キケンじゃない!

肝臓終わってる人

キケンじゃない!(脚本)

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〇林道
玉助「わんわん!」
奏「ちょ、玉助(たますけ)! そっち散歩コースじゃないって!」
玉助「きゃんきゃん」

〇森の中の小屋
玉助「きゃんきゃんっ」
奏「な、なにここ・・・」
???「・・・・・・」
奏「え、なに、なに・・・・・・」
???「・・・・・・」

〇テレビスタジオ
  本日、○×市にて不審者情報が多発しています。住民の皆さんはくれぐれもお気をつけて行動をしてください。
  何か情報がありましたら、こちらの専門ダイヤルに・・・・・・

〇森の中の小屋
???「・・・・・・」
奏(絶対不審者これだよ。これに間違いないよ。 明らかにおかしいもん)
奏(じっと見つめてくるよ。なんなの、私死んじゃう系?!)
玉助「きゃんきゃんっ」
奏「玉助っ」
玉助「きゃんきゃんっ」
奏(玉助、喜んでる・・・?)
玉助「きゃんきゃんっ」
???「・・・・・・」
奏(変な人も喜んでる・・・? 玉助の頭撫でてるし)
奏「あのー、えっと、日本語とかってわかります?」
???「・・・・・・」
奏(あ、わかるんだ・・・)
奏(でも言葉は発せない感じっぽい。 けど何故だかこの人の感情はわかる)
???「・・・・・・」
奏「それ、着ぐるみみたいなやつなのかな? 脱げるの?」
???「・・・・・・」
奏(脱げないんだ・・・)
奏「なにこれ・・・」

〇魔法陣のある研究室
???「あーあー。 ちゃんと、見えてるかな?」
???「どーも。未来の研究者です。 えっとこれ見てる過去の人〜」
???「そこの怪人を作った研究者でーす」
???「いやあごめんね。手違いで過去に飛んじゃったみたいなんだわ」
???「未来に戻す方法がまだ見つからないから、心優しいそこの君! 怪人を頼んだよ〜」
???「怪人だから過去の人からすると多分びっくり仰天って感じなんだろうさ。 でも大丈夫。人を襲うような子じゃないから」
???「んじゃよろしく〜」

〇森の中の小屋
???「・・・・・・」
奏「えぇ・・・ 困るなぁ」
奏「あなたは未来からきたのね。 それで一人で困ってたと」
奏(そりゃあ山の中でこんな怪人見つけたら、叫んで逃げるわ)
奏(でも意外と可愛いかも・・・?)
???「・・・・・・」
奏「行く宛がないから、私の家に来るってこと!?」
奏(なんで私、怪人の言いたいことわかるんだろう・・・)
奏「いやさすがに、ね。 みんなあなたを見たら逃げちゃうよ」
???「・・・・・・」
奏(凄い悲しそう)
奏「とりあえず、名前つけようかな」
???「・・・・・・」
奏(めっちゃ喜んでる・・・)
奏「よし、あなたの名前は今日から キュンダーね!」
キュンダー「・・・・・・」
奏(めちゃくちゃ喜んでるよ)

〇住宅街
奏「い、いやぁ文化祭大変だなー! 怪人ショーかぁ!」
奏(めっちゃ見られてるよぉ!)
キュンダー「・・・・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
お母さん「あら、奏(かなで)ちゃんお帰りなさい」
キュンダー「・・・・・・」
お母さん「・・・・・・」
お母さん「おかえりなさい奏ちゃん」
奏「お母さん現実逃避しないでよ!」
お母さん「奏ちゃん、彼氏はちゃんと選びなさいってあれほど・・・」
奏「どうやったらそういう思考になるわけ?」
(事情を説明するのに1時間近くかかったよ・・・・・・)
奏「何で泣くの!?」
お母さん「キュンダーさん可哀想じゃない。 知らない場所に飛ばされて、みんなに怖がられて・・・」
キュンダー「・・・・・・」
お母さん「決めた! うちにいなさい! お母さん、キュンダーさんが帰れるまでちゃんと面倒見るわ!」
奏(そんなにあっさり決まるの・・・?)
お母さん「キュンちゃんね。 ご飯とかはいるのかしら」
キュンダー「・・・・・・」
お母さん「あら食事はいらない感じなのね わかったわ。 奏ちゃん、キュンちゃんを大事にしてあげてね!」

〇ファンシーな部屋
奏(というわけで、うちで住むことになったけど・・・)
キュンダー「・・・・・・」
奏「キュンダーのこと教えて?」
キュンダー「・・・・・・」

〇ファンシーな部屋
奏(戦うために作られて、戦うために生まれて、なのに過去に飛ばされて)
奏「こっちでは戦う気とかないの?」
キュンダー「・・・・・・」
奏「まったくないんだね・・・」
キュンダー「・・・・・・」
奏「え、私のために生きていくって!?」
奏(そんなこと言われてもなあ)
キュンダー「・・・・・・」
奏「何して欲しいって言われても・・・」
キュンダー「・・・・・・」
奏「んー、とりあえず誰にも迷惑かけないってことだけは約束して欲しいかな」
奏(とりあえず納得してくれたけど・・・)

〇おしゃれなリビングダイニング
  次の日
奏「おはよー!」
キュンダー「・・・・・・」
奏「キュンダーもおはよ」
お母さん「奏ちゃん! キュンちゃんすごいのよ! 家事完璧!」
奏「どゆこと・・・」
お母さん「凄いんだから! 掃除も炊事も洗濯も、全部やってくれたの! お弁当だって、朝食だってキュンちゃん作ってくれたのよ!」
奏「それはすごい!」
キュンダー「・・・・・・」
奏(私とお母さんに感謝してるから、やれることはやりたいねえ・・・)
お母さん「キュンちゃんは眠らないみたいなの。 お母さんゆっくりして、って全部やってくれたわ」
キュンダー「・・・・・・」
奏「キュンダー凄いね・・・・・・」

〇通学路
キュンダー「・・・・・・」
奏「ごめんキュンダー。 何で着いてくるのかな」
キュンダー「・・・・・・」
奏「心配しなくても普通に学校行くだけだし」
奏(それより・・・・・・)
奏「めっちゃ見られてるんですけど!!」
キュンダー「・・・・・・」
奏「いやキュンダーは学校行けないよ」
キュンダー「・・・・・・」
奏「どう考えても無理でしょ・・・・・・」
正樹「お、奏じゃん」
奏「あ、正樹(まさき)先輩・・・・・・」
キュンダー「・・・・・・」
正樹「つか、なに!? 人なのか?」
奏「あ、これはボディーガード、みたいな・・・・・・?」
正樹「なんだそれ。 ボディーガードって」
キュンダー「・・・・・・」
奏「キュンダー、正樹先輩には迷惑かけちゃダメ! というか、もうお家戻って!」
キュンダー「・・・・・・」
正樹「帰っちゃったぞ?」
奏「いいんです。学校までボディーガードだなんて変ですから」
正樹「そもそもが変だけどな!」
(変な人に思われちゃったかな・・・ でも、一緒に登校できるなんて幸せ!)
  ・・・・・・・・・
  ・・・・・・
  ・・・
キュンダー「・・・・・・」

〇教室
奏(キュンダーちゃんとお家帰れたかな・・・・・・)
奏(ちょっと強く言い過ぎちゃったかな)
奏(私を心配して、着いてきたんだもんね 帰ったら、謝ろ)
  ピンポンパンポーン
  校内に不審者らしき人を確認しました。
  生徒の皆さんは先生の指示に従って行動してください
奏(ふ、不審者!?)
奏(まさか・・・・・・)
  気づいたら教室を飛び出していた。

〇学校の廊下
キュンダー「・・・・・・」
奏(見つけた!)
キュンダー「・・・・・・」
奏(あれは、正樹先輩・・・!?)
奏「キュンダー!!」
キュンダー「・・・・・・」
キュンダー「・・・・・・」
奏「どうして、どうして!? どうして学校に来たの?!」
キュンダー「・・・・・・」
奏「ひどいよ・・・ みんなに迷惑かけないって約束したじゃない・・・」
キュンダー「・・・・・・」
奏「正樹先輩にも迷惑、かけないでって、 どうして、どうしてぇ」
キュンダー「・・・・・・」
奏「あんたなんて、声かけなきゃよかった!!!!」
キュンダー「・・・・・・」
正樹「おい、奏──」

〇ファンシーな部屋
奏(酷い、酷いよ・・・・・・)
奏(キュンダーはそんなことするような子じゃないって、信じてたのに・・・・・・)
  コンコンコン
お母さん「奏ちゃん、お友達が来たわよ」
奏「友達・・・・・・?」
お母さん「ちょっとイケメンの男の子♡」
正樹「お、お邪魔します」
奏「ま、正樹先輩!?」
正樹「ごめんな、突然来ちゃって」
奏(ど、どどどどうして正樹先輩が!?)
正樹「奏のお母さんから聞いたよ。 キュンダーのこと」
奏「そうですよ! ごめんなさい、本当に正樹先輩に迷惑かけて・・・・・・」
正樹「俺はいいんだけどさ、そのキュンダーがさ」
奏「キュンダーはもういいんです! ああいうことするとは思ってなかったので! 約束したのに!」
正樹「違うんだ。キュンダーは俺に会いに来てくれたんだよ」
奏「どういうことですか?」
正樹「キュンダーは学校にずっといられないから、いない時は、俺に奏を守ってくれって頭を下げてお願いしてきてくれたんだ」
正樹「びっくりしたよ。会話はできないのに、気持ちや言いたいことが伝わるんだ。 キュンダー、奏にすごい感謝してた」
奏「そうだとしたって、学校に来て不審者が出たって迷惑かけてますよ!」
正樹「そうだとしたって、キュンダーは未来からきたんだよな? わかんねえよそんなこと」
奏「それは・・・」
正樹「キュンダーは真っ直ぐ奏を思って、奏のために動いたんだよ。 もう学校には二度と行けないから、学校にいる時は頼むって」
正樹「びっくりしたけど、俺はキュンダー好きだぜ。奏のこと本当に感謝してて、 本当に好きなんだよ」
奏「キュンダー・・・・・・」

〇林道
  走り出していた。
  キュンダーが一人で行くとしたら、
  あそこしかない!

〇森の中の小屋
「キュンダー!!」
キュンダー「・・・・・・」
  一人でぽつんといるキュンダーを
  私は抱きしめていた。
奏「キュンダー、ごめんね。 傷つくこと言っちゃって、ごめんねっ 私のために来てくれたんだよねっ」
キュンダー「・・・・・・」
正樹「キュンダー、奏もわかってくれてるぞ」
キュンダー「・・・・・・」
奏「私、自分のことばっかり考えてた。 キュンダーを大事にしなさいってお母さんにも言われたのに、酷いことばっかり言ってた」
キュンダー「・・・・・・」
奏「本当にごめんねっ。 キュンダーだって気持ちがあるんだよね。 人を想う気持ちがあるってわかってたのに」
キュンダー「・・・・・・」
奏「許して、くれるの?」
キュンダー「・・・・・・」
奏「キュンダー・・・・・・ ありがとう・・・っ」
正樹「キュンダー安心してくれ。お前の頼み通り、 学校では俺が奏を守るよ」
奏「正樹先輩・・・」
キュンダー「・・・・・・」
奏「キュンダー、ありがとう。 お家、帰ろ?」
キュンダー「・・・・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
奏「キュンダーがご飯作ったの!?」
キュンダー「・・・・・・」
奏「すごいね! ご馳走だよ!」
お母さん「キュンちゃん無理はしないでね。 あなたは家族なんだから」
正樹「俺も一緒にもらってもいいのか?」
キュンダー「・・・・・・」
  奇妙な家族が、増えたけど・・・・・・
  未来からやってきた怪人だけど・・・・・・
  それでも、この優しい怪人──
  キュンダーと一緒にいる生活が・・・・・・
  とても楽しみだった。
  これから先、何が起こるかわからないけど・・・・・・
  それでも私は、キュンダーが好きだった。
  キケンはない! ──完
玉助「ワン(完)!」

コメント

  • 優しい世界でとても心が温まりました!

  • ギャグに登録されていましたが、ハートフルなお話で、素直にいい話だなぁと思いました。
    何か大型犬を飼う気持ちに似てるかもしれませんね(^-^)

  • キュンダーめっちゃかわいいですね!
    すごく奏さんのこと大切にしてるんだなぁと。
    先輩とも距離が縮まったことですし、キュンダーに出会っていいこといっぱいですね。

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