54 取り戻した私(脚本)
〇荒地
???「──ッアアアアアア!!」
顔から胴体までを切り刻まれながら、女は跳ねあげていた左手を強引に振り下ろす
頭は割れ、片目は潰れ、首は半ばまで斬れていても、女は怯まずにその剛力を振り下ろす──
アデライーデのブーツを握ったまま
魔女はそのブーツに鞭刀を合わせる
アデライーデ「『車刃─くるまば─』ッ!!」
触れた瞬間、主の魔力を受けブーツが爆発的に動き出す
女の手の中で卍型の刃に成型され、触れる鞭刀の先端を軸に高速の回転を始める
回転する刃は女の指を斬り飛ばし、腕の内側を滑り女の左肩へ──
そして──左腕を付け根から斬り飛ばした
???「らあああああぁッ!!!!」
だが次の瞬間、アデライーデの左頭部に衝撃──
女が殴ってきたのだ
自らの食いかけた、肘までしかない右腕で
アデライーデ「あがっ!?」
アデライーデは防いだ、宝石剣とマントで
だが女の剛力で宝石剣は砕かれ──
その破片を撒き散らしながら吹き飛ばされた
???「調子こいてんじゃねえぞクソがああッ!!!!」
女は身を屈め、吹き飛ばしたアデライーデへの追撃に向けて地を蹴る──
寸前、強力な魔力を感じ横へと跳ぶ
マリリン「ヘタッピ! 避けられたじゃん!」
フリードリヒ「この『鳴弦─めいげん─』形態はまだ苦手でね」
フリードリヒの身に半身鎧は無く、左手にも角の生えた盾ではなく、弓──
巨大な弓2本をズラして重ねたような、✕字の弓身をもつ白銀の得物を握っていた
矢は何処にも見当たらない
マリリン「そんな事よりもアディが!」
フリードリヒ「飛ばされた先でマントで受け身をとっている、意識はあるハズだ 今はここでコイツを抑える方が良い」
マリリン「そうなの? 無事なら良いんだけど・・・」
???「フリードリヒ! アンタ誰の見方なんだよ!!」
フリードリヒ「は?」
マリリン「え? フリードリヒどんって魔王の味方なの?」
フリードリヒ「そんなハズは無いだろ?」
???「マリリン! アンタちょっと顔が良いからって、調子に乗ってさぁ!」
???「どうせオスカーにも色目を使ったんだろ!!」
マリリン「へ? なんでオスカー? 何なのコイツ?」
フリードリヒ「・・・まさか、まさかそんな事が・・・」
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