幕間 3(脚本)
〇おしゃれなレストラン
通し稽古後、レストラン
西 龍介「と、いうわけなんだけど」
山本 朔「つまり、俺と玲央だけ 何も知らされなかったと」
西 龍介「いやほら、カズさんにも直接話したわけ じゃねぇし」
西 龍介「それに、大事な通し稽古の前だったから 余計なことに気を揉ませるのも 悪いかと思って」
橋田 玲央「余計なことじゃないです」
橋田 玲央「龍介さんが理不尽に外されそうになった ことは、余計なことなんかじゃないです」
橋田 玲央「そんなこと、言わないでください」
山本 朔「怒るなら俺だと思ってました? 残念でしたね」
山本 朔「俺も勿論怒ってはいますが、それより」
山本 朔「ただ・・・そんな大事なことも 話してもらえないほど、 信頼されてないんだな、と」
西 龍介「違っ、俺はお前らに心配かけさせたく なかっただけで」
西 龍介「そんな顔させたかったわけじゃ・・・!」
水戸部 和人「ここは大人しく、デザートの一つでも 奢ったほうがいいんじゃないかな」
橋田 玲央「朔さん!ピザ食べましょ!ピザ! トッピングいっぱいのせて!」
山本 朔「デザートもな。一番高いやつにしよう」
〇おしゃれなレストラン
レストラン、会計後
西 龍介「出費がでかい・・・」
水戸部 和人「たくさん食べてたからねぇ。流石若者 おれの分を除いてもけっこうな額だ」
西 龍介「あいつらぁ、奢りだと思って」
水戸部 和人「まぁ今回に関しては、 余計なこと、なんて言ったきみが悪いよ」
水戸部 和人「きみだって 玲央くんや朔くんが同じような状況で、 余計なこと、なんて言ったら怒るだろう?」
西 龍介「そりゃあ・・・怒りますけど」
水戸部 和人「だろう?」
水戸部 和人「そうだ。その多額のレシートは 記念にとっておくといいよ」
西 龍介「記念に?」
水戸部 和人「きみは自分のことを蔑ろにしがちだからね それを見れば嫌でも思い出すだろう? 彼らを怒らせたことを」
西 龍介「・・・ははっ なるほど、それは面白いですね」
西 龍介「俺にはいい薬かもしれません 財布にでも入れておきます」
水戸部 和人「それはそのうち捨てられそうだなぁ」
西 龍介「あいつら待ってますし、店出ましょうか」
水戸部 和人「うん ああ、龍介くん」
水戸部 和人「今日はお疲れ様。よく頑張ったね」
西 龍介「・・・ありがとうございます!」
〇繁華な通り
レストランの外
橋田 玲央「はぁーお腹いっぱい もう何も食べれないです」
山本 朔「調子に乗って頼みすぎたな 龍介さんの奢りだと思うと、つい」
橋田 玲央「えへへ、分かります なんだか、頼んでやろう!みたいな気持ち になっちゃって」
橋田 玲央「朔さんもたくさん食べてましたよね デザートまでしっかり」
山本 朔「甘い物がわりと好きでさ ・・・そういえば」
山本 朔「俺のこと、名前で呼ぶようになったんだな」
橋田 玲央「あ!もしかして、嫌でした? あの、嫌なら山本さん呼びに──」
山本 朔「ああ、違う違う そうじゃなくて、逆だよ」
山本 朔「俺、名前で呼ばれる方が好きだから 嬉しいなと思って」
山本 朔「正直、玲央には最初にキツく言ったから あまり好かれてないかと」
橋田 玲央「え!そんなことないですよ!」
橋田 玲央「むしろ、最初にプロとしての心持ちを しっかり教えてくれて、感謝してます」
橋田 玲央「あの時はいっぱいいっぱいだったし 落ち込みもしたけど、 全部俺に必要なことでしたから」
山本 朔「そうか、そう言ってもらえるなら」
山本 朔「一緒に舞台に立つ仲間だ お前と仲良くなれて嬉しいよ」
橋田 玲央「はい、俺もです!」
西 龍介「おまたせー」
橋田 玲央「龍介さん、今日はごちそうさまでした」
山本 朔「美味しかったです ありがとうございました」
水戸部 和人「それじゃあ、帰ろうか」