僕たちがつくる七不思議

nagi

エピソード10(脚本)

僕たちがつくる七不思議

nagi

今すぐ読む

僕たちがつくる七不思議
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇田舎の学校
小田「誰か・・・誰か助けて・・・」
???「あなたも不運ね。 今日学校に来ていなかったらこんな風にはならなかったのに」
小田「君は・・・?」
  倒れた俺の後ろにいる人物を見上げようとしたが・・・体が思うように動かない。
小田「岡本瑞穂なのか・・・?」
???「どうして私の妨害ばかりするの? そのカメラを大人しく私に渡しなさい」
小田「カメラは・・・」
  ・・・渡せない。
  これも10年前の大きな手がかりになるかもしれない。カメラは守らなければ。
???「渡してくれないのね。だったらあなたにもそのカメラと同じようになってもらいましょう」
小田「なにを・・・」
  思うように動かない体に重みが増してゆく。
  体の上に土を被されているんだ。
  このままだと俺は・・・
小田「やめろ・・・やめてくれ・・・」
???「深追いしたあなたがいけないのよ」
???「大人しく帰っていればこんなことにはならなかったのにね」
小田「佐崎・・・井上・・・」
小田「助けて・・・誰か、誰か・・・!!」

〇保健室
  助けてくれ・・・!!
  ようやく思うように体が動いたかと思うと、視界が校庭から白い空間に切り替わった。
  ここは・・・?
高月「よかった。目が覚めて・・・ 頭の方は大丈夫かい?」
小田「あれ・・・高月・・・先生? 俺、校庭で誰かに襲われて・・・」
高月「知ってるよ。昨日の夜は学校の宿直担当で、早朝の見廻りをしている時に君を見つけたんだよ」
小田(あれ・・・泉先生も昨夜同じ事言ってたような・・・)
小田「そうだ、カメラはっ・・・!?」
小田「先生、俺が倒れていた所にカメラはありませんでしたかっ!?」
高月「カメラかい? 君を見つけた時には、カメラなんてどこにも見当たらなかったよ」
小田「そう、ですか・・・あの、先生。 宿直っていつも二人一組で行うものなんですか?」
高月「いいや、基本は一人だよ。 夜中の学校を一人だけで歩くのは10年経っても未だに馴れないけれどね」
小田「それじゃあ、昨日も一人だけで見廻りを・・・」
小田(どちらかが、嘘をついている・・・?)
小田「あの、先生は10年前もこの学校にいたって事は、10年間写真部の顧問をされていたんですか?」
高月「ああ、そうだよ。 急にそんな質問してどうしたんだい? 何か気がかりな事でも?」
小田「俺・・・」
小田(話しても大丈夫だろうか・・・地雷にならないといいけど)
小田「俺、昨夜知ったんです。 10年前に行方不明になった生徒について色々と・・・」
高月「岡本瑞穂・・・だね? そうか・・・どこまで調べたんだい?」
  まさか、先生の方から生徒の名前を明かすとは思いもしなかった。
小田(井上が言った高月先生の噂があったから、てっきりはぐらかされると思っていたのに)
小田「写真部に所属していて、先生が受け持っていたクラスに在籍していた事までなら・・・全部、偶然知ったんです」
高月「小田君・・・」
高月「先生がもし、生徒を殺したって言ったら・・・君は信じるかい?」
小田「そ、そんなの信じません!1年の頃から一緒にいて、先生はいつも生徒想いでよくしてくれました」
小田「今のは・・・冗談ですよね?」
高月「・・・・・・」
  先生は俺の問いかけに応じようとしてくれない。保健室にしばしの間、沈黙が流れたのが不安でいたたまれなかった。
高月「はい、どうぞ?」
小田(助かった・・・ ノック音が保健室の怪しくなりつつある空気を絶ちきってくれた)
佐崎「あっ!」
小田「佐崎・・・」
佐崎「よかったー!気がついたのね! 心配してのよ?」
佐崎「小田君、先生にお礼言ったの? あそこで誰も助けてくれなかったら、あのまま炎天下で野垂れ死んでたかも知れないんだから」
小田「さらっと恐ろしい事言わないでくれよ・・・」
小田「お礼を言い忘れていました。 先生・・・どうもありがとうございました」
高月「怪我も大したものじゃなかったし、無事でなによりだよ」
  俺の一礼を見ていた先生はいつもの穏やかな表情に戻っていた。
佐崎「先生、もう現像は全部できていますか?」
高月「ああ、佐崎さんと井上君が提出した分の現像はとっくに終わっているよ。 写真は現像室に置いてあるからね」
佐崎「ありがとうございます! さぁ、小田君も視聴覚室に行くわよ!」
佐崎「これから写真部の存続がかかっている大事な直接対決をするんだからね!」
佐崎「気合い入れていくわよ!早く行きましょっ!」
小田「おいっ、急に腕を引っ張るなよ」
高月「期待してるからね。 みんな・・がんばってくれよ」

〇大教室
  直接対決の内容はこうだ。
  ランダムに選出した在校生を集めた目の前で、撮影した写真のプレゼンをそれぞれが行う。
  多数決でどちらの部の写真が良かったかを第3者視点で決めて投票してもらう流れとなっている。
小田「うわっ、結構人いるじゃん!」
小田(あれ、あの人ってたしか・・・)
佐崎「うちの学校の理事長よ」
小田「そんな上の人が見学しに来てるのかよ・・・随分おおごとだな」
佐崎「きっと写真に興味がおありなのよ」
泉「映え部、写真部。 両方とも揃ってる?」
小田「そういえば井上は・・・」
佐崎「こっちはまだ2人いませーん」
泉「・・・!」
小田(先生・・・?)
  佐崎の2人という単語に、泉先生が少し反応した気がする。
高月「すみません、うちの部員がご迷惑をおかけして・・・」
小田「部長のからも俺からも謝ります。いないのは井上君だけです」
小田「お前変なこと言うのやめろよな?」
小田「・・・というか、佐崎は知ってたんだな。うちの部活全員の名前」
佐崎「えぇ、高月先生からとっくにね」
小田「それっていつから・・・」
  すみませ~ん、遅れました~
  俺たちの会話は気の抜けるような声で遮られた。誰かと思えば、昨夜にも俺たちを待たせた奴が部屋に入ってきた。
小田「井上、お前何してたんだよ」
井上「ごめんごめん、寝不足のせいで教室でうとうとしてたら・・・知らぬ間に寝てた」
小田「少しは緊張感持てよ・・・」
泉「写真部も全員揃ったわね。 じゃあ、始めましょうか」
  斯くして、部活の存続をかけた戦いの火蓋は切られた。

〇大教室
  最初は映え部のプレゼンからだ。
  スクリーンを使って複数のおしゃれなフォトスポットやスイーツが紹介された。
  「かわいい」「おしゃれ」など周囲から好感の声が聞こえてきた事もあり、女子受けは抜群の印象だ。
映え部部員「以上で映え部のプレゼンを終わりまーす!」
佐崎「さぁ、次は私たちの番よ!」
「おう!!」
  佐崎がスクリーンの脇にマイクを持って立った。俺と井上もプロジェクター前にそれぞれの準備をする。
佐崎「私たち、写真部が撮ってきたのは「学園七不思議」です!」
  佐崎の言葉と同時にスクリーンには大きく文字が投影された。
佐崎「みなさん、この学校には噂があるのをご存知ですか?」
佐崎「10年前に、この学校では一人の生徒が行方不明になっているんです。しかも先生により殺害された噂まであります」
佐崎「私たちは降霊術を駆使し、なんと今回生徒の霊の撮影に成功しました!」
小田「あいつ、余計な事まで言いやがった・・・」
  見学している高月先生の方をちらりと見るが、先生の顔は動じてはいなかった。
井上「どうした?そわそわして」
小田「いやっ、なんでもない」
佐崎「小田君、最初の写真を映して!」
小田「・・・あぁ。わかった」

〇個室のトイレ
佐崎「まず1枚目。 これは女子トイレの写真です」
小田「マジで・・・」
井上「写ってるじゃん・・・!」
  トイレには一つのオーブのような光が写り込んでいた。ざわつく周り以上に俺たちの方が驚いていた。
佐崎「見て分かりますか? この漂っている白い光はオーブといって、人の魂を表しています」
佐崎「これはきっと、此処でいじめられていた生徒の幽霊でしょう」
「自分をいじめた生徒を恨んでいて、目で見える形で写真を通して何かを訴えているんだと思います」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:エピソード11

成分キーワード

ページTOPへ