい世捨て人1人食ったくらいで大袈裟な」
チルダ「俺の弁当返せッ!!」
ブレイス「ぐああああ」
ブレイス「獲物に情が移ったか?」
チルダ「オレの、弁当返せええええ〜」
ブレイス「違うわコレ獲物のこと弁当って呼んでる」
ブレイス「助けてくれ、情報をやるから 200年生きたカメが死んだってんで、都内某所でその肉が振る舞われる。興味ないか?」
チルダ「いってみYO〜!」

〇SHIBUYA SKY
チルダ「都内某所ってどこよ〜!」
ブレイス「ここだよ」
井桁 ころん「#言語道断:餓騎は全員オレ様が滅ぼしてやるぜッ!」
ブレイス「{餓騎}を知ってる? そうか、アイツは先祖代々俺たちの餌食になってきたという一族の」
チルダ「ど〜でもいい設定は本筋じゃないからな、解説役に回った迅速さは評価してやるぜ」
チルダ「飯を食わせろ〜!」
井桁 ころん「#電光石火:へいお待ち!」
チルダ「トロとトロロだ」
ブレイス「トロに見えるのは亀の肉 刺身で来たか」
「──う、うまいがくさい」
チルダ「くさいがうまい! 200年の重みを感じる! ──て、しまった」
井桁 ころん「#吃驚仰天:てめぇら、一般餓騎か! まあいいや、どうなんだよ審査員ども!」

〇飛空戦艦
満完食會 マスキュラ「亀の頭♂のテンプラは出るかな、楽しみだ」
満完食會 レスザン「テンプラ<コンプラ」
満完食會 †ダガー†「†戒律†──我ら餓騎の前には無意味」
満完食會 マスキュラ「私たち満完食會を満足させられるかな井桁ころん」
満完食會 †ダガー†「†この大きさは固いかなちょっと†」
満完食會 レスザン「旨味<臭み」
満完食會 マスキュラ「ちょっと馬刺しっぽい」
「10点」

〇SHIBUYA SKY
チルダ「展望台に戦艦横付けってマナー悪い〜!」
ブレイス「あいつらは{満完食會}! 言うなれば餓騎の四天王!」
チルダ「四天王なのに3人組だしさ〜、良くないよあいつら」
井桁 ころん「評価してもらえてよかった」
チルダ「無垢な少女に戻るなよ」
ブレイス「でもアニキ、あいつら餓騎なのに美食を前にして人間態を保ってる! 只者じゃないぜ」
チルダ「オレがいつアニキになった」
井桁 ころん「#油断大敵:わかってる。引き締めていくぜ」
チルダ「オレじゃなくてコイツの子分だった・・・ アニキ勘違いは恥ずかしいぜ〜」

〇飛空戦艦
満完食會 マスキュラ「対戦相手を紹介しよう 餓騎に刃向かう者共を屠るため満完食會が直々に育て上げた最強料理人!」
満完食會 マスキュラ「せみころん!!」
せみころん「ンゴゴゴゴゴゴ!!」

〇SHIBUYA SKY
ブレイス「臆面もなくゴゴゴと言えるヤツに弱いヤツはいねえ──強敵だ」
チルダ「ニセ○○とかダーク○○系の敵だ 劇場版や終盤で出てくるやつ 初回から出すなよ〜」
井桁 ころん「来たか、せみころん」
せみころん「我が美食に屈服しろ;その上のたうち回れ」
ブレイス「や、やりやがった・・・」
チルダ「キャビア、フォアグラ、トリュフだよな。 いかな三大珍味といえど、生きた年数を味わう餓騎には通じね〜ぞ」
井桁 ころん「#羊頭狗肉:あれはフォアグラじゃねえ。亀肉! キャビア、亀肉、トリュフ! あんなことをされたら──」
ブレイス「亀肉は、{三大珍味になる}!!」
チルダ「なんね〜よ」
井桁 ころん「あ、ああ あああああ・・・」

〇飛空戦艦
満完食會 マスキュラ「議員になってよかった!」
満完食會 レスザン「味<お値段」
満完食會 †ダガー†(今度パパにねだろう)

〇SHIBUYA SKY
ブレイス「満完食會は、高度に人間社会に溶け込んだ上位餓騎! 三大珍味のような高級食材に目が無い!」
チルダ「俗物だ」
ブレイス「アニキも味わっただろ、餓騎は年数を味わうが味覚が無いわけじゃない」
チルダ「オレもアニキにしてくれるのか」
ブレイス「つまり──うまいものはうまい!」

〇飛空戦艦
満完食會 マスキュラ「トリュフの芳しさ♂」
満完食會 レスザン「キャビアのコク」
満完食會 †ダガー†「フォアグラの濃厚さ そして†三大珍味・亀肉†」
「10点!」

〇SHIBUYA SKY
チルダ「フォアグラのヤツは追放しようぜ〜食ってないもん 他のヤツは亀誉めてないし」
井桁 ころん「うう・・・」
チルダ「休憩タイム?」
ブレイス「マズイなアニキ。ころんのアニキは餓騎の{生きた年数という概念を味わう}性質に着目し、敢えて亀肉を生で出した」
ブレイス「せみころんのアニキはその狙いを見極め、{概念を味わう}ことをさらに昇華して満完食會のアニキ達を満足させてみせた!」
チルダ「みんなの弟なんだな、かわいいやつめ〜」
ブレイス「まるで兄弟対決だ。ころんのアニキとせみころんのアニキ、どちらがよりアニキかおそらく次のターンで決する。アチキは震えるよ」
井桁 ころん「#一心同体:兄弟なんかじゃねえ。せみころんはオレ様が切り離した「恨み」そのものだ」
チルダ「折角面倒な前置きをすっ飛ばしたのに、いまさら因縁の話か〜?」
井桁 ころん「#臥薪嘗胆:オレ様の一族は、代々餓騎に飼われ、天寿を全うするまで恩寵を受けてきたんだ!! 何でも貰えた。許せねえ・・・!」
チルダ「健全そう」
井桁 ころん「#天地開闢:餓騎の支配を終わらせ、人間の尊厳を始めるために! オレ様はオレ様の弱さと袂を分った!」
せみころん「お前では私には勝てない;なぜなら私は満完食會の下でありとあらゆる食を味わい願った全てを勉強させてもらってきた」
せみころん「弱さから逃げたお前が、満完食會のみんなを背負っている私に勝てるわけがない!!」
チルダ(敵っぽい方がいい奴か〜? まあオレ悪者だし悪い方を応援してるのが正しいか〜)
井桁 ころん「#笑止千万:与えられるだけの人生で、ホントに生きた年数を重ねられてるのかって言ってんだってんでぃ!」
井桁 ころん「お待ちぃ!!」
ブレイス「そうか、急に始めた無駄話は時間稼ぎ! アニキはカレーを煮込んでいたんだ!」
井桁 ころん「#爆発四散:オレ様の料理で亀のように鈍い価値観を壊せ! お前ら餓騎は味の分からねえ餓鬼と一緒だって言ってんだよおお!」
チルダ「恨みを捨ててなおこんな言い方するのか、人間ってこえ〜」
「いただきま〜す」

〇地図
チルダ「こッこれは──」
チルダ「色んな生き物と人間の時間が幾重にも重なって、何百年分もの複雑な味をぶつけてくる」
井桁 ころん「#至極当然:料理は──」
井桁 ころん「かけ算」
チルダ「かけ算って何だ〜?」
井桁 ころん「餓騎は義務教育も裸足で逃げ出すおバカ種族、無理もねえ かけ算ってのは、単純なたし算じゃない相乗効果だ!」
チルダ(個人的怨恨を感じるんだよな)
井桁 ころん「#一致団結:200年生きた重みが、1年で採れた命やオレ様の16年の人生と高め合う! うまさは何倍にも膨れ上がるぜ!」
チルダ「そんなこと、どうやって」
井桁 ころん「食材への愛、食べてくれる相手への愛だ! そのためにオレ様の中の恨みを切り離す必要があったのさ!」

〇飛空戦艦
満完食會 マスキュラ「これが、愛♂ 一見凡庸に見えるが、亀のクセがカレーに負けずに特別さを放つ」
満完食會 レスザン「味<愛 親元を離れた子が実家の玄関で見える笑顔のような清々しい辛味」
満完食會 †ダガー†「†年度末総決算† コーラで煮ることで亀肉の硬さが氷解し下界に天の恵みをもたらす」
「10点!!」

〇SHIBUYA SKY
チルダ「感想がよくわかんね〜」
井桁 ころん「#千載一遇:食ってみてくれよ、せみころん」
せみころん「おいしい;実のところ乱暴な分身にも心があったという安心感」
チルダ「心、か〜」

〇飛空戦艦
満完食會 †ダガー†「この勝利の先に待つものは†絶望と名付けられし遥かなる安住の失楽園遊園地†」
満完食會 レスザン「終わり<始まり」
満完食會 マスキュラ「立ち上がれ♂、ころん 我々は満たされた」

〇SHIBUYA SKY
チルダ「戦艦爆発した!」
ブレイス「{うまさ爆発}ってことか」
井桁 ころん「#心機一転:ヤツらの無念を胸に、オレ様は餓騎に愛を食わせていくぜ・・・!」
チルダ「いい話風・・・」
せみころん「人の心があれば、自然と涙が出てくるはず;つまり私の分身に愛などない?」
井桁 ころん「#千客万来:オレ様たちの餓騎殲滅の旅は始まったばかりだぜ!! 行くぞチルダ! ブレイス!」
チルダ「なんか仲間にされてるし〜泣いてる自分を捨て置くし〜やべ〜こいつ」

〇闇カジノ
「#次回予告:ころん一行は、ラスベガスで賭け料理対決に挑む。かける料理縛りを意識するあまり、本場のチーズかけ放題に大苦戦!」
チルダ「餓騎は長く生きたものほど美味く感じるんだろ〜」
チルダ「だったら餓騎{オレ}の命を使え〜!!」
「次回! 『#危機一髪 :たてがみの剃るべ!』 お楽しみに〜」
チルダ(えっ命賭けなくても事足りる感じ〜?)

コメント

  • 満漢全席のようにこれでもかと畳み掛ける展開に読者も思わず胸焼けしそうです。コロンとセミコロンを駆使したセリフの応酬や、不等号のレスザン、短剣符のダガーの味の評価も意味不明で面白すぎました。予告の「たてがみの剃るべ」って(笑)。

  • 設定の濃さ、キャラの濃さ、セリフ回しの濃さ、それらの掛け算で生み出されるこの物語、クセになりそうです。次回予告を見て続きが楽しみになったのですが、次回は無いのでしょうか……

  • あ、既にファンです、55号くらいでしょうか。ロールプレイングゲームのような、華やかで、切ない世界。そして、私はスピードに取り残されたカメ。色々な世界観に感謝。

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