第3話 妹の愛が重い(脚本)
〇女の子の一人部屋
ジリリリ・・・ジリリリ・・・
猫陽ひまり「・・・んー」
ジリリ・・・ピッ
猫陽ひまり「・・・ふわぁ」
猫陽ひまり「いま・・・なんじ・・・」
猫陽ひまり「・・・」
猫陽ひまり「寝坊だああああああ!!!!!!」
〇明るいリビング
ドタタタタタタタタ!!!!!!
猫陽ひな「このドタドタはもしや・・・」
猫陽ひまり「遅刻遅刻!昨日も遅刻したばかりなのにもう一回やったら先生にこっぴどく怒られる!どうしよ!ごはん食べたい!でも遅れちゃう!」
猫陽ひな「お、落ち着いて、ひま姉ぇ。まだ6時50分だよ」
猫陽ひまり「・・・え?」
猫陽ひな「いつも遅刻するから時計の針をあらかじめ進めておいた」
猫陽ひまり「・・・なーんだ!よかった!」
猫陽ひまり「また朝ごはん食べずに、午前中の授業を寝て過ごす所だった!」
猫陽ひな「あぁ、そこ?」
猫陽ひまり「いっただきまーーーす!」
猫陽ひまり「ズルルルルルルルル・・・う〜ん、朝はやっぱり、脂マシマシとんこつバリカタラーメンだね!」
猫陽ひな「夜勤明けかよ・・・はぁ、オーツミルク飲も」
猫陽ひまり「ひなちゃん、彼氏にフラレれたって本当?」
猫陽ひな「ぶううううううううううう!!!!!!」
猫陽ひまり「うわあああああ!!!!」
猫陽ひな「ゲホッ・・・ゴホッ・・・」
猫陽ひまり「どうしたの?急に吹き出すなんて。そんな芸、するような子じゃなかったはずだよ?」
猫陽ひな「あんたがデリケートな質問をぶつけるからでしょうが!」
猫陽ひまり「そっか〜!」
猫陽ひまり「・・・で、何でフラれたの?」
猫陽ひな「・・・わかんないの」
猫陽ひまり「なんで?」
猫陽ひな「彼のフラれた理由が意味わかんなくて・・・」
猫陽ひな「”君の愛情表現が重いって”言われたの」
猫陽ひまり「なんで?愛に重いも軽いもないよ?」
猫陽ひな「だよね!」
猫陽ひまり「そういえば、ひなちゃんは彼とどんな感じで付き合ってたの?」
猫陽ひな「ふふふ、それ聞いちゃいます?」
猫陽ひな「めっちゃラブラブだったよ!」
猫陽ひな「毎朝必ず『おはよう』のメッセージを送るし、私が朝ごはんを作って彼の家まで持って行ってあげるの。午前3時ぐらいに」
猫陽ひな「で、登校はもちろん、授業中も休み時間も一緒にいたでしょ?昼休みは私の手作り弁当をシェアして食べたなぁ〜!」
猫陽ひな「帰りも校門で待ち合わせして帰ったりしてたし、彼が部活で遅くなった場合は、顧問の先生を脅して、強制的に早退させたっけ」
猫陽ひな「で、一番ドラマチックだったのは、彼が他の女の子と一緒に話していた時かな〜!」
猫陽ひな「どろぼう猫から彼を守るには、多くの血が流れちゃったけど、彼が二度と君を離さないって言ってくれたのは最高に嬉しかった!」
猫陽ひな「あぁ、ほんと・・・スキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキ・・・」
猫陽ひな「・・・別れるなんてやだよ」
猫陽ひな「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ・・・」
猫陽ひまり「ひなちゃん、おかしいよ!!!!」
猫陽ひな「・・・っ!ひま姉ぇ・・・?」
猫陽ひまり「その彼氏さん、おかしいよ!ひなちゃんがこんなに愛しているのに重いとか訳わからない事を言って別れるなんて!」
猫陽ひな「だよね!だよね!ひま姉ぇなら分かってくれるって信じてた!」
猫陽ひまり「ほんとだよ!」
猫陽ひまり「ひなちゃんは、自分の部屋の壁に彼氏の写真をたくさん貼ったり、赤文字で『スキ』とたくさん書くぐらい好きなのに!」
猫陽ひな「へ、部屋の中を覗いたの?」
猫陽ひまり「うん。この間、借りてた漫画を返そうと思ったから・・・」
猫陽ひまり「あっ!そうそう!机の上にノートがあったんだけど・・・」
猫陽ひな「あっ!」
猫陽ひまり「二人の結婚式の予定や子どもの似顔絵、老後の生活の事も書いてあって、読んでいて心がジーンときちゃったよ!」
猫陽ひな「あ、はぁ、あぁ・・・」
猫陽ひな(どうしよう。あれ、誰にも見せる予定じゃなかったんだけど・・・ひま姉ぇならいっか)
猫陽ひまり「よし、決めた!」
猫陽ひまり「私、その彼氏に妹とヨリを戻すようにお願いしてくる!」
猫陽ひな「ほんと?!ありがと、ひな姉ぇ!!!!」
猫陽ひまり「ひなちゃんが元気になってよかった!」
猫陽ひな「そうだ!どうせなら今日、彼氏とデートしに行こう!」
猫陽ひまり「あれ?今日、学校じゃないの?」
猫陽ひな「大丈夫大丈夫!先生に圧かけておけば、欠席にならずに済むよ!もちろん、彼も!」
猫陽ひまり「へえ、それは凄いね!どこに行くの?」
猫陽ひな「猫町ゆうえんち!あそこだったら、仲を深められそうなところがいっぱいあると思うし・・・」
猫陽ひな「そうだ!彼にプレゼントをあげよう!お菓子がいいかな?」
猫陽ひまり「うん!いいと思う!どんな感じにするの?」
猫陽ひな「無難にチョコレートをベースに私の髪の毛と爪を入れたやつかな!」
猫陽ひまり「それは駄目だよ。人の髪の毛と爪なんて入れたら衛生上良くないよ。それに、食べてお腹でも壊したらどうするの?嫌われちゃうよ」
猫陽ひな「そ、それもそうだね・・・えっと・・・」
猫陽ひな「あっ!そうだ!」
猫陽ひまり「なんかいい事思いついた?」
猫陽ひな「うん!これを作ろうかなって考えてるんだけどさ・・・」
〇教室の教壇
・・・で、自分の等身大のチョコレートを彼にプレゼントする・・・と。
猫陽ひまり「そうなの、そうなの!朝からコンビニのチョコレートを買いあさって、キッチンで溶かしててさ〜、本当に頑張り屋さんだよね!」
猫海あおい「うん・・・まぁ、そうだね・・・」
猫陽ひまり「で、放課後に私がそこに行って、妹の彼氏を説得させるんだけど・・・どんな感じで言えばいいかな?」
猫海あおい「えっと、その前にその・・・妹さんのヤン・・・」
猫月ひかり「やめた方がいい」
猫海あおい「うわっ?!びっくりした?!急にどうしたの?」
猫月ひかり「教えない方がいい」
猫森めぐみ「そうですよ!あんなに一生懸命、妹ちゃんの事を思っているんですから、そこに水を差すような事はしないほうがいいですよ〜!」
猫海あおい「・・・まぁ、それもそっか」
猫陽ひまり「あっ!メグちゃん、ひかりちゃん、おはよ〜!」
猫森めぐみ「おはようございます〜!」
猫月ひかり「おはよう」
猫陽ひまり「ねぇねぇ!みんなも、ひなちゃんと彼氏をどうヨリを戻させるかを考えて欲しいんだけど・・・」
〇教室の教壇
ネコマタ「うにゃあああああああ!!!!!」
猫陽ひまり「わぁ!」
猫海あおい「えぇ?!」
ネコマタ「うぅ・・・いたた・・・」
猫陽ひまり「あっ!あなたは・・・確か・・・」
猫海あおい「私達に力をくれた喋る猫じゃない!なんで戻ってきたの?!」
ネコマタ「うぅ・・・あっ!そうそう!大変にゃの!」
ネコマタ「実は・・・」
4人「えぇ〜?!また宝石が盗まれた〜?!」
猫海あおい「・・・って、こんな所で話したら誰かに聞かれちゃうでしょ!早く移動し・・・」
ネコマタ「その心配はにゃいわ!周りを見てごらんにゃさい!」
猫陽ひまり「え?・・・あれ?」
猫森めぐみ「時が止まってます〜!」
猫月ひかり「何をした」
ネコマタ「ふふふ・・・これよ!」
ネコマタ「これは『ニャンダフルウォッチ』と言って、押せば好きなだけ時を止められるの!」
猫陽ひまり「ほえ〜!すご〜い!」
猫月ひかり「それで盗んだ、あの黒猫はどこにいる?」
ネコマタ「もう特定済みよ!えっと、たしか・・・」
ネコマタ「そうそう!『猫町ゆうえんち』って、ところだったかしら?」
猫陽ひまり「・・・え?」
ネコマタ「ど、どうしたの?みんな、急に固まっちゃって・・・」
猫月ひかり「実は・・・」
ネコマタ「にゃ、にゃんですって?!ひまりさんの妹さんがそこにいるの?!」
ネコマタ「にゃんとかしないと!」
猫陽ひまり「あっ!ちょっと!」
猫海あおい「・・・場所わかっているのかな?」
猫月ひかり「追いかけよう」
猫森めぐみ「そうですよ!妹ちゃんを助けましょう!」
猫海あおい「そうね!行こう!」
猫陽ひまり「・・・」
猫海あおい「・・・ひまり?」
猫海あおい「大丈夫よ、妹は無事よ」
猫陽ひまり「・・・うん」
猫海あおい「私達で妹さんを守りましょ!ね?」
猫陽ひまり「・・・そうだね」
猫陽ひまり「ありがとう、あおいちゃん!私、頑張る!」
猫陽ひまり(待っててね、ひなちゃん。必ず助けに行くから・・・)
つづく
新キャラのひなちゃんが濃すぎです!これまでのキャラに負けないくらいに、、、笑いと恐怖を同時に感じてしまいます。そんな彼女が戦闘に巻き込まれてしまうのでしょうか、、、全然動じずに彼氏しか見てなさそうですねw