僕たちがつくる七不思議

nagi

エピソード6(脚本)

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〇放送室
  佐崎からの着信に井上が急いだ手つきで応答した。
井上「・・・もしもし?佐崎ちゃん!?」
  どうやらテレビ電話でかけてきたらしい。しかし、画面は真っ暗な光景しか映っていない。
  もしもし、井上君?
  そっちは大丈夫そう?小田君もちゃんといる?
井上「二人で一緒に行動してるし、無事でいるよ。今小田に代わるから」
小田「もしもし? ずっとお前の安否気にしてたんだぞ!?今どこにいるんだよ」
  ・・・私自身も何処にいるのかわからない。気がついたらここにいて、はっきりと言えるのはすごく暗くて狭い場所って情報だけね
小田「閉じ込められてるのか!?」
  そうみたい・・・。多分ロッカーの中だと思う。扉が開かないから、外から鍵をかけられたんだわ
  犯人の顔を撮ってやろうって意気込んで近づいたのに、顔も見れないまま捕まるなんて・・・情けなくて自分に腹が立ってるところよ
小田「いや違う。佐崎の責任以外にも理由はある・・・」
小田「落ち着いて聞いてくれ。お前を閉じ込めた犯人のメモを見つけたんだ。相手はお前が撮影した写真を狙ってカメラを要求してきた」
小田「明け方までにカメラを犯人に渡せば佐崎は今いる場所から解放される」
  ダメよ、そんなの!!
  私の大事なカメラよ!?渡すなんて絶対にやめて!心霊写真もまだ撮れてないのに、カメラごと渡したら写真部はどうなるのよっ!
小田「でも、そしたらお前が・・・」
井上「佐崎ちゃんならそう言うと思ったよ。こっちで撮影は続けてるからそれは安心して」
井上「不思議な現象が3つ続けて起こってるんだ。きっとすごいものが撮れてるはずだよ」
  すごいじゃない!撮れ高抜群ね!
  じゃああと4枚頼んだわよ、私の事は全部撮った後で構わないから
小田「佐崎・・・」
井上「なっ?俺の言った通りだったろ?」
  佐崎も井上も写真部を守ろうとしている。それなのに、俺の方が無責任な言動をしてばかりだ。
  もうこれ以上、罪悪感を増やしたくない。そんな思いが自分の中に芽生えていた。
小田「佐崎・・・さっきは悪かった。 俺が一緒に行けばこんな事態にはならなかったと思う」
小田「お前がそう言っても、俺が嫌なんだ。今度はちゃんと協力したい。こっちでお前の解放のために別の手段を探ってみる」
  別にそんなの気にしてないわよ。今のところ閉じ込められてるだけだから大丈夫。何かあればまた連絡するからあとは任せたわよ!
  ・・・プツッ・・・ツー・・・ツー
小田「これでよかったのかな・・・」
井上「連絡ついて良かったし、なんだか俺たちが鼓舞されてるみたいな感じだったな。なんで佐崎ちゃんに謝ってたの?」
小田「それはっ・・・」
井上「・・・教えてくれよ?」
小田「佐崎が襲われた前、俺はすぐ隣にいたんだ。にも関わらず俺だけ何もしなかった・・・こうなったのも俺が招いた事態でもあるんだよ」
小田「井上、黙っていてごめん・・・」
井上「佐崎ちゃんを・・・見捨てたのか?」
小田「・・・すまない」
井上「そっか、そうだったんだ」
井上「・・・頭、下げろよ」
小田「・・・あぁ、す、すまなかった」
  頭を下げようとした時、手を目の前にかざして俺の行動を止めたのも井上だった。
井上「何してんだ? 下げるのは、佐崎ちゃんの前でだよ」
  空気が一瞬ピリついた。いつもの態度が、仮面みたいな表層の笑顔が一瞬怖く感じた。
井上「どうした小田?ぼーっとしてるぞ?」
小田「いやっ、なんでもない・・・」

〇まっすぐの廊下
  放送室から出たあと、佐崎を安心させるために咄嗟に出た別の手段を俺たちは模索する事にした。
小田(カメラを渡さず、佐崎を助け出す方法・・・明け方まで時間はあまり残されていない。何か考えないと)
井上「なぁ、カメラに犯人を捉えたならこっちもそれをダシに脅してやる方法はないか?」
小田「脅すって・・・どうやって?」
井上「10年前の事件についてもっと詳しく調べるんだよ。現像して原本を保管する時間はない。だからこっちから調べて特定するんだ」
小田「悪くはない手立てだが、そんなに上手く事は運ばないと思うぞ?時間の無駄にならないといいが・・・」
井上「このまま話してる方が時間の無駄になるよ、行動しながら色々調べて考えよう」
小田「それもそうだな・・・調べるなら図書室だな」

〇学校の廊下
  10年前の情報を集めるため、俺たちは図書室に向かうことにした。

〇図書館
小田「なんだよ、これ・・・」
井上「ひっどいな・・・誰がやったんだ?足の踏み場がないじゃん」
  井上の言う通り、図書室の中は本がひどく散乱していた。一部の本棚は空っぽになり全てが下に落ちている。
  窓が開いていて風が吹く度に、本がパラパラと自然にめくれていく音が部屋のありとあらゆる方向からランダムに聞こえてくる。
小田「俺たちへの妨害行為としか思えないな」
  これも一つの現象と捉えているのか定かではないが、隣にいる井上がカメラを構えた。
井上「これで4枚目っと」

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