地下帝国アイドル!花咲ノノ!!

篠也マシン

見た目は怪人・心は乙女!地下帝国アイドル爆誕!!(脚本)

地下帝国アイドル!花咲ノノ!!

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〇SHIBUYA109
  東京

〇地下街
  ──の地下

〇海底都市
  ──のさらに地下にある帝国

〇体育館の中
  ──の女子高
花咲ノノ「はあー!」
花咲ノノ「業花黒王拳(ごうかこくおうけん)!!」
佐伯ユキ「ヘブンズウォール!」
体育教師「模擬戦やめい!」
体育教師「午前の授業はこれにて終了!」
体育教師「諸君、まだ気を抜くな!」
体育教師「総帥の像に向かって、地下帝国国家斉唱!」
「地下を彩るー♪」
「我ら雄々しき怪人はー♪」
「ウンタラカンタラ・・・♪」

〇教室
花咲ノノ「あー!」
花咲ノノ「もうやだ!!」
花咲ノノ「来る日も来る日も、ヒーローと戦うための勉強ばかり」
花咲ノノ「あんな野蛮なことはキライなのに・・・」
佐伯ユキ「ノノ、仕方ないよ」
佐伯ユキ「私たちはそのために生まれたんだから」
花咲ノノ「たしか、地上にはたくさんの職業があるんだよね?」
花咲ノノ「うらやましいなあ」
佐伯ユキ「私たちの就職先は、公務員(悪の組織)だけだもんね」
花咲ノノ「あーあ」
花咲ノノ「もっとカワイイことがしたいなあ」
佐伯ユキ「例えば・・・アイドルとか?」
花咲ノノ「アイドルって?」
佐伯ユキ「歌やダンスでみんなを元気にする仕事だよ」
佐伯ユキ「地上世界で流行ってるの」
花咲ノノ「え! そんな素敵なお仕事があるの!?」
佐伯ユキ「うん」
佐伯ユキ「ノノはスマホ持ってないから、地上のこと詳しくないんだっけ?」
花咲ノノ「そうなの・・・」
花咲ノノ「親が厳しくて・・・ぐすん」
佐伯ユキ「それじゃあ放課後私の家に来な」
佐伯ユキ「アイドルのこと、詳しく教えてあげる」
花咲ノノ「ノノ、楽しみ!」

〇コンサート会場

〇女性の部屋
佐伯ユキ「これが、今地上最強といわれるアイドルグループ──」
佐伯ユキ「『Luster(ラスター)』よ」
花咲ノノ「うわあ」
花咲ノノ(みんなキラキラ輝いててステキ)
花咲ノノ(特に──)
花咲ノノ「この真ん中の子は誰?」
佐伯ユキ「『七草あずき』ね」
佐伯ユキ「グループの圧倒的センターで、すっごい人気なの」
花咲ノノ「へえ」
花咲ノノ(カワイイだけじゃなく、カッコよさもある・・・)
花咲ノノ「はっ!」
佐伯ユキ「ノノ、どうしたの?」
花咲ノノ「私の中のプリティーノノが言ってる・・・」
プリティーノノ「ノノ」
プリティーノノ「公務員はたしかに素晴らしい仕事よ」
プリティーノノ「でも、あなたが本当にやりたいことじゃない」
プリティーノノ「行きなさい!」
プリティーノノ「心のおもむくままに!」
花咲ノノ「ありがとう──プリティーノノ」
佐伯ユキ(何言ってんだ、コイツ・・・)
花咲ノノ「決めた!」
花咲ノノ「私、地上最強のアイドルになる!!」
佐伯ユキ「え」
佐伯ユキ「ええー!!」

〇体育館の中
花咲ノノ「私って体はゴツいけど、声はカワイイでしょ?」
花咲ノノ「だからアイドルに向いてると思うの」
佐伯ユキ「・・・甘い」
花咲ノノ「え?」
佐伯ユキ「アイドルを舐めるんじゃないわ!」
佐伯ユキ「まずこの動画みたいに、キレキレのダンスが踊れないとダメ」
花咲ノノ「うわあ・・・すごい動き!」
佐伯ユキ「でしょ?」
佐伯ユキ「ほら、試しにやってご覧なさい」
花咲ノノ「うん・・・できるかな」
花咲ノノ「あれ、なんか結構イケてたり?」
佐伯ユキ「・・・ふうん、なかなかの動きね」
佐伯ユキ「それじゃあ次は歌よ」
佐伯ユキ「この動画のように歌ってみなさい!」
佐伯ユキ「・・・お、音程もバッチリ!?」
花咲ノノ「きっと、毎日真面目に地下帝国国歌を歌っていたおかげね」
佐伯ユキ「待て待て待てぃ!」
佐伯ユキ「遠くのファンまで声が届くように、声量も必要なのよ」
佐伯ユキ「さすがにそれは──」
佐伯ユキ「す・・・すごい!」
花咲ノノ「いつも必殺技を叫んでいたものね」
花咲ノノ「もっと大きな声も出せそう」
佐伯ユキ「く、悔しっー!!」
花咲ノノ「いや、なんでよ」

〇体育館の中
佐伯ユキ「ノノにはアイドルの素質があるよ」
花咲ノノ「やったあ!」
佐伯ユキ「そこで提案なんだけど、ネットで動画を配信してみない?」
花咲ノノ「え、ネットで!?」
花咲ノノ「なんだか恥ずか・・・」
プリティーノノ「ノノ、何を怖気づいてるの?」
プリティーノノ「これはまたとないチャンスよ!」
花咲ノノ「──そうよね、プリティーノノ」
佐伯ユキ(また一人でブツブツ言ってる・・・)
花咲ノノ「私やってみる!」
佐伯ユキ「よし!」
佐伯ユキ「私がしっかりプロデュースしてア・ゲ・ル」
花咲ノノ「ノノ、感謝感激!」

〇女性の部屋
佐伯ユキ「・・・やっべえ」
佐伯ユキ「動画公開したけど、フォロワー数1桁って・・・」
佐伯ユキ「再生数も全然伸びてない」
佐伯ユキ「このままでは私の面目丸つぶれよ!」
佐伯ユキ「コメント欄に何かヒントが・・・」
男の子「歌とダンスは新人離れの上手さ!」
女の子「でも、このスーツは何?」
女の子「悪の組織の怪人みたいw」
「wwww」
佐伯ユキ「はっ!」
佐伯ユキ「ビジュアルの問題を忘れていた・・・!」
佐伯ユキ「それに怪人とバレたら、正義のヒーローに目をつけられるし・・・」
佐伯ユキ「一体どうすれば・・・」
佐伯ユキ「ん?」
佐伯ユキ「そういえば、アイドルにも色んな系統があるんだっけ」
佐伯ユキ「──よし!」
佐伯ユキ「怪人のコスプレをしたネタキャラということにして・・・」
佐伯ユキ「『我は地下帝国から来た悪の総帥──』」
佐伯ユキ「フフフ・・・」
佐伯ユキ「『地下アイドル』ならぬ『地下帝国アイドル』」
佐伯ユキ「これはイケるわ!」

〇教室
佐伯ユキ「ノノ、配信動画の人気が出てきたわよ!」
花咲ノノ「さすがユキちゃん!」
佐伯ユキ「ふふ、名プロデューサーと呼びなさい」
花咲ノノ「みんなどんな反応してるんだろう」
花咲ノノ「ちょっと見せてくれない?」
佐伯ユキ「ダメダメダメダメダメダメ!」
花咲ノノ「へ?」
佐伯ユキ「ほ、ほら!」
佐伯ユキ「こういうのってアンチも多いの」
佐伯ユキ「そんな人たちのコメント・・・優しいノノに見せられない・・・」
花咲ノノ「ユキちゃん・・・」
花咲ノノ「優しすぎるぞー!」
佐伯ユキ(ふう・・・)
佐伯ユキ(地下帝国アイドルとして売り出し中なのは しばらく黙っておこう・・・)
佐伯ユキ「──それより」
佐伯ユキ「とても小さな会場だけど、ライブのオファーが来たのよ」
花咲ノノ「え、本当にっ!?」
佐伯ユキ「場所は東京」
花咲ノノ「東京・・・!」
花咲ノノ「上京(地下帝国から東京へ行くこと)するなんて・・・パパとママは許してくれるかな」
佐伯ユキ「私は何回か行ったことあるけど、ノノはないの?」
花咲ノノ「うん」
花咲ノノ「成人するまで絶対ダメだって言われてる」
花咲ノノ「もし正義のヒーローに見つかったら、成敗されちゃうからって・・・」
佐伯ユキ「最近はコスプレしている人間も多いし、破壊活動さえしなければバレないわよ」
花咲ノノ「なんとか、説得してみる」

〇おしゃれなリビングダイニング
花咲ノノ「パパ、ママ──話があるの」
父「なんだいノノ?」
母「改まって話なんて」
花咲ノノ「・・・次の休日、上京させてほしいの!」
「え!」
父「まだ子供のお前には早過ぎる!」
花咲ノノ「大丈夫よ」
花咲ノノ「何回か上京したことある友達も一緒だし」
父「駄目だ!」
父「そもそも東京に何しに行くんだ!」
花咲ノノ「・・・アイドルとしてライブをするの」
父「アイドルって・・・」
父「あの歌って踊れるという、アイドル!?」
花咲ノノ「うん」
父「お前が?」
花咲ノノ「そうよ」
父「そんなの認めん!」
父「お前は将来組織の幹部として──」
母「お父さん!」
母「ここ最近・・・ノノは夜遅くまで歌やダンスを練習してた」
母「あなたも嬉しそうに見てたじゃない」
父「そ、それは・・・」
母「組織に入り、上を目指すのだけが人生じゃない」
花咲ノノ「ママ・・・」
母「ノノ、正義のヒーローにだけは気を付けるのよ」
母「夢に向かって頑張りなさい!」
花咲ノノ「うん・・・!」
花咲ノノ「ありがとうママ!」
花咲ノノ「ギュッ!」
母「おい」
母「そっちはパパだ」

〇地下街
  ライブ当日

〇SHIBUYA109

〇ライブハウスのステージ
佐伯ユキ「ここが会場ね・・・」
佐伯ユキ「100人ぐらい集まってそう」
花咲ノノ(私のファン・・・)
花咲ノノ(一体どんな人たちなんだろう)
???「・・・」
花咲ノノ「なんだか・・・」
花咲ノノ「おかしな格好をしてる人が多くない?」
佐伯ユキ「さ、さあ」
佐伯ユキ「気のせいじゃないかしら」
佐伯ユキ「そろそろはじめるわよ!」
花咲ノノ「え、もう!?」
花咲ノノ「うまく歌って踊れるかな・・・」
花咲ノノ「うー、すごく緊張してきた・・・」
佐伯ユキ「あれだけ練習したんだから大丈夫よ」
花咲ノノ「う、うん・・・」

〇ライブハウスのステージ
佐伯ユキ「戦闘員(ファン)の皆さん・・・」
佐伯ユキ「お待たせしました!」
佐伯ユキ「これより・・・」
佐伯ユキ「ノノ総帥のぉー、登場ですっ!」
ファン「生のノノ総帥だ!」
ファン「本物の怪人にしか見えないクオリティ!」
花咲ノノ(なんだか変な声援が聞こえる気が・・・)
佐伯ユキ「ノノ、準備はいい?」
花咲ノノ「うん・・・」
花咲ノノ(ユキちゃんの言う通り、あれだけ練習したんだもの)
花咲ノノ(きっとうまくやれるはず)
花咲ノノ(でもどうして?)
花咲ノノ(こんなに体が震えてる・・・)
佐伯ユキ「ミュージック、スタート!」
花咲ノノ「・・・あ」
佐伯ユキ「どうしたの、ノノ!?」
花咲ノノ(ダメ・・・怖い・・・)
花咲ノノ(『Luster』みたいに歌える自信が・・・)
佐伯ユキ「くっ・・・一旦ストップよ」
酔っ払い「ウイー」
酔っ払い「あれ? ここクラブじゃねえの?」
酔っ払い「ヒック」
酔っ払い「なんだこいつら・・・変な格好しやがって」
酔っ払い「悪の組織かってーの」
酔っ払い「ギャハハハハ!」
佐伯ユキ(何、あの酔っぱらいは!)
佐伯ユキ(このままじゃノノのライブが・・・)
佐伯ユキ「ちょっとあなた!」
佐伯ユキ「冷やかしなら──」
酔っ払い「うるせえ!」
酔っ払い(うお、なんだコイツ!)
酔っ払い(押した俺の方が腕にダメージを・・・!)
佐伯ユキ「キャアアアア!」
酔っ払い「え」
花咲ノノ「ユキちゃん!」
花咲ノノ「ぐぬぬ」
花咲ノノ「友達を傷つける奴は許さん」
酔っ払い「い、いや、俺の方がダメージを・・・」
花咲ノノ「はあー!」
花咲ノノ「業花黒王拳(ごうかこくおうけん)!!」
酔っ払い「ぎゃああああー!」
花咲ノノ「ユキちゃん、怪我はない?」
佐伯ユキ「うん、まったく」
佐伯ユキ「あ・・・」
花咲ノノ「もしかして・・・」
花咲ノノ「やり過ぎたかも・・・」
「・・・」
ファン「こんなショータイムまであるとは!」
ファン「さすがノノ総帥!」
「うおおおおー!」
花咲ノノ「あれ?」
花咲ノノ「なんか盛り上がってる?」
プリティーノノ「ノノ・・・」
プリティーノノ「アイドルとは、どんな仕事だったかしら?」
花咲ノノ「・・・歌とダンスをするお仕事」
プリティーノノ「違うわ」
プリティーノノ「最も大事なのは──みんなを元気にすることよ!」
花咲ノノ「はっ!」
花咲ノノ「そうだ・・・」
花咲ノノ「歌とダンスをうまくこなすこと、私はそればかり考えていた・・・」
プリティーノノ「あなたは駆け出しのアイドル」
プリティーノノ「いきなり『Luster』みたいに、うまく歌って踊れるはずがない」
プリティーノノ「でも、ここにいる人たちを、元気にすることはできるのよ!」
花咲ノノ「ありがとうプリティーノノ・・・」
花咲ノノ「私、やってみる!」
花咲ノノ「ユキちゃん! ミュージック・・・スタート!!」
佐伯ユキ「がってんだい!!」
花咲ノノ「それじゃあ皆さん、聴いてください」
花咲ノノ「作詞・作曲、佐伯ユキ」
花咲ノノ「歌、花咲ノノで──」
花咲ノノ「『怪人なんかじゃいられない』」

〇ライブハウスのステージ
花咲ノノ「必殺技より叫びたいー♪」
花咲ノノ「胸に秘めたこの夢を♪」
花咲ノノ「地下深くから届けたいー♪」
花咲ノノ「心震わす歌声を♪」
花咲ノノ「怪人──」
「NO!NO!」
花咲ノノ「──私はアイドル♪」
花咲ノノ「怪人──」
「NO!NO!」
花咲ノノ「──地上最強♪」
花咲ノノ「誰にも止められないのー♪」

〇ライブハウスのステージ
ファン「うおー!」
ファン「最高だー!」
「ノノ総帥に最敬礼!」
???「フフ」
花咲ノノ「ユキちゃん」
花咲ノノ「ここまで来られたのは、あなたのおかげよ」
佐伯ユキ「ううん」
佐伯ユキ「ノノ自身の力だよ」
佐伯ユキ「でも、なんだか・・・」
佐伯ユキ「うらやましくなっちゃったな」
花咲ノノ「・・・」
花咲ノノ「ねえ、ユキちゃんも一緒にやろうよ」
花咲ノノ「あれだけアイドルに詳しいってことは、興味あるんでしょ?」
佐伯ユキ「・・・!」
佐伯ユキ「ふん!」
佐伯ユキ「そこまで言うなら・・・やってあげてもいいわよ」
「うおおおおー!」
「大幹部ユキ様の誕生だ!」
ファン「ノーノ、ノーノ!!」
ファン「ユーキ、ユーキ!!」
花咲ノノ「なんかファン層は気になるけど・・・」
花咲ノノ「私の歌で、こんなに元気になってくれる人たちがいる」
花咲ノノ「私・・・」
花咲ノノ「ぜーったい、最強のアイドルになってやる!!」

〇ビルの裏通り
???「花咲ノノ・・・」
七草あずき「怪人のコスプレする理由は謎だけど・・・」
七草あずき「すごい素質を感じたわ」
七草あずき「私たち『Luster』も、うかうかしてられないわね」
七草あずき「・・・!」
七草あずき「どうやら本物の怪人が出現したみたい」
七草あずき「待っていろ、怪人・・・!」
七草あずき「私が殲滅してやるっ!!」

〇教室
怪人JK「ノノちゃん、ライブの動画見たよ」
怪人JK「私、感動しちゃった!」
「これからも応援してるよ!」
花咲ノノ「えへへ、みんなありがとう」
佐伯ユキ「ノノ」
佐伯ユキ「次のライブに向け、二人用フォーメーションの練習よ!」
花咲ノノ「うん! ノノ、頑張る!」
花咲ノノ(プリティーノノも頑張ろうね!)
プリティーノノ(モチのロン!)
???(・・・あれがアイドル)
???(・・・みんなを元気にする仕事)
???「・・・私にもできるかな」
  まだ見ぬ仲間たちと共に──
  花咲ノノの、最強アイドルへの道は続く!
佐伯ユキ「・・・ある意味、既に最強だけどね」

コメント

  • 最高ですー!!!!!!✨めっちゃ怪人たちが可愛く見えて、しかもプリティーノノがちょいちょい出てくるのにも笑わせていただきました!!面白かったですし、癒されましたし、読んでて楽しい気持ちになりました!!(*^▽^*)💖ありがとうございます!!

  • 見た目があんなに強そうなのに、最後にはかわいくて応援したくなっていました!ノノちゃん、心優しくてご両親にそっくりな乙女なんですね😂✨ 
    面白かったです!

  • 怪人というイメージを壊しつつ守りつつ、とにかく面白かったです!個人的に好きなのはパパとママのビジュアルがノノちゃんと同じなところ🤣遺伝子100パー受け継いでるのが怪人ぽさがあるのに喋ると本当に純粋でひたむきで登場人物全員を応援したくなりました!ノノちゃんに影響されてまた別の怪人に夢を与えて…明るい未来に読み終わりも大満足でした!❤️🥰🙌プリティーノノ可愛いかったです!

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