僕たちがつくる七不思議

nagi

エピソード4(脚本)

僕たちがつくる七不思議

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〇女子トイレ
  コンコンコン・・・
  ノックを3回。叩いて反応がなければ扉を開けて中を確認する作業を繰り返す。
  そんな単純作業が暗い空間に身をせいで思うように進まないでいた。
  井上が女子トイレに入ってくる様子もないため一人で確認作業を続けるしかない。
小田「3番目か・・・」
  扉の前で軽く握った右手が、無意識のうちにわずかな震えを示していた。
  コンコンコン・・・
小田「花子さん、花子さん。もしいらっしゃいましたら返事を下さい・・・」
  ・・・・・・・・・
  ・・・・・・・・・
小田「・・・ふっ、」
小田「はははははっ!」
  さっきまでびびっていた自分がなんだか馬鹿馬鹿しく思えきて呆れて笑うしかなかった。
小田「所詮は都市伝説。うちの学校に七不思議なんてないもんな。何してんだか、アホらし・・・」
小田「・・・っ!?」
  中で小さな物音がした。もしかして・・・いや、まさかな。
小田「佐崎・・・?中にいるのか?」
  ・・・・・・・・・。
  待っても返事はない。
小田「開けるぞ・・・?」

〇個室のトイレ
  ゆっくりと扉を開けて中を照らしてみる。
  しかし、中には誰もいなかった。
小田「とりあえず、写真撮っておくか」
  ・・・パシャッ
  先程井上が言い残した言葉通り、個室内をカメラにおさめた。
  結局誰もいない事実に心のどこかで安堵している自分がいたのも束の間・・・
小田「わっ・・・!?」
小田「おいっ!誰だよっ、出せよ!!」
  前後に何者かの気配を感じた途端、背中を強く押され自然とトイレの個室に押し込まれた。
  押してみても外からの強い圧がかかっているのかびくともしない。
  扉を何回叩いてみても外からは何の反応もないのが無償に怖くなってくる。もう井上を呼ぶしかない。
「い、いのうえ~!助けてくれ~!!」
  すると、叫び声に気がついた井上がバタバタと足音を響かせたと思えば外からあっさりと開けられた。
井上「どうしたっ?大丈夫か!?」
小田「あ、ああ・・・助かった」
井上「何があったんだ?すごい冷や汗だぞ」

〇女子トイレ
小田「トイレを調べていたら急に後ろから押し込められたんだ。それで、中に閉じ込められた」
井上「だってお前一人だったじゃん。そんなのありえるわけ・・・」
  あまりにも突然の出来事に事態が飲み込めず、しばらくは二人してただ唖然とするしかなかった。

〇まっすぐの廊下
井上「ぜーったい花子さんだって!俺たち七不思議の噂をつくるも何も噂を実証したんだよ。スゴいじゃん俺たち」
小田「お前は別になにもしてないだろ?」
井上「・・・そうでした」
井上「写真の現像が楽しみだな。花子さん本当に写ってたりして・・・」
小田(本当に映ってたら俺気絶するかもしれない)
井上「それにしても、佐崎ちゃんどこに行ったんだろうな。学校の中も広いから探すといっても一苦労だぞ」
  校舎は一階から四階まである。教室を隈無く探していたら夜が明けてしまうだろう。それに、もう外に逃げている可能性だってある。
小田「どうするかな・・・何かアイデアは」
井上「佐崎ちゃんが本当に襲われて巻き込まれてるなら、これって間違いなく警察案件だよな?」
小田「それが俺も決定的なところは見てないんだよ。下手に通報して迷惑かけるのもあれだし・・・」
井上「佐崎ちゃんスマホ持ってきてるよな・・・さっき俺の方に着信あったし」
小田「あぁ、そうか。カメラと懐中電灯以外は落ちてなかった・・・佐崎はスマホをまだ持ってるな」
井上「よし、かけてみよう!」
  Prrrrr・・・・・・
  井上がスマホを取り出すと着信履歴を便りに折り返し電話をかけた。
井上「だめだ。まったく出る気配なし」
小田「やっぱり嫌な予感がするな・・・やっぱり警察呼ぶか・・・」
井上「こんな夜中に学校にいる俺たちも怒られるの必須だな」
小田「そこは大人しく腹くくろうぜ。時間的に大勢の人に迷惑がかかるだろうから、外に出て交番の人を呼ぼう」

〇学校の下駄箱
  話し合った末、やはり警察に頼るのが一番と決断した俺たちは昇降口に再び戻った。
  結局あの校庭で見た謎の人物が何だったのだろう。疑問に少しモヤモヤした気持ちが残っていた。
小田(でももういいか。警察に全部話して任せれば万事解決に向かうだろうし)
  俺の先を歩く井上が昇降口の扉に手をかけた。
  ・・・ガチャ
井上「・・・? ・・・あれ?」
  ガチャ・・・ガチャガチャガチャ
井上「開かない!? なんで!?」
小田「こんな時にふざけてもらっても笑えないぞ?冗談は休み休みにしておけって」
  井上のことだ。俺を慌てさせて後から「冗談でした!びびった?」とでも言って笑いかけてくるのを予期していた。
小田「・・・あれ、本当に開かない。 嘘だろ・・・?」
井上「なぁ、俺たち・・・」
小田「・・・やめろやめろ。それ以上言うな」
  俺の無責任な今の思考回路をここにはいない佐崎に罰せられているみたいに思えてならなかった。
井上「超常現象・・・そうだ写真!撮って後で佐崎ちゃんに見せないと」
小田「お前こんな時によく撮っていられるな」
井上「やっぱり、佐崎ちゃんの目的を俺たちが代わりに成し遂げようよ」
井上「七不思議を全て撮り終えないと・・・ まだ儀式は終わってない。この学校から出ることを幽霊が許してくれてないんだ」
小田「それなら部室に早いとこ戻って儀式を終わらしたらいいだろう?」
井上「そしたらここまで来た意味がないだろう? せっかく儀式が成功しているんだ。この先何かが分かるかも知れない」
井上「終わらすには、まだもったいないよ」
  いつも飄々としている井上がいつになく真剣な顔つきだった。
小田「分かるかもしれないって・・・? お前が続行を望む理由に佐崎以外に何かあるのか?」
井上「それは・・・さっきも電話で言っただろ?」
小田「もしかして、例の行方不明の事件についてか?」
  井上は黙ってコクリと上下に頷いてみせた。
小田「その行方不明事件の話・・・俺にも詳しく聞かせてくれないか?」

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