肝試しにきたらそこはホラーゲームの入り口だった

入江恵衣

ホラーゲームの世界へようこそ(脚本)

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入江恵衣

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〇黒
みく「こ、こっちに近づいてくる・・・!」
みく「どうか見つかりませんように!」
みく「き、きた!」
みく「ひえーっ! なんか笑ってるし!」
????「・・・」
????「・・・」
みく「!!!!」
????「・・・」
みく「・・・」
みく「・・・」
みく「た、助かったぁ・・・ うわー、 手のひらが汗でぐっしょり・・・」
みく「・・・あいつ 私が隠れてたことに 絶対気づいてたよね」
みく「・・・そんなことより」
みく「ここは一体どこなのよー!」
  わたし、杉浦みく。
  16歳の高校一年生。
  近所でも有名な廃屋敷へ
  中学時代の友達と
  肝試しにきたんだけど
  まさかこんなことになるなんて
  思いもしなかった──

〇ファストフード店の席
  高校に入って初めての夏休み
  久しぶりに中学時代の
  仲良し4人組で集まった時のこと
あすか「ねぇねぇ。 あの噂、知ってる??」
きょう子「あの噂って??」
さなえ「もしかして 4丁目のお屋敷のことかな」
みく「それって、 同い年の女の子が住んでた あのでっかい家のこと?」
あすか「うん。 引っ越してからもう何年も経つけど」
あすか「ずっと空き家らしくてね」
あすか「一昨日の夜、テニス部の智樹と茂太が そのお屋敷へ肝試しに行ったんだって」
あすか「でね、その日から 智樹と茂太の姿を誰も見てないの」
あすか「スマホもずっと圏外らしくて」
あすか「みんな、 あのお屋敷で行方不明になったんだ! って噂してる」
きょう子「あいつら暇人かよ・・・ マジで連絡つかないの?」
あすか「みたいよ。怖いよねー」
みく「でもそれがホントなら まっ先に家の人が騒ぎそうだけど」
さなえ「智樹君のお家はおばあちゃんしかいなくて」
さなえ「そのおばあちゃんも 夏休み前に入院しちゃったらしいの」
さなえ「たぶん、智樹君がいなくなったことに 気づいていないと思うわ」
あすか「茂太のところも 両親ともに仕事が忙しくて ほとんど家にいないらしいよ」
きょう子「それやばいじゃん! 誰か教えてあげた方がいいって!」
あすか「だよね~」
さなえ「ねぇ」
さなえ「私たちで、智樹君と茂太君を 探してみない?」
きょう子「はっ? そんなの無理に決まってんじゃん!」
あすか「探すって、あのお屋敷に入るってこと? さすがにそれは怖いよ・・・」
みく「わ、わたしも無理!」
さなえ「えー、どうして? お化け屋敷みたいで面白いと思うんだけど」
あすか「お、面白くはないでしょ!」
きょう子「そういやさなえって ホラー映画とかマジで好きだったよね」
さなえ「せっかくの夏休みだし 同級生の捜索もかねた肝試しって きっと楽しいと思うの」
みく「さ、さなえ?! 肝試しってのはさすがに・・・」
さなえ「でも、智樹君と茂太君の2人を 見つけられるかもしれないよ?」
きょう子「肝試しかぁ。 確かに、最近刺激に飢えてたから ありといえばありかもなぁ・・・」
あすか「やだ! きょう子なに言ってるの!」
さなえ「ね、いいじゃない。 危険だと思えばすぐに帰ればいいし」
みく「ホントに? ヤバくなったら帰ってもいい?」
さなえ「もちろん 自分の身を守ることが最優先よ」
みく「んーーーーー、 それなら、まぁ、いいかなぁ。 2人も見つかるかもしれないし」
あすか「みく!」
きょう子「マジでヤバくなったら 最優先で自分の身を守る。 これを絶対に守るんなら私もいいよ」
あすか「ちょっとーー!!!!」
さなえ「あとはあすかちゃんだけだよ」
あすか「えー・・・」
あすか「もー!! わかったよ!! わたしも行く!!」
きょう子「よっしゃ! そうでなきゃ!」
さなえ「やった! みんなで肝試しだなんて 嬉しいな♪」

〇黒
みく「・・・なーんて言ってたのに」
みく「まさか こんなことになるなんて・・・」
みく「ずっと隠れているわけにもいかないし ちょっとだけ外に出てみようかな・・・」

〇暗い廊下
みく「うわー、真っ暗。 あのぬいぐるみも近くにはいないみたい」
みく「それにしても あれって着ぐるみだよね? 中に誰が入ってるんだろう・・・」
みく「え!! 叫び声!?」
みく「誰かがいる! あすか!? きょう子!? さなえ!?」
みく「こいつ! さっきのぬいぐるみ!!」
????「カアアアアア!!」
智樹「も、もう駄目だ! 殺されるー!!!」
みく「智樹君!?」
智樹「あれ! みく!? なんでここにいんの!?」
????「カ、カ、カ、カ、、、、」
????「カカカカカカカカ」
????「・・・・・・・・・・・・・」
????「カカカカカカカカカカカカカカカカカカカアアアアアアアア!!!!」
智樹「うわー!!!!」
みく「智樹君!! 早くこっちへ!!!」
  ギュッ!
????「カカカカカカカアアアアアアアアアアア」
????「アアア、カ、カ、カ、カ・・・・・・・」
????「・・・・・・」
????「・・・」

〇豪華な社長室
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
みく「と、智樹君・・・ 大丈夫・・・??」
智樹「あぁ・・・ 助けてくれてありがとう・・・」
智樹「でも、どうしてここに?」
みく「智樹君と茂太君を探しにきたんだよ」
智樹「え! 俺たちを探しに!?」
みく(本当は捜索兼肝試しなんだけど そんなこと絶対に言えない・・・)
みく「うん。 智樹君と茂太君が行方不明だって 噂が広まってて」
みく「二人を探すために あすかとさなえときょう子の4人で この屋敷に来たんだ」
智樹「俺と茂太、 そっちの世界では 行方不明ってことになってるんだ・・・」
みく「そっちの世界?」
智樹「ああ」
智樹「この屋敷の中は 俺らの知ってる現実世界じゃない」
みく「どういうこと?」
みく「なに!? この歌声!!」
智樹「ヤバい! 隠れるぞ!!」
「・・・・・・」
「!!」
  ぬるっ
みく「ヒッ!!!!」
智樹「シッ! 静かにっ」
?????「・・・・・・」
「・・・」
「・・・」
みく「・・・ も、もう大丈夫だよね??」
みく「ふーっ! 怖かったぁ! もー、あの人形は一体なに?!」
智樹「あいつはこの屋敷の中ボスだよ」
みく「ちゅ、中ボス!?」
みく「どういうこと? ボスとか、まるでゲームじゃん」
智樹「そうだ。 俺たちはホラーゲーム 「DOLL HOUSE」の中にいるんだ」
みく「待ってまって! 意味わかんないよ!」
智樹「俺も最初は 意味わかんなかったよ」
智樹「でもさ、さっきの首がないやつも 俺が襲われそうになった でかいぬいぐるみも」
智樹「全部「DOLL HOUSE」に出てくる バケモノなんだよ」
みく「バケモノ・・・」
みく「で、でも さっきのぬいぐるみって 着ぐるみなんでしょ?」
智樹「着ぐるみじゃない」
智樹「正真正銘、あいつはバケモンだ」
みく(ま、マジかー!! あの時、とっさに戸棚の影に隠れて 良かったー!)
みく「と、智樹君は このゲームをやったことはあるの?」
智樹「あるよ。 俺らが中一の時に流行ったゲームだ」
智樹「茂太と一緒にプレイしたこともある」
みく「そういえば、茂太君は!?」
智樹「わからない。 たぶん、どこかに隠れてると思う」
みく「またこの歌声!」
智樹「きっとここは 首なしバケモンの出現エリアなんだ! 逃げるぞ!!」

〇広い厨房
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
みく「と、智樹君・・・ 走るのはやいよ・・・ はぁ、はぁ、はぁ、」
智樹「ごめんごめん。 でもあいつらに捕まるより ましだろ」
みく「そりゃそうだけど・・・ はぁ、、、はぁ、、、」
みく「ふーっ」
みく「走ったら喉乾いちゃった。 ここの水道水、飲んでも大丈夫かな」
智樹「あ、ちょっと待って!」
みく「え! 冷蔵庫なんて勝手に開けていいの!?」
智樹「やっぱりあった!」
智樹「ほらっ、お水! ちゃんと受け取れよ!」
みく「うわっ、と、とっ!」
みく「ペットポトルのお水だ!」
みく「もしかして 冷蔵庫に入ってること知ってたの?」
智樹「もちろん!」
智樹「言っただろ 俺はこのゲームの経験者だって」
智樹「冷蔵庫の水は体力回復アイテムなんだ。 これを飲めば 水道水よりも遥かに力がでるよ」
みく「アイテムかぁ。ゲームって感じがするね」
みく「もしかして ゲームのクリア方法も知ってるの?」
智樹「それがさぁ、 俺もずっと考えてるんだけど どうしても思い出せないんだよ」
みく「そっかぁ。 でも、そのうち思い出すかもね」
智樹「役に立てなくてごめんな。 俺も忘れてる自分にがっかりだよ」
みく「全然大丈夫だよ。 それよりさ・・・ 調理場ってちょっと怖くない?」
みく「包丁とかあるし 今にもバケモノが出てきそう・・・」
智樹「ここはゲームでも 避難所になってたから大丈夫だよ」
みく「避難所!」
みく「なら安心だね 良かった~」
みく「あ!!」
みく「だったらみんなを探して ここへ集めようよ!」
智樹「そうしたいのはやまやまだけど 外はバケモンだらけだし そう簡単に集められるかな・・・」
みく「でも、今ここで動かなかったら みんなバケモノにやられちゃうよ!」
みく「とりあえずみんなを集めて それから作戦会議しようよ。 ねっ!」
智樹「確かに、俺ら二人で助かっても しょうがないしな」
智樹「じゃあ、 散らばったみんなを探しに行くか!」
みく「こ、この声は!」
あすか「きょう子!! 誰か、誰か助けてー!!」
みく「あすか!?」

次のエピソード:最初の犠牲者

コメント

  • 臨場感のあるホラー展開ですね。それにしても、ゲーム内に入り込んでしまうとは…。クリア方法がある、しかし思い出せないというのは微かな希望を残す要素ですね。

  • 主人公がシルエットなのが、自分に置き換えて見られて楽しかったです。
    怖いのに、ついやってしまうホラーゲーム。
    現実になってしまうのは、ツラいですね!コンティニューできても、やりたくない(笑)でも、お話の続きは見たいです。

  • ゲーム的な世界観の物語、好きです! ずしん、ずしんなど、敵が迫ってくる描写がまさにゲーム小説という感じですね!

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