収穫の喜び(脚本)
〇繁華な通り
ゾンビ「うが――」
ゾンビを殺し、核を食う。
美味くはない。ただ飢餓感が遠ざかる。
二十個ほど核を食ったところで腹が満たされた。
リヒト「さ、そろそろ、覚悟を決めようか・・・」
〇大衆居酒屋
エハラ「リヒト君、無事だったのね!?」
リヒト「遅くなってごめんね」
エハラ「あ、ミヤマさんは」
リヒト「死んだ」
リヒト「ミヤマさんが帰りに荷物を落としてね、音に反応したゾンビに囲まれたんだ」
リヒト「俺はすぐに荷物を捨てたから逃げられたんだけど、ミヤマさんは躊躇しちゃって捕まった」
エハラ「そう、お疲れ様でした」
リヒト「とりあえず、荷物は回収した。みんなで食べるといい」
エハラ「あ、ありがとう・・・リヒト君は・・・」
リヒト「食欲なんてないよ」
割り当てられた部屋に向かう。
〇モヤモヤ
座敷席に横たわり、目を瞑った。
──おっさん、死んだんだって
鋭敏なゾンビイヤーのおかげで、聞きたくなくても声が聞こえてくる。
え、やった
歳上ってだけでリーダーぶって、あれやれこれやれうるさかったのよね
ホント、あんなの死んで当然よ
コミュニティの女の子たちが好き勝手な事を言っている。
ミヤマは決して有能ではなかったが、善良ではあった。
彼女たちのために、命がけで食糧調達に出かける程度にはちゃんとリーダーをやっていた。
経験上、こういったコミュニティは俺が何かしなくても勝手に潰れていく。
残っているのはホームセンターのようにリーダーが優秀だったり、樽美山のようにメンバー全員が善良なコミュニティだけである。
そういった意味でも彼女たちは貴重な存在だ。
なにせ、いずれ勝手に自滅する彼女たちなら心が痛まない。
〇大衆居酒屋
リヒト「・・・眠ったかな」
食料には睡眠導入剤が入っている。連日の疲れや、久しぶりにお腹が満たされたこともあって全員が深い眠りについている。
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