最終回から始める世界平和

今井三太郎

これはお前が選んだ正義(脚本)

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今井三太郎

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〇岩山
  ――正義と悪――。
  その長きわたる戦いに、いま
  終止符が打たれようとしていた。
深淵の王ゲビオロス「ぐおおおおおッッ!!!!」
深淵の王ゲビオロス「おのれ希望戦隊クロスホープめぇ!!!!」
光坂カケル「なんてやつだ ホープバスター5Gでも倒せないなんて!!」
鳴神ライカ「どうしようカケル もうエネルギーが足りないよ!!」
影森ソウヘイ「どうする!? 打つ手がないぞ!!」
大波マスト「・・・」
大波マスト「いや、ひとつだけある。 やつを完全に消滅させる方法がな」
光坂カケル「なんだって!? それは本当なのかマスト!!」
大波マスト「ああ、これだ」
光坂カケル「こいつは俺たちの変身用アイテム」
光坂カケル「『クローバーギア』じゃないか!!」
大波マスト「そうだ。だが変身以外にも使い道がある」
大波マスト「ギアを暴走させるんだ」
大波マスト「そうすれば俺たちの力の源 ホープエネルギーが大爆発を引き起こす」
光坂カケル「な、なんだってー!?」
影森ソウヘイ「待ってくれマスト。 それは、自爆するってことか?」
鳴神ライカ「そんなのダメだよ!!」
大波マスト「誰かひとりが犠牲になれば済む話だ」
影森ソウヘイ「誰か・・・」
鳴神ライカ「ひとり・・・」
光坂カケル「他に方法はないのか?」
大波マスト「残念ながら時間がない あれを見ろ」
深淵の王ゲビオロス「グオオオォォォ・・・!!」
鳴神ライカ「もうあんなに再生してる!!」
影森ソウヘイ「信じられない生命力だ・・・!!」
大波マスト「お前たちも理解したか 世界を救うには今やるしかないんだ」
大波マスト「世界の明日と、仲間ひとりの命。 お前はどっちが大事なんだ、カケル」
光坂カケル「それは・・・」
光坂カケル「俺たち希望戦隊クロスホープは・・・」
光坂カケル「世界を救うために 今日まで戦ってきたわけで・・・」
大波マスト「・・・」
大波マスト「なら、決まりだな」
鳴神ライカ「そんなぁ・・・」
鳴神ライカ「私たちは四人そろって クロスホープなのに・・・」
影森ソウヘイ「・・・」
大波マスト「そういうわけだ」
大波マスト「悪いが、ソウヘイ。 俺たちと世界のために死んでくれ」
影森ソウヘイ「・・・」
影森ソウヘイ「・・・・・・」
影森ソウヘイ「えっ!? 俺ェ!?」
大波マスト「そりゃあ、なあ」
大波マスト「だってお前、次男だろ」
影森ソウヘイ「それいま関係ある???」
大波マスト「俺は資産家の長男だ。 生きて大波財閥を継ぐという使命がある」
影森ソウヘイ「財閥はとっくに解体されただろ!!」
影森ソウヘイ「そ、それに他のふたりは」
光坂カケル「・・・」
光坂カケル「ごめん、ソウヘイ」
光坂カケル「俺には弟と妹がいるから・・・ あとお婆ちゃんも5人ぐらい・・・」
鳴神ライカ「うちもネコ飼ってるから・・・」
影森ソウヘイ「きみたちさ もっと優しい嘘つこうよ」
大波マスト「というわけで消去法だ」
大波マスト「地球の未来はお前に託したぞ、ソウヘイ」
影森ソウヘイ「この期に及んで 調子のいいことばっかり言いやがって」
深淵の王ゲビオロス「グオオオオオオオオォォォォォン!!!!!!」
光坂カケル「まずいぞ!! もう時間がない!!」
光坂カケル「ソウヘイ、たのむ!! ひと思いに逝ってくれ!!」
鳴神ライカ「ソウヘイくん、はやく!! はやく自爆して!!!!」
影森ソウヘイ「ちくしょう!! お前ら言いたい放題かよ!!」
影森ソウヘイ「くそっ・・・なんだよ」
影森ソウヘイ「なんでこんなことに・・・」
影森ソウヘイ「・・・・・・」
影森ソウヘイ「ちくしょーーーッッ!! 怪人もヒーローもみんな嫌いだーーッッ!!!!」
影森ソウヘイ「これで平和にならなかったら 承知しねえぞ世界コラァーーッッ!!!!」
深淵の王ゲビオロス「グワアアアアアアアアッッ!!!!」
  ソウヘイの決死の一撃により
  ついに深淵の王は倒された。
  世界にふたたび
  希望の光がもたらされたのだ。
  ありがとう、希望戦隊クロスホープ。
  ありがとう、影森ソウヘイ。
  僕たちは君のことを
  けして忘れないだろう──。

〇開けた交差点
  ・・・
???「・・・くん」
  ・・・・・・
???「・・・ソウヘイくん」

〇開けた交差点
安生ヒマリ「ソウヘイくん!!」
  ・・・はっ!!
  悪い、ヒマリ。
  ちょっと考え事しててさ
安生ヒマリ「お仕事のこと・・・?」
  まあ、そんなところかな
  いよいよ明日
  決着がつくのかと思うとさ
安生ヒマリ「そっか、明日だもんね・・・」
安生ヒマリ「ソウヘイくん。 絶対に生きて帰ってきてね」
安生ヒマリ「もしソウヘイくんになにかあったら 私・・・」
  そんなに心配するなよヒマリ。
  俺には頼りになる仲間もいるんだ
安生ヒマリ「でも・・・」
  よしわかった。
  じゃあこうしよう
  無事に帰ってこられたらさ
  その・・・俺と
安生ヒマリ「ソウヘイくん、これって・・・!!」
  あれだぞ。どうしても嫌っていうなら
  断ってくれてもいいんだぞ?
安生ヒマリ「・・・」
安生ヒマリ「そういうところだよソウヘイくん」
  ・・・なんかすまん。
  気を悪くしたなら・・・
安生ヒマリ「嫌じゃない」
  へっ・・・?
安生ヒマリ「嫌じゃないよ、私。 ソウヘイくんとなら」
  ヒマリ・・・
安生ヒマリ「・・・・・・」
  ・・・・・・

〇開けた交差点
  あれ、なんだこれ・・・?
  急に視界が
  体が、熱い・・・!?

〇開けた交差点
  ヒマリ、待ってくれヒマリ。
  どこいくんだよ・・・
  必ず帰るって約束したじゃないか。
  俺を置いていかないでくれ──
  ヒマリ──
  ヒマリっ!!

〇黒背景
  ・・・・・・

〇手術室
???「さてと──」
???「理論上は成功しているはずなのだが」
???「・・・起きる気配がないな」
???「なにかが足りないんデスかねぇ?」
???「キミ、なにか心当たりはないか?」
???「うーん、そうデスねぇ」
???「王子様のキス、とかデスかねぇ」
???「ふむ、試してみる価値はありそうだ」
???「どこかの国から王子様を誘拐してきて 無理やりくちびるを奪わせてみようか」
???「それはぁ まず王子様の調達が大変デスねぇ」
???「仕方ないな。 では私自ら試してみるとしよう」
???「えええ、やめたほうがいいデスよ博士ぇ」
???「なあに、所詮はただの粘膜接触だ。 試せることは全て試すのが科学者の本分さ」
???「ようは粘液をシェアすればいいのだろう?」

〇手術室
???「理論上はそうデスけどぉ」
  ・・・?
???「──あ!! いまちょっと動いたデスよ!!」
???「なんだって!?」
???「ふむ、たしかに生体反応を示している。 バイタル値も正常の範囲内だ」
???「やりましたデスね、博士」
???「ああ、やはり私は天才だ!!」
???「私を異端児とさげすみ追放した 学会の老いぼれどもとは・・・」
???「出来が違うのだよ、出来が!!」
???「いよッ!! 塩止(しおどめ)博士!! 頭脳だけなら日本一デス!!」
塩止博士「チッ、チッ、チッ」
塩止博士「日本一ではなく 世界一と言ってくれたまえよ」
塩止博士「・・・」
塩止博士「頭脳だけは、って言った?」
  ・・・う、ここは
  どこだ・・・?
  お前たちはいったい・・・?
塩止博士「おっと、まだ動かないほうがいいぞキミ」
塩止博士「肉体の定着は完了しているが 慣れるまでには時間がかかるはずだ」
  肉体? なんのことを言ってるんだ?
  俺の体はたしか・・・
  ”深淵の王”と一緒に爆発して
  バラバラになったはず──
  いや、そうだとすれば俺は・・・
  なんで生きてるんだ・・・?
塩止博士「ふむ、混乱しているようだ」
塩止博士「見せてしまったほうが早いだろう。 デロデロくん、鏡を持ってきてくれ」
デロデロ「かしこまりデス」
塩止博士「さて、現状を伝える前に ひとつ確認しておきたいことがある」
塩止博士「キミは”影森ソウヘイ”で間違いないな?」
  なに言ってんだ。
  当たり前だろそんなこと
  どうして俺の名前を知ってるんだ。
  誰なんだお前は?
塩止博士「私が誰であるかを知る前に」
塩止博士「キミは自分自身が 何者であるかを知るべきだ」
デロデロ「鏡、お待たせしましたデス」
  俺が何者かだって?
  そんなの決まって・・・
影森ソウヘイ「・・・」
影森ソウヘイ「・・・・・・」
影森ソウヘイ「なんじゃこりゃああああああッッッ!!!!!?」

〇黒背景
  ・・・・・・

〇研究所の中枢
幹部ヌルヌル「へえ、彼が例の怪人なんだな」
幹部ガチガチ「見た目はかなり怖いわね!!」
幹部デロデロ「外見に関しては我々もたいがいなのデス」
影森ソウヘイ「・・・」
塩止博士「騒がしいところだろう?」
塩止博士「そろそろ落ち着いたかね」
影森ソウヘイ「冷静にはなれたよ」
塩止博士「だが納得はしていない といったところか」
影森ソウヘイ「この体はいったいなんだ。 あんたは誰だ? 目的は?」
塩止博士「せっかちだなキミは。 疑問はひとつずつ順番に処理するべきだ」
塩止博士「だがキミの立場であれば無理もあるまい」
塩止博士「まずふたつ目の質問から答えよう」
塩止博士「私は塩止ナギサ」
塩止博士「この”世界平和同盟”の代表だ」
影森ソウヘイ「世界平和同盟?」
幹部ヌルヌル「怪人の怪人による怪人がお互いに 助け合うための組織なんだな」
幹部ヌルヌル「ボクはヌルヌル。 よろしくなんだな」
幹部ガチガチ「アタシはガチガチ。 見ての通り、かよわい乙女よ」
幹部デロデロ「デロデロはデロデロデス」
塩止博士「こういう組織だ」
塩止博士「安心したまえ。 気のいい連中ばかりだよ」

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コメント

  • 「知らぬが仏」という言葉があるからには、「知ってしまったら悪魔」になる人間もいるということですよね。この場合は怪人ですが・・・。復讐劇は最後の最後で相手を許す展開も多いけれど、手ぬるいやり方ではなくしっかり最後までやり遂げてほしいデス。

  • 別のコンテスト参加作品から来たのですが、こちらはシリアステイストですねΣ( ̄。 ̄ノ)ノ
    付き合っていた彼女が、敵とくっ付いていた…『岩窟王』やゲームの『ライブ・○ライブ』思い出しました(^_^;)

  • 仲間からの想定外の裏切りに気づきながらも、あえてありきたりの復讐にはしらなかったソウヘイは真のヒーローですね。姿は怪人となった今、彼なりの正しい復讐を実行していきそうな期待感です。

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