〇荒れた公園
ガリュオーン「此処が俺の初任務に指定された場所か・・・」
　　俺は就職先に失敗した。
　　入社した当日に催涙ガスで眠らされ、無理矢理改造手術させられた。
　　そして怪人となった俺は、生活するために任務を受ける事となった。
ガリュオーン「地図の指定場所はこの公園か」
ガリュオーン「任務の内容は「子供の誘拐」か。 ・・・犯罪じゃないか！」
少年A「変なおじさんが物騒な事言ってる」
少女A「誰か助けを呼ぶ？」
少年A「防犯機器で警官を呼ぼうよ」
少女A「はいこれ」
少年A「ポチっとな」
警官A「何事だ!?」
少年A「彼処にいる変なおじさんが誘拐とか物騒なこと言ってた」
警官A「何だって、それは大変だ。 って怪人じゃないか!?」
ガリュオーン「邪魔するな。 俺は誘拐さえ果たせれば、子供に危害を加える気はない」
警官A「怪人の言葉を信じるわけないだろう！ 両手を挙げて動くな！」
ガリュオーン「警官ごときが怪人に敵うわけないだろう？」
警官A「黙れ！」
ガリュオーン「いきなり発泡とは物騒だな」
警官A「避けた、だと？」
ガリュオーン「手荒な真似はしたくなかったが、そっちがその気なら反撃しなくてはな」
警官A「た、助けてくれ～！」
少年A「大人が先に逃げるとかあり得なくない？」
少女A「どうしよう、私達も逃げた方が良くない？」
ガリュオーン「悪いが大人しく誘拐されてもらおう」
「そんなことはさせない！」
ヒーロー「ヒーロー見参！」
少年A「ヒーローが助けに来た！」
少女A「頑張れヒーロー！」
ガリュオーン「こんな早くヒーローが登場とは恐れ入る。 まだ何もしていないのだが？」
ヒーロー「銃声が聴こえたから駆け付けた。 そして、怪人は退治するまでだ」
ガリュオーン「融通が効かないところがヒーローたる所以なのか？ まあいい、お前を倒せばこれ以上邪魔立てされずに済むだろう」
ヒーロー「この私に勝てると思っているのか？」
ガリュオーン「勿論だ」
「ガキン！」
ガリュオーン「流石はヒーローか。 ならばこれはどうだ？」
「ガギン、ガギン！」
ヒーロー「怪人がこの私に挑んだ事、後悔するが良い」
「ガガガガガガガガ！」
ヒーロー「バカな!? 私の攻撃を受けきるだと!?」
ガリュオーン「埒が明かないな。 今度はどうかな？」
「バシィ！」
ガリュオーン「防がれたか。 なら次だ」
ヒーロー「シールドが壊された!?」
ヒーロー「ぐ、ぐはぁ」
ガリュオーン「ヒーローも大したことないな」
少年A「ヒーローがやられちゃった」
少女A「ふえーん」
ガリュオーン「面倒だな」
少年A「ぐ～」
少女A「すぴ～」
ガリュオーン「催涙ガスも便利だが、この収用魔道具は更に便利だ。 こんな小さな玉に子供が二人も入るなんてな」

〇近未来の開発室
ガリュオーン「任務を達成してきたぞ」
配下A「ご苦労様です～」
ガリュオーン「誘拐した子供達はどうするんだ？」
配下A「博士の研究素体として此方の機械に収用します～」
ガリュオーン「身代金が目的ではなかったんだな」
配下A「資金は潤沢に有りますから、必要なのは人材と生け贄ですね～」
ガリュオーン「俺は人材なのか？」
配下A「怪人に必要な人材ですよ～」
ガリュオーン「まあいい、報酬は？」
配下A「私は子供達の事しか聞いてませんから、報酬はお渡しできません～」
ガリュオーン「・・・誰から貰えば良いんだ？」
博士「私が渡そう」
配下A「博士～」
ガリュオーン「俺を怪人にした張本人か。 殴りたいのに手が出せんとは。 何か仕込まれたか」
博士「生まれ変わって強くなったのに、不満とは嘆かわしい」
ガリュオーン「望んだ覚えはない」
博士「報酬は要らんのかね？」
ガリュオーン「要るに決まっている」
博士「これは時計型人化装置。怪人のままでは家に帰れなかっただろう？」
ガリュオーン「怪人にされなければ、家に帰れたんだが」
配下A「ご両親が心配してたり？」
ガリュオーン「社会人が心配されるものか。 独り暮らしだ」
主人公「ようやく人の姿に戻れた。 やっと家に帰れる」
配下A「怪人専用の宿舎の方が快適ですよ～？」
主人公「俺は自宅が一番心が休まるんだよ！」

〇一人部屋
主人公「やっと我が家に帰ってこれた」
　　怪人にされたせいで数日間家に帰れなかった。その間は怪人専用の宿舎に入って寝起きしたが、安眠なんて出来やしなかった
主人公「くそう、生物は全部ダメになっている。勿体無い」
　　冷蔵庫に入れていなかてった生物はカビが生えていた。泣く泣くゴミに入れて片付ける。
主人公「本当なら今すぐ会社を辞めたいが、装置のバッテリーはあの博士しか用意できないとか言われたら、どいしようもないじゃないか」
主人公「はあ、明日からも怪人として変な任務をこなさなきゃならんのか」

〇研究所の中枢
博士「彼の数値は計測できたかね？」
配下A「それが、計測器はヒーローとの戦闘時に壊れてしまいました」
博士「今度は遠距離から計測させる機械を用意しよう」
幹部「ヒーローに初戦で勝てる実力が有ると知れただけで十分だ」
博士「それもそうですな。彼だけが怪人候補に選ばれた社員でしたから」
配下A「私なんて未だ怪人にして貰えないのに、新人で即怪人に成りましたからね～」
幹部「お前は戦闘力が著しく低いからな」
博士「運動神経が小学生レベルなのは正直驚きだ」
配下A「その代わりに頭脳明晰なんです～」

〇大企業のオフィスビル
主人公「はあ、憂鬱だ」
社員A「お早うございます」
主人公「俺、まだ入館証貰ってないんだけど」
社員A「此方をお持ちください」
主人公「カードか。 ありがとう」
社員「よう新入り。 お前今までカード無しに会社入ってたのかよ」
主人公「いきなり出張させられて、社内に入るのが初めてなんだよ」
社員「マジかよ、大変だったな」
社員A「社長がお待ちですので、お早めにお願いします」
主人公「悪いな、社長に怒られたくないから失礼するよ」

〇近未来の通路
主人公「で、社長は何処で待っているんだよ」
社員A「勿論、怪人専用の宿舎ですが？」
主人公「結局俺は、怪人の仕事しかさせてくれないってか」
社員A「怪人はエリートなのに、何故嫌そうなんですか？」
主人公「同意も無しに無理矢理改造されて、嬉しい筈ないだろう」
社員A「え、もしかして組織の事知らないで入社したんですか？」
主人公「は、知るわけないだろ。 俺はこの会社しか受からなかったから来ただけだ」
怪人A「お前の運動神経はプロスポーツ選手以上の数値が出ていた」
主人公「いきなり現れるな」
怪人A「高校の体育祭では陸上部のエースをブッチギリで追い抜いて勝利を手にしていた」
主人公「何で俺の高校時代の事を知ってるんだよ!?」
社員A「私が同じ高校に通っていたからですが何か？」
主人公「同じ高校だったのかよ」
怪人A「因みに私は大学の同期だぞ」
主人公「マジで？」