7月6日のスタンド・バイ・ミー

YO-SUKE

エピソード10(脚本)

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〇池のほとり
  裕介たちが、公園を彩るロウソクのキャンドルを眺めている。
秋山裕介「母ちゃん! その人は?」
秋山雫「連れてきたわよ、専業主婦の情報網をなめんじゃないわよ」
佐々木和美「お母さん!」
  和美が、母・麻子の元に飛び込む。麻子もまた和美をきつく抱きしめる。
佐々木麻子「ごめんね、和美。 勝手に家を出たりして、ごめんね」

〇池のほとり
  和美、麻子、幸雄の三人が抱き合う。
  その様子を伸生と学が後ろで見ている。
井戸端学「めでたしめでたし、ってやつだな」
伊藤伸生「いや、まだだ。あそこを見ろ」
  指をさす伸生。
  裕介と美砂が並んでロウソクを見ている。
伊藤伸生「なっ?」
井戸端学「確かに」

〇池のほとり
伊藤伸生「チャンスだ、裕介」
秋山裕介「は? なんのことだ?」
井戸端学「女は夜景に弱いって、前にうちの母ちゃんが言ってた」
秋山裕介「だからなんなんだよ!」
伊藤伸生「美砂が女の顔をしてるぞ」
秋山裕介「・・・・・・」
伊藤伸生「なっ?」
秋山裕介「バ、バカ! だから俺は興味ないって言ってんだろ!」
美砂「ちょっとあんたたち! 折角いいムードなんだから壊さないでよ!」
秋山裕介「なんだと! 女はすっこんでろ!」
美砂「なっ」
  喧嘩を始める美砂と裕介。
  そんな二人を止めに入る伸生と学。
  元気そうだな、裕介
美砂「・・・?」
  ハッとして後ろを振り返る裕介。

〇池のほとり
秋山大二郎「そんだけ元気なら、もうじいちゃんいなくても平気だな」
秋山裕介「なんで・・・どうして・・・」
  そのとき、裕介の頭に幼い頃の思い出がフラッシュバックする。

〇火葬場
  葬儀場から立ち上る煙。
  幼い裕介は、その煙をじっと見つめている。

〇男の子の一人部屋
  カーテンの閉まりきった部屋。
  裕介はベッドにうずくまる。
「裕介!」

〇家の廊下
秋山裕介「カズミー・・・?」
秋山裕介「!?」

〇池のほとり
秋山裕介「・・・・・・」
「おい、裕介、どうした?」
秋山裕介「確かにじいちゃんいなくなって、最初はきつかったけど・・・」
  後ろを振り返る裕介。

〇池のほとり
  不思議そうな顔で裕介を見ている一同。

〇池のほとり
秋山裕介「今はもう、全然平気だ」
秋山裕介「・・・でも、俺はじいちゃんに会えてすごく嬉しいよ」
秋山裕介「・・・っ」

〇池のほとり
「?」

〇街の全景
  七月七日。
  会いたい人に会える夜。
  俺は天国のじいちゃんに会った。
  この日を境に、カズミーたちの家族は元通りになって、カズミーも二学期から学校に戻ってきた。
  まあ、それから卒業までの半年間、俺たちとカズミーは相変わらずだったけど。
  伸生は中学に上がると同時に東京に行き、俺もそれから3年後、仙台の大学に行くために函館を出た。

〇白
  18年後

〇赤レンガ倉庫
伊藤伸生「・・・・・・」

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