第三話「人間掃除・・・機!?」(脚本)
〇黒
私が回復魔法に目覚めてから
私達の生活は大きく変わった・・・
騎士領の貴族専門の回復魔道士
今にして思えばあれは
母様と私を捨てた騎士領に住む父への
意趣返しの意味もあったのだろう
最初はマナーなど分からない事も多かったが
時間が経てばいつの間にか覚えていた
気付けば私は自分の家と
カーテンの閉めきられた暗い馬車の中
そして貴族のお屋敷を
往復するだけの生活になっていた
私自身は自由に外を出歩けなくなったのを
不便には感じていたが・・・
母様が喜んでくれるならそれでいいと
本気でそう思っていた・・・
〇英国風の部屋
前回のあらすじ・・・
異世界転死の幽霊様が入ってしまったのは
身元不明の体だった
その体を狙って暗躍する影が迫る中
神官様が何かと出会・・・う?
???(アキラ)「ミカノチさんお帰りなさい」
ガーベラ「ミカノチ様お帰りなさい」
ガーベラ「盗賊の皆様はどうなりましたか?」
ミカノチ「ブジ信仰騎士に引き渡したネ」
ミカノチ「事情の説明モ手続きモロモロも 全部アノキキョウって娘がやってくれたネ」
ガーベラ「それは良かったです」
ミカノチ「デモ・・・」
ガーベラ「でも?」
ミカノチ「手続きオワッタ後 コノ場所一緒にコナイか誘ったら」
ミカノチ「結構です! 喋りかけないで下さい イワレテ」
ミカノチ「一人、路地裏で泣いたネ」
???(アキラ)「想像以上の豆腐メンタル!?」
???(アキラ)「一言で心グッシャグッシャに されてるじゃないですか!」
ミカノチ「我、何かワルイコトしたかなァ?」
???(アキラ)「絶対してませんよ! 心を強く持って下さい!」
ガーベラ「ミカノチ様申し訳ありません!」
ガーベラ「キキョウは少し人見知りな所がありまして・・・」
ガーベラ「きっと他意はありません」
ミカノチ「ホントかなァ・・・?」
ガーベラ「本当です!」
???(アキラ)「そ、そうだ!」
???(アキラ)「そういや前から気になってたんですが」
???(アキラ)「その信仰騎士って何なんですか?」
ガーベラ「あっ!それはですね!」
〇黒
ガーベラ「私達の国は、騎士領」
ガーベラ「信仰領」
ガーベラ「商材領の3つの領地と」
ガーベラ「それらを統べる王都で構成されています」
〇英国風の部屋
ガーベラ「この王都と3つの領地は絶妙なバランス関係で成り立っ・・・」
ガーベラ「あれ?ミカノチ様は?」
???(アキラ)「そこの毛布にくるまって泣いてます・・・」
ガーベラ「ミカノチ様!?」
???(アキラ)「まぁ、今はそっとしておきましょう」
ガーベラ「そうですね・・・」
???(アキラ)「それで信仰騎士っていうのは?」
ガーベラ「あっ、はい!」
ガーベラ「信仰騎士の信仰はその名の通り 信仰領のという意味で」
ガーベラ「騎士は・・・ そうですね」
ガーベラ「確か幽霊様の世界だと」
ガーベラ「おまわり?」
???(アキラ)「言い方!」
ガーベラ「あれ?違いましたか? じゃあ・・・」
ガーベラ「サツ?」
???(アキラ)「悪化してる!?」
???(アキラ)「記憶のない俺でもそんな呼び方 殆どがしないって知識として残ってますよ!」
ガーベラ「えっ、なら・・・」
ガーベラ「ポリ?」
???(アキラ)「伝わり方が酷すぎる!」
???(アキラ)「一体どんな悪党が こっちに転生して来てるんですか?」
???(アキラ)「多分警察の事ですよね?」
ガーベラ「あっ、そうです!そうです!」
???(アキラ)「てことは信仰領での警察の様な組織が 信仰騎士って事なんですね?」
ガーベラ「はい」
???(アキラ)「やっと気になっていた事が一つ分かりました」
???(アキラ)(というか・・・)
???(アキラ)(それ以前に宿屋に来てから ずっと気になっている事があるんだよな・・・)
???(アキラ)(何かガーベラさんのお腹の辺り ずっと蠢いてね?)
???(アキラ)「あのガーベラさん?」
ガーベラ「はい?」
???(アキラ)「そのお腹・・・」
ガーベラ「あっ!違うんですこれは・・・」
???(アキラ)「ハッ!」
???(アキラ)「ガーベラさん何食べたんですか! 早くペッ!して下さい!ペッ!」
ガーベラ「何故に!?」
ガーベラ「幽霊様急にどうされたんですか?」
???(アキラ)「どうも何も、普通の食べ物で そんな風にお腹が蠢いたりしませんよ!」
ガーベラ「いや、これはその・・・」
???(アキラ)「何食べたんですか?魔物?」
ガーベラ「とんでもない偏見!」
ガーベラ「いくら私でも魔物を食べたりしませんよ! 幽霊様は私を何だと思ってるんですか?」
???(アキラ)「えっと・・・」
???(アキラ)「人間掃除機?」
ガーベラ「人の枠から外れた!?」
ガーベラ「誰が人間掃除機ですか!」
???(アキラ)「掃除機通じるんですね」
ガーベラ「通じますよ!幽霊様の世界の技術と こちらの魔法は相性が良くて・・・」
ガーベラ「じゃなくて! 私は何でも吸い込んだりしません!」
???(アキラ)「じゃあ、そのお腹は何だって言うんですか?」
ガーベラ「だからこれはその・・・」
ガーベラ「行きずりの・・・関係というか・・・」
???(アキラ)「状況が悪化した!?」
???(アキラ)「一体どんな関係築いたらそうなるんですか!」
???(アキラ)「とりあえず吐き出し・・・」
???「わんっ!」
???(アキラ)「そうです! わんっと吐き出・・・」
???(アキラ)「わん?」
ミカノチ「神官のフクの中から飛び出して来たネ」
いぬ「わんっ!」
???(アキラ)「犬!?」
〇英国風の部屋
???(アキラ)「なるほど・・・」
???(アキラ)「外でこの子を拾ったものの」
???(アキラ)「俺の状況が状況なので言い出せなかったと」
ガーベラ「はい・・・」
???(アキラ)「はぁ・・・」
???(アキラ)「まず、この旅はあくまで俺が ガーベラさんに助けて貰ってる状況なので」
???(アキラ)「俺に遠慮なんてしないで下さい」
ガーベラ「ありがとうございます」
???(アキラ)「でもこの異世界にも普通の犬がいるんですね」
ガーベラ「犬?」
???(アキラ)「あれ?こっちだと犬って呼び名じゃないのか?」
ガーベラ「いえ、犬はいるんですが・・・ この子の様な見た目じゃないというか」
ガーベラ「もっと体も大きくて荒々しい感じです」
ガーベラ「この子も犬なんですか?」
???(アキラ)「はい 俺の世界ではですけど」
???(アキラ)(どういう事だ? 俺の知識が間違ってる?)
???(アキラ)(記憶さえ戻れば犬なら 見た事ぐらいはあるだろうに)
???(アキラ)(記憶がないのがもどかしい)
ガーベラ「幽霊様?」
???(アキラ)「あっ、何でもないで・・・」
ぐー
???(アキラ)「ガーベラさん?」
ガーベラ「濡れ衣です!」
ガーベラ「私のお腹の音じゃありません!」
ぐー
???(アキラ)「でも今も音が・・・」
???(アキラ)「あれ?これもしかして」
???(アキラ)「俺!?」
〇西洋の市場
ガーベラ「本当に幽霊様は!」
ガーベラ「私のお腹の音じゃないって言ったのに!」
ガーベラ「濡れ衣まで着せて!」
???(アキラ)「着せられた食欲じゃない!」
ガーベラ「私そんなにお腹減ってないんですから!」
???(アキラ)「一連の流れ!」
???(アキラ)「俺が幻覚でも見てない限り ガーベラさんお腹減ってますよ」
ガーベラ「そんな訳」
ガーベラ「ありません!」
???(アキラ)「食欲の化身!?」
???(アキラ)「ガーベラさんのお腹の音だと 疑ったのはごめんなさい」
???(アキラ)「ソウルだけの時はお腹も減らないし 眠くもならなかったので」
???(アキラ)「てっきり自分じゃないかと」
???(アキラ)「本当にごめんなさい」
ガーベラ「はぁ・・・」
ガーベラ「分かりました」
ガーベラ「許します・・・」
???(アキラ)「本当ですか?」
ガーベラ「はい!」
ガーベラ「私も少し怒り過ぎました」
ガーベラ「スッキリしたら何だかお腹が減って・・・」
???(アキラ)「やっぱり俺、幻覚見てた!?」
男「アニキ~!あれ!あれ見てください!」
男「うん?」
男「神官と・・・見たところ騎士か? あれがどうした?」
男「いやそうじゃないっす! その後ろを付いていってるあれ!」
男「おっ!」
男「みーつけた!」
ガーベラ「宿屋でまだ落ち込んでるミカノチ様の為に 何か美味しいものを持ち帰りましょう!」
???(アキラ)「そうですね ミカノチさん何が好きなんだろ?」
ガーベラ「そうだ!」
ガーベラ「犬様も何か欲しいものがあれば・・・」
ガーベラ「あれ?」
ガーベラ「犬様・・・?」
〇中東の街
男「この!手こずらせやがって」
男「こら!あんまり商品を傷付けんじゃねぇ!」
男「なぁ?お前も分かってんだろ? お貴族様が来るまで仲良くしようぜ?」
男「上玉ちゃんよぉ!」
続く・・・
ふぅ、危なかった…
さらわれたのがミカノッチさんかと思ってヒヤヒヤしたぜ…