〇皇后の御殿
トゥルース・ギルバート「──何故お前は、あの日手を抜いた!?」
フィン・クラーク「えっと・・・・・・」
トゥルース・ギルバート「何故、自分の力を偽ってまでシノに近づく!?」
フィン・クラーク「わ、あの、落ち着いて──」
トゥルース・ギルバート「ケッ、何なんだお前は──!!!!」
トゥルース・ギルバート（あの攻撃まで余裕で避けやがる・・・・・・）
トゥルース・ギルバート（俺に勝ち目はねぇってことか）
トゥルース・ギルバート（さて、どうやって口を割らせようか）
フィン・クラーク「──僕には、」
トゥルース・ギルバート（あっさり話し始めただと!?）
フィン・クラーク「自分を偽っているつもりはありません」
フィン・クラーク「僕は、」
フィン・クラーク「ただ、団長の傍で役に立ちたい」
フィン・クラーク「そう思っています」
トゥルース・ギルバート「──は？」
フィン・クラーク「シノは、」
フィン・クラーク「絶望の中にいた僕に・・・・・・」
フィン・クラーク「希望をくれたんです」
フィン・クラーク「僕は──この国が大っ嫌いだったのに」
フィン・クラーク「シノが護りたいと思う国なら──」
フィン・クラーク「シノのためならこの国だって愛せると思ったんです！」
トゥルース・ギルバート（──あ、こいつ、マジか）
　　ギルバートは絶句した。
フィン・クラーク「だから──」
フィン・クラーク「僕がシノを越すわけにはいかないんです」
トゥルース・ギルバート（え？　って、ことは──）
トゥルース・ギルバート（こいつら、互いに護り合ってるのか!?）
トゥルース・ギルバート（フィンは団長の下にいたいから、 シノに実力を隠していて──）
トゥルース・ギルバート（シノは、フィンを傷つけたくない一心で俺たちに負けろと命じたり、怪我させまいと息巻いてるって訳か）
トゥルース・ギルバート「そのさ、念のため聞くが」
トゥルース・ギルバート「本当に、それだけか？」
フィン・クラーク「はい！」
フィン・クラーク「それだけです!!」
トゥルース・ギルバート「その様子じゃ、嘘じゃないみてぇだな・・・・・・」
　　ギルバートは言葉を絞り出そうとした。
トゥルース・ギルバート「あ、えっと、そうか・・・・・・」
トゥルース・ギルバート「なんか、あれだな──」
トゥルース・ギルバート「俺はどうやら大きな勘違いをしていたみたいだが・・・・・・」
　　ギルバートは、一度決めたことは覆らせない性格だった。
トゥルース・ギルバート「始めちまったもんは仕方ねえ！」
トゥルース・ギルバート「今度は手抜かずに戦えよ？」
フィン・クラーク「えっ!?」
トゥルース・ギルバート「そんじゃなきゃ、」
トゥルース・ギルバート「俺の格好がつかないだろ!!!!」
フィン・クラーク「もう、仕方ないですね──」
フィン・クラーク「はい、終わりです」
トゥルース・ギルバート「うわぁああああああああああ」
フィン・クラーク「もう、クーデターは終了ですよ」
トゥルース・ギルバート（なるほどな、魔法師ってことか──）
トゥルース・ギルバート「あいよ・・・・・・」