南 楓(脚本)
〇繁華な通り
今日はとってもツイてない。朝から彼に呼び出されて振られるわ、会社でミスしまくるし、上司にセクハラされて、雨まで降ってきた
南 楓「あーぁ、ツイてない」
転んだ挙句に車が通って、ビシャビシャな身体が更に水を被って、傘を忘れたことを恨んだ。
南 楓「ビシャビシャだわ、はぁ、、、あっ!!!」
南 楓「ナイ!!ないわっ!!!」
葵「大丈夫ですか?」
南 楓(拓斗のほうがーカッコイイし)
南 楓(傘を差し出された時に、拓斗だったらいいのにって思ってしまった)
葵「何か失くしたものでも?」
南 楓「お気に入りのピアスが片方ないんです!!!」
葵「それは大変だ!!僕も探すの手伝いますよ!!」
南 楓「でも雨酷くなってきたし、悪いのでいいですよ」
葵「雨降ってるからこそ早く見つけてあげないと」
その誘いは甘くて強引で、嬉しくて断れなかった。それに本当に大事なものだったから。
〇街中の道路
南 楓「何度見てもないわ!!」
私のピアスは、彼氏がずっと前付き合いたての頃の誕生日、初めて買ってくれた物だった。
最初は優しかったけど、浮気するようになって、一緒に住み始めてからは、常に悪口ばかり言うようになっていった。
南 楓「なんで無いのよー、手分けして探してるけど雨も本降りになってきたし、合流しようかな」
帰ってくると言った時間より、いつも3時間遅くて、香水の香りが常にするようになっていって、私は浮気してるのか問いただす。
南 楓「寂しい・・・悲しいよ──」
次はもっと誠実で優しくて浮気なんかしなくてー
葵「そっちはありました?って」
葵「泣いてるんですか?」
南 楓「何でもないのよ」
南 楓(拓斗よりもちょっといやすごく優しい)
拓斗が最後に帰ってきたのいつだっけ。
内緒の社内恋愛。でも新人の女の子と仲良くなったみたいで私は何も言えなかった。
南 楓「優しいのね」
葵「困ってる人に優しくするのは普通でしょ?」
南 楓「そっか、普通なのかぁ。貴方にとっては」
南 楓「すごいわね、貴方は」
葵「???」
南 楓「付き合ってくれてありがとう。 もう雨も酷いし、解散しましょ」
葵「あったんですよ!!ピアス!!」
南 楓「えっ?本当に?!!」
南 楓(これ、全然違う)
葵「大事なものなんでしょ?無くさないように今度から気を付けて下さいね!」
手のひらをぎゅっと握って、指先を畳んで握らせると、笑顔にドキッとして、振られたばかりなのに、と悔しくなった。
葵「良かったですね」
南 楓「ありがとう」
南 楓「ごめんね、拓斗」
お互いにビシャビシャで、どうするんだろと思ったけれど、
そこは彼の勤務してる喫茶店で、笑顔が素敵な彼とお喋りしてるうちに、彼から貰った嘘のピアスの方が宝物になってしまった。
私は気付いた。彼にいつの間に優しく出来なくてこんな風に優しく話すれば良かったと。笑顔が好きだって、拓斗はいつも言ってたね
ピアスを貰った私が、笑顔で笑ってた。そんな付き合いたての頃を思い出す。
南 楓「ありがとう拓斗。さよなら」
〇レトロ喫茶
葵「いらっしゃいませ!」
葵「そのピアスつけてるとあの日を思い出しますよね!いつもそのピアスつけててお気に入りなんですね」
葵「いつでもお待ちしております。ピアスすごく似合ってますね!」
私はあれから葵君が気になって仕方なくて、通ってアプローチしている。が全く脈がない。
いいなぁ、私も輪に入りたい。葵君は好き──なのよね。どうして来なくなったのかしら。
私もしばらく、香織には会ってないんだけど。
南 楓「香織どうしてるかな」
楓さんーーー😢
彼氏にふられて、葵くんに恋したのに。その葵くんは別の人を想ってるなんて。
うまくいかないですね。恋ってホント難しい。
っていうか、香織さんどうしたんでしょう?行方が気になります💦