愛よりも惰性に近い

ポロロ

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〇黒
  私たち夫婦が結婚したのは三年前

〇アート
  最初は同じ大学の先輩と後輩だった
  私たちは映画研究サークルで意気投合
  映画鑑賞が趣味という共通の話題から
  恋愛に発展して
  ごく自然と付き合うようになった
  とても順風満帆だった。
  一緒に居て楽な人だった
  でも・・・
  いつからか、隣にいるだけで
  空気が重い
  あれだけ熱心に恋して「この人しかいない」と思ったのに

〇黒
  私たちの関係はいつからおかしくなったんだろう
  愛ってどうして冷めちゃうんだろう
  いつまで仮面夫婦を続けたらいいんだろう
  終わるなら
  あなたから言ってよ・・・

〇おしゃれなリビングダイニング
浅田淳史「じゃあ、行ってきます」
浅田真那「何処ヘ行くの?」
浅田淳史「何処って、いつものだよ」
浅田真那「またスピリチュアルの何とかってやつ?」
浅田淳史「スピリチュアル後藤の宇宙と繋がろうの会だよ。すぐ帰るから」
浅田真那「そんな怪しい会、やめてって言ったのに」
浅田淳史「何にも怪しくなんてないよ。 スピリチュアル後藤先生はとてもいい先生なんだから」
浅田淳史「そうだ、真那も一緒に行こう」
浅田真那「どうして私が・・・」
浅田淳史「俺たちに子供が出来ないのは、悪い波動のせいなんだよ」
浅田淳史「だから良い波動にしないと!」
浅田真那「意味が分からない」
浅田淳史「学べば分かるようになるよ さ、行こう」
浅田真那「行かない!」
  私は声を荒げて淳史を睨みつけた
浅田真那「子供が出来ないのはあなたのせいでしょ?」
  ・・・
  部屋がしんと静まり返った
浅田淳史「そっか、そうだよね・・・」
  と悲しげに笑って、淳史は行ってしまった

〇白いバスルーム
  私は鏡を見て嫌な顔をしてるなと思った
浅田真那「つい、言ってしまった・・・」
  溜息ばかりが出る
  子供が出来ない理由は夫の淳史に原因があった
  でも、本当の原因は私達の冷めた関係にあるんじゃないか
  神様はそれを見抜いていて、わざと子供が出来ないようにしたんじゃないか・・・
  そう考えるようになっていた
浅田真那「でも離婚しても、この家のローンはあと30年残ってるし・・・ 親にだって今更離婚するなんて言えない・・・・」
浅田真那「仮面夫婦でも続ける他にないのかな・・・」

〇シックな玄関
  ピンポーン

〇白いバスルーム
浅田真那「誰だろう」
  昼のこんな時間に不思議に思ったけれど
  玄関の方へ向かった

〇一軒家の玄関扉
中川功「あ、どもです」
  そこには大きなスーツケースを持った20代後半くらいの背の高い男が立っていた
中川功「えーっと淳史さんの奥さんすか?」
浅田真那「そうですけど、どちら様でしょう・・・」
中川功「ああ、俺、 淳史さんの会社の元後輩で 今は俳優の中川功っていいます」
浅田真那「え、あ、後輩?会社の?」
中川功「元っす、元。 今は俳優活動してます」
中川功「それでオーディション期間中、淳史さんの家に泊まってもいいって聞いてんですけど」
浅田真那「え、待って、家に?」
中川功「はい!あ・・・」
  グーとお腹が鳴って、男はしゃがみ込んだ
中川功「は、腹減った・・・」
浅田真那「だ、大丈夫ですか・・・」
中川功「ダメかも・・・」
  私はとりあえず、今にも死にそうにお腹を抱えて蹲っている
  「中川功」と名乗るこの男を
  家の中に連れて行った

〇おしゃれなリビングダイニング
浅田真那「とりあえず、食べて」
中川功「すいません!! いただきます!」
  中川はガツガツ食べて
  あっという間に平らげた
中川功「ごちそうさま、 生き返りましたよ、ほんと ありがとうございます!」
浅田真那「それは良かった・・・」
中川功「こんな旨い飯食べられるとは、淳史さんが羨ましいっすよ」
浅田真那「どうだろ・・・」
中川功「え?」
浅田真那「いえ、それより、本当にあの人 うちに住めって言ったの?」
中川功「俺は部屋が余ってるからいいって聞いてます」
中川功「あ、でも奥さんが迷惑ならカプセルホテルにでも泊まりますよ」
浅田真那「んー・・・」
  その時、玄関から淳史の声がした
浅田淳史「ちょっと忘れ物が・・・」
中川功「あ、淳史さーん!」
浅田淳史「中川?来てたのか 明日って聞いてたはずだけど」
中川功「ちょっと今日、急遽オーディション入っちゃって、来ちゃいました」
浅田淳史「そっか」
浅田真那「ねぇ、まず私に言うことあるんじゃない?」
浅田淳史「ああ、言おうとは思ってたんだよ 俺の元後輩の中川」
浅田真那「それは聞いた・・・」
浅田淳史「いいよね。短い間だけど、一緒に暮らしても」
浅田真那「あなたはそれでいいの?」
浅田淳史「え? 俺は何も気にする事ないよ 中川がいると、きっと楽しいよ」
浅田真那「そう・・・ じゃあ、いいんじゃない?」
中川功「マジですか、良かった~!」
中川功「じゃ、これからお世話になります!」
浅田淳史「じゃあ、真那。 部屋を案内して」
浅田真那「私が・・・?」
中川功「よろしくお願いしまーす!」
浅田真那「・・・」

〇本棚のある部屋
浅田真那「ここだけど・・・」
中川功「めっちゃ広いですね! いや、最高です!」
浅田真那「本当はこの部屋、子供部屋にするつもりだったんだけど」
中川功「え、あ、そうなんすか? え、なのに俺の部屋になっちゃっていいんですか?」
浅田真那「諦めてるからいいの」
中川功「・・・そうっすか あ、何かすいません」
浅田真那「あなたが謝る事じゃないよ 私達夫婦の問題」
中川功「そうですか、複雑っすね・・・」
浅田真那「そのうちね、あなたもこの家から逃げ出したくなるんじゃない?」
中川功「え~~~ それは・・・ないですって だってマジで理想ですよ」
浅田真那「理想?」
中川功「大きな家に美人な奥さん! 理想ですよ、俺にはない」
浅田真那「私はあなたの方がいいと思うけど」
中川功「俺?ただの俳優志望ですよ?」
浅田真那「自由でしょ?何のしがらみもない」
中川功「それはそうですけど」
浅田淳史「あ、真那」
浅田淳史「これも言い忘れてたけど」
浅田真那「何?」
浅田淳史「しばらく俺、出張で家を空けるよ」
浅田真那「ちょっと待ってよ」
中川功「さすがにそれは・・・」
浅田淳史「仕方ないよ 決まった事だから」
浅田淳史「当分二人きりだけど、仲良くね」
浅田真那「・・・」

〇黒
  一体、この人は何を考えているのだろう・・・
  愛が冷めたら、どうでもいいの・・・?

コメント

  • 旦那さんが何を考えているのか全くわからなくて。
    破綻している夫婦の家に、男を住まわせて自分は出張ってほんとわからないです。

  • 夫婦生活が負のスパイラルに入って、仮面夫婦か離婚かの二択しかな状態の真帆と淳史。そんな関係を、中川功がどのような影響を及ぼすか次話以降が楽しみになります。トリックスターとなる予感がします!

  • 相談なく後輩を家に同居させた事も、さっさと長期出張にいってしまう事も、別離宣言と私は受け取ります。万が一夫の何か策略だとしても女性なら耐えられないと思います。改めて、結婚、家購入を軽はずみにしてはいけないと感じました!

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