読切(脚本)
〇雑踏
この世界には数多くの
怪人たちが住んでいる。
怪人は昔からいるが、
増え始めたのは最近だ。
昔から宇宙人、魔女、妖怪、
怪人たちは世界各地で異形のもの
として嫌われていた。
しかし、最近ではVtuber、
転売屋、在宅ワークの普及により
怪人たちが暮らせる世の中になった。
そして今宵は怪人たちが
宴を始めるとき。
──輝く者たちよ──
今こそ†審判†の刻
〇和室
先代へ元気にしていますか?
私は今、日本に暮らしています。
しかし、悲しいことに・・・
この手紙が届いているということは
僕はもう死んでいるということです。
最後に伝えておきたいことがあります。
〇渋谷駅前
一年前・・・
怪人「ここが日本か・・・」
この日、一人の怪人がアメリカから
日本へやってきた。
彼の名前はガゴガゴ星人
ミュージシャンの専門学校に通うため
日本にやってきた。
ガゴガゴ星人「日本に来たし釣りをしないと」
彼は長所であるコミニュケーション能力
を活かして、マッチングアプリで男を釣って稼いでいた。
専門学校の学費も男を釣って集めた。
ガゴガゴ星人「Twitterこそ最大の出会い系アプリ」
最近よくDMで来るママ活の誘いは
怪人たちの仕業だよ。
みんな、怪しいDMには気を付けてね。
ガゴガゴ星人「人間は食い物」
〇渋谷駅前
欲望の街、池袋。
この街の大半は・・・
埼玉県民と怪人が多く居る。
今からここで
大怪人バトルが始まろうとしていた。
ガゴガゴ星人「まずは新居に行かないとな」
〇高級マンションの一室
ガゴガゴ星人「ここが新居か・・・」
ガゴガゴ星人「やはりタワマンの最上階は景色がいいな」
ガゴガゴ星人「まるで、この世界を手に入れた気分だぜ」
ガゴガゴ星人「お腹が空いたし、出前でも頼むか」
ガゴガゴ星人「貧乏人がせっせと運んできた 飯は最高だろうな」
ガゴガゴ星人「明日からの学校に行かなきゃいけないし 今日は少し休もうかな」
怪人は日本に引っ越してきたが。
学校はオンライン授業で登校
することはない。なぜなら・・・
ガゴガゴ星人「人間ごときが、この俺様を拝めるわけw」
ガゴガゴ星人「今日は疲れたし、あしたから頑張ろう」
ガゴガゴ星人「明日に備えよう」
〇高級マンションの一室
〇高級マンションの一室
〇高級マンションの一室
〇朝日
翌日
〇高級マンションの一室
ガゴガゴ星人「おはよう人類」
ガゴガゴ星人「今日もいい朝だ」
怪人たちの朝は早い。
ガゴガゴ星人「うーん、もうちょっとこう、色っぽさが欲しいのよね」
カーテンを閉め切った部屋の中で、ベッドに腰かけた
ガゴガゴ星人「イケメンポーズ」
こんなかんじ・・・
ガゴガゴ星人「やはり、我はイケメンですな」
どうやら怪人は鏡を見なくても自分の容姿がわかるようだ。
ガゴガゴ星人「はやく、人間になりたい?」
ガゴガゴ星人「俺はイケメンになりたい。。」
ガゴガゴ星人「俺は、もうすでにイケメンだけどな」
ガゴガゴ星人「それはそうと、今日から学校じゃい!」
ガゴガゴ星人「楽しみすぎて、全然眠れなかったぜ」
ガゴガゴ星人「今日のおれ、寝不足だからな」
ガゴガゴ星人「ちょっと夢見が悪くてな」
ガゴガゴ星人「今日はこんな夢を見たんだ・・・」
そう言って、怪人は夢の内容を話し始めました。
〇怪しげな祭祀場
ガゴガゴ星人「我々は怪人、今日も儀式を行う」
ガゴガゴ星人「今回の儀式はソシャゲのガチャで」
ガゴガゴ星人「ピックアップキャラを当てるために行う大規模なものになる」
ガゴガゴ星人「ピックアップキャラの確率0.7%」
ガゴガゴ星人「おれは・・・0.7%を超えてやる」
ガゴガゴ星人「常識は運命を凌駕する。 可能性の壁を越えてやる」
ガゴガゴ星人「おれはどんなことがあってもあきらめない」
ガゴガゴ星人「何度繰り返してもでも・・・」
ガゴガゴ星人「意志は絶対に守り切る」
ガゴガゴ星人「ゲーム内の石も絶対に.......」
ガゴガゴ星人「さあ、儀式に必要なフリー素材を集めないと!!」
ガゴガゴ星人「いらすとやに探しに行かなければ.......」
ガゴガゴ星人「.......!!!」
ガゴガゴ星人「この魔法陣はまさか.......!!!」
〇高級マンションの一室
ガゴガゴ星人「というようなよく分からない夢を見た」
ガゴガゴ星人「いわゆる悪夢というやつだな」
ガゴガゴ星人「しかし、何だか今日は.......!!!」
ガゴガゴ星人「ガチャでレアなキャラが出る気がする」
ガゴガゴ星人「運試しに.......ソシャゲのガチャを引こう」
この日、怪人はガチャを引いた.......!!!
ガゴガゴ星人「ん.......!!!これはまさか.......!!!」
ガゴガゴ星人「ダメだ.......!!! おしまいだーーー!!! 世界の終わりだああああああ!!!」
ガゴガゴ星人「爆死してしまったあああああ!!!」
ガゴガゴ星人「もうダメだ。。。今日は最悪.......!!!」
ガゴガゴ星人「最悪な日でもあなたが好き」
ガゴガゴ星人「それはそう」
ガゴガゴ星人「ガチャで爆死した腹いせにこの東京を滅ぼしてやる!」
ガゴガゴ星人「こんなソシャゲ作った会社が悪い!滅びろ!」
ガゴガゴ星人「滅びのバーストストーリーム」
〇渋谷駅前
臨時ニュースです!
街に怪人が出現しました。
〇研究所の中枢
隊長「街に怪人が現れた!」
隊長「地球防衛隊!出動!」
隊長「直ちに怪人を討伐する!」
アラト「どうやら我々地球防衛隊の出番のようですね!」
アラト「憎き怪人を殲滅する!」
〇渋谷駅前
ガゴガゴ星人「おしまいだぁぁぁ.......!!!」
ガゴガゴ星人「世界のおわりだぁぉぁぁぁ!!!」
ガゴガゴ星人「もう人類は滅んでしまえーー!!」
ガゴガゴ星人「†こんな世界へ告ぐ†」
アラト「そこまでだ!怪人!!!」
アラト「我々はお前らを殲滅する!!」
ガゴガゴ星人「滅びのバーストストーリーム!!」
アラト「ブラック・マジック!」
ガゴガゴ星人「お前はまさか.......ブラック・マジシャン!」
ブラックマジシャン「そうだ!私はブラックマジシャンだ!!」
ブラックマジシャン「食らえ!クシャトリラフェンリル!」
ブラックマジシャン「アストラルクリボー!!」
ブラックマジシャン「オーバーレイネットワークを構築!」
ブラックマジシャン「幻惑の瞳を持つ支配者 ビッグ・アイ」
ブラックマジシャン「テンプテーション・グランス」
ブラックマジシャン「お前の力は奪った!!」
ブラックマジシャン「俺はさらに、暗黒界の取引を発動!」
ブラックマジシャン「チェーンでドロールロックバード!」
ブラックマジシャン「その後に次元の裂け目を発動!」
ブラックマジシャン「そして最後に手札抹殺!」
ブラックマジシャン「これでお前の手札は0枚」
ブラックマジシャン「俺は強烈なはたき落としをセットする!」
ブラックマジシャン「ターン終了だ!」
ブラックマジシャン「おしまいなのはお前の方だったな!怪人!」
ガゴガゴ星人「こんなところで.......くじけてたまるか!!」
ブラックマジシャン「この世に存在する怪人は許さない!」
〇和室
また、1人の怪人が殺された.......
「怪人はただ、ソシャゲのガチャが上手くいかなかっただけなのに.......」
「怪人は邪悪な心を持ってるわけじゃない」
「怪人にも将来の夢や目標があった!!」
「ソシャゲのガチャで爆死したことも」
「人間がソシャゲガチャの確率を操作したから」
「かもしれない.......」
「そもそもソシャゲを作ったのは人間.......」
「もしかしたら本当の怪人は人間の心の中に住むのかもしれませんね」
結局、タイトルの「怪人バンド」とはなんだったのか。ガゴガゴ星人はそもそも学校に行ってすらないもんね。それなのにタイトルにするなんて、作者さんの狂気の真髄を見た思いです。ブラックマジシャンもなかなかアレな感じなので、彼の生い立ちや日常生活も読んでみたいです。
最後のセリフは物語の痛烈なメッセージとして受け取りました。私達に提供される便利なサービスや商品も、使い方次第で害になったりしますね。
怪人の行動や思考が、俗っぽくて面白いですね。まさに普通の学生の日常なのに、それが怪人という視点変換で、途端にコメディに仕上がってしまう。池袋には怪人と埼玉県人が多い、には笑いました!