第一章・悪役令嬢 令和のJKになる②(脚本)
〇通学路
カレン・ミルフィード「はぁ、はぁ」
謎の男「へっへ、 どうしましたお嬢さん」
謎の男「得意の魔法を使わないんですかい?」
カレン・ミルフィード「くっ・・・」
〇林道
〇山中の坂道
カレン・ミルフィード「ふ~」
謎の男「へへへ」
カレン・ミルフィード「ふふふ」
謎の男「やっと観念したみたいですな」
カレン・ミルフィード「観念するのはお前の方じゃ」
カレン・ミルフィード「その姿からすると卑しい賞金稼ぎと言ったところか?」
謎の男「ご名答!」
謎の男「お嬢さまには莫大な褒賞金がかけられていますんで」
謎の男「悪いけど一緒に来てもらいますぜ」
カレン・ミルフィード「まだ分かっていないようじゃな」
カレン・ミルフィード「私がお前のような卑しい存在から逃げ回っていたのは何故だと思う?」
カレン・ミルフィード「この世界では魔法が存在しないから──」
カレン・ミルフィード「くれぐれも人前では控えるようにとユウキと約束したからなのだ」
カレン・ミルフィード「ここなら誰も見ておらん」
カレン・ミルフィード「心置きなくお前をなぶり殺すことが出来ると言うものだ!」
謎の男「来いよ」
謎の男「だったら、こっちは──」
カレン・ミルフィード「魔法!?」
カレン・ミルフィード「なぜ賞金稼ぎふぜいが・・・」
謎の男「へへへ」
謎の男「国が崩壊した後、民間に開放されましてね」
謎の男「魔法は王侯貴族や教会らの特権階級の独占物ではなくなったんですよ」
カレン・ミルフィード「くっ・・・」
謎の男「さーて、今度こそ本当に観念してもらいましょうか♪」
〇森の中
謎の男「へへへ」
謎の男「暴れなさんなよ お嬢さん」
カレン・ミルフィード「くっ・・・」
謎の男「おっと・・・ 下手に動くと腕が折れるぜ」
カレン・ミルフィード「ああっ!!」
謎の男「生け捕りに出来たのは運が良い」
謎の男「これで俺も一生遊んで暮らせるぜ!!」
謎の男「いっ・・・」
橘 ゆうき「待ってたぞ」
橘 ゆうき「お嬢さまを返してもらう!」
謎の男「うっ!」
謎の男「このガキ・・・」
橘 ゆうき「あれっ?」
橘 ゆうき「ちょっ、ちょっと・・・」
カレン・ミルフィード「ユウキ!」
橘 ゆうき「ホッ」
橘 ゆうき「石より石頭だった・・・」
橘 ゆうき「大丈夫でしたか お嬢さま?」
カレン・ミルフィード「うむ」
橘 ゆうき「殺されてないで良かった」
カレン・ミルフィード「こいつは死んだのか?」
橘 ゆうき「気絶してるだけですね」
カレン・ミルフィード「ならば今のうちに殺しておこう」
橘 ゆうき「いや、それは・・・」
カレン・ミルフィード「このまま生かしておけば厄介な事になるであろう?」
橘 ゆうき「それはそうですが」
橘 ゆうき「・・・」
橘 ゆうき「では、私が汚れ役になりましょう!」
橘 ゆうき「私が始末している間 お嬢さまは戻って山本を助けてください」
〇山中の川
カレン・ミルフィード「あやつは、もう死んだのではないか?」
橘 ゆうき「確かに致命傷を負っていますが、まだハッキリしたわけではありません」
橘 ゆうき「日本の医療は高度ですから延命治療を施されているでしょう」
橘 ゆうき「お嬢さまの回復魔法は強力ですから助かる可能性は高いです」
橘 ゆうき「急いで病院に向かってください」
カレン・ミルフィード「場所がわからん」
橘 ゆうき「ナビを設定しましたから指示通り進めば大丈夫です!」
橘 ゆうき「お願いします!!」
カレン・ミルフィード「・・・」
〇森の中
橘 ゆうき「・・・」
橘 ゆうき「やるしかないのか・・・」
橘 ゆうき「はぁ〜」
橘 ゆうき「人殺しなんて・・・」
橘 ゆうき「でも、カレンとの生活を守るためには」
橘 ゆうき「・・・」
橘 ゆうき「・・・」
橘 ゆうき「許せ!!」
〇通学路
カレン・ミルフィード「はぁはぁ」
「300m先、左です」
〇総合病院
〇病院の廊下
担任「カレンちゃん!」
担任「良かった 無事だったのね」
カレン・ミルフィード「あやつは何処にいる?」
担任「山本くんならこの中で──」
カレン・ミルフィード「そうか」
看護士「あっ、ちょっと」
看護士「今手術中ですよ!」
カレン・ミルフィード「私が治す」
看護士「何言ってるんですか!」
担任「気持ちは分かるけど カレンちゃんには何も出来ないでしょ」
カレン・ミルフィード「は、離せ!」
カレン・ミルフィード「離せと言っておるだろうに」
カレン・ミルフィード「くっ・・・」
担任「カレンちゃん!」
〇手術室
看護師「脈拍、呼吸数低下です!」
若医師「心肺停止しました!」
手術医「クソ!」
〇総合病院
〇病院の廊下
「キャー」
〇手術室
「ゲホッ、ゲホッ」
若医師「何があったんだ!」
手術医「扉を開けろ!!」
カレン・ミルフィード「はぁはぁ」
カレン・ミルフィード「間に合うか!?」
カレン・ミルフィード「生きろ!!」
カレン・ミルフィード「生きろ!!」
〇総合病院
〇一戸建て
〇綺麗なダイニング
橘 理沙「カレンちゃん大丈夫だったの!?」
橘 理沙「通り魔に襲われたって学校から知らされてビックリしたのよ」
カレン・ミルフィード「うむ」
橘 ゆうき「姉さんは今まで学校に?」
橘 理沙「緊急の臨時保護者会があったからね」
橘 ゆうき「・・・それで 山本の話は聞いた?」
橘 理沙「ええ、助かったそうよ」
橘 理沙「でも・・・」
橘 ゆうき「何かマズイ事でもあったの?」
橘 理沙「それが内蔵まで深く負った傷が何事も無かったようになってたらしいのよ」
橘 理沙「不思議な事があるって病院でも大騒ぎだったらしいわ」
カレン・ミルフィード「そうか」
カレン・ミルフィード「ふふふ・・・」
橘 ゆうき「ははは・・・」
「あーはははは」
〇部屋の前
橘 ゆうき「お嬢さま、流石ですね」
カレン・ミルフィード「うむ」
カレン・ミルフィード「最高級の上位回復魔法を使ったからな」
橘 ゆうき「でも病院を爆発するのはやりすぎです」
カレン・ミルフィード「事は急だったので仕方ない」
橘 ゆうき「しかし、あまり過激な事は・・・」
橘 ゆうき「死者が出なかったから良かったですが大惨事になるところでした」
橘 ゆうき「この世界で暮していくためには何事も穏便を心掛けてください」
カレン・ミルフィード「ああでもしなければ助けられなかったぞ」
橘 ゆうき「それは、そうですけど・・・」
カレン・ミルフィード「それより例の賞金稼ぎは始末したのか?」
橘 ゆうき「それが・・・」
橘 ゆうき「さすがにリアルな人殺しはちょっと・・・」
カレン・ミルフィード「生かしておけば再びやって来るではないか!」
橘 ゆうき「ですから他のものに始末してもらうことにしました」
〇黒背景
「う〜ん・・・」
〇山の中
「・・・」
モンスター「ギャー!!」
謎の男「ああ、 ちょっと待て ちょっと待て」
〇総合病院
そして・・・
〇病院の待合室
橘 ゆうき「それでは私は面会の手続きをするので先に行ってて下さい」
橘 ゆうき「えーっと──」
橘 ゆうき「505号室で、時間は・・・」
看護師A「ねえねえ聞いた? 先日の爆発事件の事なんだけど」
看護師A「防犯カメラには何もない所から自然に爆発が始まった様子が映ってたらしいのよ」
看護師B「へー、不思議な事があるものね」
橘 ゆうき「・・・」
〇病室
山本「さぁ、お嬢様 お召し上がりください」
カレン・ミルフィード「うむ」
橘 ゆうき「おいおい、怪我人が何やってんだよ」
橘 ゆうき「本来ならお嬢さまが切って差し上げる立場なんだけどな」
カレン・ミルフィード「・・・」
山本「おい、余計な事いうなよ!」
山本「良いのですよ お嬢様」
山本「遠慮せずお召し上がりください」
山本「私はお嬢様の忠実な下僕──」
山本「お嬢様の笑顔が最高の治療薬なのですから」
カレン・ミルフィード「殊勝であるな」
カレン・ミルフィード「ありがたくいただこう」
山本くんには幸せになって欲しいですねw