第3話 「おじさん、スポドリを作る!」(脚本)
〇研究所の中枢
魔法使いは救急車で運ばれていった
エイリアン父「ハニーは、しばらく入院になった」
エイリアン父「過労だとさ」
おじさん「やっぱり働きすぎですよ」
エイリアン父「私がきっとスポーツドリンク作りを 無理させてしまったんだ」
おじさん「そういえば、最後に副社長から 頼むXと言われたのですが・・・」
おじさん「作り方とか、何か聞いていますか?」
エイリアン父「説明書を預かっておる、これだ」
以下の呪文を唱えること
「スッポドリドリ〜スッポポポーン♪」
おじさん「いや、説明書の意味!!」
おじさん「わしは魔法使いではなくて、普通の人間!」
おじさん「わしはヒューマン!」
エイリアン父「私はエイリアン♫」
おじさん「普通の人間だと呪文で スポーツドリンク作れませんよ」
おじさん「社長は、ちなみにできるんですか?」
エイリアン父「・・・分かった。やってみせよう」
エイリアン父は目をつぶり
大きく深呼吸をした──
そして、カッと目を見開き──
エイリアン父「スッポドリドリ〜スッポポポーン♪」
〇黒
〇研究所の中枢
何も出てこなかった・・・
おじさん「出ないんかーい!」
おじさん「雷とか落ちて なんか出てきそうな雰囲気あったよね?」
だが、何も出てこなかった
エイリアン父「ちょっとあれかも、アクセント間違えたかも」
エイリアン父「もう一度、チャンスをくれないか?」
そう言うと、エイリアン父は目をつぶり
再び大きく深呼吸をした──
そして、カッと目を見開き──
エイリアン父「スッポドリドリ〜スッポポポーン♪」
〇黒
〇研究所の中枢
おじさん「お茶かーい!」
おじさん「でも、すごいじゃないですか」
おじさん「むしろ、お茶を販売したらいいのに」
エイリアン父「いや、スポーツドリンクじゃないと だめなんだ!」
エイリアン父「発汗によって失われるナトリウムイオン、 カリウムイオンといった電解質、」
エイリアン父「マグネシウムやカルシウムなどのミネラル、」
エイリアン父「また疲労回復につながる アミノ酸やクエン酸──」
エイリアン父「それらがスポーツドリンクに入っておる!!」
エイリアン父「今の暑い時期は、熱中症になりやすい」
おじさん「今日の東京の気温、35度でしたもんね」
エイリアン父「ああ、私は社長失格だ」
エイリアン父「このままだと、社名が オッチャチャチャチャになってしまう・・・」
エイリアン父「今まで色々試したが 私はスポーツドリンクが作れないんじゃ」
エイリアン父「それで、ハニーばかりに負担が・・・」
エイリアン父「そして、倒れてしまった・・・」
エイリアン父「ああ、私はダーリン失格だぁ」
エイリアン父「うぉぉん」
おじさん「落ち着いてください、社長!」
おじさん「わしが何とかしますから」
エイリアン父「ほ、本当か?」
おじさん「は、はい」
おじさん(とは言ったものの、どうしたら・・・)
エイリアン父「試しにXも呪文、唱えてみる?」
おじさん「いや、わしも無理ですよ!」
おじさん(それに、何かちょっと言うの恥ずかしいし)
エイリアン父「まあまあ、そう言わずに・・・」
エイリアン父「3、2、1・・・」
おじさん「スッポドリド・・・」
おじさん「う、やっぱり恥ずかしっ」
エイリアン父「恥ずかしがらずに、自信を持ってやるんだ」
おじさん「は、はい」
おじさん「スッポドリドリ〜スッポッ」
おじさん「もお、やだ、恥ずかしいぃ〜」
〇研究所の中枢
しばらくの間、Xの呪文の特訓は続いた──
そして──
おじさん「スッポドリドリ〜スッポポポーン♪」
〇黒
〇研究所の中枢
エイリアン父「水かーい!」
おじさん「いや、わし、すごくない?」
おじさん「普通の人間が、魔法で水出したんじゃよ!」
エイリアン父「明日までに納期の商品もあるし 困ったなあ」
おじさん「こんなときは・・・」
エイリアン父「おっ、なんか策があるのか?!」
〇花模様
チャンチャコチャラララ、ラララ〜♫
おじさん「Xの3分クッキングの時間じゃよ♫」
おじさん「材料は、はちみつ大さじ1、 塩小さじ4分の1、レモン汁小さじ2、 そして・・・」
おじさん「500ミリの水のペットボトルじゃ♫」
おじさん「はちみつと塩、レモン汁を ペットボトルに入れて振り振りしたら 出来上がり♫」
エイリアン父「すごい、Xは天才か!!」
おじさん「クックパッ●のおかげじゃ」
もしよければ、皆さんも熱中症対策に
参考にしてみてくださいね笑
〇研究所の中枢
おじさん「シェイク、シェイクッ」
エイリアン父「振り振り、振り振りっ」
おじさん「社長、明日の納品数は?」
エイリアン父「・・・100本」
次の日、無事納品できたときには
2人は激しい腕の筋肉痛になっていた───
〇倉庫の搬入口
おじさん「何はともあれ、 無事納品できてよかったですね」
エイリアン父「Xのおかげだ、ありがとうな 本当に感謝しておる!」
おじさん「い、いえ」
だが、世の中はそんなに甘くなかった
〇研究所の中枢
トゥルトゥルトゥル〜
エイリアン父「はい、お電話ありがとうございます 株式会社、スッポドリドリでごさいます」
「客)どうなってんだ、おたくの商品!」
エイリアン父「!?」
エイリアン父「っといいますと?」
「客)前の商品と、味が何か違うんだよ!」
「客)何か材料、ごましてるんじゃないか?」
エイリアン父「そ、そんなことは・・・」
そんなことは、大ありであった・・・
「客)味に何かが足りねえんだよ」
エイリアン父「何かといいますと?」
「客)そんなこと、自分で考えろよな!」
ガチャッ、ツーツー
〇研究所の中枢
エイリアン父「・・・とまあ、こんな電話があったんだ」
おじさん「それは困りましたね」
おじさん「何が足りないんじゃろう?」
だが、クレームがくる中でも
仕方なく2人はシェイクしながら
スポーツドリンクを作るしかなかった・・・
それしか方法がなかったからである
おじさん「シェイク、シェイッ」
エイリアン父「ふりっふり」
〇公園のベンチ
とある日のこと
子ども「おじさーん」
おじさん「おお!こないだの少年か」
おじさん「久しぶりだな」
子ども「サッカー、一緒にやって!」
おじさん「まあ、わしでよければかまわんよ」
おじさん(ちょっと一緒に遊んであげようかの)
〇空
その日も気温が35度を超える猛暑日だった
〇公園のベンチ
子ども「なんか気持ち悪くなってきた」
子ども「頭が、がんがん痛い」
おじさん「少年!大丈夫か!」
おじさん「熱中症だ!」
おじさん(わしとしたことが、 ついサッカーに夢中になってしまっていた)
おじさん「日陰に行って休もう」
おじさん「さあ、水を飲むんだ」
少年はペットボトルの水を飲んだが
まだ辛そうだった
おじさん(くっ、こんなときに・・・)
おじさん「スポーツドリンクがあれば・・・!」
子ども「おじさん、もうだめ・・・」
おじさん「おいっ、しっかりしろぉ!!」
おじさん(ああ、今のわしはペットボトルの水しか 出せない)
〇黒
おじさん「少年を助けたい!」
おじさん「少年が早く元気になって 笑顔になってくれたら・・・」
おじさん「恥ずかしくてもいい」
おじさん「わしは、絶対に諦めない!!」
おじさん「スッポドリドリ〜スッポポポーン♪」
気づけばXは大声で呪文を唱えていた──
〇黒
おじさん「どうか頼む、神様!わしに力をくれ」
おじさん「わしは、この飲み物で少年を救いたいんだ!」
〇黒
おじさん「こ、この緑の光は、まさか!」
おじさん「スポーツドリンクゥ!」
おじさん「そして、魔法使い!」
おじさん「元気になったんですね」
魔法使い「おかげさまでな。 今まで色々苦労をかけたな」
おじさん「いえ、こちらこそありがとうございます」
おじさん「スポーツドリンク、 出してくださったんですよね?」
魔法使い「いや、出してないぞ」
魔法使い「X、あなたが魔法で出したんじゃ」
おじさん「えっ、わし?でも、今まで出せなかっ・・・」
〇ハート
魔法使い「愛じゃよ」
魔法使い「自分の作った飲み物で人々を笑顔にしたい」
魔法使い「飲む人に対する愛情を込めて作ったから 今回、成功したんじゃ!」
おじさん「確かに今まで納品数に追われて 仕方なく作っていたかもしれない」
魔法使い「さあ、早く行け!少年のために!」
おじさん「はい!!」
〇公園のベンチ
おじさん「少年、大丈夫か?これ、飲めそうか?」
子ども「う、うん・・・」
ゴキュッ
子ども「お、おいしい〜」
おじさん「少しましになったか? もっと飲むんだ」
ゴキュゴキュ
子ども「なんか頭痛いの、よくなってきた」
おじさん「そうか!!本当によかった!」
子ども「おじさん、ありがとう!!」
※重度の熱中症の場合は
救急車を呼んでくださいね
〇黒
おじさん「そうだ、わしは、この少年のような 笑顔を見るためにスポーツドリンクを 作っていたんだ・・・」
おじさん「わしに足りなかったのは愛だったんだな」
〇通学路
子ども「家まで送ってくれてありがとう」
おじさん「じゃあな、ゆっくり休むんじゃよ」
子ども「おじさんは、これからどこに行くの?」
おじさん「そうだな、君のおかげで 自分のやるべきことが見えてきたわい」
おじさん「ではでは、さらばじゃ!」
〇空
灼熱の太陽が照らす中、
Xは走り回っていた──
〇野球のグラウンド
部活中の野球部に──
おじさん「あの、これ、もしよければ♫」
おじさん「熱中症に気をつけてください」
「部員たち)ありがとうございます!!」
〇工事現場
工事現場の方たちに──
おじさん「もし、よければ♫」
おじさん「暑い中、いつもありがとうございます!」
「作業員たち)おお!ありがとう」
〇渋谷の雑踏
「ねえ、聞いた?」
「このスポーツドリンク、 すごくおいしいらしいよ!」
「今、とても人気のスポーツドリンクだよね?」
「そうそう! 優しいおじさんが暑い日に 配ってくれてるらしいよ!」
Xのおかげで
スポーツドリンクは口コミで評判となり
株式会社スッポドリドリは
東証一部上場した──
エイリアン父「Xのおかげだ、色々ありがとう!」
魔法使い「Xに社長を代わってもらったほうがいいかもな」
エイリアン父「えっ、うそ、ハニー!」
おじさん「はははは」
エイリアン父「えっ、そこ笑わないで」
完
いいお話でしたー!!!!!!!めっちゃ面白いですし、読み終わった後もさわやかな気持ちになりました!!!!!!!あと、途中めっちゃ笑わせてもらえました!!!!!!もーほんと最高です!!素敵な作品ありがとうございました!!(o^^o)
裏テーマが愛だったとは!
Xはお給料貰えたかな〜とか、スポドリ原価0円だから、全部丸儲けか〜とか、邪推してしまった私が悪かったです!しかも今年は猛暑でたいへんな時期に、爽やかな気持ちになりました。
しばしばさんの愛ある作品でみんなが幸せになったらいいですね!
このハートフルでコミカルな物語も完結なのですね!最後までツッコミ不在でしたね!w
笑いの中にほっこり要素ありのこの作品の完結、お疲れ様でした!