肝試しにきたらそこはホラーゲームの入り口だった

入江恵衣

悪いやつ(脚本)

肝試しにきたらそこはホラーゲームの入り口だった

入江恵衣

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〇白

〇屋敷の門
「あ・・・、」
「脱出できたーー!!!!」
智樹「うわーっ! 久しぶりの太陽! めっちゃ眩しー!!」
茂太「空気がぜんっぜん違う! 身体が軽い!!」
さなえ「脱出できて本当に良かったね!」
みく「あ!!」
「な、なに!?」
みく「大変っ! お母さんに連絡しなきゃ! 今ごろきっと大騒ぎになってるよ!」
「ーーあ!」
智樹「そういえば俺ら 行方不明ってことになってるんだよな」
智樹「俺、ばあちゃんの病院に行ってくるよ たぶん寂しがってると思うし」
さなえ「私も早く家に帰らなきゃ! もしかしたらうちの親、警察に連絡してるかも・・・」
茂太「俺のところは両親揃って出張でいないんだけど、連絡ぐらい入れておくか」
さなえ「じゃあ、私いくね」
茂太「さなえ! 俺、家まで送ってくよ!」
さなえ「え・・・、 い、いいの?」
茂太「ああ。さなえ一人だと心配だからな」
茂太「ゲームだけじゃなくて、この世界でも俺が守ってやるよ」
さなえ「茂太君・・・。ありがとう」
茂太「じゃ! 俺たちもう行くから!」
智樹「お、おう! 気を付けろよ!!」
みく「さなえ! また連絡するね!」
さなえ「うん! じゃあね、みく!」
茂太「智樹! みく! またな!」
みく「・・・ 行っちゃったね」
智樹「俺たちも帰ろうか」
みく「うん!」

〇通学路
智樹「どう? 電話つながった??」
みく「んーん、全っ然。 この時間帯だったらお母さん家にいるはずなんだけどな」
智樹「買い物にでも行ってるんだよ、きっと」
みく「うん。そうだね」
智樹「それにしても 俺たちすごい体験したな~」
智樹「それなりにショッキングなこともあったけどさ」
智樹「それでも俺は、みくが無事でいてくれたことが本当に嬉しいよ」
みく「え? わたし・・・?」
智樹「みくはずっと人のために動いてくれてたよな」
智樹「俺をぬいぐるみのバケモンから救ってくれて」
智樹「茂太とさなえを探しに行って・・・」
智樹「あすかのこともずっと気にかけてた」
智樹「俺とみくの2人で、中ボスのエリアに迷い込んだ時があっただろ」
みく「あ・・・。たしか智樹君と出会ったすぐあとのことだよね」
智樹「うん。 あの時、「俺と茂太を探しに来た」て言ってくれたの覚えてる?」
みく「う、うん・・・」
智樹「あの時の俺、素知らぬ顔してたけど実はめちゃくちゃ嬉しかったんだよ。俺なんかのこと気にかけてくれる人がいたんだ!って」
智樹「みくが、救いの女神のように見えた」
智樹「だからあの時、絶対に俺がみくを守らなきゃって思ったんだ」
智樹「みく」
智樹「俺、みくのことが好きだ」
みく「智樹君・・・」
智樹「これからもずっと、みくことを一番近くで守りたい」
智樹「うわっ、自分で言っててめちゃくちゃ恥ずかしー!!」
智樹「こんなことがあった後だし、返事はゆっくりでいいから!」
みく「・・・・・・」
智樹「みく!」
みく「智樹君・・・・・・」
みく「・・・・・・」

〇教室
智樹「みく! わりー、宿題見せてー!」

〇学校脇の道
智樹「みく! 気を付けて帰れよー!」

〇学校の廊下
智樹「あれ? みく、 お前ひとりで掃除してんの?」
智樹「しょうがねーなー、 俺が手伝ってやるよ!」

〇白
  ずっとずっと、智樹君が好きだった。
  大好きだった──

〇通学路
みく「智樹君!!」
みく「わ、わたし・・・」
みく「わたしのこと、 これからも守ってくれる・・・?」
智樹「もちろん!」
智樹「ずっとずっと、 俺がそばで守ってやるよ!」
みく「うん・・・!」

〇線路沿いの道
智樹「本当に、家まで送らなくていいの?」
みく「うん。大丈夫! 智樹君は早く病院へ行って おばあちゃんを安心させてあげて」
智樹「・・・ みく、本当にありがとうな」
智樹「じゃあ、今日の夜 電話するから!」
みく「うん! 待ってる!」
智樹「気を付けて帰れよ!!」

〇土手
みく「まさか 憧れの智樹君と 両想いになるなんて・・・」
みく「ふふっ」
みく「ふふふっ」
みく「ほんと、ラッキー」

〇学校の昇降口
友人A「ねぇねぇ、知ってる? 智樹君ってユキナちゃんのことが好きなんだって!」
友人B「あ、それ知ってる! 智樹君に告白した子から聞いた!」
友人B「たしか「俺はユキナが好きだから、他の子は絶対に好きになれない」って言ったんだよね~」
みく「え・・・。 それ、ほんと?」
友人B「ほんとらしいよ? 告白した子がフラれた仕返しだって言いふらしてるの」
友人B「でもさ~、ユキナちゃんって暗いし声も小さいし、あんな子のどこがいいんだろうね」
友人A「ほんとー」
智樹「おいっ!」
智樹「お前ら、なにユキナの悪口言ってるんだよ!」
友人B「な、なによ! 智樹君ったらユキナちゃんのことになると すぐに怒るんだから!」
友人A「ユキナちゃんのことが好きだからって言いがかりはやめてよね!」
智樹「・・・」
智樹「好きな女の子を守るのは男として当然だろ!!」
「ご、ごめんなさーい!」
みく「智樹君って ユキナちゃんのことが好きなんだ・・・」
智樹「まあな。 これ、ユキナには言うなよ」
みく「うん・・・。わかった・・・」
茂太「智樹ー! サッカーしようぜ!」
智樹「おう! やろー!」
みく「・・・」

〇学校の廊下
みく「体育の授業 抜け出してきちゃった・・・」
みく「なんで? なんで智樹君は私じゃなくてユキナのことが好きなの!?」
みく「あんなやつ、どこがいいのよ!!」

〇教室
あすか「わっ!」
みく「あすかちゃん! ど、どうしたの・・・?」
あすか「えへへー。 体育の見学届け、出すの忘れちゃったから取りに来たの」
あすか「みくちゃんは? どうしたの?」
みく「あ、あたしも見学届けを・・・」
あすか「あは! 一緒だね! じゃあわたし、先に行ってるね!」
みく「ビックリした・・・ あすかちゃん、体育見学するんだ・・・」
みく「あすかちゃんってなんであんなにぶりっ子なの? ほんとにキライ! クラスから居なくなればいいのに!」
みく「でもあすかちゃんよりユキナの方が何倍もキライ・・・!!」
みく「あ! そういえば・・・」
みく「やっぱりカバンの中にあった。 体育だから外したんだ」
みく「なによこのネックレス。 変な石がついててダッサーイ」
みく「そういえばユキナだけはネックレスを付けてても先生に怒られないんだよね」
みく「えこひいきじゃん! なんなのあいつ!」
みく「こんなもの、盗んでやる!」

〇教室
ユキナ「あれ? あれ? ない・・・、どこにもない・・・」
みく「ユキナちゃんどうしたの? なにか探し物?」
ユキナ「あ、みくちゃん・・・。 あの、あのね・・・」
ユキナ「ううん・・・。やっぱり何でもない・・・」
さなえ「ユキナ、どうしたの?」
ユキナ「さなえちゃん・・・」
みく「ふふっ、困ってる困ってる! ざまーみろ!」

〇屋敷の門
友人A「ユキナちゃん、突然引っ越しちゃったねー」
友人B「ほーんと、ビックリだよねー」
友人A「でもさー、ユキナちゃんいなくなってくれてちょっと嬉しいよね」
友人B「わかるー! うちのクラスの男子なんてみんなユキナちゃん好きだったじゃん」
友人B「正直、目障りだったよねー」
みく「・・・・・・」
友人A「みく? どうしたの? 行くよー」
みく「あ、ごめん。 ちょっと先に行ってて」
「じゃあいつもの公園に行ってるからねー」
みく「・・・・・・」
みく「ふふっ、」
みく「ふふふっ」
みく「あははははははは!」
みく「まさか引っ越しちゃうとは思わなかったなぁ」
みく「居なくなってくれてちょ~嬉しい~」
みく「あ、そうだ」
みく「こんなもの、ずっと持ってても仕方ないしね」
みく「あー、 スッキリした!!」
みく「さっ。公園に行こ―っと」

〇土手
みく「化け物屋敷じゃ智樹君にいいとこ見せたくて張り切っていい子ちゃんキャラしてたけど」
みく「頑張って良かったな」
みく「それにしても、あすかまでゾンビになるとはね! マジうける!」
みく「あいつのあざとさにはホントむかついてたからなぁ」
みく「てかさ、生きるか死ぬかって時に手料理振舞うとかなに? 男受け狙いすぎだろ」
みく「ま、そのあすかもいなくなってくれたし。きょう子には申し訳ないけどほんとラッキー」
みく「ふふっ、まさかネックレス一つでここまでの副産物があるとはね」
みく「用なしのネックレスちゃん。 バイバーイ!」

〇綺麗な一戸建て
みく「やっと帰って来れたー! 何年かぶりの我が家って感じ!」

〇一軒家の玄関扉
みく「あー、早くお風呂に入りたい! お母さん帰ってきたかな?」
みく「お母さーん! ただいまー!!」

〇暗い廊下
みく「うそ・・・・・・」
みく「な、なんで・・・」
みく「!!!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・ みぃぃぃくぅぅぅぅぅちゃぁぁぁぁん」
「あぁぁぁぁそぉびぃぃぃぃまぁ しょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
みく「・・・!!!!」
  ようこそ
  DOLL HOUSEへ──

コメント

  • 全10話の完結、本当にお疲れ様でした。
    とんでもない最終話はまさに衝撃でした。人怖が一番恐ろしいと痛感されられますね。全話通して、読み手を裏切る展開続きに感服です。何度でも最初から読み返したくなる面白さですね!

  • まさかのどんでん返しですごく面白かったです!とりあえずみくがめっちゃ嫌なヤツでビックリしましたw
    またホラー書いてください

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