怪人の日常

ハニワくん

読切(脚本)

怪人の日常

ハニワくん

今すぐ読む

怪人の日常
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇温泉の湧いた渋谷
パープルラドウ「くそう、撤退だ! 覚えていやがれ!!」
ヒーロー「逃がしたか・・・」
アシスタント「お疲れさまでした。 被害の有った場所は速やかに修繕させますので、ご安心ください」
自衛隊「瓦礫の撤去開始! 三時間で元の状態に戻すぞ!」
アシスタント「何時もご苦労様です」
自衛隊「これも任務なので。 怪人の相手は我々には出来ませんから。 それに支援してくださる物資のお陰で、修繕も早く済みます」
アシスタント「戦いのアフターケアは万全、が私達ヒーロー協会の務めですから」
ヒーロー「私は周辺のパトロールをしてから本部に戻る」
アシスタント「今日の晩御飯は祝勝も兼ねて奮発しますから、楽しみにしてください」
ヒーロー「了解した」
自衛隊「可愛子ちゃんの手作りとか、何時も羨ましいなあ」

〇実験ルーム
パープルラドウ「ふう、今日もヒーローにしてやられたぜ」
同僚「よう、お疲れさん。 この後一杯いかないか?」
パープルラドウ「あー、悪い。 今日は先約があるんだわ。 又今度な」
同僚「そっか。 んじゃまたな」
幹部「ご苦労。 今日の任務は過不足無い。 次の任務まで身体を休めておけ」
パープルラドウ「は、有りがたき幸せ」
パープルラドウ「・・・ふう、緊張したな。 何時も帰還ゲート前で任務評価を下すの辞めて欲しいぜ」
パープルラドウ「てか、アイツもう先に集合場所に行ってんのか?」

〇シックなバー
友人「お、やっときたか。 先に一杯引っ掻けてたぞ」
パープルラドウ「やっぱり先に来てたか。 マスター、俺にも一杯いつものヤツ」
マスター「はいよ」
パープルラドウ「ングング、プハー。 生き返るぜ」
友人「それで? 今日はどうよ」
パープルラドウ「何時ものごとく子典範にやられたさ。 怪人がヒーローに勝てるわけ無いだろうが」
友人「まあ、幹部ですら苦戦するのに俺達怪人じゃ歯が立たないのも仕方ないよな」
パープルラドウ「俺達は街を破壊してヒーローにやられる迄がワンセットだしな」
友人「それより明日は空いてるんだろう? 彼処に行ってみないか?」
パープルラドウ「戦闘員達の訓練所にか? 行くだけ時間の無駄だろ」
友人「行ってから、もう一度その言葉が吐けるか賭けるか?」
パープルラドウ「お、自信満々だな。 良いだろう、行ってやるよ。 勝った方が食堂のデザート独占な」
マスター「後悔しますよ」
友人「マスター、シー」
パープルラドウ「あん? マスター何か知っているのか?」
マスター「行けばわかります」

〇廃ビルのフロア
戦闘員A「あ、怪人さん達が来てくださったぞ」
戦闘員B「昨日はお疲れ様です」
戦闘員C「え、本当に来たの?」
パープルラドウ「歓迎してないヤツが居るな」
友人「アイツは俺達にバレたのが早過ぎて驚いてるだけだ」
戦闘員見習い「先輩方、どうされましたか?」
パープルラドウ「何、女の戦闘員、だと?」
友人「ああ、この間入ったばかりの新人だ」
戦闘員見習い「怪人様方初めまして。 見習いですが、どうぞよろしく」
パープルラドウ(オイオイ、野郎共の中に一輪の花とか何の冗談だよ?)
友人「なあ、あの台詞言ってみるか?」
パープルラドウ「く、殺せ」
友人「デザート頂き」

〇荒廃した街
パープルラドウ「くははははは! 今日はこの辺で勘弁してやろう」
ヒーロー「く、幹部でもないのに手強かった。 何故急に強くなったんだヤツは?」
アシスタント「解りません。 それにしても被害甚大ですね」
自衛隊「今日中に修繕は難しいな」
ヒーロー「すまない」
アシスタント「謝らないでください。 怪人を退けられただけでも御の字ですから」
自衛隊「ああ、悪いのは怪人だ。 ヒーローが居なければ今頃街は崩壊している」
ヒーロー「何にせよ、次現れた時には全力で排除せねばな」
アシスタント「新しい武器の検討も視野に入れておきます」
ヒーロー「ああ、頼む」

〇実験ルーム
パープルラドウ「ただ今帰還しました」
幹部「ご苦労。 今日の任務は素晴らしい成果だった。 次もこの調子で頑張りたまえ」
パープルラドウ「は、有りがたき幸せ!」
同僚「オイオイ、やるじゃんよ。 調子良くね?」
パープルラドウ「フフフ、まあな」
同僚「で、今日は一杯やってくかい?」
パープルラドウ「良いだろう。 なんなら奢ってやろう」
同僚「わお、太っ腹」

〇シックなバー
友人「お、今日は同僚と一緒か」
同僚「よ」
パープルラドウ「お前は何時も居るな・・・」
友人「ふ、任務が何時も早く終わらせるように迅速な行動を心掛けているからな」
同僚「いや、あんた戦闘員がやられたと同時に撤退してんじゃん」
パープルラドウ「ヒーローとサシで対決していないのかよ」
友人「戦略的撤退だよ。 ヒーローは強い。 多勢で勝負にならなければ、私が独り挑んでも結果は変わらない」
同僚「まあ、成果だけはしっかりと残すから許されているんだよなあ」
友人「それより、最近調子が良いな」
パープルラドウ「ああ、自分でも驚くくらいだ。 力が漲っている」
友人「彼処に通っているからか?」
パープルラドウ「は? そんなわけ無いだろう!」
同僚「え? 何処に行ってるんだ?」
パープルラドウ「何処にも行ってない。 マスター、何時もの」
マスター「はいよ」
友人(これはひょっとして?)

〇廃ビルのフロア
戦闘員見習い「最近のご活躍、噂になっていますよ」
パープルラドウ「ん? そうか」
戦闘員B「マジで半端ないっす」
パープルラドウ「お前達がお膳立てしてくれているからだ」
戦闘員B「やっべ、惚れそう」
戦闘員見習い「怪人様のお陰で、私達も強くなれました。 ありがとうございます」
パープルラドウ「礼には及ばん。 俺達が強くなればそれだけ組織の役に立てる。 さあ、今日もビシバシしごいてやる」
戦闘員見習い「はい、宜しくお願いします!」
戦闘員A「いや、俺はそこそこでお願いしたいです」
戦闘員C「言うな。 辛いが、確実に戦闘力がアップしているんだ」

〇荒廃した市街地
パープルラドウ「ハーハッハッハ! 撤退!」
ヒーロー「くそう! 逃げられたか」
アシスタント「新しい武器でも押さえきれないなんて」
自衛隊「駄目だ、完全に倒壊していやがる。 更地にした方が早いくらいだ」
ヒーロー「これ以上ヤツをのさばらせては不味いな」
アシスタント「怪人だけでなく、戦闘員達との戦闘も長引いています。 此方も戦力の増強を検討しませんと」
ヒーロー「あてはあるのか?」
アシスタント「まだ早いと思っていましたが、見習い隊員の出動を進言しておきます」
ヒーロー「やむおえんか」

〇実験ルーム
パープルラドウ「任務完了しました」
幹部「ご苦労。 活躍めざましい。 幹部候補として推薦を考えている。 期待している」
パープルラドウ「は、有りがたき幸せ!」
同僚「オイオイ、ヤバいな。 遂に幹部候補が見えてきたじゃんよ」
パープルラドウ「ああ、その様だな」
同僚「これは飲みに行くしかないな?」
パープルラドウ「良かろう」
パープルラドウ(これは告白のチャンスかもしれないな)

コメント

  • 仕事の疲れとストレスを癒すために飲みに行き、でも会話の内容は仕事関係が主、ニンゲンも怪人も変わらないですね。空気感を楽しめるコメディですね!

  • 怪人さん達もお仕事お疲れ様ですね。
    楽しそうに飲みに行ってて、仕事の後のお酒は格別だよなぁって思いました。笑
    雰囲気も良くて、一緒に行ってみたいです。

  • 画像がなければ、私達の社会人生活となんらかわらないから怪人達だと想像できないほどでした。強くなるためには努力を怠らない、日本の武士道のような精神に好感がもてました。

コメントをもっと見る(5件)

成分キーワード

ページTOPへ