55 食べごろ乙女(脚本)
〇荒地
マリリン「おぉ・・・魔王、確定?」
フリードリヒ「魔王ならば答えよ──なぜ、世界を──」
フリードリヒ「──神樹を喰らい、侵す?」
『魔王レミア』はフリードリヒの問に答えず、頭上を仰ぐ
魔王レミア「──不幸、不遇」
マリリン「ねえねえ、フリードリヒどん・・・ 魔王に会話って通じるの?」
フリードリヒ「問うだけならタダ同然だろ?」
マリリン「さすが勇者! セコい、さすが!」
魔王レミア「──勇者だけならば、希望も在ったろうに」
魔王の視線の先には──
〇空
ドーカの大軍──
それを、悠々と滅ぼすミスリル
〇荒地
マリリン(おんや? ミー君もしかして、手を抜いている?)
魔王レミア「産まれ出でての間も無く、あれらを眼前に突き付けられて──」
フリードリヒ(アレ、ら?)
魔王レミア「──? アレらはなぜ、私を滅ぼさない?」
魔王レミア「空の同胞を減らすのは、後でも良さそうなのだが・・・」
魔王レミア「遊ばれている? 私を生かす目的が在る?」
そして、やっと地上に目を向ける
魔王レミア「ならば、その目論見を喰い破ろう──」
フリードリヒ「なんだ、結局戦うのかい?」
魔王レミア「うむ、私だって生きたいのだ」
魔王レミア「せっかく産まれておいて、死にたい者など居るものか」
フリードリヒ「いっぱい居るよ、貴様の様な単純な生物には、到底理解出来ないと思うけれどもね」
魔王レミア「大丈夫だ、フリードリヒの脳を喰らえばきっと私にも理解出来る様になるよ」
魔王レミアは短い右腕を引き絞り──
魔王レミア「魔王の攻撃──存分に受けてみよ」
姿の消える程の、踏み込み──
その先は──
フリードリヒ「──間に合うか?」
〇荒地
跳ぶ先は──アデライーデだ
魔王レミア(上の二体は、正真正銘の化け物)
魔王レミア(フリードリヒは簡単に仕留められない マリリンの聖殻は堅すぎて取り込めぬ)
魔王レミア「お前が一番喰いやすそうだ」
アデライーデ「・・・アタ、シ・・・を」
魔王レミア「──いただきます」
アデライーデ「二代目・・・刃の魔女を・・・」
アデライーデ「舐めんなよおぉッ!!!!!!」
下げていた鞭剣を自らの頭に突き入れる様に振り──
魔女帽子に刺した
べちゃりと、その帽子から、血よりも濃い液体がアデライーデへと落ちる
魔王レミア(──何だ? 血か?)
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