オレの拳ファイナル

みけさん

オレの拳ファイナル(脚本)

オレの拳ファイナル

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〇地球
  ・・・世は乱れ、人穢れ、産まれしは怪人。
  この穢れた世界には怪人という概念がある。
  彼等は突如としてこの世界に顕現し、人々に恐れられた。
  怪人は人の文明を破壊する。
  建物を、文化を、知識の集積を、執拗に狙い破壊を繰り返す。
  それは地球が作り出した自浄作用の産物なのかもしれない。
  人は怪人に抗ったが、圧倒的な彼等の力に、次々と文明は破壊されていった。
  長い戦いが続き、疲弊した人類に最後の試練が降り掛かろうとしていた・・・
  ・・・その脅威の名は

〇村の眺望
  ここは日本、八百万の神がおわす地。
  その日本で今、最強の大怪人が誕生しようとしていた。
研究員「時空湾曲波動確認! 怪人エネルギーが集約してきています!」
プロフェッサー「世界各地で数ヶ月前から起こっていた怪人エネルギーの大移動・・・」
プロフェッサー「ワシらの分析通り、今この時をもって! ここに顕現するか!」
プロフェッサー「お主が頼みの綱じゃぞ・・・ 神域の巫女よ・・・」
神域の巫女「・・・・・・」
研究員「怪人・・・いや! 大怪人、顕現します!」
大怪人•グランカイゼル「・・・・・・」
大怪人•グランカイゼル「オレの名は・・・ だいか・・・」
神域の巫女「絶対悪究極根絶波」
大怪人•グランカイゼル「いぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
研究員「凄い勢いでぶっ飛んだー! 顕現と同時に間髪入れずに究極奥義! これに勝る手はなし!やりましたねプロフェッサー!」
プロフェッサー「いやまだじゃ!怪人反応はまだ途絶えておらん!やつは今どこにいるんじゃ!」
研究員「ハワイですね!」
プロフェッサー「ワオ! ワシが新婚旅行で行ったとこー!」
神域の巫女「・・・・・・」

〇アマゾン川のほとり
「ぐああああああ!!」
大怪人•グランカイゼル「・・・いやシャレならんて! オレ、まだこの世産まれて5秒くらいよ!?」
大怪人•グランカイゼル「普通いきなり究極奥義ぶち込みます!? 殺意高すぎでしょ!? 攻略法が理に叶いすぎて怖いわ!」
大怪人•グランカイゼル「それにオレ、破壊力に能力特化し過ぎてるせいでIQそんな高くないかんね!? やめてよねタダでさえ不利なのに!」
おっさん「ま、そうカッカしなさんなって」
大怪人•グランカイゼル「え?誰いきなり? こわっ!」
おっさん「俺は元怪人のオ•サーン。 今は人間社会に溶け込んだしがないおっさんさ」
おっさん「俺も昔は怪人として暴れ回っていた・・・ だがある日、愚かだと思っていた人間に愛を教えられ、今は人として生きてるってわけさ」
大怪人•グランカイゼル((聞いてもないのに自分語りはじめだした))
おっさん「確かにオメエは凄え力を持ってるが、まだ若い。 一皮剥けるためには、さっきお前をぶっ飛ばした奴にぶつかり続けなければならん」
おっさん「ぶつかり続けろ! そして成長するんだ!」
大怪人•グランカイゼル「あ、はい」
おっさん「行けぇい! 大怪人の名を背負いし者よ!」
大怪人•グランカイゼル「あ、行ってきます」
おっさん「お前は全怪人の集大成・・・ 辿り着ける筈だ。俺たちが産まれた意味に・・・」

〇村の眺望
神域の巫女「・・・くる」
研究員「あの技を食らってこの復帰力! やはり一筋縄ではいかんか!」
プロフェッサー「巫女よ! 絶対排他障壁!フルパワーじゃ!」
神域の巫女「絶対排他障壁、発動」
大怪人•グランカイゼル「え!なにこれ!?」
「あじゃぱああああああ!!」

〇外国の田舎町
  アメリカ、ネブラスカ州。
大怪人•グランカイゼル「あべしっ!」
おばさん「おやおや、こっぴどくやられたみたいだねぇ」
大怪人•グランカイゼル「だ、だれ!?」
おばさん「あたしかい?あたしは元怪人のオ・バーサ・ンー。 今はアメリカの片田舎で農業やってるもんだよ」
大怪人•グランカイゼル((またこのパターン?))
おばさん「詳しくはハワイのおっさんから念動光線怪人αを通して聞いてるよ。 なぁに、あんたはまだやれる! ガンガンぶつかってきな!」
大怪人•グランカイゼル「は、はぁ・・・」
おばさん「ほら!大怪人がしけた返事すんじゃないよ! 早く行きな!」
大怪人•グランカイゼル「は、はい! 行ってきます!」
おばさん「人と怪人の破壊の総量は今拮抗している。 その先に進むためには・・・ どうなるかはアンタ次第だよ」

〇村の眺望
  それからもオレは何度も。
神域の巫女「絶対排他障壁」
  何度も何度も・・・
  何度も何度も何度も・・・
  彼女にぶつかり続けた。

〇海沿いの街
  イタリア
イタリア小僧(元怪人)「まだまだ行けんだろぉ!」
大怪人•グランカイゼル「はい!」

〇雪洞
  グリーンランド
北国の親父(元怪人)「気持チ、負ケタラ、ダメダメヨ〜」
大怪人•グランカイゼル「はいっ!」

〇地球
  宇宙空間
大怪人•グランカイゼル「ぐはぁっ!」
サラリーマン(元怪人)「サラリーマンだって頑張ってんだ! 大怪人のお前が頑張らんでどうする!」
大怪人•グランカイゼル「はいっ!!」

〇村の眺望
大怪人•グランカイゼル「うおおおおおおおおおお!!!」
研究員「な、なんて奴だ! 怪人エネルギーに対して反作用の強い、巫女の神通力を何発も食らっているのに!」
プロフェッサー「しかも勢いが弱まるどころか、段々と増してきておる!」
神域の巫女「・・・・・・っ」
大怪人•グランカイゼル「なぜ!なぜ俺が産まれたのか! なぜ怪人が産まれたのか! 今なら分かる!」
大怪人•グランカイゼル「怪人は文明社会をリセットするために地球が作りだしたワクチン! だから人間の文明を破壊し続けた!」
大怪人•グランカイゼル「でも怪人達にもいつしか「心」が芽生えた! 悪い人間ばかりではない、人の「愛」に触れて!」
大怪人•グランカイゼル「そして彼らは願った!破壊の収束を! 怪人の形を捨てて! 人の愚かさを正して! 愛の進化を遂げるために!」
大怪人•グランカイゼル「その願いを! そのささやかな願いを叶えるために! オレが産まれたんだーーーーーー!!!」
研究員「だ、だめだ! このままでは!」
プロフェッサー「限界だ! お前だけでも逃げるんだ! アイリーーーーー!!」
神域の巫女「・・・・・・っぅ」
大怪人•グランカイゼル「・・・そうか。 君はアイリと言うのか」
大怪人•グランカイゼル「ならばアイリ。 オレ達は決着を付けなければならない。 人の業を背負った君と! 怪人の業を背負ったオレとで!」
大怪人•グランカイゼル「フィナーレを飾るのはオレの拳だ! 行くぞアイリ!」
大怪人•グランカイゼル「うおおおおおおおおおおおおおおお!!! 最終奥義!オレの拳!ファアイナルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
プロフェッサー「障壁が・・・破られる! あ、アイリ・・・!」
研究員「だ、大怪人の拳に・・・」
プロフェッサー「・・・花」
大怪人•グランカイゼル「ずっと聞こえていたんだ。 君の心の叫びが・・・」
大怪人•グランカイゼル「君は心を押し潰して、自分を殺して、恐怖と戦いながらオレに対峙していた」
大怪人•グランカイゼル「もう、こんな不毛な戦いはやめにしよう。 アイリ、俺たちはこの先に進むことができる。 だからもう、苦しまないで・・・」
神域の巫女「・・・・・・ぁ、あ」
神域の巫女「・・・苦しかった。怖かった」
神域の巫女「戦いたくなんて、なかった・・・!」
大怪人•グランカイゼル「・・・そうだ。 オレ達は戦わなくてもいいんだ」
大怪人•グランカイゼル「今なら分かる。怪人を捨て、人間になった皆んなの気持ちが・・・」
大怪人•グランカイゼル「だからオレも、怪人を捨てるよ・・・」
グランカイゼル「・・・・・・」
グランカイゼル「アイリ・・・ この花を受け取ってくれ。 皆んなで生きていくんだ。 この花のように、美しく、強く」
神域の巫女「・・・・・・」
アイリ「・・・はい!」
おっさん「まったく・・・ 見せつけてくれるぜ!」
おばさん「しかし私たちは新しい一歩を確実に踏み出した」
イタリア小僧(元怪人)「なぁに! おいら達ならきっとうまくやれるさ!」
北国の親父(元怪人)「ジャパニーズ、ミソギ、トデモイウノデスカネーイ」
サラリーマン(元怪人)「新しい風、か・・・」
研究員「誰すかこいつら?」
プロフェッサー「知らね」

〇地球
  こうして人類は新しい歴史を歩き始めた・・・
  かつて怪人と呼ばれた者たちと共に・・・
  〜完〜

コメント

  • 生まれたばかりなのに「あじゃぱあああ」「あべし」って昭和のギャグを連発するなんて、どんなDNAやねん、と。巫女にぶつかり続けて世界一周旅行できてうらやましい。現地の元怪人たち、みんな日本語喋ってくれて優しい。そして最後はイケメンになって巫女とウフフ、って読者置いてけぼりだけどすごくいい話でした。 

  • 各地に散らばる元怪人のオッサンやオバサン達がシュールで笑えました。無駄にギャグを詰め込むわけでもなく緊張と緩和がきちんと表現されていて、本当に面白い作品でした。

  • 出てきてすぐハワイに飛ばされた大怪人秒殺かと思いました。でも、元怪人達の励ましで巫女と仲良くなれてよかったです。宇宙にもサラリーマンがいたのね。

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