トキメキ♡供給♡モテ星人の逆襲

朝永ゆうり

怪人は地球でもモテたい!(脚本)

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朝永ゆうり

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〇教室
怪人「待ってくれ!」
宇宙一の名女優「何よ今更・・・」
怪人「あれは誤解なんだ!」
怪人「俺はお前が──」
怪人「ただ一人、大事なんだ!」
監督「カーットォーー!」

〇撮影スタジオのセット
監督「いやぁ、良かったよ〜」
怪人「あざっす!」
監督「売れっ子の君がいれば、宇宙一の視聴率が取れるからね!」
監督「君のルックスにその演技力・・・鬼に金棒だ!」
監督「この宇宙中の女性は間違いなく君のトリコだね!」
怪人「いやいや、そんなこと・・・」
監督「謙遜しちゃって〜」
監督「君の出た番組、全宇宙視聴率ランキング総ナメなんだからね!」
監督「またよろしく頼むよ!」
怪人(へへ、宇宙中の女性はおいらに夢中・・・)
怪人(おいらは宇宙一のモテ男、なんだな!)

〇未来の都会
怪人「ふふんふーん♪」
「キャー、怪人さまー!」
「怪人さまー、こっち向いてー!」
「あのフォルム・・・尊い・・・」
「怪人さましか勝たん!」
怪人(やっぱおいらってモテモテ〜)
「ねえねえ、そういえば・・・」
噂好き子「地球って星に、新しいヒーローが誕生したって噂よ!」
怪人(新しいヒーロー、なんだな!?)
ミーハーちゃん「へぇ、イケメンかなぁ?」
噂好き子「それが、どうやら噂ではイケメンで優しくてモテモテらしいのよ!」
ミーハーちゃん「えー、会いたい〜」
噂好き子「地球はやめた方が良いわ」
噂好き子「地球人たち、自分の星の人以外はみーんな敵だと思ってるから」
ミーハーちゃん「テレビは?映ってない?」
噂好き子「地球は辺鄙なところだから、電波も入らないのよねぇ」
ミーハーちゃん「そっかぁ残念!一度拝んでみたかったな」
怪人(宇宙一のモテ男は、おいらなはず・・・)
怪人(これは・・・おいらが宇宙一のモテ男だと、証明しなければ!!)

〇店の休憩室
怪人「マネージャー!」
マネージャー「おや、怪人くんお帰り」
マネージャー「今期のドラマも、宇宙一の視聴率で──」
怪人「おいら、地球に行ってきますっ!」
マネージャー「・・・」
マネージャー「・・・・・・」
マネージャー「ええ〜〜っ!?」

〇地球
怪人(あれが、地球・・・)

〇繁華街の大通り
怪人「よっと」
怪人(ここが地球・・・)
怪人「あ、あのー」
カスミ「はーい・・・」
カスミ「え・・・」
カスミ「キャーー!」
怪人(彼女には刺激が強すぎたか・・・)
怪人(気を取り直して!)
怪人「あのー・・・」
サクラ「・・・」
怪人(お、おいらに見惚れてる・・・)
サクラ「いやーー!」
「助けて、メンズヒーロー!」
「あ、あの声は!」
レッド「真っ赤なハートは燃える正義!」
ブルー「ブルーなハートでクールにキメるぜ!」
「我ら、メンズヒーロー!」
怪人「・・・」
怪人「ええーーっ!」

〇繁華街の大通り
レッド「やべー、怪人きちゃったよ」
レッド「こんな展開あり?」
ブルー「でも格好つけちまった手前、助けなきゃ、だよな」
レッド「仕方ねー、いっちょやりますか!」
ブルー「ああ」
「怪人さん──」
レッド「お願いです!」
ブルー「やられたフリしてくださいっ!」
怪人(こいつら、)
怪人(戦うフリだけして、攻撃を当ててこない?)
レッド「怪人さんも痛いの嫌でしょ?」
ブルー「俺たちも殴ったり蹴ったりしたくないんすよ」
怪人「よし・・・分かった!」
怪人(ここはおいらの、俳優魂で・・・)
「やあっ!」
怪人「うっ・・・」
レッド「よし、トドメだ!」
「はぁ〜」
怪人「うわぁ・・・っ!」
怪人(ただの花びらなんだな・・・)
怪人「や、やられ・・・た・・・」
「助けを呼んだら飛んで現る!」
「我ら、メンズヒーロー!!」
レッド「名演技だった・・・ありがとう、怪人さん!」
ブルー「お詫びに匿ってやる!」

〇組織のアジト
怪人「本当にここに住んでんのか?」
レッド「ああ。なんにも無くて悪いな」
ブルー「とりあえず、座れよ」
怪人「ありがとうなんだな!」
レッド「お茶どーぞ」
怪人「わぁぁ、すんません」
レッド「で、怪人さんは何しに来たの?」
怪人「おいら?」
ブルー「ああ。悪さをしに来たようには思えなかったからな」
怪人「悪いことなんてしないんだな!」
怪人「おいら、宇宙一モテモテな怪人なんだな」
怪人「でも、地球にイケメンでモテモテなヒーローがいるって聞いて・・・」
怪人「居ても立ってもいられなくなって、飛んできたんだな」
ブルー「へえ。キミ、モテるんだ」
怪人「んだ」
怪人「おいらの出演したドラマは宇宙放送界を黙らせるほどの高視聴率」
怪人「街を歩けば黄色い歓声に囲まれるんだな!」
レッド「アイドル的存在ってこと?」
ブルー「聞いたことねーわ」
怪人「疑ってるだな?」
怪人「仕方ないだな、宇宙の中でも地球は辺鄙な銀河系の中の小さな星・・・」
怪人「文明もものすごく遅れてるから、おいらたちの存在を知らなくて当然なんだな」
ブルー「あ、わり、電話だ」
怪人「あ、あれは何だーー!」
レッド「スマホ。知らない? 電話とかメールとかできる通信機器」
怪人(地球って辺鄙な片田舎じゃなかったんだな・・・?)
怪人「ところで、モテモテなヒーローって、お前っちのことなんだな?」
レッド「まあ、そうなるのかな」
怪人「くそー、悔しい! 絶対においらのほうがイケメンなのに!」
レッド「そう・・・?」

〇パチパチ
怪人「どこから見ても美しい黒いボディ」
怪人「鍛え上げられたシックスパック!」
怪人「右腕のソードは差し色のピンク!」
怪人「このフォルム、尊すぎなんだな!」

〇組織のアジト
レッド「・・・」
レッド「怪人さん、あのな、」
ブルー「地球ではそういうの、何つーか・・・」
「怖い」
怪人(だから、さっき女の子たちに泣かれたんだな)
怪人「地球でもモテたかったのに・・・」
レッド「まあ、キミが悪いやつじゃないってのは分かったし」
ブルー「俺らはキミのこと、怖いと思わないけど」
怪人(セリフがイケメンなんだな!)
怪人「モテるって噂、納得なんだな・・・」
レッド「・・・まあ、モテるな」
ブルー「・・・モテるよ」
怪人(否定しないなんて、なんて自信なんだ・・・!)
怪人「決めた!」
怪人「おいらを、弟子にしてください!!!」

〇組織のアジト
怪人「カタカタトントングーツグツ♪」
怪人「ご飯、できたんだな!」
レッド「うっまそー!」
ブルー「インスタントじゃねーの、久々・・・」
怪人「エヘヘ」
怪人「おいらは、家事も一通りこなせるんだな!」
怪人「画面の中では嘘だらけの俳優もいるけど、おいらはそんなことはしない!」
怪人「それでこそモテってもんよ!」
「おおーーっ!」
怪人「食べたら食器は水につけておくんだな!」
「はーい!」

〇組織のアジト
怪人「朝なんだな、起きるんだな!」
レッド「んん・・・」
ブルー「ふぁーあ」
怪人「お天気いいから洗濯しちゃうんだな!」
怪人「ほら、掃除もしちゃうんだな!」
レッド「お、俺たちはパトロールに」
ブルー「いってきま〜す」
怪人「って、なんでやねん!」
レッド「怪人さん、すげえ力・・・」
ブルー「俺らを引きずってここまで・・・」
怪人「シックスパックなんだな、当然なんだな!」
怪人「って、ちがーう!」
怪人「おいら、弟子っていってもこんなこと望んでないんだな!」
怪人「おいらは、地球人にモテたいんだな!」
怪人「もっと、露出を上げてほしいんだな!」
「あはは、そーだよな」
怪人「・・・そもそもお前っちはどんなことやってるんだな?」
レッド「俺たちメンズヒーローは、」
レッド「人を助けるヒーローなんだ!」
怪人「人を・・・助ける・・・?」
ブルー「悪を倒すんじゃなくて、人のためになることをする」
怪人「昨日はおいら倒そうとしたんだな?」
ブルー「それは、女の子たちが助けてって叫んだから」
怪人「普段は何してるんだな・・・?」
レッド「普段は・・・」

〇ゆるやかな坂道

〇歩道橋

〇組織のアジト
怪人(あの噂を宇宙中に流したのは、ネッコ星人とおばあ星人だったんだな!)
怪人(よし・・・)
怪人「おいらも連れてってほしいだな!」
レッド「って言われてもねえ」
ブルー「怪人さんが悪いやつじゃねえってことは分かるんだけど」
レッド「一回倒しちゃってるからなぁ」
怪人「おいらの俳優魂が、アダになるなんて・・・」
レッド「俳優魂・・・?」
怪人「おいら、宇宙では名の知れた俳優なんだな!」
怪人「悪役なんて初めて演じたんだな・・・」
怪人「お前っちは演技上手って褒めてくれたけど──」
怪人「街の人から見たら、おいら、悪いやつになっちまったんだな・・・」
怪人「サヨナラ・・・地球のモテ・・・」
怪人「うわぁぁぁぁん!!」
レッド「俳優、か・・・」
ブルー「俳優・・・演じる・・・」
「うん!」
レッド「怪人さん、俺ら──」
ブルー「協力するよ!」

〇繁華街の大通り
怪人「だーっ!」
ミサキ「キャー!」
怪人「うりゃーっ!」
ハルト「に、逃げろー!」
怪人「そうだ、逃げろ逃げろ地球人ども!」
怪人「恐れ慄け!」
怪人「俺は悪い怪人だからな!」
怪人「ヒーローのアジトから抜け出してきたんだぞ!」
リポーター「何あれ・・・」
取材班「お、おい!カメラ回せ!」
カメラマン「へいっ!」
怪人「こんな星、ぶっ潰してやる!」
レッド「あそこだ!」
ブルー「止めるんだ!」
「変身!!」
怪人「現れたな、マヌケなヒーローども!」
レッド「何を!」
ブルー「行くぞ!」
レッド「やぁ!」
怪人「お前ら・・・ちょうどいい」
怪人「昨日一晩俺を閉じ込めた恨み、晴らしてやる!」
怪人「はぁ〜〜」
怪人(炭を砕いて作ったんだな!)
レッド「うっ・・・」
ブルー「レッド!」
ブルー「くっそ」
ブルー「おりゃぁぁぁ!」
怪人「そんなの、効かねえよ!」
怪人「お前もだ!」
ブルー「うぉっ!」
リポーター「な、何ということでしょう!」
リポーター「メンズヒーローがおされています!」
怪人「何だ?うるせーな、てめーら」
「ギャーー!」
怪人「地球は、俺様のものだ!」
???「待て!」
レッド「お前は・・・支配されてるんだ!」
怪人「支配だと?」
怪人「俺は俺だ!」
レッド「俺は知ってる・・・昨日の夜、お前の身体から溢れていた光を!」
レッド「思い出せ!お前の本当の心を!」
レッド「きっと、お前は・・・」
ブルー「何言ってんだよレッド!」
ブルー「怪人に本当の心なんて・・・」
怪人「本当の・・・心・・・?」
怪人「うっ・・・!」
レッド「俺は信じたい!」
レッド「お前の、真の心を!」
怪人「真の心だと?」
怪人「そんなもの・・・そんなもの・・・」
怪人「うわぁぁぁ!」
レッド「これだ! これが怪人を操っていたんだ!」
ブルー「そ、それは・・・古から宇宙に伝わるという、邪気の玉・・・」
怪人(ただのスーパーボールなんだな)
怪人「うぅ・・・」
怪人「はっ! ・・・おいらは、ここで何を?」
レッド「キミは、この玉に操られていたんだ」
怪人「操られて・・・?」
ブルー「ああ。キミは地球を、滅ぼそうとしていた」
怪人「地球を・・・滅ぼす・・・? そんなこと・・・おいらは・・・」
レッド「しない。分かってるよ」
怪人「おいら・・・ 街を、めちゃめちゃにしようとしてたのか?」
ブルー「ああ。でも、キミはそんな人じゃない」
レッド「キミから悪の心は取り去ったからね」
怪人「おいらは・・・何てことを・・・」
レッド「怪人さん、キミは・・・」
ブルー「本当は優しくて、強いヒーロー。 俺たちの仲間だったんだ」
怪人「おいらの・・・仲間・・・」

〇UFOの飛ぶ空

〇繁華街の大通り
レッド「お、おい・・・こんなの、台本になかっただろ!」
ブルー「まさか、本物・・・!? これ、まずいぞ・・・」
怪人「ここは、おいらが!」
レッド「お、おい!」
ブルー「お前、無茶は・・・」
怪人「おいらは、この星のモテを手に入れるんだな!」
怪人「この星の人の心を、ガッチリ掴むんだな!」
怪人「だから・・・この星は、おいらが守るんだーー!!」
「怪人さん・・・」
「頑張って!!」
カメラマン「頼む・・・」
取材班「地球を・・・」
リポーター「助けて・・・!!」
「怪人、怪人、怪人、怪人!」
怪人「う、うぉーーーー!!」

〇UFOの飛ぶ空

〇繁華街の大通り
監督「よっと」
監督「おみごと、おみごと!君の演技、最高だね〜」
監督「いやぁ、胸アツ。今の、全宇宙に流したいくらい」
レッド「おい、あいつは・・・」
ブルー「・・・魔王?」
怪人「監督!!」
「監督!?」
マネージャー「こら、勝手に抜け出しおって。俳優業に穴を開けるなんて、プロとして失格じゃわい」
マネージャー「お前の失踪に、宇宙中が大騒ぎしとる」
怪人「でも、どうしてここが・・・」
監督「それがな、」

〇店の休憩室
マネージャー「ち、地球!? あんな辺鄙な星に一体・・・?」

〇未来の都会
マネージャー「おいネッコ、お前地球に行ったことあるな!」
ネッコ星人「ん?あ、新しいヒーローのことっすか?」
ネッコ星人「いやぁ、ピンチの時にかけつけるあの姿!」
ネッコ星人「かっこいいのなんのって!」
マネージャー「それじゃわい!」
マネージャー「おいネッコ!案内しろ!」
ネッコ星人「ええ〜!!!」

〇戦闘機の操縦席(空中)
監督「ヒーローがいるのは、地球のどこらへんだ?」
ネッコ星人「に、日本って国っす」
マネージャー「日本・・・この辺りか!」

〇田園風景
(いない・・・)

〇源泉
(いない・・・)

〇露天風呂
(いない・・・)

〇池袋駅前
(いない・・・)

〇繁華街の大通り
監督「で、やっとここを見つけたってわけさ」
マネージャー「さあ、帰るぞ」
怪人「え、でも・・・」
レッド「帰れよ」
ブルー「ああ。お前には帰る場所がある」
レッド「それに、俺たちはもう──」
「仲間だろ?」
怪人「お前っち・・・」
怪人「おいら、モテとかどうでもよくなっただな・・・」
怪人「だって、おいらはメンズヒーローが──」

〇繁華街の大通り
怪人「地球が──」
怪人「大好きだぁぁーーーー!」

〇シックなリビング
ケンタ(怪人さん・・・)

〇おしゃれなリビング

〇渋谷駅前

〇地球
怪人「おいら、おいら・・・」
怪人「いつまでも、地球を忘れないんだな!」

〇未来の都会
「ねぇねぇ、知ってる?」
噂好き子「怪人さま、地球でも今すっごい人気らしいわ!」
ミーハーちゃん「やっぱり、我らが怪人さまね!」
怪人「テヘッ」

コメント

  • 怪人くんが思ってた以上にハイスペックで好感度上がりました🤣
    怪人も人間も平和で終わる作品、大好きです⭐️

  • 怪人の雰囲気や、エフェクトの使い方が面白くてどんどん読み進められました!怒涛のキュンラッシュで地球の背景が来るのは予測可能回避不可能と言う奴ですね!好き!
    レッドとブルーの善行を見せるキャラまで重要な役割が持たされているのに関心です……

  • 壮大な茶番劇に舞い降りた本当の敵?と思いきやそれすらもオチがついていてる虚構で。それでも登場人物全員が善意と明るさに溢れていて、それが確かに本物だと分かる構図に、幸せな気持ちになりました。

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