エピソード7(脚本)
〇図書館
他の本も探ってみたが、アルバム以外に手がかりはなかった。
それでも、かなりの有益な情報を手に入れた。
着実に真相に近づいている。
しかし、同時に時間も迫っていた。
小田「時間がないな。 井上、脅しにかかるといっても十分な物的証拠はなさそうだから他の方法を探そう」
井上「写真を守るとするなら、他のカメラとすり替えるとか?」
小田「そうはしたいが、井上はデジカメだからバレるだろ。俺は佐崎に言われた通りカメラを持参してきてない。すり替えるとしても・・・」
井上「あぁっ!」
小田「急に声あげてびっくりさせるなよ・・・何か妙案でも思い付いたのか?」
井上「だったら高月先生のカメラ借りようよ!」
小田「高月先生・・・」
小田「・・・そうか!」
高月先生はうちの写真部顧問だ。
先生も一眼レフを持ってきては撮影会に同行しているのを何度も見ている。
小田「ワンチャンスあるかもしれない・・・保管場所となれば、職員室だな」
井上「行ってみよう」
〇学校の廊下
時間ももう少ない。
俺たちは図書室を後にして職員室へ急いだ。
〇散らかった職員室
小田「先生の机はたしか・・・」
井上「こんなところ見られたら俺たちはどうなるかな」
小田「生活指導で済ませればいいが、停学も・・・有り得るだろうな。あっ、たしかこの机だ」
暗がりをライトで照らしながら書類の山となっているデスク周辺を探る。
カメラを手に入れるのに、そんなに苦労はしなかった。
小田「あった・・・!これだ!」
机の一番下の引き出しに、いつも愛用している一眼レフカメラを見つけた。
小田「井上、あったぞ。・・・おい、」
俺とは別の場所を探していた井上が、机から一枚の紙を取り出し見つめていた。
小田「井上? 何か目ぼしいものでも見つけたか?」
井上「ねぇ、これってうちの写真部の部員名簿じゃない?」
小田「ああ、それがどうした?」
井上「うちの部さぁ・・・いま部員何人だっけ?」
小田「先生に聞かされてる人数は4人だけど?」
井上「ずっと気にはなってた事だったんだけどさぁ、写真部ってこの3年間ずーっと4人のままじゃん?」
小田「そうだ・・・な」
井上「俺と、小田と、佐崎ちゃんと・・・あと1人。お前名前知ってる?」
小田「いやっ・・・、最初の頃は気にはなっていたが、ずっとこないから名前を呼ぶ機会もないまま・・・忘れてたな」
確かに現在の写真部は4人だ。
一年生の頃から高月先生から伝えられている情報ではあったが、部員全員が揃った事はなかった。
部室の椅子はいつも一つが空席のまま。
入部当初は気にかけていた違和感も、月日が経つにつれ薄れていってしまった。
井上や佐崎も、幽霊部員だと思っていたせいか、生徒の追求もしなかった。
すると、井上がさっきのSNSの書き込みを部員名簿と照らし合わせて俺の前に見せてきた。
岡本瑞穂。
写真部の名簿に記載されていた名前が10年前の行方不明者と一致していた。
小田「ただの幽霊部員じゃない・・・って言いたいのか?」
井上「一人だけ学年が上がってないのもおかしくない?」
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