思ってたのと違う!(脚本)
〇魔界
戦闘員「ひーー!」
大ボス様「戦闘員よ!」
戦闘員「ひーー!」
大ボス様「そなたの功績を評価しよう!」
戦闘員「ひーー!」
大ボス様「あのさ!」
大ボス様「ここでは普通に喋ってもいいぞ」
戦闘員「あ、失礼しました」
大ボス様「そなたを怪人にランクアップすることになった!」
戦闘員「本当ですか!」
大ボス様「あぁ!じゃあまずその戦闘員の服を脱いでくれないか」
戦闘員「わかりました!」
戦 闘員「ようやく僕もこれを脱ぐ時が来たんだ!」
大ボス様「よし、今日からお前も怪人の1人だ!」
大ボス様「今後も地球征服の為に頑張ってくれたまえよ」
戦 闘員「はい!」
戦 闘員「で、どんな怪人なんですか?」
大ボス様「これじゃ!最新の怪人だぞ!」
戦 闘員「!?」
戦 闘員「これですかー!?」
〇渋谷のスクランブル交差点
女「きゃー!助けてー!」
男「誰かー!うわー!」
戦闘員「ひー!ひー!」
戦闘員「ひーー!」
男「助けてくれー!」
大鳥翼「またあいつらか!仕方ない!」
「そこまでだ!」
「ひーー?」
トリジェントル「大空飛んでやってきた!」
トリジェントル「平和のマナーを乱すやつは許さない!」
トリジェントル「正義のヒーロー!トリジェントル!」
男「待ってました!」
女「あいつらをやっつけて!」
男「カッコよく羽ばたいちゃって!」
トリジェントル「お任せあれ!」
「ひー!ひー!」
トリジェントル「いくぞ!はぁ!」
「ひーーぃー!」
トリジェントル「たわいもない」
どうやら、戦闘員では相手にならないみたいだな
トリジェントル「誰だ!」
ならば俺様が相手だ!
トリジェントル「ようやく手応えのある相手が出てきそうだな」
新作の怪人のパワー、とくと味わうがいい!
とおーー!
スリースターズ「ハッハッハ〜」
スリースターズ「俺様は怪人スリースターズ」
トリジェントル「怪人、スリースターズだと!」
スリースターズ「お前を八つ裂きにしてやる!」
トリジェントル「そう上手くいくかな?」
スリースターズ「そして地球人を抹殺して、ここを征服してくれるわ!」
トリジェントル「そうはさせるか!」
男「・・・・・・」
男「か、カッコいい!」
スリースターズ「え?」
女「きゃー!カッコいいー!」
男「なにあれ?超いけてるじゃん!」
女「あ〜八つ裂きにされたい〜」
トリジェントル「え?」
男「ってかさ、よーく見たら、ヒーローよりいけてない?」
女「たしかに!最初は鳥のヒーローって珍しかったけど」
男「ヒーローじゃねぇな、あれ」
女「スリースターズ様〜」
「・・・」
スリースターズ「思ってたのと違う!」
〇テーブル席
大鳥翼「え〜、なんだよあれ〜」
大鳥翼「これじゃトリジェントルが・・・」
戦 闘員「あの〜」
大鳥翼「はい?」
戦 闘員「もしかしてトリジェントルさんですよね?」
大鳥翼「え?」
大鳥翼「さ、さぁ?なんのことやら?」
戦 闘員「あ、そういうのいいんで」
大鳥翼「はい?」
戦 闘員「あ、僕、その〜」
戦 闘員「スリースターズです」
大鳥翼「え?何言ってるんですか?」
戦 闘員「あーちょっと待っててください」
戦 闘員「一瞬ですよ」
戦 闘員「周り、誰も見てないよな」
大鳥翼「!?」
戦 闘員「ね、本人です」
戦 闘員「まぁ怪人になる前はいたって普通の人ですが」
大鳥翼「で、なんですか?」
大鳥翼「まさか、変身前の僕を襲って・・・」
戦 闘員「あ、違います!」
戦 闘員「あの・・・」
戦 闘員「この前はすいませんでした!」
大鳥翼「はい?」
戦 闘員「いや、なんか思ってたのと違う感じになっちゃって」
大鳥翼「どういうことですか?」
戦 闘員「なんかヒーローより人気出ちゃったみたいでして」
大鳥翼「あ!」
戦 闘員「はい・・・」
大鳥翼「本当ですよ!」
戦 闘員「え?」
大鳥翼「なんで僕より人気出ちゃうんですか!」
戦 闘員「いや、僕もビックリしてるんですよ」
戦 闘員「あんな感じになるなんて思ってなかったから」
大鳥翼「にしても、困りますよ」
大鳥翼「ヒーローはみんなに憧れられなきゃいけないのに」
戦 闘員「すいません」
大鳥翼「なんすか?なんかみんなにキャーキャー言われて調子に乗ってます?」
戦 闘員「そんなつもりないですよ」
戦 闘員「だって僕も戦闘員だったころ、トリさんと戦ったことありますから」
戦 闘員「強さはわかってますよ」
大鳥翼「じゃあなんで、あんな感じになるんですか」
大鳥翼「せっかくトリ人気が定着してきたのに」
大鳥翼「マジで困りますよ」
戦 闘員「・・・」
戦 闘員「いやいやお言葉ですが」
戦 闘員「あなたヒーローだったらもっとカッコよくなればいいじゃないですか」
大鳥翼「え?逆ギレですか」
戦 闘員「いやいや、僕だって好きでキャーキャー言われてるんじゃないですよ」
戦 闘員「どちらかと言えば、逃げ惑う方のキャーキャーの方がいいんですよ」
大鳥翼「また贅沢な」
戦 闘員「それになんで鳥のヒーローなんですか」
大鳥翼「それはいいでしょ」
戦 闘員「もっと他になかったの?」
大鳥翼「いやいや探したけどなかったの」
戦 闘員「ってか、どうするんですか」
大鳥翼「本当ですよ、うちら戦う以前の問題になってるし」
大鳥翼「知ってます?巷ではスリースターズのファンクラブまで出来て」
戦 闘員「え!?」
〇渋谷のスクランブル交差点
女「きゃー!スリースターズ様〜♪」
女「早く地球を征服して〜」
女「あなたのしもべになりたい〜」
男「スリースターズ、サインくれないかな?」
男「無理でしょ〜」
男「あー俺もあんな怪人だったらなぁ〜」
〇テーブル席
戦 闘員「マジっすか?」
大鳥翼「そうだよ、今すげー話題」
戦 闘員「まずいな」
大鳥翼「で、どうするんですか?」
戦 闘員「なんかいい方法ないっすかね?」
大鳥翼「って言われても」
戦 闘員「このままじゃ本当に地球征服しちゃいますよ」
戦 闘員「こちらサイド的にはぜんぜんいいんですけど」
戦 闘員「なんか思ってた感じの征服じゃないんですよね」
大鳥翼「知りませんよ、そんなの」
戦 闘員「お願いしますよ!あなたヒーローでしょ」
大鳥翼「まぁ」
戦 闘員「困ってる人を助けるのがヒーローでしょ」
大鳥翼「いや、誰が言ってるんですか」
戦 闘員「僕、戦闘員だったころあなたにボコボコにやられて」
戦 闘員「でもめっちゃ強かったから」
戦 闘員「怪人になった際は、きちんと戦いたかったんですよ」
大鳥翼「そうなんですか」
戦 闘員「頑張れトリジェントル!悪をやっつけろー!って中で戦うのが」
戦 闘員「僕らの憧れのシチュエーションなんですよ」
大鳥翼「って言われても」
大鳥翼「スリースターズさん、めっちゃカッコいいし」
戦 闘員「・・・まぁそうっすよね」
戦 闘員「なんか元々は○○男!みたいなのが来ると思ってたんですが」
大鳥翼「そう!怪人と言えば、そんなイメージ!」
戦 闘員「なぜか最新版の怪人になっちゃって」
大鳥翼「なんか必殺技とかないんですか?」
戦 闘員「必殺技?まぁなくはないけど」
大鳥翼「ほら〜もうカッコいい要素しかないじゃん〜」
戦 闘員「まだ練習中なんで、お見せするほどでも・・・」
戦 闘員「・・・」
大鳥翼「ん?どうした?」
戦 闘員「それだ!」
大鳥翼「え?」
〇テーブル席
戦 闘員「さすがトリジェントルさん!」
大鳥翼「なになに?どうしたの?」
戦 闘員「必殺技、受けてもらっていいですか?」
大鳥翼「やですよ!やられちゃいますよ」
戦 闘員「大丈夫です!まだ練習中なんで それに」
戦 闘員「軽くというか、素振りだけにするので」
大鳥翼「はぁ」
戦 闘員「で、みんなは 「あの攻撃が効かないだと!トリジェントル、やっぱすごい」」
戦 闘員「って、なるわけですよ」
大鳥翼「なるほど」
戦 闘員「おまけに、必殺技の名前もダサダサにします」
大鳥翼「いいんですか?」
戦 闘員「たぶん、別に大ボス様には何も言われてないし」
戦 闘員「マニュアルにも、必殺技1.2.3としか書かれてなかったし」
大鳥翼「え?3つもあんの?」
戦 闘員「あ!」
戦 闘員「じゃなくて、この作戦でどうですか?」
大鳥翼「お願いしますよ!絶対に本気でやらないでくださいよ」
戦 闘員「わかってますよ、僕もトリさんとちゃんと戦いたいし」
〇渋谷のスクランブル交差点
戦闘員「ひーひー!」
女「誰か助けて〜」
トリジェントル「そこまでだ!」
トリジェントル「大空飛んでやってきた」
トリジェントル「平和のマナーを乱すやつは許さない」
男「お!トリいるじゃん」
男「ってことはスリースターズ来るんじゃねぇ?」
トリジェントル「俺は前座か」
ハッハッハ〜
スリースターズ「出たな、トリジェントル!」
トリジェントル「スリースターズ!お前の好きにさせない!」
女「好きにして〜!」
女「スリー様〜早く征服してー」
女「トリなんか焼き鳥にしちゃえ」
トリジェントル「もう〜なんでそーなるの」
スリースターズ「トリさん、前に言ってたやつやりますよ」
トリジェントル「わかりました、お願いしますよ」
スリースターズ「トリジェントル!俺様の必殺技をくらえ!」
トリジェントル「必殺技だと!」
スリースターズ「いくぞ!」
スリースターズ「スーパースペシャル!」
スリースターズ「ミラクルサンダー」
スリースターズ「ファイヤーマウンテン ウルトラビームパーンチ!」
トリジェントル「う!」
スリースターズ「どうだ!」
トリジェントル「・・・」
トリジェントル「効かぬわ!」
スリースターズ「なに、俺様の超カッコいい攻撃が効かないとは!」
スリースターズ「さすが正義のヒーロー、トリジェントル!」
「・・・」
「・・・」
男「すげー!」
男「さすがだ!」
トリジェントル「お、いい感じ?」
男「必殺技もカッコいい!」
スリースターズ「なんで!?」
男「うわー写メ撮っときゃよかった」
女「ってか、なんでトリに効いてないのぉ」
男「そこはヒーロー出すなよ」
男「本当本当、もっと主役立てろよ〜」
トリジェントル「なんでそうなるの!」
スリースターズ「思ってたのと違う!」
トリジェントル「ちょっと、どういうこと!」
スリースターズ「知りませんよ」
スリースターズ「あ、ちょっと待って」
スリースターズ「大ボス様から電話だ」
トリジェントル「あのさ、その大ボスさんに言ってくれない?」
スリースターズ「すいません、ちょっと聞いてみます」
スリースターズ「もしもし、スリーです」
大ボス様「おぅ、どうだ?地球の調子は?」
スリースターズ「いやーまぁそうっすね」
スリースターズ「ちょっとマズいことになってまして」
大ボス様「なに?やはりトリジェントルか」
大ボス様「そんなに強くなっていたとは」
スリースターズ「あ、そこじゃないんです」
大ボス様「え?どういうこと?」
スリースターズ「いや、あの」
スリースターズ「地球は征服出来そうっちゃあ出来そうなんですが」
大ボス様「そうか!それはよくやった!」
スリースターズ「でも、思ってる感じにはならなそうでして」
大ボス様「え?どういうこと?」
スリースターズ「破壊や侵略、皆殺しっていうよりかは」
スリースターズ「崇められるような感じといいますか」
大ボス様「何を言ってるんだ?」
トリジェントル「あぁもういい!ちょっと貸して」
スリースターズ「あ、ちょっとトリさん」
トリジェントル「もしもし大ボスさんですか?」
大ボス様「そうだが、お前は誰だ?」
トリジェントル「あ、地球を守ってるトリジェントルって言います」
大ボス様「お前がトリジェントル」
トリジェントル「あのさ、あんたの怪人が」
トリジェントル「カッコよすぎるんですけど!」
大ボス様「はぁ?何言ってるんだ?」
トリジェントル「だから!主役の僕の立場がないってこと!」
スリースターズ「あの、大ボス様なんで」
トリジェントル「知らないよ!ちょっと一回来てくんない?」
大ボス様「え?」
トリジェントル「いいから!あんたがまずは地球の人を怖がらせてよ」
大ボス様「は、はぁ」
大ボス様「わかりました」
スリースターズ「え?大ボス様来るの?」
トリジェントル「そう、で、あんなのボスって言ったら みんなは怖がるでしょ!」
スリースターズ「いやーどうかな?」
トリジェントル「なんで?悪の大ボスでしょ?」
スリースターズ「まぁ、そうなんですが〜」
待たせたな、地球人
我が名は、ディランの王、カウベル様だ!
スリースターズ「きた!」
トリジェントル「・・・」
トリジェントル「だから、なんでカッコいいんだよ!」
大ボス様「へ?」
最近敵側のダークライダーが人気だったりするので、「あるある!」と思いながら読んでました(笑)
今日も地球は平和だ!(たぶん)
コメディいいなぁ、
ストーリー通して漂う”気まずさ”の空気感に、笑いがこみ上げてきました。よく敵役が人気になる”ダークヒーロー”は散見されますが、これは明らかに怪人が圧倒してシナリオ破綻ですよね!w