カーシェトルフライ

ソエイム・チョーク

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〇田舎駅のホーム
サヨリ「電車、来ないね」
ナツキ「遅れてるのかもしれませんね」
サヨリ「事故とかじゃないといいんだけど」
ナツキ「・・・」
ナツキ「サヨリちゃん、レボイアトスって知ってますか?」
サヨリ「レボイアトス? 何それ?」
ナツキ「レボイアトスとは秘匿生命体の総称です」
サヨリ「秘匿生命体? 生き物? 秘密なの?」
ナツキ「ググっても見つからなかったし、Wikipediaにも項目がなかったので、秘匿されているのでしょう」
サヨリ「なんでナツキはそんなこと知ってるの?」
ナツキ「まあ、いろいろですよ」
サヨリ「じゃあ、レボイアトスってどんな生き物がいるの?」
ナツキ「有名なのはカーシェトルフライですね」
サヨリ「カーシェトルフライ?」

〇青(ライト)
ナツキ「カーシェトルフライは飛ぶ生き物 全長は20センチぐらいです」
サヨリ「それは虫?それとも鳥?」
ナツキ「どうだろう? 強いて言うなら虫かな・・・」
サヨリ「虫か・・・」
ナツキ「動きが素早くて写真に撮れないらしいです だから正確な姿はわかっていません」
サヨリ「ホントにそんな生き物いるの?」
ナツキ「いるらしいです」
サヨリ「でもナツキも見たことないんでしょ?」
ナツキ「自分の目で見たことがないからといって、存在しないとは限らないでしょう」
サヨリ「そうだけど・・・」
ナツキ「スカイフイッシュもこれなんじゃないかと私は思ってますけどね」
サヨリ「あ、あー・・・」
サヨリ「スカイフイッシュ・・・ そっか、そっち系か・・・」
ナツキ「何ですか、急に興味を失ったように・・・」
サヨリ「だってそれ、オカルトでしょ?」
サヨリ「ネタに困ったテレビ局が作った 1から10までデマカセのやつじゃん」
ナツキ「えー・・・」

〇田舎駅のホーム
ナツキ「聞きたくないなら、この話やめますけど」
サヨリ「いや、続けてもいいよ 電車、まだ来ないし・・・」
ナツキ「・・・」
ナツキ「まあ、これで話は終わりなんですけどね」
サヨリ「あれ?」
ナツキ「カーシェトルフライはまだ捕まえることもできていないので、何もわかっていないんですよ」
サヨリ「ふーん」
サヨリ「っていうか、なんで秘匿されているの?」
ナツキ「よくわかっていないからでしょう」
サヨリ「でも、よくわかっていない生き物とか、一杯いるじゃん」
サヨリ「それのいくつかを秘匿したって何かが変わるって訳じゃないと思うんだけど」
ナツキ「物理法則をね・・・」
サヨリ「え?」
ナツキ「守らないんですよ 物理法則を!」
サヨリ「どういうことなの?」
ナツキ「たとえばカーシェトルフライで言うと、動きが早いなら、網かなにかで捕まえればいいと思いますよね?」
ナツキ「それができないんですよ」
サヨリ「そんなことあるかな?」
ナツキ「網をすり抜けているそうです」
サヨリ「見たの?通り抜けるところ」
ナツキ「私は見ていませんけど」
サヨリ「そういう動画がyoutubeにあがっていたとか?」
ナツキ「いえ、映像にも撮れないんですよ」
サヨリ「うーん・・・」

〇電車の中
サヨリ「電車、やっときたね」
ナツキ「事故とかじゃなくてよかったです」
サヨリ「あー涼しい、冷房効いてて・・・」
サヨリ「!」
サヨリ「あ、あれは?」
ナツキ「虫? 大きすぎるような・・・」
ナツキ「・・・」
サヨリ「き、消えた?」
ナツキ「どこにもいない? 窓から外に・・・?」
サヨリ「全部の窓、閉まってるよ?」
「・・・」
サヨリ「え、うそでしょ? あれがそうだったの?」
ナツキ「さ、さあ・・・」

コメント

  • 噂をすれば影が差す!の現象ですね。心霊現象以外にそういうものが存在するとは知りませんでしたが、噂ではなく体感した者だけが口を開いてもしいですね。

  • 秘匿生命体が秘匿とされているのは何でだろう?社会に何かしらの影響を与えるのだろうか?誰も見たことがない生物を誰が言いふらしたのだろうか?全てが謎です。

  • そうなんだ、って読んでいたらまさかのオチ!
    でも、よく考えてみたら、日常に不思議なものはけっこうあるんじゃないかと思いました。

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