星を護るモノ

スリィ

星を護るモノ(脚本)

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〇地球
アストライオス「もう、終わりだ・・・」

〇謎の施設の中枢
  _アストライオス side_
  数時間前・・・
「──貴様は誰だ!!」

〇謎の施設の中枢
ヒーローA「今から倒されるやつに教えることなどない」
ヒーローA「次はお前だ」
ヒーローA「ぐっっ・・・」
ヒーローA「よくもっ・・・!!」
怪人「アスト様、今のうちに逃げてくださいよ。私が何とか時間を稼ぎますから」
アストライオス「お前、何を言っているんだ!一緒に戦えばいいじゃないか!」
ヒーローA「ごちゃごちゃうるせぇっ!」
怪人「早く逃げろ!!」
アストライオス「なっ・・・」
アストライオス「分かった。お前が戻ってくることを願っているぞ」

〇研究装置
  アストライオスは司令室を抜け、脱出用の宇宙船があるところまでたどり着いた
アストライオス「──ハァ、ハァ」
アストライオス(あいつは無事だろうか・・・)
  爆発音とともに大きく戦艦が揺れる
  『緊急差動装置解除。直ちに避難をお願いします。
  繰り返します緊急差動装置解除──』
アストライオス「まさか・・・」
アストライオス「いや、あいつならきっと戻ってくる。 信じるんだ・・・」
  アストライオスは脱出用の宇宙船に乗り込んだ。

〇飛空戦艦
  仲間が取り残された戦艦は火の粉に飲まれ崩れていく・・・
アストライオス「そんな・・・」
アストライオス「もう、終わりだ・・・」
アストライオス「・・・・・・」
アストライオス「──いや、終わりじゃない」
アストライオス「あいつらを・・・あの悪党共を根絶やしにしてやるっっ・・・!!!!」

〇地球
アストライオス「あれが地球か・・・・・・意外と小さいな」
  数々の星を旅していたアストライオスは悪党を始末するために地球へ向かった

〇ビルの裏通り
アストライオス「地球人は他の異星人よりも厄介だと聞くが・・・」
地球人(あれ、誰かいる・・・・・・)
地球人「きゃーっ!バケモノ!!」
アストライオス「なっ・・・!?」
地球人「お嬢ちゃん、どうかしたか?? ・・・って、なんだこのバケモノはっっ!?」
地球人「なんてこと・・・警察を呼びましょ!」
アストライオス(くそっ・・・ここはダメだ)
アストライオス「すまないな。今のことは忘れてくれ」
  ・・・・・・
「──あれ、ここは・・・・・・」
地球人「なんでこんなとこにいんだ・・・?」
地球人「私にもさっぱり・・・」
地球人(あれ、なんか忘れてる気が・・・)

〇荒れた倉庫
アストライオス「ここまで来れば大丈夫だろう」
アストライオス「全く・・・あれほど厄介だとは思ってもみなかったな」
アストライオス「──ん??これは・・・」
  『○○新聞 ○月✕日 怪人退治、新たなヒーローか』
アストライオス「──だこれは・・・」
アストライオス「なんだこれはっっ!!!!」
アストライオス「私達が怪人だと・・・?」
  捨てられてあったヒーローショーのチラシを見る
アストライオス「私達の仲間を殺したやつがヒーローだと??」
アストライオス「ふざけるなっ!!」
  ──ガサガサッ
アストライオス「誰だ!!」
怪人「じゃ、邪魔だったかな・・・??」
アストライオス「──見たことないやつだな。地球のものか?」
怪人「いやぁ、それが覚えてないんだよ」
怪人「目が覚めたら、研究室にいるし、記憶はないしで大変だったよ」
怪人「ここで引きこもってたら君がやってきたんだよ!」
アストライオス「よ、よく喋る奴だな・・・」
アストライオス「もしかしてお前も仲間の仇討ちか??」
怪人「???」
アストライオス「いや、なんでもない。 ところで、聞きたいことがあるんだが・・・・・・」

〇公園のベンチ
  _猛 side_
桜田 猛「ほら、風船取れたよ」
園児「ありがとう、お兄さん!!」
桜田 猛「1人で大丈夫?」
園児「うん、平気!お兄さんありがとう!!」
桜田 猛(やっぱり子供は元気があって可愛いな・・・)
  ──遠くで悲鳴が聞こえる
「行かなきゃ!」

〇渋谷駅前
  逃げ遅れた男の子がその場で転んでしまう
  園児に怪人が近づく──
怪人「グハッッ」
怪人「誰だ!」
ヒーロー「もう大丈夫だからな」
怪人「邪魔をするな!」
ヒーロー「くっ・・・・・・!!」
ヒーロー「仕方ない。本気を出してやるか・・・」
怪人「なんだって??」
怪人「なんだっ!この、光はっっ!!」
怪人「く、くそ・・・」
ヒーローA「ふぅ・・・」
ヒーローA「みんな、ちゃんと気をつけるんだぞ」

〇街中の道路
桜田 猛(最近やけに怪人が多いな・・・)
  変身道具を見つめる
桜田 猛「僕も強くならなきゃ」
桜田 猛「さて、気分転換に結衣さんのところにでも行こう」

〇レトロ喫茶
宮下 結衣「いらっしゃいま──」
宮下 結衣「猛くん!久しぶりだね」
桜田 猛「ゆ、結衣さんも久しぶり・・・」
宮下 結衣「好きなところ座ってて」
桜田 猛(今日も可愛いなぁ・・・)
宮下 結衣「はい、いつものカフェオレ」
桜田 猛「ありがとう」
宮下 結衣「で・・・最近どう?ヒーローは大変??」
桜田 猛「それがすごく大変で・・・」
宮下 結衣「あはは、そうだよね・・・ヒーローだもんね」
桜田 猛「どうかしたの??」
宮下 結衣「ううん、大丈夫!!」
宮下 結衣「それより、新作のケーキが──」
  カフェの壁が突然破壊される
アストライオス「amgw'a@_ксмdΣ₦ф・・・?」
桜田 猛「な、なんだお前は!!」
アストライオス「おっと・・・この国では”日本語”というのが言語だったか?」
アストライオス「もう一度聞く──お前が桜田猛か?」
桜田 猛「あぁ。だったらなんだ!!」
アストライオス「そうか・・・なら倒すまでだな」
  怪人は猛の胸ぐらを掴んだ
桜田 猛「離せっっ!!」
アストライオス「暴れるな。座標がズレるだろう?」
宮下 結衣「ちょっと!!・・・猛くん!?」
  怪人は魔法を使って猛とともにカフェから消えていった。
宮下 結衣「無事でありますように・・・」

〇荒野
  _No side_
  果てない枯れ地で砂埃が舞い続ける──
桜田 猛「ここはどこだ!!」
アストライオス「私の故郷だよ。ここなら何も壊れないし好都合だろう?」
桜田 猛「変身っっ!!」
桜田 猛「よくも結衣さんのカフェを壊したな!!」
アストライオス「あぁ。それがどうした?」
桜田 猛「なっ・・・どうしたじゃないだろ!!」
アストライオス「建物なんて治るからいいじゃないか」
アストライオス「知ってるか?死んだやつは二度と戻ってこないんだぞ?」
桜田 猛「何の話だっっ!!」
桜田 猛「!?」
桜田 猛(──こいつ、強いッ!!)
アストライオス「どうした?”ヒーロー”はそんなものか?」
桜田 猛「っ・・・!」
アストライオス「隙がありすぎだぞ」
桜田 猛「うっ・・・!!」
  桜田 猛が地面に倒れ込む
アストライオス「もう終わりか?」
桜田 猛(くそっ、このままじゃ・・・)
アストライオス「お前ら”ヒーロー”はどいつもこいつも同じだな」
アストライオス「他の惑星の奴らも正義を振りかざして俺らの仲間を奪っていった」
桜田 猛「・・・何が言いたい?」
アストライオス「私から見れば”ヒーロー”もただの”悪者”だってことだよ」
桜田 猛「・・・確かに、そうかもしれない」
アストライオス「ほう・・・?」
桜田 猛「でもお前らだって俺たちを倒そうとするだろう!?」
アストライオス「そんなの死にたくないからに決まってるだろう?」
アストライオス「確かにあいつらの中にも善い者もいれば、悪いやつもいるかもしれない」
アストライオス「でも、居ただけで殺されるなんて酷いものじゃないのか?」
桜田 猛「・・・」

〇遊園地の広場
  _過去_
  怪人が女の子に手を近づける
桜田 猛「その子から離れろっ!」
怪人「!?」
桜田 猛「はぁっ!!」
怪人「何をする!」
怪人「やめろ!」
桜田 猛「その子に手出しはさせない!!」
怪人「なん、で・・・」
女の子「・・・!!」
桜田 猛「怪我はない??」
桜田 猛「だ、大丈夫、?」
女の子「触らないでっ!!」
桜田 猛「君!これ──」
  女の子の落とした人形を拾い上げる
桜田 猛「子供を襲うなんて・・・」
桜田 猛「ちゃんと気をつけるんだぞ?」
女の子「お兄さん最低!」
桜田 猛「──えっ?」
女の子「あの怪人さん私のぬいぐるみ探してくれたんだよ」
女の子「なんで殺しちゃったの・・・?」
桜田 猛「そんな・・・」
女の子「ヒーローなんて大っ嫌い!!」
桜田 猛「あ・・・・・・」

〇荒野
桜田 猛(思い返せば、あの時も・・・ 俺が一方的に悪者だと決めつけていたんだ)
アストライオス「どうだ?降参する気になったか?」
桜田 猛「・・・」
桜田 猛「降参は、しない」
アストライオス「倒されていいのか?」
桜田 猛「お前らの辛さもよく分かったし、復讐したいのもよく分かる」
アストライオス「お前に何が──」
桜田 猛「だから一緒に変えていかないか?」
アストライオス「なんだと?」
桜田 猛「その偏見を変えれば、君達だって楽しく暮らせるだろう?」
アストライオス「お前、面白いことを言うな」
アストライオス「だが、お前は所詮、地球人。そんな世界を迎える前に寿命とやらで死ぬぞ?」
桜田 猛「それでも良い!この世がより良くなるなら命をかけてでも変えてやる!!」
アストライオス「・・・」
アストライオス「──ふっ」
アストライオス「ふはははははっ!!」
桜田 猛「・・・」
アストライオス「お前、本当に面白いな・・・」
アストライオス「人間と怪人が共存する世界、か・・・」
アストライオス「確かに悪くは無いな」
桜田 猛「君はリーダー性もあるし、怪人達をまとめあげられるんじゃないか?」
アストライオス「ふん。まぁ、いいだろう」
桜田 猛「協力してくれるのか!?」
アストライオス「まぁな」
桜田 猛「本当にすまない・・・」
桜田 猛「もちろん、今までのことは許されるなんて思ってない」
桜田 猛「だから──」
アストライオス「あぁ、もういいさ・・・」
桜田 猛「え?」
アストライオス「許すと言ってるんだよ」
桜田 猛「いいのか??」
アストライオス「私は心が広いからな。水に流してやるさ」
桜田 猛「ありがとう・・・!!」
アストライオス「ほら、世界を変えるんだろう?ヒーローさん」
桜田 猛「あぁ!!」

〇渋谷駅前
  ─××年後─
サラリーマン「新人!お前、面白いなぁ!がははは」
怪人「兄さんがそんなことを・・・」
少女「うん。とってもかっこよかったんだよ!」
工事の作業員「この木材を向こうまで運んでくれるか?」
怪人「もちろんだぜ」
怪人「おっさん、この前腰痛めたばかりなんだから無理せず休んどけって」
工事の作業員「すまねぇな」
  街は様々な人で賑わっていた

〇レトロ喫茶
桜田 結衣「あら、2人ともおかえりなさい」
桜田 猛「ああ。ただいま結衣」
桜田 結衣「カフェオレとコーヒーでよかったかしら?」
アストライオス「ここのコーヒーは宇宙一美味いからな」
桜田 結衣「そんなお世辞、猛さんも言ってくれたことないわよ」
桜田 猛「いつも沢山言ってるじゃないか・・・」
桜田 結衣「そうだったかしら?うふふ」
  『怪人和解条約から10年。この条約を締結したヒーローは今・・・』
アストライオス「しかし、あれからかなりの時が経つな」
桜田 猛「そうだね・・・」
桜田 猛「こうして君と話すのも久しぶりだね」
アストライオス「そうか?私には昨日の事のように思えるが・・・」
アストライオス「しかし、本当に実現するとはな・・・」
桜田 猛「君の協力がなかったら今頃どうなっていたか・・・」
アストライオス「まぁ、お前のおかげでこの美味いコーヒーにも出会えたわけだしな」
桜田 猛「本当にここのコーヒーが好きなんだね」
桜田 猛「あはははっ!」
アストライオス「ははははっ!」
  ──人間と怪人、交わることのなかった者たちが共存し、平和に過ごせる世界となりましたとさ──
  END

コメント

  • バッドエンドを好むとあったので、悲しい結末を想像していたのですが、予想外のハッピーエンドで心が温かくなりました。
    昔、ウルトラマンがビルを壊しながら怪獣を倒すことの是非を論じたように、人によって善悪の判断は難しく、ある程度許容していくことが必要な時もあるということを深く考えさせられました。

  • 自分らと形が違ったり、ましてや自分らより力が強大となると忌み嫌うのが人間の悪いところですよね。
    こうして話し合いで上手くやれるのであれば、それに越したことはありませんよね!

  • 正義とは何か?悪とは何か?その根拠を誰が決めつけたのか?人は見た目で怪人だと決めつけて悪者と騒ぐ!でも、それは偏見で本当の悪は思い込みと決めつけだと気付かされました。

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