職業 怪人

ライリーゲイツ

職業 怪人(脚本)

職業 怪人

ライリーゲイツ

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〇幼稚園の教室
  今でもはっきりと覚えてる
保育士「みんなー 将来なりたいものは何かなー?」
  そう言われた時、僕はヒーローと答えたのを
保育士「とっても良い夢だね! 先生も応援してるよ! 先生も困ってたら助けてね、」
保育士「キミなら出来る! だって良い子だもん!」
  初めて
  応援してくれたのは
  幼稚園の先生だった・・・
  子供だてらに嬉しかった・・・
  だからこの道を進もうと強く思った!

〇黒背景
  ヒーローへの道は険しい・・・
  イケメンではない
  私の始まりは戦闘員からで

〇森の中
  今回は会話が出来ない
  やられると消える戦闘員だ
  今回のヒーローは彼
  なかなか見所がある
  何故かって?
  特撮上、
  こちらの顔や体に
  パンチやキックが
  当たる事が有るのだが、
  謝る人も居れば
  そうでない人も居る
ヒーロー変身前「すいません! 次からは気を付けるんで!」
  (うん、この人はとは上手くやれそうだ)

〇ボロボロの吊り橋
  このような橋で戦うのも大変だ
  ヒーローを立てる映像は
  絶妙な呼吸と長年の信頼関係に
  よるところが大きい

〇更衣室
主人公「お疲れー遠藤!」
遠藤 まもる「お疲れー」
主人公「この後も仕事だって? 大変だな」
遠藤 まもる「それがな・・・ 言い出しづらいんだが・・・」
  この業界は
  去って行く者も多い
遠藤 まもる「ゴメンよ、辞めるなんて・・・」
主人公「気を落とすなよ、二つ仕事してたお前の 頑張りの 賜物 だよ そっちの仕事、頑張れよな!」
遠藤 まもる「あぁ、絶対成功してみせる! お前の活躍は毎週見るよ!」
遠藤 まもる「お前はヒーローになってくれよな!」
主人公「なれる様に頑張るよ! お前の分まで!!」
遠藤 まもる「お前がヒーローになったら」
遠藤 まもる「父さんヒーローの友達なんだぜ! って 息子に自慢するからよ!」
主人公「良いな!それ!」
遠藤 まもる「だろう?約束だぞ?」
主人公「あぁ約束だ」

〇更衣室
  後日・・・
主人公「おっ!アイツが載ってる!」
主人公「なになに・・・」
  若き社長は語る!
遠藤まもる「私は起業する前に スーツアクターもやっていました」
遠藤まもる「そこでは芽が出ませんでしたが 鍛えた体と経験を生かし 警備会社を設立しました」
遠藤まもる「子供達のヒーローにはなれなかったけど 社会の悪に立ち向かう心は今も忘れて いません」
主人公「アイツ・・・ 立派になっちゃって・・・」
主人公「これは負けてられないな!」

〇荒廃したショッピングモール
主人公「ヒーッ!!」
ヒーロー「くっ!何故こいつらは 研究者や医者ばかりを狙う」

〇荒廃したショッピングモール
プロデューサー「ウ~ム」
プロデューサー「彼・・・ なかなか良いもの持ってますね!」
放送局 局長「そうかね? 私にはよく分からんが」
プロデューサー「この商売インスピレーションも 大事なんで」
プロデューサー「ちょっと彼、借りてきますね」
放送局 局長「別に構わんが・・・」

〇更衣室
主人公「ふーっ」
プロデューサー「よう!戦闘員ちゃん!」
主人公「これはプロデューサーさん! いつもお世話になってます!」
プロデューサー「戦闘員ちゃん ちょっと来てちょ」
主人公「これ脱いでからで良いですか?」
プロデューサー「そんなん あとあと! レッツゴー♪」
主人公「ちょ、ちょっと これ伸びると怒られるんで 引っ張らないで下さいー」

〇学校の部室
プロデューサー「到着~」
主人公「こっ ここで何を?」
プロデューサー「ふっふっふ」
プロデューサー「それはこれさ!」
主人公「ひゃー良くできてる! 新しい怪人ですね?」
プロデューサー「グリモワールヴァイオレットさ!」
プロデューサー「これを見て 何を感じる?」
グリモワール・ヴァイオレット「・・・」
主人公「そ、そうですね 強そうなのはモチロンの事、」
主人公「主人公でも通じそうですね!」
プロデューサー「グレイト! 良い観察眼だ! やっぱりキミを選んで正解だったよ!」
主人公「・・・と言いますと?」
プロデューサー「ユーはヒーローになりたいんだろ? 違うかい?」
主人公「それはもう、夢なんで!」
プロデューサー「そうか!やっぱりな!」
プロデューサー「キミにこの グリモワールヴァイオレットを 演じて欲しい!」
主人公「本当ですか!? でも、これは怪人では?」
プロデューサー「ノンノン ノン♪ 甘く見てもらっては 困るな」
プロデューサー「こいつは悪として生まれ 主人公の考えを読み取り 正義の心に触れる」
プロデューサー「最初はヒーローと対立しながら」
プロデューサー「やがて バディ(相棒) になるという ちょっとひねった怪人なのさ♪」
主人公「えぇ話や・・・」
プロデューサー「ユーは戦闘員やって何年だい?」
主人公「12年になります」
プロデューサー「12年か・・・干支が一回りしちゃうネ♪」
主人公(そこは軽く言わないで欲しかった・・・)
プロデューサー「どうだい?12年ぶんの正義への渇望と 悪の地盤 コイツに懸けてみないかい?」
主人公「自分で良ければ誠心誠意やらせて貰います!」
プロデューサー「良い返答だ!」
プロデューサー「1つだけ注意しとく」
主人公「何ですか?」
プロデューサー「この手の番組も水物でな 視聴者が気に入ればヒーロー」
プロデューサー「気に入られない、 お粗末な演技をすれば 正義の心にふれる 前にお陀仏だ」
プロデューサー「それでも・・・やる気はあるかい?」
グリモワール・ヴァイオレット「・・・」
主人公「もちろんです! 自分のスーツアクター人生を懸けます!」
プロデューサー「ではユーの持てるものを全てぶつけて 視聴率を上げてみせろ!」
プロデューサー「良い演技を期待している・・・」
主人公「こ、これで長年の夢が・・・」
主人公「いや、それよりも早速 役作りだ!」
主人公「絶対にヒーローになろうな!」
グリモワール・ヴァイオレット「・・・」

〇研究装置
  総帥の右腕となるべく
  喋り、思考する怪人として
  私は生まれた

〇荒廃したショッピングモール
  そしてヒーローとの対面
グリモワール・ヴァイオレット「なぜ総帥の邪魔をする? ワタシと共に来ないか?」
ヒーロー「断る! 目的は何か知らんが」
ヒーロー「罪も無い人々を襲うならオレは お前達を許さない!」
ヒーロー「力を持つ者として 弱い者を助け、 お前達ですら救ってみせる!」
ヒーロー「そして罪を償わせる!」
グリモワール・ヴァイオレット「ほう、ワタシでも救えるのかな?」
グリモワール・ヴァイオレット「ヒーローよ!?」
ヒーロー「救える! お前は話す事が出来る!」
ヒーロー「いつまでも対話を試みる! お前が正義に目覚めるまで!」
グリモワール・ヴァイオレット「しゃらくさいわ! いつまでも 正義とやらをしゃべって死ぬがいい!」

〇渋谷駅前
グリモワール・ヴァイオレット「また会ったな!ヒーローよ! 今日はその思考から 弱点を探ってやる!」
ヒーロー「そうはいくか!私には 守る者が・・・」
グリモワール・ヴァイオレット「遅い・・・」
ヒーロー「う、うわあああ!」

〇古風な和室(小物無し)
ヒーロー変身前「はぁ!」
ヒーロー変身前「せい!」
ヒーロー変身前「とう!!」

〇渋谷駅前
グリモワール・ヴァイオレット「ま、まさかお前は・・・」
ヒーロー「あぁ、そうだ」

〇渋谷駅前
ヒーロー変身前「ただの人間よ!」
グリモワール・ヴァイオレット「あの姿は・・・」
ヒーロー変身前「敵への威嚇よ! そしてスーツは神秘の寄せ木細工よ!」
グリモワール・ヴァイオレット「あの強さは?」
ヒーロー変身前「古今独歩流(ここんどっぽ)の 強さでい!」
グリモワール・ヴァイオレット「負けた・・・」
ヒーロー変身前「何?」
グリモワール・ヴァイオレット「ワタシがただの人間風情に 敗北していただと?」
ヒーロー変身前「どうしたんだ?アイツ・・・」

〇渋谷駅前
グリモワール・ヴァイオレット「私は一体何なのだ?」
グリモワール・ヴァイオレット「人間風情に負け、」
グリモワール・ヴァイオレット「何も残らない」
グリモワール・ヴァイオレット「いや、」

〇リンドウ
グリモワール・ヴァイオレット「アイツの思考に触れた時、気高い心と」

〇水玉2
グリモワール・ヴァイオレット「このよく分からない温かいものを 感じた」
グリモワール・ヴァイオレット「ワタシはこれが何か知りたい!」
グリモワール・ヴァイオレット「そして総帥の役に立ってみせる!」

〇古風な和室(小物無し)
ヒーロー変身前「せいやぁ!!」
ヒーロー変身前「ん?はいはーい」
グリモワール・ヴァイオレット「ワタシだ」
ヒーロー変身前「お前!ついに家にまで来やがったか!」
ヒーロー変身前「へんし」
グリモワール・ヴァイオレット「待ってくれ 戦いに来たんじゃない!」
ヒーロー変身前「? じゃ何しに来たんだよ?」
グリモワール・ヴァイオレット「お前の心を覗いたときに 気高さと温かい何かを感じた あれはナンダ?」
ヒーロー変身前「そりゃ、お前 愛情とか、優しさとか ぐるっとまとめて正義の心よ!」
グリモワール・ヴァイオレット「正義・・・ お前がいつも言っている・・・」
ヒーロー変身前「そうそう! よし!正義について俺が教えてやる!」
ヒーロー変身前「さぁ、俺と一緒に来い!」
グリモワール・ヴァイオレット「お、おう」

〇古風な和室(小物無し)
  そしてヒーローと怪人の
  生活が始まった
グリモワール・ヴァイオレット「アイツ隣の人間殴った 悪だろ?」
ヒーロー変身前「まてまて あれはお笑いといってだな・・・」
ヒーロー変身前「お笑いは正義だから安心しろ!」
グリモワール・ヴァイオレット「正義の基準はムズカシイ・・・」
ヒーロー変身前「地道に頑張って行こうぜ!」
グリモワール・ヴァイオレット(だが・・・いつか つかんでみせる!)

〇古風な和室(小物無し)
グリモワール・ヴァイオレット「隙あり!」
ヒーロー変身前「甘い!」
グリモワール・ヴァイオレット「ぐふっ」
グリモワール・ヴァイオレット「ナンダ?何が起こった?」
ヒーロー変身前「おう!これは柔道の技よ!」
ヒーロー変身前「何でも 力任せにやりゃ良いってもんじゃねえ!」
ヒーロー変身前「俺を倒したきゃ あと10年は修行してこい!」
グリモワール・ヴァイオレット「ぐぬぬ・・・」

〇更衣室
プロデューサー「よう!グリモちゃん」
グリモワール・ヴァイオレット「あっ、どうもプロデューサーさん! どうですか?反響は?」
プロデューサー「悪く無いよー 怪人の悪巧みとヒーローの 掛け合いが絶妙だって」
プロデューサー「これからも 頑張ってねー✨」
グリモワール・ヴァイオレット「ハイ!」

〇リンドウ
  スーツがただの威嚇だった
  ヒーローは生身の露出が増え、
  怪人も都合上
  一緒に戦う事となり・・・
ヒーロー変身前「こいつも会話が出来ないとは・・・ ならば、被害を最小限に抑えるには 戦うしかない!」
ヒーロー変身前「いくぞ!」
グリモワール・ヴァイオレット「応!(おう)」
  ハッ!!
コンドル伯爵「ヒー!!ハー!!」

〇荒廃したショッピングモール
子供「ありがとうヒーロー!」
ヒーロー変身前「おう、父ちゃんが無事で何よりだぜ」
子供「そこの変なのもありがとな!」

〇水玉2
グリモワール・ヴァイオレット「い、いや・・・」
グリモワール・ヴァイオレット(この気持ちは何だ? いつかヒーローの思考に触れたときに 感じた暖かさと同じだ・・・)
グリモワール・ヴァイオレット(これが正義の本質・・・なのか?)

〇古風な和室(小物無し)
グリモワール・ヴァイオレット「なぁ、」
ヒーロー変身前「おう、どうした?」
グリモワール・ヴァイオレット「子供に礼を言われた時、 正義が何か、分かった気がする・・・」
ヒーロー変身前「そりゃ良かったな!」
ヒーロー変身前「そんで?お前さんは これからどうするつもりだ?」
グリモワール・ヴァイオレット「困ってる人がいたら・・・ 助けたいと・・・思う」
ヒーロー変身前「そりゃ結構な事だな!」
ヒーロー変身前「それじゃ これからもよろしくな相棒!」
グリモワール・ヴァイオレット「あぁ、宜しく頼む!」

〇更衣室
グリモワール・ヴァイオレット「・・・」
プロデューサー「グリモちゃん⭐️」
グリモワール・ヴァイオレット「うお、びっくりした!」
プロデューサー「バディおめでとう! それで今日は相談なんだけど・・・」
グリモワール・ヴァイオレット「何でしょう?」
プロデューサー「ユーのお陰で人気が出てきたのよ、 で最終回は キミが人間になれる設定と 怪人のままの設定がある」
プロデューサー「局長はどっちでもいいと言ってるけど」
プロデューサー「ユーは・・・どうしたい?」
グリモワール・ヴァイオレット「私は・・・」

〇研究所の中枢
  最終回
ヒーロー変身前「まさかこの総帥が 元人間だったとは・・・」
ヒーロー変身前「しかし元に戻れて良かったな!」
元・フェイロン総帥「ありがとうヒントをくれて」
ヒーロー変身前「ヒントはあの怪人からさ!」
ヒーロー変身前「怪人を作れるなら 戻せるんでないの?ってな」
元・フェイロン総帥「すまない・・・ だが、僕をあんな姿にしたやつは・・・」
ヒーロー変身前「そっちも心配いらないぜ!」

〇研究所の中枢
グリモワール・ヴァイオレット「総帥、 コイツですね?」
所長「ひーっ、スマン悪かった この通り許してくれ!」
元・フェイロン総帥「正直複雑な気分だが、 自分も腹いせにやってしまった 部分はある・・・」
元・フェイロン総帥「共に罪を償おう」
所長「すまなかった本当に・・・」

〇研究所の中枢
元・フェイロン総帥「ところでお前はどうする? 人間にしてやる事も出来るが・・・」
グリモワール・ヴァイオレット「・・・」
グリモワール・ヴァイオレット「あいにく、私は怪人として生まれたので 人間への憧れもありません 頂いた力はこれからも正義の為に使います」
グリモワール・ヴァイオレット(そうだこれが僕の答えだ!)
グリモワール・ヴァイオレット「でもまずは罪を償ってからにします」
グリモワール・ヴァイオレット「お供いたしますよ総統!」
元・フェイロン総帥「フッ義理堅いヤツよ・・・」

〇黒背景
  番組は好評で
  時々
  地方公演に呼ばれる事があった

〇幼稚園の教室
グリモワール・ヴァイオレット「あれ?この幼稚園って・・・」
保育士 現在「今日は有り難うございました 子供達も大喜びですよ」
ヒーロー変身前「いや~子供達って元気有っていいですね!」
ヒーロー変身前「どうしたグリモワール?」
グリモワール・ヴァイオレット「先生、僕ですよ 覚えてますか?」
  コトッ

〇幼稚園の教室
保育士 現在「ひょっとして主人公君?」
グリモワールヴァイオレット「はい、そうです 覚えててくれましたか」
保育士 現在「もちろんよ! あの怪人、子供の人気者よ!」
ヒーロー変身前「良かったなグリモワール!」
グリモワールヴァイオレット「はい!」
保育士 現在「あっそうだ! グリモワールに 会いたいって子が居るんだけど 良いかしら?」
グリモワールヴァイオレット「ええ、お待ちを」
  カポッ

〇幼稚園の教室
遠藤たくや「ぼく遠藤たくやって言います その・・・握手して下さい!!」
グリモワール・ヴァイオレット(ん?遠藤? 聞き覚えがあるような・・・)
グリモワール・ヴァイオレット「キミのお父さんは何てお名前かな?」
遠藤たくや「遠藤まもるって言います」
グリモワール・ヴァイオレット(やっぱり!)
遠藤たくや「それがどうかしたんですか?」
グリモワール・ヴァイオレット「いや、キミのお父さんは カッコ良いなって思っててね」
遠藤たくや「うん、ぼくお父さんみたいになりたいんだ! だけどヒーローにもなりたいし・・・」
グリモワール・ヴァイオレット「何にでもなれるよ、 頑張って努力すれば、 ネッ?先生?」
保育士 現在「そうよー 諦めなければ何にでもなれるわよ♪」
遠藤たくや「そっかー ぼく頑張る!」
遠藤たくや「だから握手してグリモワール♪」
グリモワール・ヴァイオレット「いいとも、 キミがなりたいものに なれます様に・・・」
遠藤たくや「へへっ♪」
保育士 現在「良かったわねぇ たくや君♪」
遠藤たくや「うん♪」

コメント

  • 素直に、イイハナシダナー

  • 戦闘員がいつか主役の正義のヒーローになるものだと思って読み進めていましたが、最後まで怪人を全うしていたことに深みを感じました。
    なるほど、職業は怪人。
    怪人のスーツは来ていても子供のヒーローになることはできる。

  • 素敵なメッセージが詰まっているお話しでした。
    ラストでまもるの息子さんが出てくるのも胸熱です。
    今年の夏は特にスーツアクターの職人さんは、大変ですよね。
    なりたいものになれる!名言。

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